工数管理ツール20選。種類やメリット・比較のポイントを紹介

苦手な人が多い工数管理。「なんとなく」や「ざっくり」進めている人は少なくないはずです。しかし、業務の効率化や生産性向上を具体的に試算するには、工数管理を行い損益を数値によって見える化することが必要です。

事業を維持・拡大するために、目を背けることができない工数管理について、必要性やメリット、工数管理の方法、便利なツールについてまとめてみました。

工数管理とは?

工数は「作業に要する時間」のことを指して使う言葉です。元々は製造やシステム開発の現場で使われていた用語でしたが、昨今、タスクを達成するためにどのくらいの時間を要したかの指標として、幅広い分野で使われるようになりました。

工数を表すには、以下のような単位を使用します。

  • 人月(にんげつ)
  • 人日(にんにち)
  • 人時間(にんじかん)

例えば、工数「1人日」とは「1人で作業をすると1日で完了する」ことを意味します。

一般的に、どんなタスクもタスクを終わらせるために要した時間に人数をかけて算出される数字が収支のカギを握っています。詳しくみていきましょう。

工数管理の必要性は

工数管理は経営効率をアップさせるために必要なマネジメントです。

経営効率をアップさせるためには改善すべき箇所を見つけ、実際に改善策を練る必要がありますが、そのためには全体の収支だけでなく、プロジェクトごとに細分化した収支を明らかにせねばなりません。

経営効率をプロジェクトごとに可視化できる方法が工数管理なのです。

工数として算出された数字をみてはじめて、生産性や作業効率を見直すことができるのです。

工数管理のメリット

工数管理にはメリットがたくさんあります。ここでは5つのポイントに分けて解説しましょう。

スケジュールの管理が正確になる

担当しているタスクのボリュームや効率、進捗を管理するには工数管理が必要です。

工数まできっちり把握して組み立てたスケジュールは正確であることがほとんどです。工数管理は、タスクを計画通りに進めるために欠かせないマネジメントといえるでしょう。

想定外のトラブルにみまわれたり、急な業務が発生したりしても、全体の工数の可視化ができていれば容易にスケジュールの調整ができ、早期の対応がしやすいこともメリットです。

コストが把握できる

工数管理をすることで、プロジェクトに必要なコストである人件費を正確に把握できます。何人がどれくらいの期間をかければ完了するかを計画段階で計算できれば、利益が確保できるでしょう。

人件費はプロジェクトのリソースの中でも大変高価で貴重なものです。会社全体はもちろん、プロジェクト、部署、チームなど、セグメントごとに利益を算出するためにも工数管理が必要です。

また、正確なコストを把握することで、プロジェクトごとの計画や見積もりの精度を高められることもメリットといえるでしょう。

生産性の向上

工数管理を積み重ねていくと、プロジェクトごとの詳細なデータが蓄積されます。蓄積されたデータは、生産性の高い作業工程や人員配置に軌道修正をする時の検討材料となります。

また、個人ごとのデータも同様で、過去の工数データを蓄積することで自身の作業ペースの振り返りや課題の洗い出しができます。適宜振り返りを行うことで効率化を意識した作業ができ、生産性の向上につながるでしょう。

そのほかにも、今後他のプロジェクトを行う際には、生産性の高い作業計画書や見積もりを作成する時にとても役に立ちます

従業員のモチベーション向上

工数管理による作業効率の見える化は、従業員のモチベーションアップというメリットも持ちます。実際に工数を目の前にすると、収支や生産性に対する従業員の意識が高まり、生産性のさらなる向上を目指すモチベーションにつながります

また、プロジェクトごとやメンバーごとの利益を可視化できれば、適切な賞与の配当が行えるため、従業員のやる気を促します。

プロジェクトの改善に役立つ

生産性を向上させるためには、具体的な改善策を挙げねばなりません。より良い作業フローや体制を作るための具体策を練るには、工数が非常に有益な判断材料になります

セグメントごとに細かいスパンでの工数管理を行えば、事前の計画と実際の工数のズレや、業務のバラツキを早々に見つけられるので、スケジュールの軌道修正や体制の改善を早期に行うことができます。

工数管理のやり方

では実際に工数管理を行うにあたり、必要なプロセスを細かく分解してみましょう。注意すべきポイントも合わせて解説します。

責任者を決める

思いのほか重要なのが責任者のアサインです。正確な工数管理には「管理をする人」が必要です。

正確な工数を把握するためには正確な工数入力が求められます。責任者がマネジメントを行い、ルールに沿った工数入力を促しましょう

工程表の作成

進捗状況や収支の管理をするために、工数管理の元になる工程表を作成します。

工程を考える際は数字だけに着目してしまいがちですが、それでは機械的な工程表になってしまいます。メンバーのスキルや得意分野、作業スピードを考慮した工程表を作成した方が、見込みと実績が近しいものが出来上がります。

