フリーランスに広がるパワハラの魔の手

フリーランスという働き方は自由で先進的といったと良いイメージが持たれがちですが、「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」が発表した調査(2019年7~8月実施 https://blog.freelance-jp.org/20190910-5309/)によると、

「フリーランスの6割がパワハラ、4割がセクハラの被害を経験している」

という結果になっていて、フリーランスだからこそのリスクもあるということが少しずつ明らかになっています。働き方改革の促進で会社員の働き方は守られつつある一方、フリーランスはどうなのでしょうか?

今回は、フリーランスへのパワハラや報酬未払いといったトラブルの事例と合わせて、その対処方法についても紹介します。

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フリーランスへのパワハラは○○で加速した

労働法で守られている会社員は、度を超えた過重労働や賃金の未払いといった被害を受けることは滅多にありません。最近は、企業のコンプライアンス意識も高まってきているので、上司や先輩からの暴言・暴力といったハラスメントもかなり少なくなってきているように思います。特に、2019年4月から施行が開始された、働き方改革関連法の影響で、有給休暇の義務化や残業の上限など、さらに会社員の労働環境は改善してきているといえるでしょう。

一方、フリーランスはどうでしょうか? フリーランスは会社員ではないので、労働法が適用されません。有給休暇、残業時間といった概念も、もちろんありません。つまり、労働環境や条件はすべて自分でコントロールしなければならないのです。

労働法が適用されないフリーランスは、以前から取引先である顧客から無理な依頼を受けるケースがよくありました。9時から17時までといった稼働時間が固定ではないので、夕方の依頼を翌朝までに仕上げて欲しいといったことや、とてつもない分量でもまとまった金額の契約のためなら、何日も徹夜してでも受けるというといったことを経験したことがあるフリーランスも珍しくありません。

依頼する側は、アウトプットに対する費用を支払うという契約のみであり、働き方まで約束する必要がないので、どんな難題でもフリーランスが受けるといえば、違法でもなんでもありません。さらに、報酬さえ支払わないという例も珍しくないようです。フリーランス協会が 2018 年 12 月に実施したアンケート調査によると、回答者の約70%が報酬未払いを経験し、そのうちの約40%が泣き寝入りをしているというデータもあるほどです。

報酬をクライアントから受け取ったか円グラフにしている。

参考:フリーランス協会

また、働き方改革のあおりを受けて、フリーランスにしわ寄せがきているという例もあるようです。企業は、残業時間や有給休暇など社員の環境を整備することを強いられているため、以前のように社員に残業をさせることはできません。ある大手広告代理店で社員の過労死が大きく報道され、労働環境の改善に強く関心が集まるようになりました。今まで社員に残業させてでもやっていた仕事は、今誰がやっているのでしょうか。

中には社員が家に持ち帰ったり、近くのカフェで仕事をしていたりと、いわゆる「時短ハラスメント」といわれる現象にもなっているようですが、一部の仕事がフリーランスに流れているのでしょう。フリーランスにとっては仕事の機会が増えているという良い面ももちろんあるのですが、一部の悪質な取引先から無理を要求されるケースがあるようです。

フリーランスを取り巻くトラブル事例

会社員の労働環境は改善される一方で、過酷な労働環境から守られていないフリーランス。いったいフリーランスはどんなひどい状況に陥っているのでしょうか。実際に2人のフリーランスに起こった例をご紹介します。

初月しか報酬払わない事件

あるWeb制作会社で、社外ディレクターとしての業務を請け負うことになったAさん。業務委託契約で月20万円の契約を交わしました。初月は、契約通りの支払いがあったものの、翌月、急に金額変更が。予定よりも受注できた案件が少なかったので、社外ディレクターに渡す仕事が少なかったからという理由でした。契約内容としては、案件数に関わらず、固定額になっていたものが支払いの直前に減額。

定期的に実施されるオンラインの打ち合わせでは、ひどい言葉遣いで罵倒されることもあり、他の社外ディレクターも続々と体調を崩して離れていってしまうような会社だったといいます。あまりにひどい会社なので、2カ月目の報酬減額をきっかけに契約解除を伝えると、なんとその月の報酬は減額どころか支払われることがなかったといいます。20万円は個人にとっては大きな報酬ですが、これ以上関係を続けるくらいなら、報酬をもらわず、縁を切りたいと思って訴訟などは起こさず。このような場合、「訴訟にはお金も時間もかかるから」と、諦めるフリーランスがほとんどだといいます。

