出世もお金も望まない若者。大人とは根本的に違う、仕事・人生に対する価値観

2年ほど前にNetflixで『GIVEN -僕が見た世界』という映画を観て衝撃を覚えました。ハワイ・カウアイ島出身のプロサーファー夫婦と2人の子どもが世界15ヵ国を旅しながら生きていくというストーリーです。まさに“旅をしながら生きる”ライフスタイルを家族で実践しているお話で、世界中の良い波を求めながら、現地の人々と触れ合い、Googleでなんでも調べるのではなく常に本物に触れて、人間が人間らしく毎日を大切に生きている姿が見受けられました。

いつかこんな生き方や子育てを実践してみたいなと心から感じたものです。今回はいまの時代を豊かに生きる「あえて持たない」という価値観をシェアしたいと思います。

世の中に溢れる「ノイズ」

いきなりですが、あなたは今の暮らし、働き方、人間関係、経済状況に満足していますか?

気がつくといつの間にかスケジュールが埋まり、自分が心躍るようなことに使える時間がなくなっている。部屋を見渡すと、恐らくこの1年は使っていないようなモノで溢れかえっている。

考えてみると最近付き合う人の多くが仕事関係で出会った人ばかりになっている。毎日一生懸命働いているのに自由に使えるお金は中々貯まらない…。

学校を出て、仕事を始め、充実した日々を過ごしていたはずが、ふと立ち止まってみると「何かが違う」と感じてしまった。仕事や人間関係を抱え込みすぎて息苦しくなっている。

そう、これは紛れもない数年前の私です。今回私がお伝えしたいのは、自分らしく自由に生きることは誰にでもできるということ。その結果個人として輝くことができるようになり、仕事もプライベートも上手く回り出す。

やりたくない仕事をして、たくさんのモノを消費するために必要以上に多くのお金を稼ぐ時代は終わりました。今、あなたの生き方の基盤になっている価値観は、本当に自分で築いたものでしょうか。

持つことで豊かになれた時代、持たないことで豊かになれる時代

こうした「ノイズ」から自分を守ってあげるためには、まず、今まで当たり前とされてきた常識を疑うことが必要です。かつて・・・といってもほんの10数年前までは、一生懸命働いて、たくさん稼いで、たくさんお金を使うことが幸せのひとつの形でした。

私の幼少期を振り返っても、家はモノで溢れていたような気がします。自分自身、子どもながらモノを手に入れることで幸せを感じていた記憶も残っています。

好きなアーティストのCDはコレクターのように全て揃えたい、新発売されたウォークマンはすぐに購入したい、シーズンごとに洋服を購入し、いつもクローゼットはいっぱいいっぱいにしていたい。子どもながらにアルバイトを頑張って、モノで常に自分を満たしていたようです。

しかし、今はもう生活を劇的に変えてくれるような新商品の登場は少なくなり、何よりもほとんどの人が必要以上のモノは揃った環境で暮らしています。

音楽はApple MusicやSpotifyでいつでもどこでも最新の楽曲が楽しめるのでCDを買う必要はなくなりましたし、iPhoneにダウンロードしたアプリで音楽だけではなく映画やドラマ、書籍まで快適に楽しめるようになりました。

服はブランド品を求めれば話は別ですが、高品質なものもユニクロやH&Mなどのファストファッションで十分満足できます。90年代に常識と思われていた「多くのモノを持つことで満たされ、幸せになれる」という感覚は次第になくなってきたのではないでしょうか。

アメリカをはじめとした大量生産、大量消費の資本主義に疑問を感じる人が増え、もっと精神的な充足を追い求める時代に戻ってきたように感じます。これからの時代は何かを(モノや情報、人間関係など)集めるのではなく、できるだけ減らし、削ぎ落としていく感覚と、自分にとって本当に必要かどうかを見極める能力が重要になってきます。

