「これ面白そう!」と感じたら挑戦してみよう-複業・川上ゆりかさん

リレーインタビュー連載『私の仕事が変わった瞬間』。本連載では自分らしい働き方の実践者たちへのインタビューを通して、今後の日本の働き方がどう変わっていくのかを探っていきます。「現状を変えたい」と日々もがいている若きビジネスパーソンの皆さんにとって、今後の生き方を考えるヒントになれば幸いです。

今回取材をさせていただいたのは、本業の傍ら、複業(※)としてセミナーやイベント運営などで活躍されている川上ゆりかさんです。複業を始めるまでの経緯やその魅力、また川上さんが働く上で大切にしている価値観や考えをお聞きしてきました。

※複業とは、 本業以外の仕事で収入を得る副業とは異なり、本業として別の業種の仕事を2つ以上兼務している状態を指します。

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川上ゆりかさん

1980年生まれ。

約12年間ほど出版系の会社に勤務。制作会社を経て、2018年からは株式会社エリクシアに勤務し、医療+心理+経営を組み合わせた新しいサービスの業務設計やプロジェクトマネジメントに従事。
2017年7月から日本最大級の人事コミュニティ「一般社団法人グローバル人事塾」で理事会メンバーとして、人事勉強会の企画・運営に、2017年8月からデジタルクリエイター協会に運営メンバーとして勉強会の企画・運営に、2018年10月から最新アニメの“ゼロ話切り”撲滅企画「僕たちは新作アニメのプロモーション映像を3時間かけて一気観したらどのくらいつづきをみたくなるのだろうか?」(通称「つづきみ」)に運営メンバーとして携わる。
ジャンルにこだわらず「面白そう!」と感じたものは個人主催で年間約5回ほどイベントを開催する。

自分にできることは何か、というシンプルな問いから複業に踏み出した

元リクルートの社員として本業一本の生活をしていた川上さん。リクルート時代も、仕事は楽しく、とても充実していたといいます。その後「もっと新しいことに挑戦したい!」という思いを持ち、リクルートを退職して上京を決断。何のツテもない、全くのゼロからの東京生活をスタートさせました。現在では、セミナーやイベントの運営を中心に、様々な活動をされている川上さんですが、そもそも複業をはじめるに至ったきっかけは何だったのでしょうか。

私は、制作会社へ新規事業の⽴上げに携わる予定で転職したのですが、 その事業がたった1年足らずで頓挫してしまいました。この事業でショールームとして使う予定で作られた、 設備もバッチリ揃った着席40⼈程度のキャパを持つ場所も、 使⽤されることが無くなってしまったんです。

会社としても「今の状態をなんとかしたい」という状況でしたし、 ⾃分⾃⾝もやるはずだった仕事が無くなってしまったので、次に何かやれることは無いかと探していました。そうなれば、せっかく設備があるのだし、 そのショールームを使⽤して「誰かを招いて出会う場・学べる場」を作ろう︕ という思いから始まったプロジェクトなんです。

その後は、利⽤を希望される⽅のお話をお聞きし、⾯⽩そうだなと思った⽅にお貸しして講演や勉強会を開く、といった活動を⾏っていました。 最初は会社の仕事の一部として活動していたプロジェクトでしたが、これがのちに私が複業を始めるきっかけになりました。

複業のイベント運営では、本業ではできないさまざまな経験を積むことができた

最初は、会社の仕事の一部として活動していたものが複業へとつながったという川上さん。そこから、ある団体が運営しているイベントに参加することで、イベント活動の幅を大きく広げていきます。川上さんはこれまでさまざまなイベントに携わった中で、それぞれのイベントには違った魅力があるといいます。

私が行なっている複業は大きく2つに分かれています。1つはすでに活動している団体に参加して運営や企画に携わるもの。もう1つは、私自身がイベントを主催しているものです。

団体のイベント活動から複業の幅が広がった

東京・大阪で経営層や人事向けの勉強会を開催する『グローバル人事塾』という団体があります。私は元々この団体に会場をお貸しする側として関わっていました。

会場をお貸しする側ではありましたが間近で活動を見ていたこともあり、講師の方のお話やグローバル人事塾の活動自体に強く興味をもちました。次の回では、参加者としてイベントに参加したのですが、前回が会場側だったこともあり、気づいたら会場の片付けなど運営のお手伝いをしていました(笑)。それがきっかけとなり、運営を一緒にやらないかというお誘いを受け、グローバル人事塾の理事メンバーのひとりとして活動するようになりました。

このご縁があったことで、自分がこれまで知らなかったこと、踏み入れてこなかったことへ、一歩踏み出すことができたなという実感があります。その実感とともに、講師の方や参加者の方々との交流も増え、一気に人脈が広がりました。人脈が広がったことで、他のイベントにもお誘いがかかるようになり、複業の活動の幅も広がりました。