21時以降、作業しないスタンスなんですか?! と詰められる事件

ある広告代理店の下請けで、フリーランスを束ねている会社と契約していたBさん。このフリーランスを束ねる社員の癖がとても強く、感情で詰めるタイプ。土日、深夜関係なく怒涛のように連絡してくる人でした。いわゆる、働き方改革のあおりを受けていたんだと思いますが、夜にかけて無理な仕事を頼んでくることが日常茶飯事。ちょっとでも難色を示すと、感情的にキレられることも珍しくありませんでした。夜、連絡が来た時に返信が遅れただけで、「フリーランスのくせに、21時以降、作業しないスタンスなんですか?!」とえらい剣幕で怒られたことも。

ある週末、無理やり新しい仕事を押し付けてきた担当者。週明けに返事をしたところ、「週末、私の連絡をスルーしましたよね」と言って、それっきり。その後、連絡してもすべて無視。勝手にチャットワークからも退出させられ、実質、クビになりました。契約書で締結していた満了月までまだあったので、「契約を交わしているので、契約解消かどうかだけでも返事をください」と送ったのにそれも無視。結局、報酬も従来の半額程度に勝手に減額されて、最後に振り込まれていたそうです。あまりにひどい会社だったので、これ以上、関わるのが嫌なのでそのままになったといいます。

暴言や無理難題といったパワハラだけでなく、契約で交わした期間や報酬を無視した、ある意味、法を逸脱する行為を受けていますが、2人とも「これ以上、こんな会社と関わりたくない」という理由で泣き寝入りをしたそうです。前項のフリーランス協会の調査でもありますが、報酬に関するトラブルがあっても、数十万円程度の報酬だと、弁護士費用のほうが高い訴訟などに費やす時間がもったいないなどの理由から泣き寝入りをする人がほとんどだといいます。数十万円でもそうなのですから、数万円程度のために、個人が法人と戦うのはかなりハードルが高いのだろう、と納得できます。

パワハラ? と思ったら、すべき行動は?

上記の例を話てくれたフリーランス2人とも共通の意見としては、度を超える厳しい要求感情的に責めるなど、どこかに「??」と感じるところがある企業は、報酬を減額したり、払わなかったりといったトラブルが起こりがちだといいます。なので、ちょっと怪しいなと思うことがあったら「すぐに離れる」という解決策が一番だと話します。怪しい企業や仕事には近づかない、関わらない、もし仕事を始めてしまってもなるべく早くに離れる。それが正解だということです。

なんともフリーランスの切なさを感じてしまうような対策ですが、フリーランスが増えてきていることで、フリーランスを守るサービスも誕生しています。例えば、報酬トラブル弁護士費用保険『フリーガル』。これは、損害保険ジャパン日本興亜がフリーランスを対象に始めた保険で、年間保険料5,000円から加入でき、無料の電話相談や弁護士を紹介、法的対応にかかった弁護士費用を保険金の支払いなどをカバーしています。

他にも、2017年に設立された一般社団法人フリーランス協会に加入すると、フリーランス賠償保険に自動加入できるため、情報漏えいや納品物の瑕疵、 著作権侵害や納期遅延など、フリーランス特有の賠償リスクに備えられるそうです。

フリーランスが受けるパワハラやセクハラに関する対策はまだまだこれからというのはありますが、フリーランス協会や「フリーガル」のようなフリーランスの報酬トラブルやリスクをカバーするサービスや仕組みが少しずつできているのは事実。。さらにフリーランスが安心して働けるよう、より良く整備されていくことを期待したいですね。

まとめ

フリーランスという働き方としてはマイノリティで、リスクがたくさんあるということが分かりました。ハラスメントや報酬未払いといった大きなトラブルまでいかなくても、はじめに契約した内容と少し違う、後出しジャンケンのように後から要求レベルが高くなるといったことも含めると、フリーランスが経験する“名もなきトラブル”は数えきれません。

しかしながら、フリーランスといった働き方をあえて選んでいる人がいるのも事実。自分で解決しなければならないトラブルがある一方で、自分のペースで働けるなどのメリットがあります。事例でご紹介した通り、契約する企業から突然契約解除をされることもありますが、逆に「この会社の仕事はもうできない」と思えば、フリーランス側から取引を辞退することも可能な場合もあります(契約内容による)。「好きな仕事だけ選んですればいい」というほどのお気楽さはありませんが、“仕事を選ぶ”という点においては、会社員より自由にできていると思います。

自由には責任が伴うとはよく言われることですが、フリーランスとはまさにそのような働き方なのかもしれません。

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