数年前に「専業主婦は2億円損をする」という本がベストセラーになりました。平成17年度の内閣府が公表している女性の生涯収入を引用し、非常にキャッチーなタイトルで有名になった本ですね。
女性が専業主婦になると、一生で2億円もの「経済差異」が出るため「共働き」のほうが経済的な余裕があって幸せなのでしょうか?ちなみに、私の住む台湾では、一般的な平均年収は180万円ほどと言われています。
給与に比べて物価水準が高いので、「共働きが必須」となっています。
はじめに
読み進めていただく前に注意していただきたいのは、「幸福度は本人が決めること」なので、この記事では、あなたにとってどちらが幸せなのかを決めることはできません。
しかし「結局どっちでも自分次第」っていう当たり前のことを言うと、本件は終了してしまうので、今回は客観的なデータと私自身の経験を元に断片的なお話をしてみたいと思います。
「興味がある」「悩んでいるから多くの人の意見を聞きたい」という方がいれば、読みながら、いつかあなたが自分自身を納得させるときの材料にでも使っていただければ幸いです。
統計データでは「専業主婦」のぶっちぎり勝ちか?
冒頭では、「専業主婦は2億円損する」ため経済的に余裕のある「共働き」のほうが幸せなのではないか?と書きました。
しかし、プレジデントオンラインがまとめる統計データによれば、20~30代の「子育て世代」の女性は幸福度が低く、さらに共働きの女性は専業主婦よりも幸福度が低いことがわかりました。
また、子供の学力は専業主婦家庭のほうが、共働きの家庭よりも高いといいます。一体なぜなのでしょうか?
専業主婦の幸福度
まずは、専業主婦の幸福度を図るために思いつく限りの「メリット」と「デメリット」について考えてみたいと思います。
専業主婦のメリット
仕事のストレスがない
社会に出て会社員として仕事をしていると、理不尽なことで叱られたり、人間関係に疲れてしまうこともありますよね。「営業成績が思うように上がらない」とか「なぜ自分はこんなに仕事ができないんだろう」なんて思い悩むこともあると思います。
そんなとき働かなくても家があって、食べるものに困らない専業主婦を羨ましく思った経験がみなさんにも一度はあるはず。そう、専業主婦には「仕事上のストレスがない」のです。
これは、大きなメリットですよね。
家族や自分の時間を充分に使える
正社員として会社勤めをしていると、最低でも1日8時間x週に5回の40時間は会社で働く必要がありますよね。
しかし、専業主婦ならば1日の予定を決めるのは自分次第です。もちろん、1日3食の準備から洗濯物、掃除などの家事以外に、お子さんがいる方は忙しくて「自分の時間なんて取れない!」と思われるかもしれませんが、少なくとも家族との時間はとることができます。
またお子さんが小学校に上がっていれば、子供が学校に行っているお昼過ぎまでは、自分が自由に使える時間になりますよね。小さな子供がいない家庭であれば、予想外の出来事でスケジュールが乱れることもないですし、時間の管理次第で充分に自分の時間が取れると思います。
専業主婦のデメリット
仕事上のストレスがなく、家族や自分のために時間をたっぷり使える。
それでいて、住む場所や食べるものの心配がないなんて、メリットだらけのように思えますが、精神的な面を考慮するとやはりデメリットもあるように思います。
「専業主婦」のデメリットとは具体的に何でしょうか?
金銭的な自由がない
私が考える大きなデメリットとしては、「金銭的な自由がない」というところではないかと思います。専業主婦として暮らしていくにはそれなりに収入が必要なので、生活に困るほど貧窮しているわけではないですが、「自分のために贅沢」は少なくなるでしょう。
なぜなら、そのお金は、自分自身が働いて稼いだ収入ではなくて、夫が満員電車に揺られたり、ストレスを溜めながら稼いだ給与。
一般的な感覚だと、「家族や子供にかけるお金に躊躇はしないけど、自分のための贅沢はできない」と考えている人が多いと思います。そしてその我慢は自分の大きなストレスになります。「自分で稼いだお金を自分の好きなように使う」ことを経験している人なら、なおさらですよね。
社会から隔離される
専業主婦になると、関わる社会が少なくなる人が多いのではないでしょうか?