グローバル人事塾HP:https://www.global-jinji.org/

働き方を学べる場所や交流の場を提供したい

次に私が複業として、企画・運営に携わることになったのが『デジタルクリエイター協会』です。会場の貸し出しでご紹介を受けたのがきっかけです。活動内容は、個人で活動する「事業主クリエイター」を支援していくコミュニティで、勉強会などを開催しています。

クリエイターの中には「フリーランスとして頑張りたいけど、まず何から始めればいいのかわからない」「フリーランスになったはいいけど、収入が全然伸びなくて困ってる…」といった方も少なくなく、そうした方々に向けた「働き方」を学ぶ場や交流の場も作っています。私はデジタルクリエイター協会のイベントを通し、クリエイターの方々が活き活きと働けるよう、サポートできたらなと思っています。

それぞれのイベントで、それぞれの良さがある

グローバル人事塾とデジタルクリエイター協会は、同じ講演型のイベントですが大きく異なる点がありました。『デジタルクリエイター協会』のイベントでの講師は、イラストレーターなどクリエイターが中心で、「話をすることに慣れていない方も登壇する」という点です。

そういった場合は、講師を務めてくださるクリエイターの方々と一緒に、議論を重ねながら、みんなで1からイベントを作り上げていきます。ヒアリングをしていると、「クリエイターの当人にとっては当たり前のことが、他から見ると新しい発見だったりする」というようなことがよくあります。その人しか知らないことや経験したしたこと、もしくは誰もが通ってきた道だったりを掘り起こした内容が、イベントの面白さに繋がったりします。この感覚はデジタルクリエイター協会での活動ならではの魅力のひとつであり、価値のある時間や機会を提供できているのだと思います。

デジタルクリエイター協会 HP:https://digitalcreators.or.jp/

複業は忙しいこともあるけれど、楽しいから続けられる

複業で所属している団体での活動は、多くの方が本業と団体での活動を掛け持ちしています。そんな中で、先々の企画、テーマや講師の選定、会場の確保、受付や問い合わせ対応、当日の準備や運営など、たくさんの業務をそれぞれができる範囲で受け持ちながら、準備やイベントの開催をしています。仕事とはまた少し違いますので、イベント当日を迎えるまでのいろんな業務は大変だと感じる場面ですね。

とはいっても、複業はプラスに働くことも多く、いまも楽しく続けることができています。自分一人ではなく、イベントに関わるさまざまな方と一緒に一つのものを作り上げていくことで、これまで知らなかったことを知るきっかけになったり、新しいことに興味が出たりすることは、複業をしているからこそできた経験なのかなと思っています。

自分で主催するイベントは趣味に近い

川上さんはご自身でも多様なイベントを主催されています。既存の団体の運営に参加する場合と違って、自分の好きなことを中心に活動することが多いそうです。具体的にどのようなイベント開催しているのか、聞いてみました。

感動をモチベーションに「クラフトビール」の醸造イベントに挑戦

最近は「クラフトビールづくり」のイベントを開催しました。

私の知り合いに、会社で醸造免許を取得した方がいまして、昨年12月に醸造したビールを飲ませてもらえる機会があったのがきっかけです。「ビールって自分でも作れるんだ!」と感動し、「ビール作り」をテーマにイベントを開催しようと思い、その後すぐ取り掛かり、実際にイベントを開催しました。

このイベントは、工程に沿って大きく3回にわけて開催しました。1回目はどんなビールを作るのかというコンセプトを決め、2回目は決めたコンセプトに沿ってのビールの仕込み。醸造協力を得て、実際に麦芽を煮出して麦汁を作るところから体験してきました。ビールづくりは、シンプルながらも、選ぶ材料や配合によって大きく味や見た目が変わるので、とても自由度が高いことを知りました。

3回目はでき上がったクラフトビールをみんなで飲む会です。約3ヵ月と少し期間の⾧いイベントではありましたが、とても有意義なイベントとなりました。またこの一連の工程は、「研修にも使えるかもしれないな」という気づきもありました。最後はみんなで、イベントの成果であるビールを飲めるので、もし開催したら楽しい研修になりそうです。

「解説付きオペラ」で、オペラの楽しさをシェアしたい

オペラと聞くと、ハードルの高いイメージを持っている⽅も多いかもしれません。 私も少し前までは⾃分とは遠い存在に感じていました。

オペラ歌手などで活動している知り合いから、実はオペラって昼ドラマみたいなドロドロしたストーリーの作品も多いと聞き、興味を持ちました。自分がそうだったように、オペラに馴染みが無くてもわかるように、きちんとした説明があれば「面白い!」と感じ楽しんでもらえるのではないかと思ったのです。そんなことがきっかけで、知り合いと一緒に「解説付きオペラ」を開催することになりました。

解説を聞きながらオペラを観劇すると「このストーリーってこういう内容だったんだ!」とか「この歌、メロディーは綺麗なのに、歌詞はこんなにドロドロしていたの…。」というような新たな発見が得られます。このイベントを通して、オペラを好きになる人が1人でも増えてくれたらいいなと思いながら活動を続けています。

