ニュージーランドでの就活の難しさは日本と違う〜コネが重要な社会であるということ

TeamHackersをお読みの皆さん、こんにちは。ニュージーランドで働くプログラマの「はっしー」です。前回の記事では、30歳手前にして海外に渡った僕の留学生活についてお話しました。 参考記事:アラサーからの海外留学!そして大学再入学のススメ

慣れないニュージーランド英語に悪戦苦闘しながらも、なんとか単位を取り終えて無事卒業。しかし、学位取得はただの通過点でしかありません。目標はあくまでプログラマとしての現地就職です。 日本での月に100時間を超えるような残業、夏休みやゴールデンウィークが潰れるほどの長時間労働にほとほと嫌気がさしてニュージーランドにやってきた僕。世界にさきがけて1日8時間労働制を取り入れ、祝日はスーパーマーケットですら休みになり、サラリーマンが毎年1ヶ月バカンスを楽しむこの国ならば、きっと自分が理想とするホワイトな働き方が手に入るはずだ。 もう二度と、社畜には戻りたくない。そのためにはなんとしてでもニュージーランドでの就活を成功させなければならなかったのです。

就活のためにやったこと

現実は想像以上に厳しいものがありました。 応募すれどもすれども、面接にたどり着けない。書類を送った企業の数は100社以上。にもかかわらず、面接に呼ばれたのはたったの2社。そのうちひとつは大学の教授推薦だったので、実質、自力で面接までたどり着いたのは1社のみということになります。 いったいなぜこんな悲惨なことに?僕のスキルが不足しているのか、それともほかに原因があるのか?ひとまず、僕が就活のために行ったことを整理してみたいと思います。

ポートフォリオを作成した

ニュージーランドの会社は基本的に即戦力採用です。プログラマとして就職したいのなら、プログラマとしての技量を示さなければなりません。つまりは、オリジナルの成果物(=ポートフォリオ)を見せる必要があるということです。

正直に言って、僕は自分のポートフォリオに相当な自信を持っていました。学生をやっている間に、Webサービスやスマホアプリの開発・リリース経験を複数積んでいたからです。具体的には、次のようなアプリを作成しました。

  • 大学の中古教科書の譲渡プラットフォームアプリ:「高額な教科書を、不要になった先輩から必要な後輩へと受け渡せる仕組みを作りたい」という学生のアイデアから開発
  • 自己分析Webアプリ:就活や社内教育における自己分析サービスを提供している知人からの依頼で、請負にて開発
  • 中古自動車オークション情報検索Webアプリ:住んでいた家の大家さんが中古車販売業をしており、その業務を助けるためのアプリとして請負にて開発。

新人プログラマとして就職するには十分すぎる実績だと自分では思っていましたね。

CVを手当たり次第に送りつけた

海外での就職活動では、履歴書に相当する「CV」と呼ばれる書類に自分のスキルや経験を書いてアピールするのが一般的です。

  • 大学ではどんな内容を勉強したのか?
  • どんなプログラミング言語が使えるのか?
  • 実際にどんなアプリ開発を経験したのか?

こうした内容をPDFにまとめて、企業にアピールしていくわけです。僕は現地の就職サイトからプログラマを募集している会社を見つけては、片っ端からCVを送りつけていました。

NZは常にプログラマが人手不足な状態であり、応募する案件には困りません。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。毎日10件20件と送りまくっていれば、そのうちどこかに引っかかるだろうと楽観的に構えていました。

……ところが、結果はすでに書いたとおり。ほとんど書類選考で落とされてしまったのです。

自分にプログラマとしての資質や経験が不足しているとはまったく思えないのに、一体何がいけなかったのでしょうか?悶々とした悩みを抱えている中、たまたま、ニュージーランドで活躍する日本人ITエンジニアたちから直接話を聞ける機会に恵まれました。

そこで僕は衝撃的な事実を知ることになるのです。NZでなかなか面接にたどりつけないのには、誰も教えてくれない裏事情が隠されていました。

ぜんぜん面接にたどり着けない!その意外な理由とは?

