飽きっぽい性格はもしかしたら…『マルチ・ポテンシャライト』を読んで、自分の個性に自信を持とう

「大人になったら何になりたい?」きっと多くの方が子供時代に聞かれたことでしょう。しかし、今回取り上げる『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』(PHP研究所 刊)の著者であるエミリー・ワプニック氏は、この質問は呪いのようだと表現します。なぜでしょうか? それは、「大人になったら何になりたい?」の質問の背後には、人生におけるアイデンティティは一つに絞らなければならないというニュアンスがあるからです。

これに対して、ワプニック氏は「天職は一つでなくてもいい」といいます。この言葉を体現しているのが、マルチ・ポテンシャライトと呼ばれる人たちです。「マルチ(多くの)ーポテンシャル(潜在能力を持つ)ーアイト(人)」が示すように彼らは、興味・関心が次々と変化していき、多種多様なキャリアを併せ持ちます。「自分はマルチ・ポテンシャライトかも?」「マルチ・ポテンシャライトについてもっと知りたい」「マルチ・ポテンシャライトはどう生きればいいの?」このような疑問を持ったあなたに、本書の内容を考察して紹介します。\

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マルチ・ポテンシャライトの強み


マルチ・ポテンシャライトは、「一貫性がない」「気まぐれ」「落ち着きがない」などのように、欠点のように語られることが多いです。しかし、マルチ・ポテンシャライトには武器となる強みがあります。ワプニック氏は、マルチ・ポテンシャライトの強みを5つにまとめています。

強み①:アイディアを統合できる

マルチ・ポテンシャライトの1つ目の強みは、「アイディアを統合できる」ことです。マルチ・ポテンシャライトは、さまざまな知識や経験、考え方を培っているので、アイディアを組み合わせて独創的な解決策を導き出すことができます。長年の問題を解決するのは、ベテランの専門家ではなく「部外者」であるという言葉にも通じるものがありますね。

強み②:学習が速い

マルチ・ポテンシャライトの2つ目の強みは、「学習が速い」ことです。ワプニック氏の経験によると、マルチ・ポテンシャライトの知的好奇心は強いとしています。知的好奇心を武器にして、新しいことを次々と吸収していくマルチ・ポテンシャライトは、どのような環境においても重宝されるでしょう。

強み③:適応能力が高い

マルチ・ポテンシャライトの3つ目の強みは、「適応能力が高い」ことです。マルチ・ポテンシャライトは、あらゆるパターンの状況を経験してきているので、柔軟性があります。不確実性が高まる昨今において、マルチ・ポテンシャライトの適応能力の高さは、大きな強みになります。

強み④:大局的視点を持つ

マルチ・ポテンシャライトの4つ目の強みは、「大局的視点を持つ」ことです。なぜこのような強みがあるのか、いわずとも理解できると思います。マルチ・ポテンシャライトの分野横断的な視点は、困難な問題に思わぬ解決策を生み出します。

強み⑤:分野をつなぐ通訳になれる

マルチ・ポテンシャライトの5つ目の強みは、「分野をつなぐ通訳になれる」ことです。ワプニック氏は、マルチ・ポテンシャライトを「指揮者」にたとえて説明しています。指揮者のように、あらゆる楽器を扱った経験がある人は、専門家たちのコミュニケーションを潤滑にする通訳のような役割を果たすことができます。

マルチ・ポテンシャライトが幸せに生きるには?

ワプニック氏は、マルチ・ポテンシャライトが幸せに生きるためには「お金」「意義」「多様性」の3つの要素が重要だと主張しています。

まず、「お金」は誰にとっても必要です。ただし、闇雲に「多ければ多いほどいい」と考えるのではなく、自分には「どのくらいのお金が必要か?」をきちんと考慮した上で、収入のバランスを決めなくてはなりません。必要なお金が手元にあって初めて、マルチ・ポテンシャライトはいろいろな分野に挑戦することができます。

次に、「意義」について考えてみましょう。マルチ・ポテンシャライトは、自分のしていることが本当に意味があるのか絶えず考えています。もし意味がないと判断したなら、モチベーションを維持することは難しいでしょう。そのためには、自分の行動に対していつも「なぜ?」を問いかけることが重要だと、ワプニック氏はいいます。「意義」は、マルチ・ポテンシャライトの情熱の原動力となるのです。

