同じ24時間を生きているとは思えないほど、1日にたくさんのタスクをこなす人が周りにいませんか? 時間の使い方次第で、同じ1時間でも1時間以上の価値を生み出すことができます。時間の使い方は心がけひとつ。タイムマネジメントをマスターして、作業効率のアップやワークライフバランスの向上を目指しましょう。
タイムマネジメントとは?
タイムマネジメントとは、時間を管理することにより生産性を高め、充実した時間を過ごすための行動をマネジメントするスキルです。
子どもの頃のお小遣い帳から始まり、家計簿や資金計画など、お金に関しては綿密に計画をする反面、時間に関してはどうでしょうか。 「時は金なり」という言葉があるように、時間はお金と同じくらい大切なものであるにもかかわらず、無計画に毎日を過ごす人が多いように思えます。
タイムマネジメントは時間の家計簿であり、限りある時間を計画的に使うための方法です。忙しさから、自分がもうひとりいたらいいのに! 1日が48時間だったらいいのに! と嘆く人をよく目にしますが、それは不可能です。それを可能にするのは、某ネコ型ロボットだけ。では、私たちはどうすればいいかというと、時間の使い方を工夫するしかありません。
タイムマネジメントの基本ステップ
時間を有効活用し最大限の成果を出すためにも、タイムマネジメントは体調管理と同様に重要です。仕事ができる人、できない人の分かれ道でもあるので、マスターすべきは時間術。全員に平等な「時間」をいかにうまく使うかを考えてみましょう。
今日から取り入れられるように、タイムマネジメントの基本のステップをまとめてみました。慣れないと時間がかかってしまい、その時間が無駄に思えるかもしれませんが、慣れると簡単にできるようになります。
タスクの洗い出し
タイムマネジメントの基本は、タスクの洗い出しです。タスクを洗い出す際は、必ず紙などに書き出すようにしましょう。前日、仕事が終わる前に翌日のタスクを書き出しておいても、仕事を始める前にその日のタスクを書き出しても構いませんが、頭の中だけで考えるのではなく、可視化することが大切です。付箋などに書き出したりタスク管理ツールを利用したりするとスムーズに管理ができます。
優先順位をつける
仕事には「緊急度」と「重要度」、2種類の度合いがあります。洗い出したタスクを、これらを判断軸にして分類してみましょう。緊急度については、締め切りを元に「緊急かそうでないか」を判断します。一方、重要度はそのタスクに関わる人数が多いか少ないかといった「規模感」が判断軸になります。
それを元に、「緊急で重要なもの」>「重要だが緊急ではないもの」>「緊急だが重要ではないもの」>「緊急ではないし重要でもないもの」の順でタスクを分類し、着手します。
優先順位に従い、「緊急で重要なもの」が済んだら、次は「重要だが緊急ではないもの」に取り掛かることになります。ここで疑問になるのが「緊急だが重要ではないもの」が先ではないのか、という点です。緊急なものから着手すべきと思いきや、これには理由があります。
「緊急で重要なもの」は「やらなくちゃ!」という気持ちが先行する、受動的なタスクがほとんどです。それに対して「重要だが緊急ではないもの」は、急を要していないこともあり、保留しがちなタスクです。これらは主体的なタスクで、自ら率先して着手しないと緊急性がない分急かされることもありません。ですが長期的に見てプラスなものや事業の根本に関わる重要な事柄が多く、最も重視されるべきタスクが、実は「重要だが緊急ではないもの」なのです。これが2番目に着手すべき理由です。
また、その時間を少しで多く捻出するためにも、「緊急ではないし重要でもないもの」については、本当にやる必要があるかを再度考えます。誰かに任せられることなら任せる。不要なことなら削る。慣れてくると、「緊急ではないし重要でもないもの」のリストアップも減ってくるでしょう。
タスクごとにかかる時間を見積もり
締め切りのある仕事にはその期日や時間を追記します。具体的な締め切りがないものでも、自分にとって「いつまでに終わらせたいか」を元に締め切りを設定し、書き足します。
