なぜ作業効率が悪いのか? できる人の特徴や改善のコツ9選を紹介

ビジネスシーンでたびたび使われる「作業効率」という言葉には、「いかに早く、もしくはいかに少ない労力で、作業を進められるかの度合い」という意味があります。

働き手不足や働き方改革による時間不足が叫ばれる昨今、作業効率の向上が急務であることは間違いありません。そこで、本稿では作業効率を向上させる業務改善やコツ、役立つツールについてまとめてみました。

作業効率を上げる必要性

冒頭でも触れた通り、現在日本では働き方改革が推し進められ、働き方に大きな変化が起きています。しかし、「労働時間を短くする」だけで、業務のボリュームが減るわけではありません。つまり何の施策もなしに、これまで通りの成果を上げることは困難となります。「作業効率を上げて労働時間を短くする」必要があるのです。

働き手1人あたりが成果を出す上での作業効率を数値化したものを「労働生産性」と呼びます。労働生産性の値が高ければ高いほど、生産性が高いとされます。

2021年に発表された「IOECD諸国の労働生産性の国際比較」によると、日本の時間あたりの労働生産性は、OECDに加盟している38ヵ国中23位、1人あたりの労働生産性は28位と、主要先進7か国の中で最下位に位置しています(業種によって異なる)。

労働生産性が低いと、投資によって利益が得られなかったり、無理な労働によって従業員の負担が大きくなってしまったりし、会社や従業員にもマイナスの影響を与えます。働く時間を短縮しながらも成果を上げ続ける持続可能な働き方をするには、労働生産性の向上が必要不可欠なのです。

作業効率向上によるメリット

では具体的に作業効率を向上させると、どのようなメリットがあるのでしょう。作業効率向上の必要性を裏付けるメリットを3つのポイントに分けて説明します。

会社のコスト削減

日本人が背負い込みやすい「無理」や「無駄」な作業をなくすことで、作業におけるコストが削減できます。具体的には古い習慣によって残るタスクや残業、休日出勤などがこれにあたります。

これらの無理や無駄につながる作業は、従業員の負担になっていることも少なくありません。コストの削減は負担の削減にもつながるのです。

従業員のモチベーション向上

コスト削減によって残業や休日出勤が削減され、働きやすい環境が整えば、従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。モチベーションが上がれば、従業員定着率や満足度の向上が期待できます

更なる業務改善や新規事業につなげることができる

作業効率の向上によってできた時間やコストを、更なる業務改善や新規事業に充てることができます。業務改善や新規事業にリソースを割けると、生産性の向上や成果物のクオリティ向上、組織強化につながります。

作業効率がいい人の特徴

作業効率がいい人には、どのような特徴があるのでしょうか。作業効率がいい人の特徴を知ることで自分の作業を客観視し、見直してみましょう。

仕事の目的や目標を明確にしてから取り掛かる

作業効率がいい人は、作業ごとに目的や目標を明確にしてから取り掛かります。「何のためにやっているのか」「その作業は何につながるか」「作業の目標は何か」などの視点をもって、作業の目的や目標を考えてみましょう。

目的や目標が明確になると、作業に対するモチベーションを維持でき、作業効率の向上につながるのです。

仕事の全体像の把握ができている

仕事の全体像を把握している人は、「その作業は業務全体の中でどんな意義を持つのか」を意識しながら作業を進めるので、優先順位を的確に付けることができます。優先順位付けができると、計画の精度が高く、遅延が起こりにくいと考えられます。

計画通り作業が進められるので仕事への集中力が高まり、作業効率がよくなります

また、全体像の把握によってクリティカルパスや課題が見つけ出しやすいことも、作業効率化につながるのです。

わからないことをわからないままにしない

「わからないこと」や「不明瞭なこと」をそのままにせず、疑問をクリアにすることも、作業効率がいい人の特徴です。前述した目的や目標はもちろん、作業をする上で知っておくべきことを事前にヒアリングすることで、何度も質問をしにいったり回答を待ったり、想定で進めることがなくなり、作業効率は向上します

「作業の内容を正しく理解できているかどうか」「わからないことをわからないままにしていないかどうか」を自問自答する習慣を持つとよいでしょう。

こだわりすぎない

作業効率のいい人は、「こだわりすぎない」という特徴も持っています。こだわりを持つことは大切ですが、常に100%・100点満点のアウトプットにこだわってしまうと、作業期間がどれだけあっても足りません。

目的や目標にあった適度な品質で作業を完了とすることが必要とされるのです。

作業効率を向上させる業務改善の方法

次に、誰しもが目指したい作業効率向上のために、業務の進め方を考えてみましょう。作業効率はどのように向上させるのでしょう。

タスクを整理してToDoリストを作成する

作業の内容を把握するために、現状のタスクを整理してToDoリストを作成します。タスクの規模は考慮せず、今抱えているタスクをすべて洗い出しましょう。洗い出したタスクはToDoリストを作成し、管理することをおすすめします。

