就活生が、なつよさんに『人生』について聞いてみた。

こんにちは。チームハッカーズ編集部 インターン生の吉村です。

21年卒ということで、現在絶賛 “就活”中。季節も次第に秋めいてきて「そろそろ就職先を考え始めなきゃ…」と焦りを感じているのですが、なかなかピンとくる志望業界がなく決めきれない…という日々を過ごしています。

そんな中、ある日私がぼんやりとTwitterを眺めていたとき、ふと1つの疑問が思い浮かびました。

――『私がフォローしている、納得できる働き方を見つけて活躍されているように見える方々。一体、どんな経験を経て現在のお仕事を見つけたのだろう?』

このような経緯から、SNSにて発信をされているなつよさんに、これまでのキャリアや仕事に対する価値観についてのお話を伺ってきました。

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なつよさん

今回お話を伺ったのは、陳暁夏代(ちんしょう なつよ)さん。日本と中国のバックグラウンドを持ち、現在フリーランスとして日中双方の企業に向けた課題解決・進出支援等をされています。また2018年以降は、ご自身のTwitterアカウントで中国トレンドの情報発信をされていました(Twitter:@chinshonatsuyo)。

本日は、どのような人生を経て現在のキャリアに至ったのか、そして働くことに対してどのような価値観をお持ちなのか、お話を伺いました。

10年間のキャリアを紐解いてみる

【2010~2013年】卒業後、大好きなエンタメ業界で働く

――本日は宜しくお願いします。早速ですが、まずはこちらの表を書いていただきたくて…(紙を取り出す)

なんかすごいの出てきた!病院の検査みたいですね!! (笑)

――この表に、なつよさんのキャリアヒストリーと、その時々のモチベーションの上下を書いていただきたいんです…!

ええ~!初めてです、こんな難しいインタビュー…(笑)

――無茶言ってすみません…(汗) お話ししながら書いてもらえたら嬉しいです!

まずは、初めて働き始めた時のお話を聞かせていただけますか?

私は上海の大学に入学後、2年で大学の単位を取り終え、2010年頃から働き始めました。最初は中国に来ていた日系企業の手伝いや、イベントの通訳や司会の仕事をしていました。また2012年頃からは、芸能事務所でイベントの企画・運営や、社長秘書も担当していました。このように、私のファーストキャリアは割と自由だったと思います。

――最初にエンタメ業界を選んだきっかけは何ですか?

純粋に人間の熱狂を肉眼で見るのが好きだからです。商品を売る場合だと、アプリのDL数や売上など定量的なデータでの計測がメインで、直接ユーザーの感想を見聞きすることは少ない。でも例えばイベントの場合、お客さんが笑ってる顔を見れる。C(顧客)側の感情の起伏や熱量を間近で感じられる方が、私は嬉しいんです。

――20代前半の頃と今とで、仕事に対する考え方に違いはありますか?

あまり変わっていなくて、人生ずっと「C側の目線でいること」を意識しています。学生の頃からイベント等のお手伝いをしていますが、結局「売れるもの」「売れないもの」の分別って、ユーザーが求めているかどうかなんですよね。ユーザー起点で考えたものは売れるし、クライアント起点のワンマンで考えた物は売れない。

だからフリーで仕事をしている今も、仕事を受ける基準として「会社視点ではなく、ユーザー視点で可能性があるか」を考えています。私は自分のセンスを信じているので、依頼の時点でどれだけ手を加えても「ウケない」「見込みがない」と思ったものは引き受けません。

そういうものよりも、ユーザー起点で、ちょっとした工夫を加えることでバズを生むようなものの方が、私自身やっていて楽しいし、結果も出るんです。

恐らく私は、リアルを追求したいんだと思います。例えば『企業側は流行っていると言っているけど、街で誰も使っているのを見たことがない』ようなものには全く興味がなくて、『街で女の子が全員タピオカ持っている』というような現象を観察してる方が楽しいんですよね。

【2014~2017年】日本の広告代理店へ。営業職志望だった理由

――ファーストキャリアは上海が拠点でしたが、なつよさんが日本で働くようになったのはいつからですか?

2013年頃勤めていた芸能事務所が倒産した時に、これを機会に10年ぶりに日本に帰ってみようかなと思いました。そして、2013年に日本の広告代理店に入社しました。2017年の夏に辞めるまで約4年間は「広告屋」の仕事をしていました。

フリーではなく会社に入ったのは、一歩俯瞰したレイヤーからエンタメ業界を見れると思ったからです。最初のキャリアだと現場を作る側だったので現場の目線でしか物事を見ることができなかった。一度会社組織の中に入って、企業からの視点で世の中のビジネスの動きを見たかったんです。

――広告代理店では、どのようなお仕事を担当されていましたか?

