上手くいかないフリーランスこそやるべき、撤退ラインの設定

「フリーランスになったものの仕事も収入も少なく、好きな場所で働けるといった目標が達成できない」という人も多いでしょう。

そこで大事なのは、その状況に合わせて自分の生活レベルや行動範囲を限定してしまうのか? それとも一度撤退するのか? という選択をすることです。

筆者個人の見解では「撤退ラインを設けてそれを切ったら潔く諦める」というのは非常に重要です。それは逃げではなく再度挑戦するための準備期間と捉えます。

この記事では撤退ラインの必要性と筆者個人の撤退ラインの設定の仕方について詳しく解説していきます。

フリーに転身しても上手くいっていない人は非常に多い

「働き方を変えたい」「収入を増やしたい」「仕事以外の時間も増やしたい」という希望を持ちフリーランスになる人が非常に多いです。しかし満を持してフリーランスになっても、実際の思い描いた生活にはならない人がほとんどです。

日本政策金融公庫のアンケート調査を見てみましょう(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings180322.pdf)。

フリーランスが調査で回答している自身の収入を見てみると、約5割が年収300万円未満となっており、それについて「かなり不満・やや不満・どちらともいえない」と回答している人が8割にもなります。そして将来に対しても「大きな不安を感じている・不安を感じている」と回答した人が約6割ほどいます。収入に関しては満足感を持っているフリーランスはごく僅かということがわかります。

一方で、私生活と仕事の両立に関しては「かなり満足・やや満足」と回答している人が約5割ほどいます。収入が少ない分、仕事以外の時間をも確保できていることが分かります。

僕も実際にフリーランスをしていて実感しているのは、フリーランスの社会的信用のなさや仕事の不安定性からしても、収入をきちんと確保した方が結果的にできることも増えることです。さらに、やりたくないことを外注したりでき時間も作れるので、フリーランスという生き方に対する満足度も上がるのではと考えています。

徹底ラインはなぜ必要なのか?

アンケート調査や僕個人の実体験を通しての見解から言うと、フリーランスという生き方に関してはある程度辞める線引きが必要だと考えています。その理由は大きく3つです。

  • 仕事がないとやる気もスキルも下がり持ち直すのが大変
  • 貯金の食いつぶしは精神的負担が大きい
  • 日銭を稼ぐためにスキルの付かない仕事をし出したら本末転倒

詳しく解説していきます。

仕事がないとやる気もスキルも下がり持ち直すのが大変

フリーランスは仕事を獲得して納品してお金を回収する、この1つの流れをたくさん経験するほど成長していきます。これは会社員として出社して決められた時間仕事をすれば基本給+残業がもらえる報酬形態とはまったく違います。

自分のスキルの高さや業務範囲の広さなどで報酬の交渉も簡単にできるうえ、実際にそれが反映されやすいので、モチベーションはどんどん上がります。

しかし、それは「仕事がある」状態を続けられるかに掛かっています。もし仕事がない状態が続くと、現場でのスキルアップの機会を失う上に仕事を取ることのやる気もなくなっていくでしょう。

こうなると立て直すのが非常に難しくなります。そうなるとフリーランスとしての活動どころか再就職へのモチベーションもなくなる可能性があるので、その後のキャリア形成に大きな障害をもたらします。

貯金の食いつぶしは精神的負担が大きい

仕事がない=収入0になるのがフリーランスの世界です。そうなると毎月生活費分が赤字となり貯金を食いつぶしていきます。この状態に陥ると精神衛生的に非常にダメージを与えます。

仕事があり収入がある状態であれば、更に自分の報酬を単価を上げる自己投資をしたり、営業活動のために動き回ったり食事に出たりすることができます。この状態は稼いだお金を使い、更に大きな成果を得るための非常に効果的な循環に入っていけます。しかし、収入がないとそれをするためのお金を捻出できなかったりするので、よりお金を稼ぐタネを失ってしまうのです。

ただ貯金を食いつぶす状態になるので、フリーランスはひと時たりとも仕事を失ってはいけないのです。それくらい厳しい働き方だということは改めて認識しましょう。

日銭を稼ぐためにスキルの付かない仕事をし出したら本末転倒

仕事がなくなったらバイトをすればいいという意見もありますが、それではフリーランスになった意味はほぼないでしょう。仮にそれが本業につながる仕事であれば別ですが、みなさんが考える一般的なアルバイトは時間の切り売りです。そのため、フリーランスとして自分のスキルや価値で仕事と報酬を得ていこうと考えている方にとっては、意味のないことです。