また、見落としがちなのがコミュニケーションコストです。進捗の共有などで要するコミュニケーションコストまで想定し、工程表の作成を行いましょう。

入力しやすい環境を作る

何よりも重要なのが工数管理を継続することです。そのためには、工数を入力しやすい環境や仕組みを作ることです。

誰もが気軽に操作できるシステムの導入や、無理のない習慣作りをすると、継続した工数管理ができます。

さらに、プロジェクトマネージャーやディレクターなどの責任者が、工数に対して積極的にフィードバックを行うことも大切です。定期的にフィードバックを行うと、工数管理を習慣の一環に取り込みやすいことに加え、メンバーの達成感やモチベーションアップも期待できるでしょう。

工数管理

精度の高い工数入力ができるよう、管理を行います

曖昧な数字で管理をしてしまうと、プロジェクトや会社全体の収支を正確に把握することができません。

正確な入力はもちろん、細やかなチェックを行いましょう。

数字の分析

入力した工数が計画に沿っているか、比較や分析を行います

この時、進捗に対しどれくらいのコストがかかっているかという具体的な実績ばかりを意識してしまいがちですが、重要なのは、計画段階で作った工程表と実績との比較です。

分析すべきは「計画に沿った進捗やコストで進んでいるか」という点です。比較対象を誤らないようにしましょう。

改善プランの策定

プロジェクトやチーム、個人ごとなど、さまざまな視点から工数管理をし分析を行うことで、赤字の要因や利益につながるポイントが明確になり、改善プラン策定の役に立ちます

改善を繰り返すことが収支の安定や向上につながります。

また、セグメントごとに工数を把握し収益を割り出すことができると、作業やプロジェクトの継続の可否を判断することもできます。

工数管理・数字の分析・改善プラン策定の3つのサイクルは、継続して行うことで効果が実感できるということも覚えておきましょう。事業の維持や拡大には、常に現状を把握・分析し、改善し続けることが大切なのです。

チームに共有する

見える化した工数のデータはチーム全員に共有します。これは会社やチームが成長するために大切なポイントです。

チームに共有することで、課題や改善点を考えられる自立した人材の育成が期待できます。

会社やチームの一員であるという意識を持つためにも、工数管理によって得られたデータは共有できるようにしましょう。

工数管理ツールとは?

工数管理ツールとは、プロジェクトに要する時間や人員、業務量などを計算し、工数管理を効率的かつ正確に行うための便利なシステムです。

工数管理ツールを活用すれば、「だれが」「どの業務に」「どれだけの時間をかけたか」を可視化できます。プロジェクト全体の進行状況や完了度をリアルタイムに共有でき、遅延や課題の早期発見にもつながります。

分析機能を搭載した工数管理ツールなら、登録したデータから適正な見積もり作成や適切なスケジュールの作成も可能です。自動でリソースの最適化を行うことで、より効率的に生産性の向上が目指せます。

Excelと工数管理ツールとの違い

表計算ツールであるExcelでも工数管理が行えます。ですが、工数管理ツールとは機能性が異なることを理解しておきましょう。

大きな違いとして挙げられるのが、工数入力の負担です。Excelでは工数管理のための表を作成し、工数は手作業で入力しなくてはなりません。一方、工数管理ツールには簡単に工数入力ができるシステムが用意されているので、作業の負担を大幅に削減できます。

入力漏れを防止するリマインダー機能や分析機能なども備わっているツールもあり、Excelよりも正確な工数管理が行えるでしょう。

工数管理ツールの種類

工数管理ツールと一言で言っても、ツールによって特徴は異なります。工数管理ツールは、大きく分けて4つのタイプに分類できます。

プロジェクト管理対応型

プロジェクト管理対応型は、工数管理だけでなく、プロジェクト管理にも対応しているツールです。ガントチャートやカンバンなど、さまざまビュー表示に対応しており、プロジェクトに応じた使い分けができます。プロジェクト全般を一括管理したい場合におすすめです。

工数管理特化型

工数管理特化型とは、工数の把握や予測など、工数管理に特化したツールです。工数管理に関連する機能のみを搭載しているため、シンプルで使い勝手の良さが特徴です。

日々の工数を正確に把握できれば、現状に合わせた業務の振り分けや人員配置も可能となります。Excelでの工数管理から便利なツールへ移行したいと考える企業にもおすすめです。