私は営業志望で入社したんですが、プランナー配属になってしまったので最初の3年はクリエイティブやマーケティングの仕事をやっていました。4年目にようやく異動でき、1年営業を経験してから辞めました。

――広告代理店はクリエイター志望の方が多いと思うのですが、なぜ営業職志望だったのですか?

その質問自体が広告業界の膿だなと長年思っています。

縦割りで組織編成が作られている以上、営業もクリエイティブも平等に功績を果たしているんですが、世に出る社員は作品受賞も含めクリエイティブの人間ばかり。仕事自体は受注からアウトプットまでの一連の作業を手分けしてやっていますが、アウトプットの部分しか世の中に触れないので、どうしても世間からはクリエイターしか認識されないんですよね。

結果的に「広告代理店といえばクリエイター」という認識が強いですが、社内にいても「優秀な営業なくして、優秀なアウトプットは生まれない」と感じていました。

私に関して言うと、海外にいて世界中のクリエイティブを見た結果、クリエイティブによるユーザー評価はかなりその国の文化とその国の時流に紐づくと思っていました。日本で生涯を過ごす事は考えていなかったので、広告代理店でのクリエイティブ職は一時的な経験の場と捉えており、“日本流”の考え方だけ学べればよいと思っていました。

また、クリエイティブにおける思考回路は既に自分が持っていると思っていたので、どちらかというと日本社会における商習慣やクライアントからの金銭の流れなど、よりビジネスよりのノウハウを学びたかったんです。

広告代理店の強みは、幅広い業界に携われることです。特に営業職はビジネスの全体像を見られるので、今後別のビジネスを展開していく際に、もっとも応用度が高いと思いました。お金のコントロールやクライアントとの窓口を担当するポジションにいて、「クライアントが何に悩んでいるのか」「どんな仕事が求められているのか」が知りたかったんです。さらにそのお題に対して社内のどの部署にどう仕事を割り振るか、どのクリエイターをアサインするかも全て営業が取り持っています。センスのいい営業ほど優秀な人はいません。

私はそれ以前に中国で仕事をしていた経験があったり、一つの業界に固執していなかったので、周りの人とは少し考え方が違ったんだと思います。

【2018年~】個人事務所を設立。再びフリーランスへ。やりたいことを貫く主義

――退社後は、もう一度フリーに戻られたんですね。

2017年に広告代理店を辞め、法人を設立しました。基本的にはコンサル業務の依頼を受けています。2015年頃の中国ブームから個人宛に知人からの問い合わせも増えたので、これまでの経歴を活かし、日系企業の中国進出など日中間の仕事のやり取りをサポートしたいと思いました。

――なつよさんに仕事の発注が来るのは、どのような理由からだと思いますか?

「忖度しない」ことが、クライアントにウケているんだと思います。「これだと市場にあっていない」「誰が一体ターゲットなのか」など、C側の目線に立って本音だけを言っているので、それを見てもらって発注してもらえていると思います。

――とてもかっこいいですね。私自身、口に出しづらいことをなかなか言えないんですよ…。

今はインターネット上にあるデータは誰でも取れる時代だからこそ、「信頼できる人の本音」が求められているんだと思います。だからきちんと自分の意見を発することをためらわないほうがいいです。

【2019年1月~8月】 CHOCOLATE.Incへのジョイン

――2019年1月から8月まではもう一度会社に入り、株式会社チョコレイト/CHOCOLATE Inc.で働かれていたんですよね。

はい。ちょうど2018年の年末に代表と知り合い、CHOCOLATE執行役員でジョインしました。私が入ったのは、ちょうど「会社の規模を広げて行こう!」という時期でした。1月には20人程だった社員数が、8月には60人まで増えたので、規模が大きくなってきたタイミングで辞めたという感じです。

CHOCOLATEの時は会社の立ち上げ期だったこともあり、他のことをできる余裕がありませんでした。24時間会社のことを考えていました。その後、会社の進む方針と私自身が成し遂げたいことに違いが生じてしまい、20~30代の元気なうちに達成したい目標に向かって走ったほうがいいなと思い切り、会社を抜けました。「自分にしかできないことを世の中に産み落としたい」という使命感のほうが強くなってきたんです。

仕事に対する考え方

キャリアの中で一貫しているもの

――ここからは、なつよさんのお仕事に対する価値観を伺いたいです。まず、今までの働き方を振り返ってみて、何か一貫しているお考えはあると思いますか?