また、それぞれのタスクにどれくらいの時間を要するかを見積もっておきます。それにより1日の中でタスクが終わらない可能性が出てきますが、その場合は、翌日に回すことができるものから省いていきます。また、時間の見積もりが甘いとすぐに予定が崩れてしまうので、少し余裕を持って設定しましょう。
時間の見積もりが下手ゆえに、結局時間通りにタスクが進まず「書き出して優先順位をつけても意味がない」と感じることがあります。それが続くとタイムマネジメントをやめてしまう原因になります。最初は難しいのですが、これも慣れてくるにつれだんだんと自分の作業スピードが把握でき、的確な時間を見積もることが可能になります。それは自分の作業を客観視し、業務効率を見直すのにも役に立ちます。
スケジュールに落とし込む
整頓されたタスクを実行することでその日の業務が始まります。ここでも、記憶に頼らず、必ず書き残しておきましょう。
ただし、誰もが経験したことがあるように、スケジュール通りにタスクをこなせることは稀で、予定外の仕事を頼まれたり、急ぎの仕事が突然入ったり、時にはトラブルが発生することもあるでしょう。そんな時は、まず優先順位に戻ってみます。今すぐ他の仕事をストップさせてまで着手すべきなら最優先にしますが、そうではない場合、前述した4つの優先順位に分類してみましょう。
もし「緊急ではないし重要でもないもの」に分類された場合、他の人に頼めないか、もしくは実はやらなくてもいいこととして省くことができないかを再度検討することができます。
また、いつもスケジュール通りに進まない場合はかかる時間の見積もりを見直す必要があります。タスクごとにアラームをかけてみるのもおすすめです。
タイムマネジメントの6つのコツ
時間を味方につけるには、基本のステップのほかに6つのコツがあります。これらのコツを組み合わせることで、より効率アップに繋がるタイムマネジメントとなり、一手間をかけてまで時間を管理するメリットを実感できることでしょう。
1.スケジュールを組むコツ
スケジュール管理をするにあたり、長期の予定と短期の予定で管理方法を変えます。
長期の予定はタスクを多めに詰め込みます。先の予定の場合、リスケになる可能性も高いので、詰め込んだものがそのままスケジュールとして成り立つとは限りません。もし前倒しを持ちかけられたら、スケジュールによってお断りすることができますし、後ろ倒しになるようなら再度スケジュールに合わせて調整し、元々の予定には余裕が生まれます。
短期の予定は必ず余裕を持っておきます。緊急の仕事が割り込んできた時に対応できる余裕がないとパンクしてしまいますし、突然舞い込んできた良い話に乗っかる余裕がないとチャンスを逃してしまう可能性もあります。
また、予定を詰め込みすぎると毎回締め切りに間に合わず、信頼を失いかねません。例えば、1時間程度で終わりそうな仕事でも2時間確保しておきます。もし予定とおり1時間で終わったとして時間が余ってしまったら、優先順位をつけた中で、その時取り掛かれるものを繰り上げればいいだけです。とはいえ、余裕をもたせすぎるのも生産性の低さが目立ってしまうので控えましょう。
このように、短期の予定は長期の予定のように融通が利かず、リスケや締め切りの交渉が難しいので、タイムマネジメントのコツとして余裕を持つことがカギとなるのです。
2.隙間時間を有効活用
タスクにかかる時間に余裕を持つと、しばしば空き時間が発生します。もしくは、他者との作業の兼ね合いで進行がストップしてしまうと、想定外の空き時間ができるでしょう。そんな隙間時間を有効活用できると作業効率がアップします。
作業が早く終わった時や待ち合わせの合間などに発生する5分10分の隙間時間は、タスクの処理や見直し、スケジュールへの落とし込みに活用します。
30分以上の大きな隙間時間は、予定していたタスクを前倒しにし作業を進めるには十分な時間となるでしょう。そのほかに、「重要だが緊急ではないもの」に分類したタスクから、隙間時間内でできそうなものや、その時気の向くものに取り掛かると、思いの外サクサク進み、密度の高い時間を過ごすことができます。
