日本の労働生産性が低いのはウソ?これからの社会で生き残る人材になる方法とは

最近は働き方改革の影響もあって「労働生産性」という言葉が注目を集めています。しかし、日本は労働生産性が先進国の中でも最下位だということを知っていますか? さらに以下のようなことも言われています。

  • 欧米に比べて日本の労働者は効率よく働けていないから国際競争でも勝てない
  • 労働生産性が低いのは日本社会が合理性を憎んでいて今後も変わらない

確かに、長時間労働、低賃金、効率化できていない無駄な仕事の多さに不満を感じたことがある人も多いのではないでしょうか。労働生産性についての正しい知識を知り、自分の働き方を考えるキッカケにしてください。

そもそも労働生産性とはなに?

難しい計算式などもあるのですが簡単にいうと・・・

労働生産性は「働いている人が時間あたりで生み出せる成果」のことです。単純に言うと、1時間に10個のものを作れる人と、1時間に5個のものを作れる人がいるとします。どちらもクオリティは同じです。当然10個作れる人のほうが、労働生産性は高いことになります。

単純に能力レベルの話ではなく、上司が帰らないから意味もないのに上司に気を使って残っている場合なども、無駄な残業時間が換算され、労働生産性は低くなります。

日本の労働生産性の低さについてずっと議論されており、大きく分けて2つの主張があります。

  • 日本の労働生産性が低いのは実は嘘
  • いやいや、日本の労働生産性ってやっぱり最低

日本の労働生産性を正しく読み解くために2つの主張を整理してみましょう。

日本の労働生産性が低いのは嘘という主張

公益財団法人の日本生産性本部の発表を確認してみると主要先進7カ国の間で日本の労働生産性はデータ取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いていると書かれています。

しかし日本の労働生産性は一見、低く見えるけど実は労働生産性の定義や計算式の影響で低く見えるだけだという主張があります。

良いものを安く売っているから生産性が低い

「日本企業は良いものを安くつくっているから統計上では生産性が低くなるだけだ」という主張です。

例えば日本とアメリカの美容室で同じ労働時間で同じような質・効率で働いていてもヘアカットの価格が日本で4000円、アメリカで8000円だとしたらアメリカの方が同じ時間でも2倍の労働生産性があると計測されてしまうわけです。

質の良いモノ・サービスを安く売りすぎているのが問題なら、価格を上げ、同時に日本人の賃金も合わせて上げれば数値的な労働生産性は向上するという主張です。

日本は金融業など労働生産性が高くなる産業に偏ってないから

労働生産性が低い日本とは逆に、労働生産性が高い国はどこなのでしょうか。2017年のデータでは労働生産性が高い国1位はアイルランド、2位はルクセンブルクとなっています。

アイルランド・ルクセンブルクの主要産業は金融です。特にルクセンブルクは小国だからこそ金融に特化して発展した国です。つまりルクセンブルクはアジアでいうシンガポールのような位置づけです。数値上、金融や不動産などの産業は労働生産性が高くなる傾向にあります。そのためアイルランドとルクセンブルクの労働生産性が数字的に高くなるだけでバランスよく様々な産業がある日本は統計的に不利になってしまうという主張です。

日本の労働生産性はやっぱり低かったという主張

上記での主張への反論として、日本の労働生産性はやはり低いという主張についても整理しておきましょう。

賃上げをしても労働生産性は実はあがらない

会社の売上が上がったからと言って、従業員の賃上げをしたら労働生産性は上がるのでしょうか。売上だけが増えても利益が出ていなければ、賃上げをしても企業の負担する人件費が上がるだけで労働生産性そのものは上がりません。

また労働生産性の上昇率は価格変動を補正して実質で計算される仕組みがとられているため、単に値上げをしても財・サービスの質が変わらなければ労働生産性には反映されないという主張で「給料が低いから労働生産性の数値が低くなるだけ」という主張に対する反論になっています。

良いものを高く売れば生産性はあがるのは嘘

良いものをしっかり高く売れば生産性はあがるとい主張に対しても反論があります。価格だけ高く設定してもインフレになるだけで、仕事の効率や付加価値そのものが高まっているとは言えないという考え方です。