勤怠管理システムへの搭載型

勤怠管理システムと工数管理システムを搭載したツールです。従業員の実労働時間と工数を照らし合わせることで、従業員の勤務状況をより正確に把握できます。

出退勤時刻や時間外労働の有無など、一人ひとりの勤怠データをシステムが集計してくれるので、労務管理の負担軽減にもつながります。部署を跨いだ報告や確認をする手間が省けるため、各自の業務に集中でき、生産性の向上も見込めるでしょう。

その他

工数管理ができるツールの中には、プロジェクトごとの収支管理ができるものもあります。工数を入力すると、事前に登録した人件費をもとにプロジェクトの収支をリアルタイムで確認できます。赤字となっている場合は、リソースや管理体制の見直しを行い、黒字へ軌道修正することも可能です。

工数管理ツール比較のポイント

工数管理ツールを有効活用するためには、プロジェクトやチームの目的に合うツールを選ぶことが重要です。ここでは、工数管理ツール比較のポイントについて紹介します。

クラウド型か?インストール型か?

工数管理ツールには、クラウド型とインストール型の2つの種類があります。

クラウド型は、インターネットを介してサービスを利用します。インターネット環境さえあれば場所を問わずに使用でき、契約と同時に利用できる手軽さが魅力です。

インストール型は、自社のパソコンなどにインストールして利用します。インターネット環境の有無に関わらず、ツールの利用が可能です。外部のサーバーに接続する必要がないため、クラウド型に比べてセキュリティリスクが低いのも特徴です。

目的に沿った機能が搭載されているか

工数管理ツールには、シンプルな機能のものから幅広い機能を搭載したものまで、さまざまな種類があります。導入前に、自社の工数管理に必要な機能が搭載されているかを必ず確認しましょう。

工数管理ツールを導入する目的を明確にし、必要な機能をリストアップしておくと、ツール選びがスムーズです。

使いやすさ・操作感

工数管理ツールは使用頻度の高いツールのため、使いやすさを確認することも大切です。使い勝手の悪いツールは、操作方法を覚えるのに時間や手間がかかり、肝心な業務に支障をきたす可能性もあります。

使い勝手の良し悪しは、実際にツールを使用してみないとわかりません。まずは無料プランなどで試し、使いやすさや操作感を確認すると良いでしょう。

おすすめの工数管理ツール11選

数あるツールの中から、工数管理におすすめのツールをご紹介します。

Brabio!

「Brabio!」は、20万社以上の企業の導入実績のあるプロジェクト管理対応型の工数管理ツールです。工程管理もスケジュール表も簡単に作成でき、視覚的にわかりやすいため、初心者でも操作方法に迷うことはないでしょう。

Excelに一括出力できる機能を搭載しているため、クライアントへのレポートや上司への報告を作成したい時にも便利です。

5人までなら無料のフリープランが使えるので、工程管理ツールがどんなものかを試してみたい人やシンプル操作を求める人におすすめです。

▶︎Brabio!のサービスページを見る

TeamHack

業務コミュニケーションのしやすさに特化した「TeamHack」は、工数管理やタスク管理、情報共有を1つのツールに集約することができるツールです。

タスクごとにチャットで連絡を取り合えるため、誰がどの作業をしているか、何について話をしているかなどを、チームメンバー全員でリアルタイムに把握できます。

ビジネスプランは月額1200円、フリーランスプランは月額1500円で利用可能です。機能の制限はありますが、無料で使えるお試しプランもあります。企業の規模や用途に応じて、柔軟にプランを選ぶことが可能です。

▶︎TeamHackのサービスページを見る

Stock

「Stock」は、チームの情報を最も簡単に残せるツールです。余計な機能は一切ない、工数特化型のツールなので、「ITに詳しくない」「多機能なツールは使いこなせない」という方も安心して利用できるでしょう。

ツール内では、ノート機能を利用し、テキスト情報や画像、ファイルなどの情報を残します。メッセージ機能を利用すると、ノートに記載したテーマごとにコミュニケーションが取れるため、情報があちこちに分散することもありません。

初期費用は不要で、登録から30日間は全ての機能を無料で試すことができます。トライアル期間終了後も、累計20ノートまでは永年無料で利用できます。

▶︎Stockのサービスページを見る

Backlog

「Backlog」は、Web制作やソフトウェア開発、新聞社などさまざまな業種で利用されているプロジェクト管理ツールです。担当者や期日など、いま誰がどのタスクを進めているかを可視化でき、タスク漏れやスケジュールの遅延を防ぐことができます。

スタンダードプラン以上ならユーザー数は無制限なので、社内外問わず、プロジェクトに関わるメンバー全員を追加できます。大規模なプロジェクトでメンバーが大人数いる場合も、コストを抑えることが可能です。