発見や学びの場を作りたい

現在は、自分が所属する団体のイベントや個人主催のイベントだけでなく、これまで活動してきた中で知り合いになった方々のイベントに参加することも増えてきました。

クラフトビールの醸造イベントや解説付きオペラのように、自らが主催するイベントについては、参加者の方々に「〇〇って、こんなに面白いんだ!」という新しい発見や学びの場が提供できるといいなと思っています。

「つながり」や「出会い」によってコミュニティが広がった

川上さんは、複業を始めてから、自分の人生の変化を感じた瞬間があったといいます。複業をする魅力とともに、その時の思いを語っていただきました。

多くの活動を行なうなかで、プロジェクトの成功による「達成感」と、協力して何かを作り上げることの「楽しさ」を強く感じるようになりました。

複業をはじめてもっとも感じた変化は、「つながり」が増えたことです。リクルートに勤めていた時は、社内でのつながりがほとんどでしたが、複業を始めてからは、普通に生活していたら出会わないような方々とお会いできることも増えましたし、会社内に留まっていては、絶対にできなかったであろう経験もたくさんさせて頂きました。

イベントで出会った方々のなかには、いまでもつながりのある方が多く、プライベートでのコミュニティも大きく広がりましたね。コミュニティが広がることで、新たにイベントを見つけたときに「この人も参加しているから自分も参加してみようかな」とか「あの人も誘って一緒に行こうかな」と思えるようになり、活動の幅がどんどん広がっていくのを感じています。

「これ面白そう。」という、心の動きを大切にする

上京後、仕事もなく、ゼロからのスタートだった川上さん。そんな中でも自分のなかにある「直観」に従って行動することで、つながりを広げ、活動の幅を広げてきたと言います。

自分の「価値観」を持っておくこと、そしてそれを認知しておくことは、自らが行動する基準として役に立ちます。自分の「価値観」が把握できていると、「今自分が何をしたいのか」や「何を大切に生きていきたいのか」という軸に沿って、ものごとを直観的に判断することができるようになります。

私自身も「これ、面白そう」とか「気になる」といった、自分の心の奥底からでてくる「素直な気持ち」に従って積極的に行動することを大切にしています。

複業の魅力は、自分の中にいくつかある「好きなこと」を自由に歩き渡れることにあります。ある仕事が大変な時は、自分が所属している別のコミュニティに顔を出して、仕事のポートフォリオのバランスを整えるのです。そうすることで、気持ちをリフレッシュすることができ、モチベーションを保つことができます。ときには、面白くなくてもやらなくちゃいけない仕事もありますが、それ以外の時間はすべてあなたの「自由」です。

若い世代に向けてメッセージ

10代~20代って体力も気力もあり余っているので「やりたいことを、ひたすら挑戦していくこと」が大切だと思います。

大人の人たちからは「この先どうしていきたいの?」とか「5年後を考えた方がいいよ」なんて言われることが多いですよね。でも実際「そんなこと聞かれてもわからない」という方もいると思います。私も10代、20代の時はやりたいことなんてなかったし、そもそも自分の将来を考えることがとても苦手でした。だからこそ私がいまの若い世代に伝えたいことは「無理して将来のことを決める必要はない」ということです。

現在は「若い時に積んださまざまな経験が、結果的に自分の人生にとってプラスにはたらく」なんてことは多いです。無理して「やりたいこと」を決めるよりも、まずは目の前の「面白そう」「興味あるな」「誘われたから行ってみようかな」みたいな些細なきっかけからトライしていく。そういったスタンスで生きていれば、自然と自分のやりたいことが切り開かれていくと思っています。

インタビューを終えて

現在は、パラレルワーク(複業)や副業など多様な働き方が認められる社会になりつつあります。これは言い換えれば「やりたいこと」に挑戦しやすい社会とも言えます。

大学生の私は、よく周りから「将来は何をやりたいの?」とか「やりたいこと決めた方がいいんじゃない?」といった声を聞くことが増えたような気がします。そんななかで、私は自分の将来のことを明確に決めることができないことに半ば不安を感じていました。きっと同世代の人には、私と同じように「自分の将来」について悩んでいる人は少なくないでしょう。

インタビューを終えて、印象に残った川上さんの言葉があります。

自分の中でやりたいことがどんどん変わっていくのは当たり前。

「やりたい!」と思ったら、1歩踏み出してみること。その勇気が大事。

この言葉で、私は少しだけ気持ちが楽になりました。

今回のインタビューで、現代は自由な働き方が認められつつあり、自分の価値観に即した「自分らしい生き方や働き方」が実現できるということを学ぶことができました。この記事を読んだみなさんが「挑戦したい」という自分の思いに素直になって、一歩を踏み出せるきっかけになれば嬉しく思います。

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