形だけの求人情報もけっこうある

ニュージーランドの企業が、簡単に外国人を雇うことはできません。なぜなら、自国民の雇用を優先しましょうねというのが基本原則だから。

「がんばってニュージーランド人を雇おうとしたんだけど、いい人材がいなかった」ことをきちんと証明して初めて、外国人の雇用が許されるのです。しかし実際には、適切な人材がいればニュージーランド人だろうが外国人だろうがさっさと雇ってしまいます。

誰かからの口コミで「いい人いるよ!」などと聞きつけた日には、さっそく面接をセッティングして、いけると思えば即採用しちゃうのです。だいたい、ボヤボヤしていたら優秀な人材はほかの会社に取られてしまいますからね。悠長にニュージーランド人を探している暇なんかないんですよ。

じゃあ、どうやって「ニュージーランド人を雇おうとした」ことを証明するのか?なんと、採用する気もないのに求人広告を出すのだそうです。インターネットにしばらく掲示しておいて、適当な頃合になったら取り下げ。これで、いちおうニュージランド人を探そうとはしたけど適切な人がいなかったから、仕方なく外国人を雇いますよという言い訳が立つ……というわけ。

すでに採用する人は決まっているのですから、この手の求人にいくら応募しても意味がありません。転職サイトには結構な割合で、こうした形だけの求人が混じっているのだとか。

この話を聞いたときは、あまりの衝撃に膝から崩れ落ちるかと思いましたよ。あれほど転職サイトからCV送りまくっていたのに、ただの徒労だったとは!!

ニュージランドではコネが重視される

先ほどちらっと「口コミ」という言葉が出てきたのにお気づきでしょうか。(気づかなかった方は6段落ほど前に戻ってみてください)

全国の人口が400万人ほどの小国であるニュージーランドは、友人知人の紹介が幅を利かせるコネ社会なのです。何のつながりもなくただCVを送りつけてきただけの候補者よりも、社員の友人だったり家族だったり、あるいは地元にある学校の教授が推薦してくれた人のほうが、面接に呼ばれやすい傾向にあります。

僕自身も最初に受けた面接はお世話になった教授からの推薦でしたし、同様にニュージーランドでプログラマとして就職した日本人に話を聞いてみても、学校の先生から何社か推薦してもらって就職が決まった例が非常に多いです。

確かにどこの馬の骨かもわからない東洋人よりは、誰かとつながっている人のほうが安心できるのだろうとは思いますが……移民にとっては、つながりを作るのがものすごく難しい。ここが大きなハードルとなっているのです。

まとめ:NZでの就活が難しいのは誰でも同じ

ここまで読んで「ニュージランド就職むちゃくちゃ難しいじゃん……こんなの無理じゃん……」と思ったあなた。安心してください。ニュージーランドでの就活は誰にとっても難しいんです。これは移民に限らず、ニュージランド人でも同様です。就職活動中、IT関連のミートアップで出会ったニュージランド人の若手エンジニアに話を聞きました。彼も大学を卒業してから最初の内定をもらうまで1年以上かかったと言っていたんですよ。内定までにCVを送った会社の数は、余裕で100社を超えます。英語ネイティブで、地元の社会にすっかり溶け込んでいるNZ人ですらこれほど難しいのです。ましてや、何のコネもなくこの国にやってきた日本人がすんなり就職できるはずはありません。ニュージランドでエンジニアとして就職するのは、現実的に可能である。しかし決して簡単ではなく、長期戦を覚悟しなければならない。将来この国で働きたいと思っている方は、このことを是非心に留めておいてくださいね。自分としてはプログラマに必要な実力を十分備えていると思っているのに、それを評価してくれる場所になかなか呼んでもらえない。時間ばかりが過ぎていき、銀行の口座残高もじりじりと減っていく。NZに来たときは200万円ほどあった手持ちの資金も、 気づけば40万円程度になっていました。このままではあと3ヶ月で底をつく。日本に帰るか、バイトしてぎりぎりまで就活を粘るか……最後の選択をせまられる中で、事態は突然動きます。いったいなにが起きたのか、次回詳しくお話しすることといたしましょう。

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