ワークライフバランスが社会にもたらす意外なものがある、それはなにか?

先日こんな場面がありました。休日に回転寿司に行ったのですが、左斜め前に座っていた親子3人のテーブルでは、お父さんが口をもぐもぐさせながらスマホでゲーム、お母さんが寿司にまったく手をつけずスマホを凝視、小学高学年の女の子だけが1人、回ってくるお皿を見つめ、ときどきそっとお皿をとってモソモソと食べていました。

お父さんは娘さんと話をしなくていいのか!
お母さんは「回転寿司なう」とかつぶやいている場合か!
娘さんは今どう感じているのか……

「心に余裕が無い」……他人の家庭にむかって、とても勝手ながらそんな言葉が頭をよぎりました。そして、やっぱりワークライフバランスって、色んな意味で必要な時代なのかもしれないぞ、とも感じたのです。

そもそもワークライフバランスって、何?


内閣府の「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」を読んだことがありますか? ざっくり言うと、

「僕らの働き方って、社会の変化に全然適応できてないよね。
誰もがやりがいとか充実感とか感じながら働いてさ、
そんでもって子育てとか介護とか、
家庭、地域、自己啓発にもしっかり時間を割けるようなさ、そんな社会にしようよ。
性とか年齢とか関係なくさ、
皆がいろんな生き方ができるようにしようよ!」

というような内容です(すみません、本当にざっくりで……)。真面目な言葉では、

  • 「就労による経済的自立が可能な社会」
  • 「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」
  • 「多様な働き方・生き方が選択できる社会」

という表現もされています。

実現できれば、本当に良い社会です。日本は現在、官民一体となってこの社会を目指している(はず)、というわけです。

ワークライフバランスは若者に支持されている

就職活動を行なっている学生にアンケートをとると、企業に求めることの上位に、必ずと言っていいほど「ワークライフバランス」とか「プライベートの充実」というワードが入るようになりました。

なぜ、ワークライフバランスは若者から支持されているのでしょう。

時代から紐解いてみると、現在の若者はバブル時代を知りません。むしろ、そんな時代が崩壊したことをよく知っています。私生活をないがしろにしながらあくせく働いた世代が、バブル崩壊やリーマンショックを前に、なす術もなく失業していく場面を学んだり、目の当たりにしてきた、そんな世代とも言えます。

そんな彼らが、会社に尽くして、あくせく働くことに価値を見出せなくなったのは、自然のように感じます。それよりも心の充実が欲しい、家族と過ごしたい、自分らしく生きたい……! そう考えてワークライフバランスを支持することは、彼らにとってみれば、至極当たり前なのかもしれません。

では、海外はどうなのか

ワークライフバランスを重要な政策として取り上げている国にドイツがあります。筆者はドイツ人の親戚がいるので、渡独したときにドイツの保育園に甥と姪を迎えに行ったことがあります。
平日の真昼間でしたが、多くのお父さんたちが私服で迎えに来ていました。これには随分と驚きました。そして、うらやましく思いました。

ドイツについて色々と調べてみると、

  • 子供が満3歳になるまで36カ月分、育児休業を請求できる
  • 連続2週間の休暇も当たり前、むしろ休暇は連続して与えなくてはいけない
  • というか、ドイツ人は休暇が好き
  • 年次有給休暇は大体の会社が30日、有給消化はほぼ100%
  • 有休と病休は違う、有休とは別に病休をとってよい
  • 取引先に電話したら、担当が数週間休みと言われる、でも普通のこと
  • それでも社会は回り、経済も回る

日本とは随分と違うものです。
あるドイツ人のインタビューを読んだら、「私の働き方で、過労死なんてありえない」と答えていました。そうなんだろうな、と納得します。

それでいてドイツは、日本よりも生産性が高い。平均労働時間は日本と比較して約20%短く、国内総生産は日本の約1.5倍だそうです。

「生産性」と「ワークライフバランス」のメリハリある関係。仕事を合理的にそして効率よく行なうからこそ、しっかりと休み、しっかりと休むからこそ、さらに仕事への集中力が増す。

ドイツには、現在の日本が参考にすべきポイントがあるように思います。

さて、日本はどうする?

と、調子よくここまで記事を書いていたら、いままさに、また過労死のニュースが流れていました。きっと皆さんも、またか……という思いではないでしょうか。

日本の過労死は海外でもニュースになると聞きますが、海外には過労死に当てはまる言葉が無くて、”Karoshi”とそのままニュースで読まれているとも聞きます。

日本は本気でワークライフバランスを実現していくために、根本的に意識を変えなきゃいけない時期が来た。これは間違いないようです。

企業は何から始めたらいいのでしょう。よく言われる意見をまとめますので、ヒントにしていただければと思います。

有休をまとめて取得する制度(しなくてはいけない制度)を作る!

そもそも日本人は休むことが悪いことと思ってしまっています。これではワークライフバランスは遠い夢です。
人生でもっとも大切なものが家族であったり、健康であったりしたら、休むことは悪いことではありません。むしろ休むことで人生は充実します。さらに、休むからこそ、仕事に集中できる。自分を高められる。そう考えるべきです。
企業が長期休暇取得制度を作ることで、休みへの罪悪感を無くし、仕事へのモチベーションを高め、ついでに優秀な人材を呼び込む会社の採用力に活用する。そんな状態を本気で目指してみませんか。

労働時間が長い人こそ貢献度が高い人、という考え方をバッサリ捨てる!