最後に、「多様性」も大事です。マルチ・ポテンシャライトに必要な多様性は、個人差が大きいです。そのため、取り組むプロジェクトを多くしたり少なくしたりして、自分にとってほどよい多様性を明らかにする必要があります。マルチ・ポテンシャライトの中には、同時に複数のことを進めるタイプと一つのことを完了して次に移るタイプが存在します。自分がどのようなタイプなのか見極めることが重要です。

マルチ・ポテンシャライトの4つの働き方


ワプニック氏は、マルチ・ポテンシャライトの働き方を4つのカテゴリに分けました。ただ、これらの4つのカテゴリに明確な境界があるわけではないので、あくまでも思考を整理するための枠組みであるということに注意しましょう。

働き方①:グループハグ・アプローチ

グループハグ・アプローチは、一つのキャリアの中でさまざまな分野を経験できる働き方です。グループハグ・アプローチでは、キャリアを組み合わせることなくマルチ・ポテンシャライトのニーズを満たすことができるので、好ましいスタイルです。グループ・ハグアプローチを実践するには次の5つの戦略が考えられます。

  1. 複数の分野にまたがる仕事を探す
  2. 実は、「マルチ・ポテンシャライト向け」の仕事を探す
  3. 柔軟な組織で働く
  4. 今の仕事を多面的なものに変える
  5. 起業する

グループハグ・アプローチを実現するのは、簡単なことではないかもしれませんが、挑戦する価値はあります。ワプニック氏によると、注意すべきは、自分の情熱の「すべて」を仕事で満たそうと考えないことだといいます。仕事の後や休日・祝日にも、情熱を向ける時間はあるのですから。

働き方②:スラッシュ・アプローチ

スラッシュ・アプローチは、パートタイムの仕事をいくつか掛け持ちして日常的に行き来する働き方です。スラッシュ・アプローチの魅力は、働き方の主導権を自分が握ることができる点です。そのため、自主性や独立心のあるマルチ・ポテンシャライトには、快適な環境となるでしょう。スラッシュ・アプローチを実践するには、次の3つの戦略が考えられます。

  1. フルタイムの仕事のフリーランス版になる
  2. パートタイムの仕事からチャンスを広げる
  3. まず飛び込んで、やりながらバランスを取る

スラッシュ・アプローチは、最終的にどのような働き方に落ち着くか、見えないことも多いです。フルタイムの仕事で手にした人脈を元に、フリーランスで仕事をすることもあります。また、たまたま引き受けたパートタイムの仕事が、今後のキャリアで重要になることも。そのため、後先を考えずに一先ずやってみることがもっとも重要なのかもしれないですね。

働き方③:アインシュタイン・アプローチ

アインシュタイン・アプローチは、十分な報酬をもらえる仕事を本業にしつつ、空いた時間で自分の好きなことに取り組む働き方です。ただ、「忙しすぎる」「クタクタになる」「ストレスがたまる」仕事が本業だと、なかなか上手くいきません。そのため、自分にとって「ほどよい仕事」を見つけることが大事だと、ワプニック氏は述べています。
アインシュタイン・アプローチは、きちんとした本業があるため、「安定・安心」を求めるマルチ・ポテンシャライトにとっては、目指すべき働き方になるでしょう。自分の注力したい分野に何も考えずじっくりと取り組めることは大きな魅力です。

働き方④:フェニックス・アプローチ

フェニックス・アプローチは、ある業界に数ヶ月あるいは数年身を置いてから、突然方向転換して新しい業界のキャリアをスタートさせる働き方です。フェニックス・アプローチは、同時に複数のことをこなすのではなく、一つのことにしばらく集中して取り組みたいマルチ・ポテンシャライトにとって、よい働き方です。フェニックス・アプローチを実践するには、次の6つの戦略が考えられます。

  1. いまあるネットワークを活用する
  2. 新しいネットワークを広げる
  3. ボランティア活動をする
  4. 無償でいいから働いてみる
  5. トレーニングを受ける
  6. 応用のきくスキルをアピールする

フェニックス・アプローチでは、一つの分野にしばらく集中することになるので、いい環境で働くことが非常に重要な意味を持ちます。いい環境を見つけるためには、とにかく情熱をアピールすることが肝心です。人脈ネットワークもフル活用して、いい環境に身を置けるようにベストを尽くしましょう。

マルチ・ポテンシャライトの生産性を高めるには?


