ドレスコードフリーで最適化?働き方を変える職場のドレスコード

あなたの会社にはどのようなドレスコードがありますか? 夏でもジャケットとネクタイが欠かせない、いつでも高いヒールの靴を履いていなければならないなどの厳しいドレスコードを設けている会社もあれば、短パンにビーチサンダルといったカジュアルな服装が許されているという会社もあります。役職によっても要求される服装は異なってきますが、日本の会社では基本的にはフォーマルな服装を従業員に求めているところが多いのではないでしょうか。

ドレスコードが私たちにどのような影響を与えて、そのドレスコードが自身の職場環境で適切なのかみていきましょう。

カジュアルな服装で生産性がアップする?

スーツを脱いでカジュアルな服装で仕事をすれば、仕事の生産性が上がるような気がしませんか? Google社には従業員のドレスコードが存在しないと聞きますし、Apple社のスティーブ・ジョブズやFacebook社のマーク・ザッカーバーグのような著名な起業家が、毎日同じカジュアルな服装で仕事をしているという話を聞いたことがある人もいるでしょう。それでは、カジュアルな服装は生産性に良い影響を与えているのでしょうか?

ハートフォードシャー大学のカレン・パイン教授の研究によれば、必ずしもそうとは言えないようです。それについて2つの理由が挙げられています。

①従業員の緊張感が低下する

1つ目の理由は、人は服を着ると、それが持つ心理的な意味合いに影響を受けてしまうという心理的な効果が存在するというものです。

ランニングウェアに着替えたら急に元気が出て走り出したくなったり、アロハシャツを着て南国気分になったりした経験はありませんか? ニューヨークタイムスの記事では、まったく同じ白い服でも、それを医者の白衣だと知らされたときと、画家の作業着だと知らされたときで、それを着る人の緊張感が異なるという実験結果が報告されています(もちろん、白衣だと言われた人のほうが緊張感が高くなっています)。

この結果から考えると、仕事時には仕事を連想させるような服装、例えばスーツやネクタイ、ハイヒールなどを着用することが従業員の集中力を高め、生産性アップにつながると言えるでしょう。

②オンとオフの切り替えが難しくなる

2つ目の理由に、仕事時とプライベートの時に同じ服装をしていると、仕事とプライベートの切り替えが難しくなってしまうというものが紹介されています。

ジャケットを着てネクタイを締めて仕事をしていれば、家に帰ってそれらを脱ぐことで「仕事が終わった」ということを明確に感じることができます。これにはオンとオフの切り替えを容易にし、家で効果的にリラックスすることができるようになるというメリットがあります。逆に、仕事時とプライベートの時に同じようにスニーカーを履いてパーカーを着ていると、オンとオフの切り替えが難しくなってストレスが溜まることに繋がってしまうかもしれません。

それでは厳しいドレスコードを設けるべきなのか?

それでは生産性をアップさせていくために、あなたは1年中ずっとネクタイを締めたり、ハイヒールを履いたりして、フォーマルな格好をキープしなければならないのでしょうか? もちろんそんなことはありません。

服装と生産性に関して行なわれた研究は統計的なものであり、すべての従業員に対して同じような効果があるというわけではないからです。どのような服装を好むかは一人ひとりで大きく異なっているため、一概に結論を出すことはできません。きちっとした格好のときのほうがやる気が出るという人もいれば、楽な格好じゃないと仕事に集中できないという人もいるでしょう。

また、カジュアルな服装で仕事をすることでオンとオフの切り替えが難しくなるというデメリットも、仕事時とプライベート時に異なったやり方でカジュアルな服装をすることで回避することができます。

それを踏まえたうえで、あなたの職場のドレスコードをどのように考えていけばよいのかを見ていきましょう。

職場のドレスコードを決める時に考えるべき2つのポイント

コンサルタントのアンドリュー・ジェンセンは職場のドレスコードをどのようなものにするのかを考えるうえで、考慮すべきポイントを2点紹介しています

①ブランディングを意識する

ジェンセン氏によると、職場でのドレスコードを考える際、会社外部の取引先の人が自分の会社のことをどのような目で見るのかという観点を考慮する必要があるそうです。もし、自分たちの会社が厳密なプロフェッショナル集団として取引先やカスタマーに見られることがビジネスを行なう上で重要なのであれば、カジュアルな服装は避けるべきです。反対に、硬く見えるような印象ではなく、フランクに近い距離間を大事に関係を構築することがビジネスの役に立つのであれば、カジュアルな服装は積極的に奨励されるべきです。

②組織に合った正装

職場でのドレスコードを設定して、従業員にそれに従うように求めた際に、彼らがどのように反応するのかということも考慮する必要があります。上で述べたように、服装の好みには個人差がありますが、それでも自分の職場に限れば全体的な好みの傾向をつかむことはできるでしょう。もし、あなたの会社の従業員がカジュアルさを重んじているのであれば、厳しいドレスコードを設けることは避けるべきでしょう。また、すでにドレスコードを設定していて、それに対して従業員が反感を抱いていると感じたならば、それを緩めることも考えていくべきでしょう。その際にも、あなたの取引先やカスタマーがそれをどのように捉えるのかを考慮しなければなりません。

つまり、会社の外と中を見てちょうどよいカジュアルさ、フォーマルさを目指していくべきなのです。

南国の定番・かりゆしウェア

みなさんは、オフィスカジュアルをご存じですか?

フォーマルの良さとカジュアルの良さ、その両方の良さが取り入れられた服装がオフィスカジュアルと呼ばれています。実は、沖縄県ではこのオフィスカジュアルが夏の正装といて着用されています。夏を快適に過ごすとともに、お客様を温かくお迎えすることを目的に「かりゆしウェア」が作られ、フォーマル、そしてカジュアルの2つの役割をこなしています。ノージャケット、ノーネクタイのスタイルはスーツのように締め付けるストレスがなく、カジュアルのようなプライベート感もないので、ビジネスでも好印象を与えているようです。

東京都などの都市でもクールビズとして夏用のスーツが展開されたことにより、多くのビジネスマンはそれを着用することで多少のストレスを軽減することができるしょう。しかし、カジュアルの良さを感じることは難しいはずです。

ぜひ一度、自身、そして会社に合った服装を考えてみましょう。

まとめ

どのような服装をするかは個人的な好みが大きく作用するため、「こんな格好をすれば誰でも確実に生産性がアップする」といったようなものは存在しません。

それを踏まえて、ステークホルダーとの関係の中で、あなたの会社がビジネスを最適化していくには従業員がどのような服装をしていることがベストなのかを考えていくことが顧客、社員満足度につながるかもしれません。

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