このような降ってわいたような隙間時間が積み重なると、思いの外たくさんの仕事をこなせる時間となるのです。
3.今やるか、後に回すかを見極める
突発的に発生するタスクの中には、わざわざタスクとして書き出すよりもすぐに着手した方がよいものがあります。タスクとしてリストアップし時間をあけてから手をつけると余計に手間がかかることは、「今やる」こととしてその場で処理します。
例えば、メールの返信など数分でできるものを後回しにしてしまうと、メールを探したり再度読み込んだりと二度手間になってしまいます。このように、後回しにすることで余計に時間がかかるタスクはできるだけその場で処理し、必要なものだけを「後回し」としてタスクに組み込むようにします。
4.行動のパターンを見直す
例えば、一般的な昼食の時間は飲食店やコンビニが混み合います。ほんの少し時間をずらせば待たずに利用できるので、昼食の行動パターンを見直すと時間の有効活用が叶います。
また、昼食後などどうしても眠気に襲われる時間があるかもしれません。その場合、1日のスケジュールを見直し、どうしても眠くなってしまう時間には外に出ることで眠気を覚ませるようなタスクを割り振るなどの工夫をします。
その他に、最も集中できる時間帯に重要なタスクを割り振るなどし、作業効率がアップするような時間の使い方を考えてみましょう。
5.報告・連絡・相談をスムーズに
タイムマネジメントに挫折するきっかけになるのは突発的に発生するボリュームのあるタスクです。それらに惑わされないためにも、報連相をスムーズに行うことが大変重要となります。
チャットツールなどを使い、的確な相談、それに対する自分の解釈、解決したいことや依頼したいことをわかりやすく簡潔にやりとりをするだけで、突発的なタスク処理にかかる時間が短縮されます。また、電話やミーティングの前に、相談したいことを整理しておくと、だらだらとした会話にならず仕事の効率を下げることなく対処ができます。
報連相は仕事において重要だからといって、たくさんの時間を割いてしまっては意味がありません。いかにスムーズなやりとりができるかにかかっています。
6.GTDでタスクを管理
タスクや行動を管理するためには、GTD(Getting Things Done)の考え方をもって整理するのもひとつの手段です。前章で紹介した基本ステップとは少し異なりますが、自分にあった管理術を選べるように、GTDのステップも知っておきましょう。
1. 収集
ポイントは「全て」を書き出すこと。その日の分のみ出なく、優先順位が高いものだけでもなく、頭の中にあるありったけのタスクを書き出します。
2. 処理
書き出したタスクのうち、分類作業の妨げにならない程度の時間(2〜3分)でできる簡単なタスクは、その場で処理します。残ったタスクは、着手すべきもの・誰かに依頼できるもの・着手不要なものに分類しリスト化します。
3. 整理
リスト化したものをtodoリストやタスク管理ツールを使い、いつでも確認や整理ができるようにしておきます。
4. 見直し
定期的にリスト化したタスクを見直し、手放せるものがないかなどを再検討します。状況が変わればタスクの重要度も変わります。毎日でも1週間ごとでも、自身の仕事のスピードに応じて適切なタイミングで見直しサイクルを設定します。
5. 実行
残るはタスクに着手するのみです。やらねばならないタスクを都度確認しながらどんどん処理していきましょう。
まとめ
「1日の計は朝にあり」という諺(ことわざ)は、計画は早めにしっかり立てるとよいという戒めです。時間の使い方も同様で、あらかじめしっかりと計画を立てることで作業効率をアップさせることができます。
また、タイムマネジメントは仕事のタスクのみが対象ではありません。効率を上げるためには休憩を軽視せず、休むことも仕事とみなしてしっかり組み込んでいきましょう。仕事と休憩のバランスも効率アップの秘訣なのです。
時間を味方に付ければこっちのもの! 「仕事ができる人」とみなされるのも時間の問題かもしれません。