世の中には、仕事のノウハウに関する情報はあり余るほどありますが、それらの情報のほとんどは「一つの分野で」成果をあげる方法です。つまり、複数の分野にまたがるマルチ・ポテンシャライト向けの仕事のノウハウは、限りなくゼロに近い、とワプニック氏は嘆いています。そのため、本書では「マルチ・ポテンシャライトの生産性を高める」方法が4つのステップ別に書かれています。

ステップ①:何に取り組むか選ぶ

1つ目のステップでは、自分のどのポテンシャル(潜在能力)を伸ばすか見極めます。この見極めがマルチ・ポテンシャライトにとっては苦しいものになります。一つを選べば一つを捨てることになるからです。しかし、選択を間違えたとしても後から変更できると考えて、思い切って取捨選択することが大事です。特定の分野に的を絞ることによって、自分の持つリソースを最大限活用することができ、生産性を高めることにつながります。

ステップ②:時間を作る

2つ目のステップは、興味・関心に取り組む時間を作ることです。まず、みなさんは自分がどの時間帯にもっとも生産性が高いかご存知ですか?正解はありませんが、自分のパフォーマンスが一番発揮できる時に活動をおこなうことで生産性が高まります。
「自分は忙しいから…」という人は多いですが、朝早く目覚めたり、寝る時間を遅くしたり、お昼休みや休日・祝日を利用するなど、時間を生み出すことは決して不可能ではありません。厳しいようですが、自分の興味・関心が強ければ強いほど、時間をどうにかして作ろうという意識が生まれることは事実でしょう。

ステップ③:辞め時を知る

3つ目のステップは、辞め時を知ることです。ワプニック氏によると、マルチ・ポテンシャライトは興味・関心を突き詰めていくうちに「終点」にたどり着いた感覚を味わうことが多いようです。もし自分の中で、「終点」を過ぎたなと感じたら情熱は冷めるばかりですので、次の興味・関心へと移っていくきっかけとなります。

ステップ④:仕事に取りかかる

4つ目のステップは、仕事に取りかかることです。ワプニック氏が書いた方法は、わりと一般的だと思いますので、簡単に3つに分けてご紹介します。

  1. 仕事前の習慣を作る(瞑想/運動/感謝…)
  2. ポモドーロ・テクニックを活用する
  3. フロー状態を生み出す

まず、仕事前の習慣を作ることの重要性は広く知られています。瞑想や運動、感謝などのように方法はさまざまですが、自分だけの儀式を持つとすんなりと仕事に入ることができるでしょう。

次に、ポモドーロ・テクニックを活用することです。ポモドール・テクニックでは、25分ごとに5分休憩をとることを1クールとして、4クールが終わったら長めの休憩をとる方法です。タイマーを効果的に利用することで、生産性が向上することが期待できます。

最後に、フロー状態を生み出すことです。フロー状態とは、とても活動に集中していることを意味し、クリエイティブな作業には不可欠だといわれています。フロー状態を意識的に生み出すために試行錯誤すると良いでしょう。

まとめ:マルチ・ポテンシャライトは個性

本記事では、マルチ・ポテンシャライトについて詳しく考察しました。マルチ・ポテンシャライトは、まだまだ少数派であるため自分の生き方に不安を感じる人も多いようです。例えば、「自分のアイデンティティがわからない」「このままずっと一流になれないのではないか?」「将来的に生計を立てられるか心配」などの声があげられています。

ワプニック氏はマルチ・ポテンシャライトは立派なアイデンティティになると力強く説いています。実際、マルチ・ポテンシャライトという言葉を聞く機会も最近増えてきたように思います。完全に理解されるには、まだまだ時間が必要ですがワプニック氏のようにマルチ・ポテンシャライトであることを自信を持って宣言できる人が増える時代はやがてやってくるような気がします。もし、あなたが「自分はマルチ・ポテンシャライトかも…」と思ったら、マルチ・ポテンシャライトの持つ強みを生かして、チームに貢献してみてはいかがでしょうか。

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