私たちは生まれてから「家族」という社会に1番はじめに触れ、成長するに連れて
- 学校
- 部活
- アルバイト
- サークル
- 会社
など「家族」以外の、実にたくさんの社会に属していきます。属する社会が増えればその分、面倒なことも多いですが、すっかりなくなってしまうと寂しいもの。
また社会が「家庭」だけになると、不平不満も増え、家庭外の社会で息抜きのできる夫や子供を妬ましく思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
共働き主婦の幸福度
続いて専業主婦よりも統計データでは幸福度の低い「共働き主婦」のメリットとデメリットについてみていきます。
共働き主婦のメリット
お互い平等な立場でいられる
これは私自身、最大のメリットであると感じているのですが、共働きだと家庭内での立場が平等でいられます。
お互いが同じだけ働き、金銭を得て家計を支えているという認識がある。だから家庭という社会でも、家事や子育てなどの仕事をお互いに分担しなければならないという意識が自然に芽生えるのだと思います。
また、どちらかが体調を崩して働けなくなったときも、なんとか片方の収入だけで生きていくことができますよね。文字通り「支えあう」ことが出来るのが共働きのメリットです。
相手の苦労を理解できる
自分自身も働きに出ているので、相手の仕事に理解があります。
例えば、楽しみにしていた食事を急にキャンセルされたとき、「大切なクライアントから急に呼ばれて行けなくなった」と言われ、「そうなの、がんばってね」と言ってあげられるかもしれません。
また、どちらかが早く帰ってきたとき、家事を率先してくれている姿を見ると、お互いに「仕事終わりで疲れているのにありがとう」と思いやりの気持ちが持てるのではないでしょうか。
人は自分が経験したことしかわかりません。経験したことがあっても、現在進行形でそうしていないと、また忘れていく生き物です。
だから夫婦は同じ立場でいないと、相手の苦労を理解し、思いやることができないと思うのです。
共働き主婦のデメリット
出産や病気などで働けなくなった時に収入が減少する
当たり前の話ですが、共働きで同じように働き、同様の収入を得ている場合、一方が働けなくなると収入は半分になります。
特に「子供を授かりたい」と思っている女性が、妊娠した場合、最低でも2ヶ月程度は出産の前後に休みをとるのが一般的なので、その際の収入は少なくなるでしょう。
しかし今は産休や育休制度があり、前後2ヶ月は働かなくても給与が出ますし、出産をしない男性だって、病気のリスクはありますよね。
逆に専業主婦のほうが、夫が病気になったときなどに収入がゼロになる可能性があるので、この点のデメリットとしては大きいのではないかと思います。
家族との時間が減る
単純に家にいる時間が少ないので、家族との時間は減ります。
お腹を痛めて産んだ子供の成長する姿を、「一瞬足りとも見逃したくない!できればずっと一緒にいてあげたい!」という人にとっては苦痛かもしれません。
しかし、24時間365日一緒にいたら愛しいものですら憎たらしくなりませんかね?親子や夫婦でも一定の距離があったほうが関係性がうまくいきませんか?
と自分の色眼鏡が入っていてすみません。
まとめ
日本政府が統計したデータでは「専業主婦」の幸福度が高く、海外在住の私からすると、「共働き主婦」の幸福度が高いという結論になりました。
正直、女性が自由を手に入れるためには男性同様の「経済力」が不可欠かと思います。将来子供が欲しいという気持ちのある女性ならば、出産の前後で2ヶ月程度休む必要があるので、その分の蓄えをしておけば、男性も女性も同様に働けるはず。
- 子育てをしたい
- 仕事が辛いから辞めたい
のは、男性も女性も同じ。「男は働いて家族を支えてナンボ」って、どんな男性でもそう思っているんでしょうか?
本当はストレスで鬱になりそうだったり、仕事をやめたくて仕方がない男性だっていると思います。一緒に暮らす夫婦は、お互いを思いやるためにもできれば同じような生活を送れるのが良いのではないか、と個人的には思います。男も女も同じ人間ですからね。
【参考資料】
・専業主婦は2億円損をする