本来はそういった時間にスキルアップや営業活動をするべきなんですが、収入がないと不安になってしまうのでつなぎのためにアルバイトをしてしまいます。しかしそれがかえってフリーランスとしての収入の獲得を遠ざけているのです。

アルバイトが必要になりそう…という人は今一度フリーランスとして活動を続けるかどうかを考え直してみてください。

筆者自身の徹底ライン

ではここで筆者自身の撤退ラインを紹介します。僕の現状を簡単に説明すると

  • フリーランスとしては3年目
  • 業種はWebマーケティング全般
  • 台湾在住で妻子持ちの27歳
  • 月収は同世代の3〜5倍程度

こういった状況で僕の撤退ラインは「年齢」と「収入」です。

29歳までに再就職(年齢)

僕自身、フリーランスとしての活動は29歳までと決めています。理由は30歳以上になると、社会や企業から求められてくることが変わってくるからです。

この図はアメリカの経営学者でハーバード大学教授のロバート・カッツ氏が提唱した、それぞれの役職に必要なスキルを表した図になります。

この図はアメリカの経営学者でハーバード大学教授のロバート・カッツ氏が提唱した、それぞれの役職に必要なスキルを表した図になります。

フリーランスの多くの仕事が最下層のテクニカルスキルを求められるものになります。この領域は主に20代がメインになります。なぜなら伸び代やスキルの習得・飲み込みが早いのと報酬が比較的安いからです。

僕自身、多くの会社やフリーランスの人と仕事をしていますが、上手にキャリアチェンジをしている人はスキルを付けつつ徐々に自分が手を動かすのではなく、人を動かす中間管理職層に移っています。そして、フリーランスで中間管理職的なポジションで仕事をしている人は案件は少ない代わりに、1つ1つの報酬単価が高いです。そうすることで自分の業務を減らし時給単価を上げつつも、その仕事に欠かせない人という存在になっていき仕事を安定させています。そしてそういった人の多くが企業でのマネジメント経験が豊富な人がほとんどです。

僕自身そういった経験は少なく、実際にそこに入ろうとしたときに同じ30代に勝てる見込みは薄いと自己分析しています。

今の働き方とはまた違ったフリーランスとして戻ってくるための投資期間として、20代のうちに再就職は必須だと考えています。しかし今の仕事を副業化するということも考えているので会社員+フリーランス的な働き方になると思います。

月収50万円以下が3ヶ月続いたとき(収入)

29歳までの再就職をもっとも遅い撤退ラインとしていますが、それ以前に月収50万円以下が3ヶ月続いたら、辞めるとも決めています。この数字は僕が転職エージェントに相談しにいったときに僕に提示された年収の平均が500万円で月収にならすと42万円程度になります。ボーナスなどあれば月収自体はもう少し下がり35万円程度になるでしょう。

フリーランスは社会的信用が低いので、自己防衛のためにはお金を稼ぐしかありません。正社員より1.5倍くらい稼げてとんとんと考えているので月収50万円が最低ラインです。

最初の紹介した調査では年収300万円未満が5割にも上ります。なので月収50万円はその倍になるので相当難しいように感じますが、ありがたいことに僕の場合はクリアしています。収入での撤退ラインを設定する際には自分の市場価値やどの程度の生活レベルを維持したいかなど、客観と主観の両方からみるとよいでしょう。

まとめ

フリーランスは会社員より拘束が少ないうえに、より稼げるチャンスもある働き方です。しかしそんな夢を持って挑戦しても簡単に達成できないことは、調査結果で判明しています。その際に大事なのはどこで諦めるかの線引きを設けることです。ダラダラ先延ばしにすることが一番危険です。

今後はより改革が進み会社員でも柔軟な働き方が実現するでしょう。例えば常時リモート勤務やフレックスタイム制度など。そうなると会社員の仕事の安定性とフリーランスの自由な働き方といった両方のいいとこ取りができるかもしれません。しかしそういった条件を手に入れられるのは、力のある人間だけです。

そういう未来を予測しながら、自分のキャリアについて改めて考え直してみましょう。

フリーランス必見です。上手くいかない時、撤退ラインを決めた方がいい理由
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