20代の頃から、私あまり将来の夢とかなかったんです。でも、嫌なことはしていないです。嫌だと思ったら、我慢せずすぐやめるので。だから、やってることがずっとその領域ってことであればそれが好きってことなんじゃないかなと思ってます。

きっとみんな無意識のうちに人生の選択をしていると思いますが、目の前の選択肢の中から常にベストなものを選んでいるはずです。

――好きな仕事をしていても、忙しくて嫌になるようなことはないですか?

やりたくないことやっていたら、そうだと思います。そんな時は忙しいとすぐ嫌になりますが、アニメが趣味だと永遠に見てられるのと同じで、本当に好きなことだったら疲れても嫌にはならないですね。なんなら好きなことで疲れたほうがエクスタシーを感じます。(笑)

それでいうと私はいま、仕事を選択できることが幸せだと思います。

私は今フリーですが、組織を運営していたら社員を食べさせることも考えないといけません。だからその業界が好きでも、苦手なことはしないといけない時もあります。それは会社を作っていた時期によく悩んでいました。ですが、やはり総合点でみんなが幸せになれる道は必ずあるので、努力の臨界点を超えるとユートピアが広がっていると他の組織を見ていても感じます。

――これまでの経験を経て、今後もフリーで活動していくのでしょうか?

そうですね、限られた人生やりたくないことはやりたくないので、わがままに。

選択できることに感謝し、与えられた機会を使おうと思います。

仕事ではなく、人生を軸にして生きたい

――今はフリーでお仕事をされていますが、将来目指しているものや、挑戦してみたいお仕事はありますか?

私は、仕事をしたいわけではないです。人って、人生と仕事のどちらを主軸とするか、2つのタイプに分かれると思っています。私は、「人生」が軸にあるんです。

詳しく言うと、仕事には、「お金」と「Todo」の2つの目的があると思います。私は、「お金」に関しては何でもいいと思っているんです。もしも私の家がお金持ちだったら、働く必要はないとまで思っているので、お金を稼ぐ目的では働いていません。

「Todo」に関しては、『社会にとって有意義』『人々が求めていること』だったり、私が世の中にあったらいいなと感じたことをしています。でも、それらは私の中で「人生」側に含まれているので、仕事しているという概念ではありません。生きていくために、請求はしますけどね。

将来の夢を聞かれたら、よく主婦と答えていますよ。毎日犬の散歩でもしていたいです。

――私自身就活生なのですが、そのような観点を意識したことがなかったです…。

日本の若い子、特に就活生は、人生を仕事で語りすぎだと思うんですよね。本当によくない。

将来の夢って、何でもいいと思います。

例えば映画監督になりたい子は、仕事をしているというより、好きなことを追求している感覚で働いています。これって、人生を軸に置く考え方に近いと思うんですよね。やりたいことが先にあって、生きるためにお金を請求しているっていう。それを突き詰めると、強い専門技術になるので、お金が舞い込んできます。このように「仕事」と「人生」のどちらで語るのかという点で、結構生き方は変わると思います。

これからの日本社会に期待するもの

――ここまで、なつよさんご自身のお仕事についてお伺いしました。ここからは、もう少しマクロな視点でお話を伺いたいです。まず、今後の日本でどんな人に活躍してほしいと感じますか?

私が面白いと思う若手に、私に来る仕事を手伝ってもらうというのは今も意図的にしています。能力があるけど話が来ない人って、沢山いるんです。

あと広告代理店にいた時に、私が簡単に出来そうな仕事を、上司がリサーチから始めてずるずるやっていたんです。そういう無駄や本質的でないものを減らしていきたいなって思いますね。

――若い世代が、彼らならではの視点や情報感度を活かせる場所で、力を発揮できたほうがいいということですか?

はい。個人やベンチャーが成功事例を作ることで、それを見た大手企業が「自分達もやり方を変えないと…」と危機感を持つのはいいことです。今はあらゆる固定概念が崩壊し再構築を迫られているタイミングなので。

きっと大手企業の人たちも、変化には気づいているんですよ。でも解決方法がわからないから、解決しにいかないんです。それが「大手の病」。彼らも、何となく『もしかして、世の中の動きと違うかも…?』なんて思っているけど、正しい改善の仕方が分からない。

だからこそ社内だけで付き合わず、もっと違う景色を見てほしいなと思います。自分の会社を出て、社外のいろんな人と交流してほしいし、学生時代の同窓会とかもちゃんと行ってほしいです。

――1人1人が、「こういう風にシステムを変えたらいいんじゃないか」というような意見を自由に言える環境になれば、もっと状況が改善すると思いますか?

