次々と積み重なるタスクを効率よく消化するには、重要度と緊急度を元に優先順位を付けることが大切です。ビジネスシーンでは「重要度と緊急度のマトリクス」を用いて優先順位の判断を行います。
本稿では、重要度と緊急度のマトリクスでタスクを分類する方法や優先順位の付け方、優先順位を意識したタスクの進め方について解説します。
重要度と緊急度のマトリクスとは
「重要度と緊急度のマトリクス」は、20世紀で最も影響力のあるビジネス書ともいわれる「7つの習慣」の中で提唱されているタスク管理の手法で、マネジメントには欠かすことのできない要素と考えられています。
詳しくみていきましょう。
タスクを4つに分ける必要性
タスクを頭の中だけで考えていると、正確な優先順位を導き出すことは困難です。そこで、重要度と緊急度のマトリクスを用いて、重要か重要ではないか、緊急か緊急ではないかを組み合わせた4つに分類を行い、優先順位を明確にします。
重要度と緊急度のマトリクスは優先順位にとどまらず、タスクの本質を見極めるためにも有効な手法です。タスクに対する主観を手放し、客観的に優先順位が判断できるようになるのです。
以下の図をご覧ください。

「重要度と緊急度のマトリクス」では、縦軸と横軸それぞれに「重要度」と「緊急度」
を置き、A〜Dのようにタスクを4分類します。
A:重要かつ緊急なタスク
B:緊急ではないが重要なタスク
C:重要ではないが緊急のタスク
D:重要でも緊急でもないタスク
重要度が高いタスクは、後回しにすると長期的に影響が及ぶ恐れがあるものを指しますが、必ずしも即時に対応する必要があるかというと、そうではありません。
緊急度が高いタスクは、後回しにするとトラブルの元になりうるため、他の業務の手を止めてまで工数を割くようなものを指します。ほとんどが第三者からの依頼で、自分にとって重要なタスクではない場合もあります。
重要度と緊急度のマトリクスの4分類について、それぞれの特性をまとめてみましょう。
A:重要かつ緊急
重要度と緊急度のマトリクスのAに分類されるのは、重要であり緊急なタスクです。最も優先順位が高いことはいうまでもありません。
顧客からのクレーム対応や突発的なトラブル対応、納期直前の作業など、即時対応を必要とするタスクが、重要かつ緊急なタスクにあたります。
これらのタスクを放置すると、売り上げやクオリティに直結し、大きな損害になりかねません。ほとんどの場合、何よりも先にAの業務を片付け、次に分類されるタスクに進みます。
B:緊急ではないが重要なタスク
Bに分類されるタスクは、緊急度は低いものの、重要度の高いタスクです。緊急度が低いため、後回しにされたり見逃されたりしがちですが、長期的にとらえると価値を生み出す可能性を持つことがあります。
中長期計画の策定や人材育成、技術開発、品質改善、顧客との関係性構築などが分類されます。
緊急度の高いタスクに追われ、Bに分類されたタスクを後回しにしていると、本質的な成果が得られない可能性があります。また。Bの業務を後回しにし続け、すぐに取り組まなかったがために緊急度が上がり、Aの領域に繰り上がるケースもあるので注意が必要です。
そのため、Bに分類されたタスクに取り組む時間を意識的に確保する必要があります。これがとても重要なポイントで、Bの業務によってAに当てはまるタスクの削減や、全体的な作業効率のアップにつながることもあります。
C:重要ではないが緊急のタスク
Cの領域に分類されるのは、重要度が低いが緊急度は高いがタスクです。いつまでたってもタスクが減らない人は、Cのタスクに追われていることが予想されます。
突然の来客への対応や重要ではない打ち合わせ、それほど重要ではない電話やメールの返信、作業報告書の作成などがCに分類されるタスクです。
タスクの優先順位を決めるカギを握るのは、BとCのタスクです。Cのタスクを優先するあまり、本来優先すべきBのタスクに使う時間がなくなっては意味がありません。
そこで、Cのタスクの効率アップや取捨選択が必要となります。ルーティーンであるタスクの自動化や仕組み化をして効率をあげたり、不要なタスクを洗い出し、Dの領域に移動させたりしましょう。
D:重要でも緊急でもない
重要度と緊急度のマトリクスのDは、重要度も緊急度も低いタスクで、当然ながら優先度は最も低い領域です。
移動時間や待ち時間、不要な打ち合わせや意味のない名刺交換会など、「時間の浪費」と感じるタスクはDにあたります。
「やらないタスク」と決めたり誰かに任せたりし、削減する方法を考えましょう。
しかし、Dにあたるタスクの中には、緊急ではないからといって後回しにしていると、Cの領域に移動するケースがあります。
優先順位の考え方
重要度と緊急度、2つの異なる側面でタスクを分類したら、優先順位を決めていきましょう。
ここからは、実際の業務に落とし込めるように、優先順位の付け方について解説します。
優先順位が一番高いのは?