そのためには、自分の軸となるスタイルを知ることが欠かせません。

なぜなら、自分のライフスタイルにおいて、重要な価値観が決まっていない状態では、やみくもにあれが欲しい、これも欲しいと感じる欲を手放せないからです。

持てないのではなく、あえて持たないという選択。持たないで豊かになるためには、自分がこれだけは譲れないという大切なモノを見つけることからスタートしましょう。

大切なのは自分で物事を選択すること

私はかれこれ3年間ほどシェアハウスを住まいにしていました。

  • ”自転車好きが集まる”をコンセプトにした都内一等地にある物件
  • 郊外にある60名が住む大型シェアハウス
  • 友人と一軒家をシェアするタイプ

まで様々なシェアハウスに住んできました。

「いつでも好きな場所で暮らしながら仕事ができること」「仕事と遊びの境目をできるだけなくすこと」この2つが私の大切にしている価値観なので、自然とこのようなスタイルに落ち着きました。

現在の私にとっての家は、ほとんど寝るための場所であるため、オフィスに近い家が生活の拠点になっていますが、近いうちには大好きなバリ島(インドネシア)にも気のおけない友人たちと集える空間を持ちたいと思っています。

これだけ複数の場所を行ったり来たりするのですから、自然と所有物は減りました。家具や家電はシェアハウスに備えつきのものを利用しているため、純粋に自分のモノといえるものは80Lのスーツケースひとつにまとまります。

持たない生き方というのは、単純に持ち物を減らす断捨離やミニマリズムといった暮らしのスタイルやノウハウではなく、大事なのは自分にとって本当に必要なものを見極め、選び取っていった先にある自由や豊かさを手に入れること。その際に大切なことは、「自分で物事を選択できているかどうか」です。

もし、あなたが何を望んでいるのか明確ではない場合は、まず「やりたくないこと」だけを紙に書き出してみましょう。ルールはシンプルです。

  • 満員電車には乗りたくない
  • 深夜の仕事だけはやりたくない
  • 土日休みの労働はしたくない
  • 上司や取引先の顔色を伺ってばかりの飲み会には参加したくない

きっといくつかの「やりたくないこと」が出てくるかと思います。何を捨て、何を残すか。この選択をまず行うことが大事であり、それさえ決まれば「実験」に移りましょう。

小さいことから、まずは実験しよう

さあ、あなたがやりたくないことが見えてきました。ではこれらをできるだけ行わずに生活するためにはどのような環境が必要でしょうか。

いきなり全てを変えることは難しいです。何を捨て、何を残すか。この選択を実行に移すためにまず行うべきアクションは「実験」です。

私は「いつでも好きな場所で暮らしながら仕事ができること」を大切にした結果、固定費や生活費の低い台湾に拠点を移しました。仕事は日本の法人との業務委託契約を結びリモートで仕事をしているので、賃金の高い日本円を稼ぎながら生活費の安い国で生活をしています。

おかげで気楽に生活できるようになりました。やりたいと思ったことでも多くの人は日々のやらなければならないことをこなしているうちに、行動に移さず、時間だけが流れてしまうケースが多いのではないでしょうか。

そこで、どんなに小さなことでもよいので、「実験」を始めてしまうのです。

海外ドラマを観て大柄でマッチョな男性に憧れたなら、とりあえず自宅や会社の近くのジムに見学に行ってみる。Instagramで美しい写真をみるのが好きで、自分でもカメラを仕事にダブルワークをしたいと思ったなら、ヨドバシカメラのカメラコーナーで専門家の意見を聞いたり、既に一眼レフカメラを持っている友人とお茶に行ってみる。

本人にとっては小さいな行動ですが、立派な一歩です。その体験は、きっと次の実験の必要を感じさせてくれることでしょう。

まとめ:変化が激しい時代に自分が一番変化できるように

ここまで「あえて持たない」という暮らしにおけるひとつの考え方を提案してきましたが、私がこのような考えに至った原体験は東日本大地震です。

いままで当たり前だと思っていた暮らしが前触れもなく突如としてなくなってしまう。もはや映画の世界よりもリアルな衝撃的な光景が目の前に広がり、あらゆる常識が通用しなくなってしまう。少し大げさかもしれませんが、このような変化が明日、急に私たちに襲いかかる可能性はゼロではありません。

経済も社会システムもあらゆる生活の基盤が大きくシフトするこの時代において、すばやく変化し適用できる自分でいるために、あなたが大切だと思う価値は何なのか考え続け、実践し、取捨選択していくことが自分らしい人生を形作っていくのではないでしょうか。

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