日本人はなぜ仕事を辞めない?台湾人に学ぶ、人生における仕事の立ち位置

石の上にも3年。日本で働いた経験がある方は、1度は聞いたことあるフレーズではないでしょうか。「職をコロコロ変える人=飽きっぽい人」と、マイナスイメージで見られがちな日本。しかし、一度海外に出てみると、これが「日本だけの不思議なルール」という事に気づきます。

今回は、仕事を辞めたり、転職する事は、「長続きしないダメ人間」ではないよという事を、ぼくの職場で起こった事実と交えて説明していきます。

現在の仕事を辞めようか悩んでいる方に読んでもらいたい記事です。

働いている台湾の職場で同時に10名が退職

ぼくは、現在台湾のインターナショナルスクールで働いています。台湾は6月末に学期が終わるのですが、学期の終了と同時に10名のアメリカ人の先生が仕事を辞めました。先生の人数を完全に把握はしていないのですが、ざっくり40人居ると仮定すると25%が辞めた計算になります。すごい数値ですね。笑

彼らの給与や福利厚生が悪かった訳ではありません。フルタイムで働くと80,000元以上支給されます。これは、現地の平均給与の約2倍です。日本の平均年収が約420万円とすると、840万円くらいの給与をもらっているイメージですね。

しかし、彼らは平均年収の2倍の金額をもらっても辞めてしまうのです。

  • 仕事が楽しくない
  • キャリアのためにならない
  • 違う事がしたい

このような状況下になると、彼らは次の仕事先を考え始めます。「仕事を辞める=悪いこと」というイメージがついている日本とは大きく違いますね。

彼らは前向きに人生を考えて、仕事を辞めて休憩したり、転職していきます。

台湾人はすぐに仕事を辞める

最初の例は、ぼくの職場のアメリカ人の例でしたが、台湾人も例外ではありません。

辞め時のピークは旧正月

台湾にも中国と同様に旧正月があります。この大型連休の前後に仕事を辞める人が続出します。親族が集まる時期であり、給与や紅包(ボーナス)を比較し合います。自分の待遇が良くない!と思うと、彼らは仕事を何のためらいもなく辞めます。

義家族も毎年違う仕事をしている

ぼくの妻は台湾人です。台湾に移住して3年経ちましたが、妻やその義兄弟3人は全員仕事を変えています。既に複数回変えている義兄弟もいます。

理由を聞くと、

  • 給与や福利厚生
  • 仕事内容
  • 職場の人間関係

この3つのどれかの不満が原因でした。しかし、上記のような明確な理由がなくても仕事を変える人を何人も見ました。理由は「何となく合わない」です。

逆に言うと、これだけ人材の流動性が高いので、優秀な人材に、より多くの給与を支払い、引き止めさせる事もあります。優秀な社員が辞められては、会社が困りますからね。

この辺りの感覚が、日本との大きな違いだと思います。日本は人を引き止めるために個別に給与を上げたりする事はまずしません。

日本人は仕事を辞めなさ過ぎ

ここまで海外について話をして行きましたが、日本について考えてみることにしましょう。

終身雇用のなごりで辞めない

まず、日本には「終身雇用」という言葉が存在します。英語では「lifelong employment」と、言うのですが、これで検索すると日本についての記事しかヒットしません。つまり、それだけ日本特有の文化という事です。

ぼくの父は終身雇用を貫き、数年前に仕事を退職しました。家と車を購入し、子供2人を大学まで卒業し、いわゆる典型的な昭和の終身雇用モデルだったと言えるでしょう。そんな父と母は、常に「安定した職場(大企業)」で働く事を推してきます。成功体験を自分の子供達にも伝えたいと言う気持ちがあるのでしょう。きっと、この読者の親御さんも同じことを思っているのではないかと思います。

しかし、日本企業は今まで終身雇用をするように努力してきましたが、今後はそれを維持できない事が容易に想像できます。トヨタ自動車の社長が「終身雇用を維持するのは難しい」と、2019年に言ったのは記憶に新しいですね。

今まで我慢をして仕事をしたら、一生働ける場所を提供してもらい、家や車を買う、子供を育てる事が問題なくできていました。

しかし、現代では、会社が潰れたり、買収されたりする事が頻繁におきます。その時に、会社の言いなりになるのではなく、より良い条件の会社に転職する事が重要です。転職してもすぐさま新しい企業に適応できる生き方が必要とされています。

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日本では、我慢して一つの事を続ける事を美化する傾向があります。また、周りもそれを期待するので、辞め辛い環境になることもしばしば。

ぼくは、今まで、国内外含めて5社程働きましたが、日本の大企業を辞めるのが一番大変でした。

当時、仕事を辞めたいと切り出したところ・・・

  • 「何故仕事を辞めるんだ」
  • 「こんないい仕事を辞めるなんて馬鹿げている」
  • 「親が泣く」
  • 「将来後悔する」
  • 「海外行くなんて余生でやるべき」

半年くらいずっとこんな事で押し問答をしていました。(結局、強行突破で辞めることになりました)日本では、このように仕事を辞めたいのに辞めさせてもらえないという話をよく聞きます。

ぼくからすれば、仕事を辞めた事ない人が、なぜそんなに「仕事を辞めると不幸になる」という価値観を押し付けてくるのか疑問でしかありません。

改めて言いますが、転職は良い事です。自分の市場価値を理解できますし、転職活動する事でやりたい仕事が改めてわかる事もあります。転職する度に様々なスキルが手に入りますし、それを利用してキャリアアップも可能。

ぼく自身、今後も、この方法で色々な会社で経験をし、自分の価値を上げていくと確信しています。

転職は自分の市場価値・やりたい事を知れる良い機会

ビジネスウーマンと都会

転職は良くも悪くも、自分の市場価値が知れる良い機会です。自分のスキルや得意分野を棚卸しして、その得意分野で転職すれば、キャリアのステップアップの可能性が高まります。

ぼくがAmazonに転職したときも、多くの人がこの会社をステップにして、転職していくと言っていました。(ぼくが働いていたのは6年前。その頃に比べて大幅に会社が変わったので、今はどうなのかわかりません)

当時(2013年)の面接で一番最初に聞かれた事は、「これから将来を通じてどんなスキルを磨いていきたい?」でした。

ぼくは、「ITスキル・知識・コミュニケーション能力を高めていきたい」と、回答しました。過去の職歴も一貫しているので、納得してもらえました。

しかし、高めていきたい能力は、すぐに決まった訳ではなく、様々な会社を練り歩いてきた結果、出た答えです。昔から断言できた訳では決してありません。むしろ、自分はどの分野で仕事していきたいのだろう・・・と葛藤する時期のほうが長かったです。

IT業界に関わって行きたいという強い希望がありますが、幅が広いので、ITでも次はどの分野を学んでいこうか試行錯誤しています。(現在は、Webマーケティングが楽しいのでそれに注力中)

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まとめ

日本では、仕事を辞める事について、ネガティブなイメージが未だにあります。それは、今まで日本の終身雇用による経済発展や成功体験が根底にあるからです。

しかし、これから日本・海外の労働市場において、「転職によるキャリアアップ」は重要なものになってきます。自分の市場価値を理解し、やりたい事を実現できる会社を選んでいきましょう。

日本国内外問わず、転職を利用して、より一層活躍する日本人が一人でも多く増えますように。

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