プロジェクトを任された際には、プロジェクト管理のためにプロジェクト全体の進捗を把握するのは当たり前ですよね。また、一緒に働くプロジェクトメンバーや上司、クライアントへの情報共有も必要となります。このような場合には、プロジェクト管理をするための工程表を作成し、共有する必要があります。 新規プロジェクトを立ち上げるときにはさまざまな要素を念頭に入れながら工程表を作成するので、非常に手間がかかるものです。
そこで今回は、プロジェクト管理の基本をおさらいしてみたいと思います。プロジェクト管理の基礎概念である「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」の基本を確認したうえで、身近なツールであるエクセルで使用できる工程表のテンプレートを紹介します。
エクセル以外でプロジェクト管理をしたいと思っている方は脱エクセルでタスク管理・プロジェクト管理をシンプルにしようの記事をチェックしてみてください。
プロジェクト管理における工程表の重要性
たくさんの競合他社がいるなかで成功を収めていくためには、効率的にプロジェクトを進めていくことが必須となります。そして、大きなプロジェクトになればなるほど、プロジェクトの全容を把握し、管理するのは大変な業務となります。これらを管理するために良く使われるのが工程表ですが、プロジェクトにかかわる人数が増えてくると、細かい工程表を作成するだけでは足りません。 また、工程表は基本的に作業のスケジュール感を管理するためのものですが、最近は「納期」だけではなく「品質」「予算」などを項目に加え、もう1歩踏み込んだ工程表を作る企業も増えてきました。なぜ工程表に「品質」や「予算」を加えるようになったのでしょうか。
ここで注目していただきたいのが、「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」です。PMBOKとは、1987年にアメリカの非営利団体PMI(Project Management Institute)が発表した、プロジェクトマネジメントを行う上で考えていくべき概念をまとめたガイドブックです。プロジェクト管理を行う上で世界標準ともいわれているガイドであり、「品質」「予算」「納期」という3つのゴール設定を打ち出しています。このPMBOKに倣って、これら3つのゴールを工程表に加えることが増えているのです。
汎用性の高いエクセルを使って工程表は作成できるか
プロジェクト管理者になると、どんな工程表が自分たちのプロジェクトに合うのかについて、頭を悩ませますよね。工程表は管理者だけではなく、社内外のチーム全体で共有していくものなので、できるだけメンバー全員に負荷をかけないツールが望ましいと思います。もっといえば、新しいプロジェクトが立ち上がるたびに、新しいツールを使用していくと、操作を覚えるだけでも時間がかかってしまいそうです。だからこそ、汎用性が高く、操作性がラクなものが一番になります。そうなってくると頭に浮かぶのが、業界を選ばず広く愛用されているマイクロソフト社のエクセルです。
基本的に行程表を使って管理していくのは、スケジュール表、工数管理表、進捗表、経費・人件費管理表などになるでしょう。これらを管理するためには、ガントチャートやバーチャート式エクセル工程表がピッタリです。とはいえエクセルはあくまでも表計算ソフトなので、WBS(Work Breakdown Structure)ツールなどに比べると不自由な部分も出てきす。そういった部分は、うまくマクロなどを組んで活用していきましょう。
ガントチャートとは
プロジェクト管理、生産管理、開発管理など、あらゆる管理工程に使うことが可能な工程表です。業界や会社によって「管理表」や「スケジュール表」などと呼ばれていることもあるかもしれません。ツリー構造と横棒チャートで表され、視認性に優れています。もっと詳しく知りたい方は、
ガントチャートって何? ガントチャートを使う3つのメリットとおすすめツールを参考にしてください。
バーチャートとは
縦軸に作業項目、横軸に時間をとって、各作業の開始から終了までを棒状で表現した横に流れていく工程表のことで、FXチャートなどでよく使われている手法です。見やすく、判りやすいですが、各作業の関連性や作業の余裕度がわかりにくいなどの欠点もあります。
おすすめの無料テンプレート2選&有料サービス2選
工程表の作成には時間がかかるもの。少しでも作業時間を短縮するためには、ネットで配布されているテンプレートや有料サービスを活用するのがおすすめです。ここでは、無料のもの、またはお試しで無料期間があるものを中心にピックアップしてみました。プロジェクト管理の本番に向けて、まずは導入前にいろいろと試してみてください。