というよりも、大事なのは「信頼」だと思います。

上司・部下の立場にかかわらず、互いに信頼しあうことが大切です。

たとえムカつく相手だとしても、『この人も大変なんだな』『ご飯誘ってみようかな』と思って接すると、結構仲良くなれます。みんな頑固なだけで、こっちからちょっとハグすれば、向こうからもハグしてもらえますよ。だから、一回信頼してみるんです。

実は私、広告代理店にいた時はこういった接し方ができなかったんです。でも会社を辞めた後、これまで話さなかった人と急激に仲良くなって、気づきました。『これ、社内にいても同じこと出来たな』と。

だから、2018年にもう一度会社に入ったときから、フリーになった今でも、相手を信頼することを大切にしています。

なつよさんが憧れるものとは…!?

――最後に、なつよさんの現在に影響を与えた人や、「こうなりたいな」と思う憧れの人はいますか?

自由なおじさんにはすごく憧れていました。好きなことだけやっているおじさん。

――自由なおじさん!?  趣味とかに全力注いでいる感じの..?

いや、仕事でも、プライベートでも。大学の教授とか、声でかい営業のおじさんとか。そういう人にすごく憧れてました。

逆に、同世代で憧れる人は1人もいませんでした。だってみんな、稼いで生きていかなきゃいけないし、恋も仕事も人生も悩んでて、別にうらやましいとは思わなかったです。それより、人生何周もしきったおじさんの方が、見てて楽しかったですね。

――私自身、学生時代って、どうしても所属するコミュニティの価値観に縛られてしまいがちだと感じています。

私は、全員が同じ価値観なのはつまらないと思っています。でも同世代になると、20年生きたら20年分しかないから、経験の幅が限られているんです。それより絶対、80年生きている人の方が面白いんです。20代のイケイケの若者よりも、80代のおじいちゃんの方が、絶対に人生経験が豊富なんですよ。

同性より異性だし、同世代よりも違う世代の方が、話していて学びがあります。これは絶対。

――ご自身でも、将来そういうおばあちゃんになりたいと思いますか?

そうですね。若者とずっと遊んでいるおばあちゃんや、ライブ会場で、個人名が書いてあるでっかい祝花を送っているような謎の人。そんな人になりたいです。

――なつよさんって、周りの意見に左右されずに、自分のいいと思ったものを突き進みたいと思っているところがブレないですよね。

その方が面白いですよね。普通の人より、私みたいな人の方が面白いじゃないですか。でもみんな、守るものがあるからそうはなれない。

それを捨てられる人は少ないけど、実は捨てられた人から面白くなっていくと思います。

だから、自由になれる人から、なっていった方がいいです。

みんながそうなっていって、その方が楽しそうだったら、そっちの道に続いて行く人が増えると思います。そういうところに行った方が面白い人にもいっぱい出会えますし。所属概念ではなく気持ちの問題ですが、ベンチャーの次は、本当の意味で “個人” が流行るかもしれません。自由になれる人から、なったもん勝ちだと思いますよ。

(みんながこうなったら大変ですけどね。)

編集後記

取材中「20代の頃はどんな大人になりたかったですか?」という質問に、『特に将来像は思い描いていなかった』とお答えになっていた、なつよさん。

取材を通して、なつよさんは、過去でも未来でもない「今の自分」を尊重する方なのだと感じました。自分自身への信頼を疎かにしないからこそ、素直な感情を心の内で殺さず、好きなものにこだわり続けられると思うからです。

同時に私自身が、「今の自分が抱く感情」よりも「未来の自分にとっての幸せ」ばかりを追い求めていたのではないか、ということにも気づかされました。就活ひとつをとってみても、「転職時に強い企業」など、いまの気持ちよりも将来のプランを優先して就職先を考えていたのです。

まずは、今の自分をきちんと信頼してみること。そして、周囲の人を信頼して、心を開いてみること。信念を持って「自由」になるためには「信頼」が必要なのだと、取材を通して教えていただいたように感じます。

Interview / 吉村  香南
Photography / 越野  樹

「自由になれる人から、なったもん勝ちです。」ーなつよさんが、『個人』という生き方を大切にしている理由。
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