確かに、800円で売っていたカレーを価格だけ吊り上げて8000円で売り出したら労働生産性が高まるかというとそんなことはないでしょう。売れなくなって潰れるだけです。

日本人のポテンシャルを生かしきれなかった平成

日本の労働生産性に対する主張は、どちらも「過去の日本」についての議論だということです。そしてデータで見ると、日本人のポテンシャルを平成日本が十分に生かせていた結果ではなさそうです。最後に、日本人のポテンシャルの生かし方と未来の働き方について考えていきたいと思います。

平成の日本は日本人のポテンシャルを生かせなかった

日本の労働生産性が低かったのは日本人の能力不足・努力不足だったのでしょうか。日本の会社や平成の時代背景が日本人の本来、持っている仕事に対する勤勉さや能力を生かしきれなかったということはないでしょうか。日本の労働生産性の低さは、社会全体が日本人のポテンシャルを生かせない環境だったからではないかと思うのです。

社会保障制度、政府の財政支出、通商政策など政策の不確実性が日本企業の生産性に悪影響を与えた面も否定できません。日本はビジネス環境ランキングでも先進国に遅れをとっており、政策面でも企業の生産性の足を引っ張っていたのです。

日本の労働生産性は社会の流動化と人手不足で自然に解消に向かう

  • どうしてこんな働きにくい国に生まれてしまったんだろう
  • 海外に脱出した方がいいのかも・・・

と、ネガティブなことを考えてしまう人もいるかもしれません。しかし日本の労働生産性に関する議論は今までの日本に対して様々な分析をしているに過ぎません。実はこれからの日本は悲観的にならなくても働きやすく労働生産性も高められる環境に移行していくのではないかと私は考えています。

団塊の世代の退職と少子化に伴う人手不足で、そもそも労働生産人口が減少します。そのため、日本社会全体が変わらざるを得ない状況にあります。働き方改革が声高にさけばれているのも、これまでの社会システムを維持する限界を既に迎えつつあるからです。今までまかり通っていた労働生産性の低いブラック企業も、人を集められなくなれば働きやすい環境を整えざるを得ません。そのために期待されているのが、AIやIoTなどのテクノロジー分野です。

日本人のあなたが労働生産性を高めるためにすべきこと

平成から令和になっただけでなく、私たち日本人は時代の大きな変わり目にいます。AIやIoTなどのテクノロジーが導入されていく職場で、しっかりと自分の提供価値を高めていくことが大切になります。

つまり今後の社会では、自分自身の労働生産性を高めるために努力する人としない人とで差が大きくなってしまいます。

自己投資で付加価値を生み出せる人材になる努力をする

自己投資により長い目で見ると労働生産性を高めてくれる武器を手に入れることができます。付加価値を生み出すためには専門性や新しい知識・技術を身に着けることが大切です。目の前にある仕事をこなしていくことも大切ですが、個人の労働生産性を高めるためには付加価値を生み出せるための自己投資を積極的にしていきましょう。

労働生産性を高められる仕事環境に身を置く

日本人の働き方も人手不足やAIなどのテクノロジーの進歩、働き方改革、プロジェクトごとに集まって仕事をするギグ・エコノミー化など様々な理由で変わっていくことが予想されます。労働生産性がなかなか伸びづらい現在の社会そのものが変われば、日本人も本来もっている力を十分に発揮できるようになります。しかし時代の過渡期なので職場の格差も大きくなります。自分に合った職場選び、働き方選びも大切になるでしょう。

今は転職や複業、フリーランスなど多様な働き方を行き来しやすいため積極的に動けば、あなたにあった仕事環境が見つかるはずです。

まとめ

日本の労働生産性をめぐる議論はどちらかといえばネガティブな主張が多く見られますが、これらは、過去の日本のことについてです。むしろこれからは人手不足やテクノロジーの発展、働き方改革などによって労働生産性を高めやすい環境が増えていきそうです。日本人のポテンシャルも十分に生かせる時代になっていくと思います。個人の実力が認められる方向性にシフトしていく中、自分の労働生産性を高めて、しっかり価値提供できる人が勝つ時代がきます。今からしっかり準備をしておくことが大切です。

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