ToDoリストの活用方法については「ToDoリストを活用して仕事を効率化! リスト作成の方法からツールまで紹介。」で詳しく解説しています。ToDoリスト作成におすすめの方法なども紹介しているので、参考としてご覧ください。

課題、問題点を洗い出す

整理したタスクの中にある課題や問題点を洗い出します。重複したタスクや不要なタスクはないか、今一度考えてみましょう。作業効率改善のヒントがあるかもしれません。

また、特定の誰かにしかできないタスクは属人的な作業となるため、いつか大きな問題に発展する恐れがあります。課題として把握しておくことをおすすめします。

スケジュールを立てる

課題や問題点を考慮し、作業工程をスケジュールに落とし込みます。このタイミングで作業工程を見直し、作業の順番やタイミングが適切かを見直しましょう

業務改善策の実施

スケジュールに沿って業務効率の改善策を実行します。効率が向上したかを見える化するためには、工数管理が有効です。TeamHackersでは「工数管理の方法は? 必要性・メリットから工数管理に役立つツールを紹介」の記事で工数管理について紹介しています。

実際にどれほど業務効率が改善されたかを確認

最後に効果の検証をして、どれほど業務効率が改善されたかを振り返りましょう。業務効率の改善にはPDCAを回して、さらなる改善を目指すことが重要です。

PDCAの回し方は「仕事を効率よく終わらせよう!PDCAサイクルの回し方と事例とは?」の記事が参考になります。

作業効率化・業務効率化のコツ9選!

業務改善のステップをさらに加速させるためにはいくつかのコツがあります。今すぐ実践できるコツから、作業効率化をする上での重要な考え方、長期的に考えた時に驚くほど多くの時間を節約できる方法まで、とにかく効果的なコツを厳選して紹介します。

目的・目標を設定する

第一に、業務の目的・目標を明確に設定しましょう。目的・目標が明確であると、作業のゴールが何かを把握できるので、計画や優先順位が付けやすくなります。やみくもに作業をしている感じはなく、ゴールに向けて一歩一歩進んでいる実感を持てるでしょう。

出社後すぐに今日のタスクをすべて書き出す

今日行うべき作業の全体像を把握するためにも、出社してすぐにその日やるべきタスクをすべて書き出しましょう。書き出す時は、主となるタスクから雑務まで、思いつく限り書き出します。行き当たりばったりで仕事をこなすことがなくなり、作業の抜け漏れや意図しない残業を減らすことができるはずです。

もしチームで仕事をしているなら、メンバーに朝の段階で自分に頼みたいと思っているタスクがないかを確認しておくと、1日の予定が立てやすくなります。

ボリュームが大きいタスクは可能な限り細分化する

ボリュームの大きいタスクがあれば、作業にかかる時間を把握しやすくするために、可能な限り細分化します

このコツをわかりやすく説明するために、料理で例えてみましょう。「カレーを作る」というタスクがあったとして、これにかかる時間はどのくらいでしょうか? 自分なりにかかりそうな時間をイメージしてみてください。 カレーを作るだけでも、いざ細分化すると、買い物に行って材料を揃える、食材を切る、鍋で玉ねぎや肉を炒める、その他の野菜を入れ煮る、カレーライスにするならお米を研いで炊く、などの作業が内包されています。

思っていたより、時間がかかると感じますか? 作業を大雑把にしか把握していないと「このくらいで終わると思っていたのに、予定より時間がかかった」ということが起こりがちです。1つの仕事を最小の粒度まで細分化し、作業ベースで把握できるようになるだけでも作業効率のコントロールがしやすくなります。

無駄な業務を洗い出す

書き出したタスクから無駄な業務を洗い出します。重複しているタスク、自分でやる必要のないタスク、習慣でやっているだけで本当は不要なタスクはないか、改めて精査しましょう。

無駄なタスクにかけていた時間や労力は、他の作業に費やすことができます。

優先順位を決める

残ったタスクには優先順位を付けます。これは、今回紹介するコツの中でも非常に重要な役割を持ちます。

優先順位を付けることでタスクをスケジュールに落とし込みやすくなります。優先順位を決める時は、重要度と緊急度のマトリクスにタスクを並べてみるといいでしょう

重要か重要ではないか、緊急か緊急ではないかを組み合わせた上記の4つにタスクを分類すると、優先順位が明確になります。

重要度と緊急度のマトリクスに分類する方法やコツは「重要度と緊急度のマトリクスとは? タスクの優先順位の付け方や進め方のコツを解説」を読むと理解を深めることができます。