▶︎Backlogのサービスページを見る

Redmine

「Redmine」とは、誰でも使うことができるオープンソースのプロジェクト管理ツールです。自社のパソコンにインストールしたり、クラウド上に構築したり、好きな利用方法が選べます。

Redmineでは、やるべきことを「チケット」として登録します。チケットに対し、どれくらいの工数をかけたかの記録ができ、進捗状況をチームメンバーで共有できます。

より便利に使うためのプラグインも豊富で、業務内容に合わせたカスタマイズも可能です。

▶︎Redmineのサービスページを見る

ERP ZAC

ベンチャーから上場企業・大手企業まで900社以上が導入している「ERP ZAC」は、勤怠管理への搭載型ツールです。

工数管理機能に加え、配賦計算機能も搭載されているため、プロジェクト別の作業工数の入力はもちろん、プロジェクトに直接紐付かない間接作業工数の入力も可能です。入力された工数は、直接作業時間や間接作業時間に判別され、労務費等の配賦基準として活用されます。

▶︎ERP ZACのサービスページを見る

CrowdLog

「CrowdLog」は、工数管理特化型のプロジェクト管理ツールです。ドラッグ&ドロップの簡単操作で工数入力ができるため、毎日の面倒な入力作業から解放されます。Googleカレンダー、Outlookカレンダーと連携し、予定を同期することも可能です。

その他にも、工数入力時間を1分や5分と設定できたり、複数階層の工数登録ができたりなど、工数管理に特化した機能が搭載されています。

▶︎CrowdLogのサービスページを見る

Jooto

プロジェクト管理ツール「Jooto」は、高い操作性と親しみやすいデザインが特徴です。ユーザー数が4人以内であれば、タスク管理やガントチャート、進捗管理など、工数管理に必要な機能を無料で利用できます。

上位プランでは、工数管理に便利な予実管理機能の用意もあり、工数時間の算出や案件の金額集計など、タスクと数値を紐付けた管理や比較も可能です。

▶︎Jootoのサービスページを見る

TeamSpirit

「TeamSpirit」は、工数管理や勤怠管理、経費精算など、日常的に使う機能を一つにまとめたツールです。

工数管理システムと勤怠管理システムが連動しているため、整合された工数登録が実現します。工数情報によって誰がどんな働き方をしているのかが明確化され、生産性向上も目指せるでしょう。

初期費用がかかりますが、工数管理や勤怠管理をはじめ、バックオフィス業務の一元化を考えている企業に適しているツールです。

▶︎TeamSpiritのサービスページを見る

みんなでガント.com

2,000社以上の使用実績がある「みんなでガント.com」は、会員登録不要でガントチャートを簡単に作成できるクラウドサービスです。PCをはじめ、iPhoneやAndroidなどの各種デバイスで利用可能なので、インターネット環境さえあれば、どんな場所からでも工数管理ができます。

ビジネスプランは6ヶ月単位で契約できるので、プロジェクト期間だけ利用することもできます。契約期間外も過去プロジェクトの情報や実績を参照できるのも魅力です。

▶︎みんなでガント.comのサービスページを見る

TimeCrowd

国内3,500社以上の導入実績を持つ「TimeCrowd」は、プロジェクトごとの工数管理と時間管理に特化したツールです。

ワンクリックで打刻をするだけのシンプルな操作性が特徴で、リアルタイムで業務内容を可視化できます。レポート画面では、各業務にかけた時間や人件費の算出ができ、プロジェクトごとの収支管理も可能です。

法人プランでは、1ユーザーあたり月額550円とリーズナブルな料金設定なのもポイントです。

▶︎TimeCrowdのサービスページを見る

その他おすすめの工数管理ツール

上記に紹介した以外にも、工数管理ができるツールは多数あります。

Asana
Jira Software
Wrike
freeeプロジェクト管理
Todoist
monday.com
TimeTracker NX
ジョブカン勤怠管理
Pace

工数管理以外の機能を搭載しているものも多く、すでに自社で導入しているツールと機能が重複する可能性もあります。まずは各ツールの特徴を理解し、自社のニーズと比較してから導入するようにしましょう。

まとめ

工数管理を行うにあたり、最も重要なことは継続であるとお伝えしました。工数管理は長い期間行えば行うほど、問題点が明確になったり改善の成果が目に見えてわかったりします。

Excelやスプレッドシートでの工数管理も可能ですが、より効率化を目指すなら、工数管理ツールの活用がおすすめです。工数管理ツールを利用すれば、管理の負担を軽減し、チーム内での情報共有も可能となります。

自社のニーズに合った工数管理ツールを導入し、組織全体の生産性向上を目指しましょう。

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