基本的には、重要度と緊急度のマトリクスのA→C→B→Dの順に優先順位を付け、着手します。しかし、そう単純ではないのが優先順位です。長期的な視点で考えると、BとCの優先順位の考え方は少し異なります。
長期的な視点で考えると、緊急ではないが重要なタスクであるBをCよりも優先して取り組むべきと考えられています。緊急度が高いものは重要であると思われがちですが、実はそうではないのです。
自分にとって重要なタスクであるBは優先して行い、Cのタスクは誰かに頼んだり、重要なタスクを終えた後にまとめて対処したりしましょう。
また、重要度と緊急度のマトリクスの同じ領域に分類されたタスクに優先順位を付ける場合、難易度と期待できる効果でマトリクスを作ると判断がしやすくなります。

A:難易度が低く、効果が見込めるタスク
B:難易度が高く、効果が見込めるタスク
C:難易度が低く、効果が少ないタスク
D:難易度が高く、効果が少ないタスク
上記の場合、A→B→C→Dの順に優先順位を付けます。
優先順位が高い順にタスクをこなすコツ
毎日たくさんのタスクに追われ、気づいたら緊急なタスクだけが完了し、重要なタスクに手を付けられないままということもあるでしょう。
優先順位を意識し、高い順にタスクをこなすには、以下のポイントをおさえておきましょう。
- タスクの期日と目標値を決める
「いつまでに」「どこまでやるか」ということを予め決めておきます。長期的なタスクの場合は尚更、マイルストーンを置いて、少しずつ進めることが大切です。
- 業務を可視化する
優先順位を付けたタスクは、todoリストやタスク管理ツールに落とし込み、見える化します。それによって抱えているタスクのボリュームや進捗状況が俯瞰できます。
- やらないことを決める
振られたタスクを手当たり次第片付けるのではなく、「やらない」という判断も必要です。業務の見直しや、自分以外の誰かに頼ることも選択肢に入れておきましょう。
- 簡単なタスクは書き出す前に片付ける
数分で終わるようなタスクは重要度と緊急度のマトリクスに書き出す前に片付けてしまいます。書き出す手間を省くことはもちろん、タスクが多いと圧迫感が生まれます。簡単なタスクは先に片付け、大きなタスクに集中して取り組みましょう。
優先順位に沿ってタスクを消化できると、タスクに追われることもなく、いつまでも終わらない重要なタスクを抱え続けるモヤモヤがなくなります。それによって、気持ちの余裕が生まれるはずです。
TeamHackで重要度と緊急度を管理し、優先順位を見分ける
チームでのタスク管理ツールであるTeamHackでは、スターやタグを使用して、優先順位を明確にしたタスク管理が可能です。
タスクにスターを付けておくことで、優先して着手すべきタスクがわかります。
例えば、翌日一番はじめに着手すべきタスクにスターを付けておくことで、業務のスタートがスムーズになったり、クリティカルパスとなるタスクにスターを付けておくことで、影響度の高いタスクを可視化できたりするなど、フレキシブルに使用が可能です。
より細かく重要度と緊急度に分類するのであれば、タグ設定が便利です。
重要度と緊急度のマトリクスのA〜Dに分類されるタスクごとに「タグ名」を設定できます。より視覚的に分類するためには「タグカラー」も付けておくといいでしょう
さらに、TeamHackでは画面中央枠にあるタスク一覧の上部にあるボタンで、タスクを絞り込むことができます。
スターのついているタスクはもちろん、タグごとにタスク一覧を表示できるため、タスクの見直しがしやすいことはもちろん、今やるべきタスクだけを表示し、集中して取り組む環境を作ることも可能です。
TeamHackの他にも、タスク管理ツールは様々な種類がありますので、用途や目的に合わせて使用するツールを検討するといいでしょう。
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まとめ
重要度と緊急度のマトリクスは、タスクを分類した後の取り組み方こそが重要なカギを握ることがわかりました。
重要度と緊急度の判断はタスク管理にとどまらず、働き方の見直しにもつながります。自分にとって重要なタスクを改めて認識できれば、より有意義な時間の使い方ができるようになるでしょう。先を見据えた「備えの時間」をいかに確保し、取り組んでいくかが重要なのです。