まさに昭和の発想! でも、平成も29年となった今、まだこの考えから抜け出せない方が多くいます。御年配の経営者や管理職に多いのかと思ったら、意外と40歳前後の管理職でもこの考えから抜け出せない人がいました。ご本人はまさにワーカホリックでした。
いまの時代は、効率よく結果を出している人こそ貢献度が高い人です。この考えを確固たるものとしたときに、ようやく私たちはワークライフバランスのスタートラインに立つのではないでしょうか。

残業前提のスケジュールを捨てる、部下の残業時間すらコントロールできない上司を捨てる!

朝、一日のスケジュールを立てるときに、すでに残業を組み込んでいませんか? もう、それが癖になっていませんか?
当然ですが、残業を前提にスケジュールを組んでいては、残業が減るわけがありません。
本人の責任もありますが、かなりのシェアで上司の責任でもあります。ある会社では定時を過ぎると、突如マネージャーが立ち上がって、「おーい! 残業するなよー! 早く帰れよー!」とフロア中に叫んで回っていましたが、そんなやり方で効果が出るわけありません。みんな聞こえていないフリをして、マネージャーが怒って「帰れよ!」と叫ぶと、ようやく書類を鞄に詰めて会社を出ていきました。マネージャーはドヤ顔ホクホク顔でしたが、その後部下はファミリーレストランで仕事の続きをしている。残念ながら、滑稽な風景でした。

上司は部下の残業を強制的に無くそうとするのではなく、コントロールをすべきなのです。朝の時点でスケジュールに残業を組み込まないようにし、残業が発生していたなら、原因を見つけて改善すべきです。決して力ずくで抑えるものではありません。

残業自体が悪とは思いませんが、コントロールできていない残業は悪と考えてよいでしょう。

※余談ですが、ワークスイッチコンサルティングが2017年8月に発表した調査結果では、若者にとっての理想の上司は「残業ゼロで成果を出すタイプ」だったそうですよ

あわせて読みたい…「効率アップ!仕事がデキる人のスケジュール管理術」はこちら

会議を捨てる! 飲み会を捨てる!

生産性を語るときに、必ず問題視される「会議」。会議はどんどん捨てましょう。これだけコミュニケーションツールが発達している時代に、本当に必要な会議って幾つあるのでしょうか。実は1つも無い可能性もありませんか?
ついでに「飲み会」もどんどん捨てましょう。会社の飲み会って必要ですか? 会社の飲み会が楽しいのは、部下の前で威張って説教したり武勇伝を語ったりする上司だけじゃないですか? 本当に会社の成果を考えるなら、部下は会社の上司とお酒に行くよりも、早く退社して気の合う友人とお酒を飲んだ方が、よっぽど心身共にリフレッシュして、翌日からまたパフォーマンスが上がりませんか?

「全社一丸」という考え方を捨てる!

全社一丸という考え方は、往々にして個々のフットワークを重くします。結果的に、ワークライフバランスは遠のきます。
副業やリモートワークやサテライトオフィスが当たり前になっている時代において、全社一丸は時代の流れに逆行してる面もあるのです。そうではなく、「個」を最大限に認めつつ、多くの「個」がゆるやかに繋がり同じ方向に向かって進んでいく状態、それが今の時代のベストです。

「ワークライフバランスの実現」についてのまとめ

ワークライフバランスの実現は、社会にとって大きなチャンスです。

ワークライフバランスの実現によって、社会に心のゆとりが生まれれば、人はもっと本来直視すべきこと、親とか家族とか自分を磨く時間とか、自分にとって大切なこととしっかり対面していけるでしょう。結果、それが社会の活力になるはずです。
さらに、これからは高齢化社会。想像以上にいろいろなことが変わります。例えば、ただ町を歩いているだけでも、道にはゆっくりと歩く人々が増え、体力が無くて休んでいる人や急に具合が悪くなる人が増え、コンビニに寄っても居酒屋に寄っても、シニアの店員さんがオーダーを受けていて、やっぱり動きがゆっくりだったり聞き間違えたりする。そんな時代になるのです。
そんな時代に、心に余裕が無いことでイライラしているようでは、結局誰も幸せにはなれません。
未来を見据えたときに、企業は「うわっ、労基署が来た! サービス残業がバレた!」とか言ってる場合じゃなく、働いている人も「生産性、生産性ってうるさいなぁ…」とか愚痴ってる場合じゃなく、根本的な意識を変えてワークライフバランスに取り組むべき、心のゆとりと向き合うべき、結果、「個」を認めあう働くことが楽しい社会になると言えます。

効果的なマネジメントの処方箋

組織の潜在能力を引き出してビジネスを成功に導くためには、タスクや時間、そして人に対して、適切なマネジメント(管理)を実践することが必要不可欠です。
しっかりとした方法論に則って、効果的なマネジメントを実現させましょう。

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