業務マニュアルを作成する

ある程度決まった業務は、マニュアルを作成することも作業効率化のコツです。作業の手順やルールをマニュアルに記しておくと、作業が属人化することなく、誰が行っても一定の成果が出せるようになります

作業を誰かに依頼したり後任を育成したりする時にも、マニュアルがあれば説明する手間が最小限で済むため、作業効率化に一役買います。

業務のフローチャートを作成する

マニュアルとセットで、業務のフローチャートを作成することも作業効率化につながります。業務内容を説明しているのがマニュアル、流れを説明しているのがフローチャートです。フローチャートとは、業務をどのようなプロセスで進めるかの流れを表します。

業務のフローチャートがあれば、業務の内容を俯瞰的に見ることができるでしょう

アウトソーシングを行う

タスクの一部をアウトソーシングすることも1つの手段です。アウトソーシングとは、業務の中の特定のタスク、もしくはすべてを外部の専門家などに依頼することをいい、「一億総フリーランス化」の時代が来るといわれる昨今では珍しいことではありません。

自分でやる必要のない作業や委託した方が効率よく高品質を目指せる作業は、アウトソーシングした方が人件費の削減や作業効率化につながります

PCでの作業はショートカット機能を使う

最後に紹介するコツは「ショートカット機能」の使用です。PCの作業を簡単な操作で行えるようにした機能をショートカット機能といい、「ショートカットキー」もその1つです。

ショートカットキーは覚えたらその瞬間から使えるものです。例えば、YouTube動画『【無料配布】PCショートカットキー一覧表』を見るとさまざまなショートカットキーが紹介されているので、ショートカットキーを覚えたい人におすすめです。

そのほか、よく使うアプリを1クリックでひらく「ショートカットアイコン」や頻出ワードを登録して文字入力を簡単にする「辞書登録」も効果的です。

作業効率向上に役立つツール

作業効率向上のテクニックを紹介してきましたが、ツールに頼るのもいいでしょう。DXが推進される昨今、便利なツールが多種多様に存在しています。効率アップに役立つツールについてまとめてみましょう。

オンラインストレージサービス

チームでデータの共有や保管ができるのがオンラインストレージサービスです。「Google Drive」や「Drop Box」が代表的なツールで、どちらも無料で利用が可能です。

しかし、容量の大きなデータや機密性の高いデータの共有や保管をするのであれば、有料版へのグレードアップをおすすめします。

常に最新のデータをオンラインストレージに共有や保管をしておくことで、都度共有する手間やデータの取り違えのリスクを防ぐことができ、作業効率向上につながるでしょう

タスク管理ツール・プロジェクト管理ツール

タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールは、「Backlog」や「Trello」のようなクラウド上のツールを指します。リアルタイムでのタスクの進捗管理や情報共有ができます

例えば、タスク管理ツール「TeamHack」の場合、プロジェクト名や概要、メンバー、それに付随するタスクやその担当者、プロジェクトやタスクごとのチャットなどを1つのツール上で行うことができます。上記のように、直感的に入力や管理ができるシンプルな操作性が特徴です。

タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールによって機能や操作性は異なります。「タスク管理ツールで進捗を共有・管理しよう! おすすめのツールや選定のポイントを紹介。」では、主要なタスク管理ツールやプロジェクト管理ツールの特徴や導入時のポイントを紹介しているので、導入の際の参考にしてください。

RPA

RPAは、ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の頭文字をとった言葉で、業務をAIなどを活用して自動化するサービスのことをいいます。代表的なツールには、WindowsのPCにインストールする「WinActor」やMicrosoft社の「Winautomation」などがあります。

コミュニケーションツール・チャットツール

今やeメールや電話に代わりビジネスシーンのコミュニケーションに利用されるのが、コミュニケーションツールです。「Slack」や「Chatwork」がこれにあたります。

導入することで、コミュニケーションのスピードが増すことはもちろん、作業に関連するやりとりの振り返りやデータの見直しがしやすくなるため、作業効率が向上します。

クラウド型マニュアルサービス

作業効率化・業務効率化のコツの章でも触れた、マニュアルの作成にも役立つのがクラウド型マニュアルサービスです。導入すれば、どこにいてもマニュアルの閲覧や編集が可能です。テンプレートを利用すれば、マニュアル作成時のコストも削減できるので、作業効率の向上が期待できるでしょう。また、動画マニュアルが気軽に作成できるのも特徴です。

代表的なクラウド型マニュアルサービスには「Teachme Biz」や「COCOMITE」などが挙げられます。

まとめ

本稿では、作業効率化の方法やコツ、役立つツールについてご紹介しました。業務効率化への意識を高め、具体的な手法を業務フローの中に組み込むことで、作業効率を大幅に上げることができます。

TeamHackersでは、他にも作業効率向上につながる情報を発信しています。ぜひ本稿と合わせてご覧いただき、作業効率向上の参考にしてください。

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