「生産性」の正しい意味について考えよう

近年、世界中でLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)に対する偏見をなくし、人々の多様性について寛容になろうとする運動が行われています。その運動の甲斐もあってか、世界で活躍している多くの著名人がLGBTを告白しています。

一方、日本はどうでしょうか。日本におけるダイバーシティを進める取り組みを続ける電通ダイバーシティ・ラボの調べ(2018年)によると、日本人の人口のなかで、同性愛者などを含むLGBTと言われる性的少数者=セクシュアル・マイノリティ(以下、LGBT層)は、全人口の8.9%であると伝えています。 

前回調査時(2015年)よりもこの数値は上昇しており、LGBTに関する情報の増加による一般理解が進んだことが背景にあるようです。この数の人たちが、生物学的には子供を生む事ができない理由で「生産性がない」と一刀両断してしまうのは、まったく言語道断ではないでしょうか。 この記事では、本当の意味での生産性について考察をすすめます。

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全人口の7.6%が生きづらい世の中?

2018年、ある衆院議員が月刊誌で、同性カップルを念頭に「子供を作らない、つまり『生産性』がない」、「生産性のないLGBTの支援に税金を使うなんて無駄」などと主張したことについて、抗議の声が広がりました。

これを受けて、東京・永田町の自民党本部前には虹色の旗や「生産性で差別をするな」などと書かれたプラカードを持った人たちが大勢集まり抗議のデモを行ない、参加者は約5千人にものぼったといいます。

この主張に大きな憤りを感じた人がどれだけ多かったことかがわかります。同時に、自民党内でも、彼女の意見を批判する議員が後をたちませんでした。

(参照:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6291412

そもそも、「生産性」とはどのような意味を持つのでしょうか?

「生産性」とは、少ない労力や投入した事柄から、より多くの価値を産むことを目指す概念です。そのため「生産性が高い」とは、少ない投資から多くの価値を産むことを表します。

企業において、「生産性」を使用するときは、投資コストが少ないながらも、かかったコストよりも多くの価値や労働を生み出すことができたり、またはコストが少ないまま、生産性をキープしつつも、余暇を増やすことができたりするときに、「生産性」という言葉を使用します。「生産性」とは、仕事効率を良くしようと日々業務に向かうときに、これからのビジネスパーソンはこの言葉を意識しながら、労働を続けているはずです。

一方、「LGBTは生産性がない」という発言で使用されていた「生産性」には、人を子供を生む道具のようにみている非人道的な考えが含まれています。LGBTではなくとも、晩婚化がすすむ日本には不妊に悩む人が大勢います。他にも、結婚はするが、子供を持たない、という選択をする夫婦もまた大勢います。この衆議院議員の主張は、このような子供を持たない、または持ちたくても持てない人たちを、子供がいないという部分において「生産性がない」とばっさりと切リ捨てていることになってしまうのです。

このままでは子供も老人も生産性がないと言われてしまう

人はだれもが等しく尊い存在なはずです。「子供の有無」で人の生産性を判断してしまう考え方から、もう一つ考えられる懸念があります。

人は、仕事において生産性を持てないのであれば、税金をかける権利すら持つ事ができない存在に成り下がってしまうのか、という疑問です。子供や老人、そしてハンディキャップ、一般的な仕事をすることが難しい人たちのことも、「生産性がない」から無駄で価値のない存在なのでしょうか。このようにも捉えられてしまう主張を、国民の代表である衆議院議員が行なっていることに、心からあきれるばかりです。

子供はこれからの世界の担い手であり、未熟さから仕事ができなくとも、その存在は世界からも社会からも守られてしかるべき存在です。老人もまた、これまで生産を行なってくれていた大切な先輩です。その先輩を仕事ができなくなり、生産性が無くなったといって存在価値がないと見なしてしまっては、これまでの日本を作ってきてくれた彼らの働きに対して、あまりにもひどい仕打ちではないでしょうか。

この衆議院議員が発言で使用した「生産性」の使い方は、まったくの誤りであることがわかります。「生産性」は、人にかかる言葉ではなく、人が行なうことにかかる言葉なのです。

単一的な考え方が生きづらさを呼ぶ

日本では、オネエのキャラクターのような人が、公に同性愛などについてカミングアウトをしています。しかし、人口全体の約10%に近い人たちがLGBTなのであれば、彼ら、彼女らのように特徴的なルックスでない、もっと普通なルックスの人たちが自然に存在していても不思議ではないはずです。

それなのに、日本においては、同性愛について、特に職場では隠すことが一般的なようですそれは、同性愛者であると判明してしまうと、仕事に差し障りがでてしまうという危惧からくるものだと拝察されます。日本は、世界の中でも珍しいほどの単一民族であるために、少しの違いでもなかなか受け入れられない風潮が見受けられます。例えば、結婚をしているか、していないか、そして子供の有無などです。諸外国において一種タブーであるこれらの問題は、本来個人的なことであり、他人に指摘されたり話題にすべでない問題ですが、日本人はこれらのことに比較的無遠慮に質問したり、意見を述べる人が多いようです。その単一的な考え方が、知らずに周囲の人を負担を感じさせてしまったり、最悪追いこんでしまう可能性を忘れてはなりません。

寛容さについて学ぼう

つい10年ほど前までは、メールで告白しておつきあいを始めることは珍しく、そのような話に驚いたものですが、今やスマートフォンの隆盛の時代です。ラインでの告白もまったく珍しいことではなくなってきていることでしょう。数年前の常識も日々進化しています。まわりの人が自分と違う思考だったり、性的マイノリティーであっても不思議はありません。自分が知らない世界を知っている人を受け入れて、様々なものの見方や考え方を取り入れるチャンスを得ることにチャレンジすることもよいかもしれません。

今の我々に必要なことは、寛容さについてより学ぶことです。少子高齢化が顕著な日本においては、人生100年と称し、高齢になっても仕事を続けることを推奨する流れが生まれています。もしコンビニで、レジ打ちをするのが、90歳の人だったらあなたはどう思いますか?  ゆっくりな動作に、イライラしてしまうでしょうか? そんなときは、世の中の多様性について寛容になることを意識してみてください。きっと、社会を新しく見る視点を持つ事ができるかもしれません。

LGBTについても同様です。もし性的マイノリティーの人が同僚にいたとして、何か問題なのでしょうか。彼らだって、いつも好奇な目で見られていたら嫌なはずです。異性愛者の人は、自分自身の性的指向について公言するときはあるのでしょうか? LGBTの人だけが、カミングアウトしなければならないとしたら、それこそ差別的なことではないでしょうか?

まとめ

生産性とは、人について使用するのではなく、人が行なう仕事について使われるべき言葉です。そして我々にいま、求められているのはLGBTについて好奇な目を向けるのではなく、受け入れることと、理解することではないでしょうか。

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