「わからないことがわからない」・・・どうしたらいい?

新社会人や転職、人事異動にプロジェクトのスタート、新しい環境で意気揚々とスタートを切ったものの、実際働いてみたらわからないことだらけで頭を抱えている方はいらっしゃいませんか?

最近ではOJT研修などさまざまな研修制度を取り入れている企業も多くなってきていますが、自分が手がける業務の全体像を体系的に学べる機会はなかなかないのが現実。結局、日々の業務の中で学ぶしかなく、先輩や上司からは「わからなかったら聞いて」と気軽に言われます。「いや、そもそも何を聞けば解決するのかがわかりません」そんなセリフを心の中でつぶやいた人も多そうです。そんなお悩みに対する解決策を探っていきたいと思います。

実際のところどんな社内教育がなされている?

会社によっても、業種業態によっても、新しく配属された人がおかれる環境は千差万別です。新入社員であれば特に、他社を知らないがゆえ「自分が置かれている状況は、普通なのか?」という疑問を抱くかもしれません。そこで実際、とある取材で伺った企業で、新人の方に社内教育の実態をお聞きしてみました。

A:某大手消費材メーカー プランナーとして転職(男性:28歳)

「とあるマーケティング会社からの転職組です。多少経験値に自信を持って入社したつもりでしたが、実は3ヶ月たっても全くの手探り状態…そうそう甘くはなかったです。(笑) 教育係として1人付いて下さっていますが、通常業務と兼務なので、さすがに付きっ切りで指導してくださいとも言えません。繁忙期には「部署の他の人に聞いて」と言われるものの、どうしたらいいのかわからない。

研修については、“ 知識だけを詰め込んでいくより、まずは全体の流れを見た上で、細かな部分に落とし込み、実務として覚える方が近道!” というのがブランドマネージャーの方針。初日から、大きなプロジェクトに補佐として入らせてもらいました。ワケがわからないまま、とにかくMTGに出てひたすらメモをとりながら、少しずつ理解していくって感じです。

基本的にすべて数字に落とし込んだ資料をもとにプロジェクトを進めていくやり方も前社とは違い、この感覚に慣れることが難関です。この会社での数字の扱い方がわかる直近の事例資料をいただき、読み込みつつ独学で理解に務めてます。

プロジェクトでは、関わる部署も人も多岐に渡りますし、スケジュール管理にしろ、タスクひとつとっても、この会社流のやり方がありますし、そこの流れがわからなければ何もできないオブザーバーのまま。しばらくは勉強の日々ですね」

上司や先輩が新人につき、実際の職場で実務業務をさせるOJTとしては、比較的イメージがつきやすい事例かもしれません。一方で、会話からは担当ブランドマネージャーの方針によってこの指導方法が取られている節もありました。

どの企業においても、実際のOJTは、仕切る人により、また教育係のスキルにより、バラつきがあるのも事実です。この例では「わからなくても、まず全てのMTGに参加すること」からスタートしていますが、実務を想像するとかなりヘビー。

KPI、企画趣旨、前例との比較、関わる様々な部署や関係者、その担当領域、外部との折衝…経験値もない中で、プロジェクトの全てを把握するというのは相当な難易度。どこかで認識違いなどの“抜け”があると、その先全てつながらなくなる場合もあり、「わからなくなったのはどこだったのかわからない」状況に陥ります。

B:某営業系ITベンチャー企業 新卒営業職(女性:22歳)

「弊社は、どんな部署に配属されようとも、最初はテレフォンアポイントを取ることが新人業務なんだそう。新人研修では、会社提供のサービスの意義、なぜテレアポをすることが研修になっているのか? その理由、効果的なトークテクニック、合わせて業界知識もひと通り学びます。テレアポの成功事例はたくさん聞くのですが、実際やってみると、そもそも話を続けることすらできない現実に直面しました。例え少しお話できたとしても、お客様の悩みはマニュアル通りにはいきません。自分なりにどんな提案がはまるのかを考えていくことが必要なこともわかるのですが、引き出しもまだ少なくて…。

上司は質問すれば答えてくれますし、場合によっては電話を代わったり、同行のチャンスをくれたりもしますが、私自身、半年たっても仕事を“自分のもの”にできている感覚はまだありません。自分なりに業界の知識を勉強しなければいけないことも十分わかっていて、努力もしているつもりなのですが、空回っている感は否めません。今は成績をあげて、テレアポ業務メインの現状から抜け出したい! 同じトーク、同じ商材なのに、一歩抜き出た同僚を見て焦りだけが募っています…」

こちらは、ひとつの業務にしぼったOJT例。この会社が営業系ベンチャーという背景もあり、多少極端な部分もありますが、営業職に絞って見てみると、最初に「テレアポ」から実践してもらうという会社は数多くあります。テレアポはチームというよりも個々の業務に近く、環境的に「わからない」ことを聞きにくい面も。

さらに「わからない」ことが自分自身の問題なのか、相手側の問題なのか自分も上司も把握しにくい職種であるため、「悩むだけ損!とりあえず数だ!やるしかない!」となりがち。結果的に何も解決せず、「こんなにやってるのに結果につながらない、なぜ? わからないよ…」というループにはまる人も多いです。

「わからない」ことの根本はどこにあるのか?