エクセルガントチャート
~【フリーソフト】自動でバーチャートが描画されるガントチャート~
1ヵ月、3ヶ月、半年の単位でエクセルのシート別にプロジェクトを作成できるソフトです。その内容を予実績管理表シートに転記するだけで、あとは自動でバーチャートが描画されるようマクロが組み込まれています。苦労せずに計画と実績の差が一目でわかるのがうれしいです。とにかくシンプルでラクな操作性のものを求めているという方におすすめです。
動作環境:Windows Vista/XP/Me/2000/98
料金:無料
エクセルガントチャートHP: http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se353330.html
開発マイルストーン
~【フリーソフト】プロジェクト開発などのスケジュール管理に~
開始日と日数を入力するだけでガントチャートが自動的に表示されます。また表示方法も、月単位、週単位、日単位、時間単位と豊富なので、プロジェクトに合わせて最適な表示方法を選ぶことができます。実績を入力すれば、進捗状況も一目で確認できます。そのほか、休日などの自動計算や標準工程を作成しておけば、簡単にスケジュールが挿入できるなど、機能も充実しています。
動作環境:Microsoft Office2000/2003/2007/2010/2013
料金:無料
開発マイルストーンHP: http://zudajijp.zouri.jp/km/down1.html
Brabio
~【まずは体験版から】エクセルにプラスして使いたいクラウドサービス~
プロジェクト管理はもちろんのこと、ファイル共有、可視性に優れた掲示板でのコミュニケーション、タスク同士のリンク、達成率の表示など、魅力的なコンテンツが用意されています。クラウド共有化が5人までならずっと無料なのが高ポイント。また、クラウドで作成したガントチャートをエクセルで一括出力できるので、クライアントや上司への報告にも便利です。有料版では、社外間共有もできます。
動作環境(Windows,Mac共通):Internet Exploler 9 以上、FireFox 最新版、Google Chrome 最新版、Safari 最新版
料金:体験版は無料(5人まで)、エントリープラン(10~50)3,240円~/月、ミッドレンジプラン(100~300)32,400円~/月、エンタープライズプラン※料金はカスタマイズ内容による
BrabioのHP:https://brabio.jp/
Smartsheet
~【まずはお試し版から】Microsoft Office 365と統合し、アプリ切り替えが不要~
プロジェクトに応じて使用アプリを変更している方も多いと思いますが、「Office 365」とシームレスで統合されているので、それらを一気に解消できます。またリアルタイムで共有できるため、タイムラグが生じません。マーケティング、プロジェクト管理、ソフトウェア開発、セールスや人事などに則した機能が充実。可視性に優れ、設定変更などにも即対応できるのも魅力的です。
動作環境:Windows/Chrome、Firefox、Microsoft Edge 、Internet Explorer 10 以上、 Mac:/Chrome、Firefox、およびSafari、Linux:/Firefox
料金:お試し版は無料(30日間)、個人1,800円/月、チーム(3ユーザーまで)1,900円/月、ビジネス(3ユーザーまで)3,200円/月、カスタム※料金はカスタマイズ内容による
SmartsheetのHP:https://jp.smartsheet.com/
プロジェクト管理の基本とは? エクセルで活用できる工程表6選のまとめ
プロジェクトの管理は非常に複雑で大変な仕事です。規模が大きくなるほど、リアルタイムでの共有も難しくなっていきます。混乱しがちなそんなときこそ工程表が要になり、きっと管理者であるあなたやチームメンバーを助けてくれるツールになってくれることでしょう。 実際にプロジェクトが動きはじめ、変更や遅延が生じれば、最初の気持ちに立ち戻ることは難しいことが想像できます。だからこそ、スタート時の目標設定が重要ではないのでしょうか。工程表に入れておくべき要素をしっかり踏まえたうえで、効率のいいプロジェクトを実現していきたいものですね。
またエクセルでタスク管理をしたい! という方は、下記の記事を参考にしてみてください。
エクセルでタスク管理をスマートに〜仕事効率がアップする工程表テンプレ7選