「周りに認められるような、仕事ができる人になりたい!」と思ったり、「はやく一人前になってくれ」「一人前になるにはまだまだだなぁ」と言われた経験はありませんか?一人前と認められるとプロジェクトリーダーや大事な案件などを任され、周囲から信頼を得ることができ、更なるキャリアアップも目指せます。そもそも「一人前になる」とはどういうことを指すのでしょうか?現状、明確な定義は存在していないように思えます。
今回は一人前とは何なのか、初めに社会人としての一人前を定義した後に仕事ができる一人前について、いくつかの具体例を交えてイメージを明確にしていきましょう。
1. いま働いている会社で3年以上やって一人前
社会人として「一人前」と認められるために、「3年間、同じ会社で働いたかどうか?」をみられることがあるようです。「石の上にも3年」ということわざがあるように、3という数字は、1つのことをやり遂げたという1つの区切りとして認識されているようです。そのため、転職などの求人募集にも3年以上の経験者優遇しますというような記載がされていたりします。
では、3年間仕事を続けるとどうして一人前と言われるのでしょうか?それは、仕事が身につくために要する時間が2000時間、おおよそ3年と考えられているからです。実際に、多数の会社で研修期間やOJTなど、教育に費やす目安が3年で設定されていることが多く、3という数字は先述したような理由で社会に広く認識されており、指標として用いられています。
2. 全体の仕事を一通りできるようになって一人前
「全体の仕事を一通りできるようになれば一人前」という考え方もあります。
例えば、ウォーターフォール型のソフトウェア開発について考えてみましょう。ウォーターフォール型のソフトウェア開発には、「要件定義」、「設計」、「開発」、「テスト」、「運用」という5つのステップがあります。入社した当初は、「開発」や「テスト」という、言わば下流工程の経験しかなかったとしても、次第に経験を重ねるにつれて、上流工程である「要件定義」や「設計」に携わる機会も増えていきます。このように、一つの工程だけではなく全体の流れを一通り経験して、それぞれに対してきちんと成果を出すことができる人材になることができれば、一人前であるということができます。
また、上例のような企画から運用などの全ての工程に関わることが難しい方でも、任せられている範囲の仕事を着実にこなしていくことで十分、仕事ができる一人前を目指すことができます。ここで伝えたいことは、現在行なっている業務以外の仕事にも、積極的に関わろうとする態度や姿勢を持つことが大切だということです。もちろん、目の前の業務をないがしろにして他の業務に関わろうとすると、一人前の称号はいつまでも貰えません。仕事に対する態度や姿勢がマンネリしてしまうような、いわゆる「コンフォートゾーン」から抜け出そうとする心構えが重要で、当然、最初から仕事が全然できなくても、経験を積むことでこなしていくことができます。さらには、会社に直接貢献できるような人材になることもできるはずです。挑戦を繰り返し行なうことで、どのような仕事であっても一通りできるようになるでしょう。
3. 自分で問題解決できるようになって一人前
一人前とは、「問題解決に関する手順や方法を一通り理解している人材」ということもできます。
担当した業務を主体的に遂行しながら、担当業務に関する問題が発生した時には、その問題を自らの手で解決できるような必要があります。
自らの手で問題解決に取り組む手順としては、
- 顕在化した問題点を分析する。
- ボトルネックの部分がどのような状態に改善されるべきか考察する。
- 1. 2. をもとに解決案をまとめ、実行する。
上記のような手順やこれまでの経験が活かせないような未知の問題であれば、周囲の仲間と解決に取り組み、論理的に問題を整理して、打ち手を考えることができると一人前になるための経験やスキルが身につくでしょう。大事なことは、普段から問題が発生した時に「なぜこの問題が生じたか」について、深く思考する癖をつける必要があるということです。
また、刻々と状況が変化するような場面では、迅速な意思決定ができるOODAループを活用することをおすすめします。この方法を活用することで最善の判断を下し、即座に行動に移すことができます。分析方法や解決方法について、日頃から勉強やOJTで覚えていくと柔軟に対応できるでしょう。
4. 仕事の生産性を上げるようになると一人前
3年以上働くことや全体の仕事をこなすこと、自分で問題解決ができるようになることは一人前ということができるでしょう。しかし、ただそれらをこなしていけばいいという訳ではありません。3年働いているけどまだ仕事を覚えていなかったり、一通りこなすことはできるけど時間がかかってしまう、問題の解決までが遅いなど、これらの人を「一人前」と本当に呼べますか?周囲の人たちが口を挟みたくなるような働き方では、一人前とは認めてもらえないはずです。真の一人前になるため、このような状況に何が必要なのでしょうか?それは、仕事の生産性を上げようとする意識が必要なのです。生産性が上がるということは、多くの作業をこなすことができるということです。
では、生産性向上に必要な意識をどのように培えばいいのか?
- 効率化を図るPDCAサイクルを活用する。
- 失敗を恐れないこと。
まず、PDCAサイクルを活用することで、計画から実行、一連の流れが効率的だったかをチェックでき、もし改善する余地が見つかれば次の流れをよりよいものにすることができます。
そして、失敗を恐れないことは非常に大切です。失敗は成功のもとという言葉があるように、その失敗から学ぶことができます。学んだことを活かすことで、作業の効率化など生産性を上げることが可能となり、成功へつなげることができます。
生産性が上がらなくて困っている方は、生産性を上げるコツについて書いた下記の記事を参考にしてください。
モノであれサービスであれ、何かを作り出すには材料や資源、そして労働力が必要です。これらの要素がひとつの仕事を仕上げるためにどれだけ有効に利用されたかの度合いを「生産性」といいます。ここでは、仕事の生産性を上げるために必要な[…]
5. 自分で責任を負えるようになろう
最後に、「自分で責任を負える」ことの重要性について考えたいと思います。
「責任」にどれだけリスクが伴っているか知っていますか?テレビなどで責任を取って辞めますというような会見を見たことがあるかもしれません。このように、最悪な場合だと所属している会社を辞めなけばいけないこともあるのです。ですが、「責任を負う」ということは自分自身を律することもできます。上司から与えられた仕事を遂行するという受動的な姿勢だけではなく、日々の業務で発生した問題に対する改善点や解決策などを積極的に提案して、実行していく姿勢を培うことができます。また、当事者意識を持って行動することもできるのです。
「責任を負う」という意識は、マネージャー層には必須ですが、ただのメンバーであってもそのような意識を持って仕事を行なっていけば、必ず評価され、結果的に出世していき、役職的にも能力的にも、完全に一人前の人材になることができます。普段から、「責任を負う」意識を持って、業務にとりかかってみてはいかがでしょうか。
また、自分の時間を上手に利用することも一人前への第一歩となります。自分の時間を増やすためには何をすればいいのでしょうか?
毎日、忙しい日々を送るビジネスパーソンのみなさん、「自分の時間」を確保できていますか? 自分の時間を取れている、という方は、いったいどれくらいいるのでしょうか。通常の仕事や残業のみならず、家事や子育てなど家庭の事情も含めると、「自分の[…]
まとめ
本稿では、5つの定義に具体例を織り交ぜ「一人前に仕事ができる」ということについて述べました。当事者意識を持ち、能動的に行動することが本稿で紹介した全ての定義に当てはまることから、最後は「自分で責任を負う」という定義で締めくくりました。
また、一人前になるためにはどうしたらいいのか? ということに関しても、それぞれ詳細に述べました。「一人前」という言葉はもともと曖昧なものですが、自身に置き換えて具体化にイメージすることはできたでしょうか。