ほんの2つの事例ですが、見ればわかるように、業界・職種の違いだけでなく、会社独自のルールやフローもあれば、判断基準や会社文化も違います。「普通」基準もないだけに、比較してどうなるものでもありません。OJT研修でも自分の仕事と兼務する先輩が指導している企業が多い状況で、受身で教えてもらえることを過剰に期待してもなかなか難しそう・・・。

日常生活ではネットで検索すればだいたいのことは解決できますが、答えも正解も職場内にしかない社会人生活は、結果的に自分で解決策を見つけるしかなさそうです。

では、「わからないことがわからない」というキャパオーバー状況から脱却するにはどうしたらいいのでしょうか?

1. 「わからない」ということに、改めて「今」向き合う必要性

「わからないこと」をスルーし続けても、現状では何となく日々やりすごせている、という人もいるかもしれません。でも、現状を放置し続ける期間が長くなればなるほど、どんどん分からない事が積み重なり、ついには“今さら聞けない”悪循環にはまっていきます。手遅れになる前に、まさに今、「わからないのは何なのか?」に向き合うことが大事です。

2. 自分の仕事は「何のために必要か」理解していますか?

「わからないループ」にはまっている時は周りから突っ込まれたくないため「いわれた仕事だけをとにかくこなす」状態になりがちです。言い換えれば指示がなければ動けないし、動かないということ。まず、この状況を打開しましょう。解決の鍵は、「仕事の目的を意識的に理解して取り組むこと」です。

例えば、「この資料が何のために使われ、入力する内容に何の意味があるか」「この企業にアポイントを入れるとどんな可能性が広がるのか」等、

自分の仕事がどんな目的を担うのか、それは誰のためになり、どんな結果につながっていくのか? 筋道を理解し進めることで、自分の仕事が点ではなく、線になってきます。目的と筋道が分かれば、達成するための手順や、どんな要素を入れれば後を引き継ぐ人がスムーズに仕事を進められるかも具体的に考えられますよね。そうなれば、先の結果も聞きたくなりますし、当然、聞けば先輩も共有してくれるもの。こういった姿勢が見えれば、次からもう一段階ステップアップした仕事を任せてもらえる可能性もでてきます。

「作業することがメインの人」か「会社・チームの一員として関わっている人」なのか? という意識の差は、実はとても大きいもの。仕事を通じて「必要とされている」感覚が持てるようになってくるのと比例して、「わからない」を放置することも自然となくなってくるはずです。

3. 自分の目標とする人を設定してみる

とはいえ、概念的に「意識しよう」「わかろう」としても、そう簡単に気持ちがついていかない場合もあります。そんな時は、自分の目標とする人を社内に見つけてみることもおススメです。

具体的な目標人物を設定することで、、何となくでも「あと3年くらいしたらこんな風になっていたいな」等自分のキャリアビジョンをイメージするきっかけにはなるはず。「少しでも近づくためにはどうしたらいいのかな?」と考えられれば、かなりの前進です。その上で、例えば営業職であれば、チームで1のもっとも成績が良いの人が使っている資料、トークの組み立て、社内での動き方を。企画職であれば、通りやすい企画書を作る人の資料の見せ方、どんなデータを使い、説明を入れていくのか。などを、意識的に見てみてください。「わからない」ことが急激に分かるようになるわけではなくとも、真似をしようと努力する過程で自発的に考え、聞いてみようとする姿勢はできていくはずですし、チームの一員としてのやる気を見せることにもつながるでしょう。

4. 最低限の知識は自分で勉強すべし

ここで最初にお話した2つの事例に立ち返ってみます。全くの異業種、文化の違いはあれ、共通していたことは「自分である程度勉強することも必要」という点。会社で得た知識を裏付けるためにも、「自分なりに学ぶ」姿勢は、やはりどんな会社でも重要になります。業界の専門用語はもちろん、会社だけで使われている独特のワードなども知っておくべきですし、業界の中で、自分の会社がどんな役割を担っているのかなど、相関図を頭に入れておくことも重要。過去実績も、できるだけ頭に入れておき、多くの引き出しを持っておきましょう。自分自身でいろいろ調べつつ、視野を広げる上でも、先輩や同僚との意見交換をすることも有効です。

まとめ

「わからない」と少しでも感じたら、やはり放置しないことが大事。自分が仕事にしっかりと関われているかどうか? 目的・目標意識と、そこにたどり着くための方法さえ分かっていれば、「わからないことがわからず、ストレスになる」という危機的状況は回避することができそうです。

「今日は何をお願いされるんだろう」と仕事に向かうより、今日自分がやることが、どんな形になるのかイメージしながら、仕事に向かう楽しさを想像してみましょう。それが実践できるようになるころには、先に続く未来も、きっと想像できるようになっているはずですよ!

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