現在、働き方の多様化が進み、フリーランスを受け入れている企業も多くなってきました。
しかし、現在のフリーランスの活用は「空いたポジションを埋める」というのがほとんどです。
ですが、今後はフリーランスチームを作り、新規の部署を丸ごと作るということも可能になってくるでしょう。また、そうすることで今までにないスピード感で業務を進めることができるようになります。
この記事では、フリーランスチームを持つメリットや運用法について解説していきます。
企業がフリーランスチームを持つことのメリット
フリーランスチームを持つことに、企業はどんなメリットがあるのでしょうか?
3つの魅力を解説していきます。
業務のプロ集団をすぐに作れる
フリーランスとして活躍している人のほとんどが、実務経験を積んでいます。昨今の働き方の多様化やそれに伴った仕事を受注できるプラットフォームの構築、そういった人を受け入れる企業の登場などの影響もあって、フリーランス人口は増えています。もともと、1つの会社でしか活かされなかった自分のスキルを様々な場所で発揮できると感じた人は「あれ? 自分フリーランスの方が稼げるんじゃない?」と気づき、独立しているのです。
特に、WEBやIT業界ではそういった動きが活発的です。そのため、仮に細かなスキル条件を設定して求人募集をしても、最適な人材を見つけやすい環境となっています。
これにより、 1つの業務に1人のプロを配置することが可能になりました。 従来のような、1人の従業員が複数の関連業務を担当することが無くなるので、業務の質や従業員の習得するスキルが中途半端となってしまうことを防ぐことができるのです。
その結果
- 全体的な仕事のクオリティUP
- PDCAの高速回転
- プロ同士の相乗効果
が実現し、簡単に一流人材を束ねた集団を作り仕事ができるようになります。
雇用制限の緩さ
フリーランスに仕事を依頼する際、基本的な雇用形態は業務委託か都度発注になるかと思います。対個人にはなりますが、基本的には会社間での取引に変わりはありません。
正社員として雇用した場合、後に仕事に対する熱量や人間性に問題があり、正社員として雇用することが本当に適任だったのか考えたところで、 辞めさせることができません。
しかし、フリーランスであれば、最適な人でなければ仕事の発注を止め、また新たに探すことができます。雇用制限が緩いので、より良い人が見つかれば交代させることもなんら問題がないのです。
また事業の失敗や景気変動などによる、予算の削減や撤退に関しても、従業員であればどこかに配置転換をしなければいけません。たとえ、それがその従業員にとって最適な条件でなくてもです。しかしフリーランスであれば、その事業とともに人材も整理することができるので、事業の見直しや縮小を徹底して行なうことが可能なのです。
さらには、スモールスタートやテスト的取り組みに対してもフリーランスチームは有効的です。
フリーランスの仕事に対する熱量
一方で、フリーランスは雇用制限の緩さをリスクと感じていることが多いので、仕事を継続受注するために真剣に仕事を取り組みます。また会社員と違い、成果次第では報酬は青天井に伸びていく可能性があるので、仕事に対する熱量は相当なものです。
そのため、改善施策や自身のスキルアップを通して、業務範囲の拡大を提案して来たりするなど、能動的に動いてくれます。そういった人材を抱えていた方が、会社側にとっては育成や管理のコスト的に考えても楽になるでしょう。
フリーランスチームを作る際のポイント
フリーランスチームは専門家集団になるので、企業で持っていると非常に心強いでしょう。では自分達の業務を円滑に進め、事業を成長させるフリーランスチームを作るにはどうしたら良いのでしょう?
3つのポイントに注意して、チームを作りましょう。
業務範囲や量の定義を明確にする
フリーランスと契約を交わすときには、業務範囲と量をしっかりと決めましょう。基本的にはフリーランスは自分の専門業務をどれだけやるかで、自分の報酬を決めています。会社員と違い、自分の業務外である他人の業務のカバーリングや雑務は行ないません。
もし追加での業務を依頼する場合は、都度都度報酬を擦り合わせしましょう。そうでなければ、フリーランス側は立場関係を利用してつけ込まれていると不信感を抱きます。手放したくない人材なら、業務範囲と量は必ず決めて、守るようにしましょう。
ポジション被りは極力避ける
フリーランスチームを編成するときには、ポジションの被りはなくすようにしましょう。業務の範囲と量を定義するのは重要だと話しましたが、もし同様の業務を担当する人が2人以上いると、
- 2人の力量の違いでどちらかが足手まといになる
- 分断することで仕事のスピードが落ちる
このような障害が出てきしまう恐れがあります。彼らは1つの業務を1人でやるからこそ、プロとしてのクオリティを保つことができ、業務の全体を意識しながら行なっているので、業務の最適化を持続することができるのです。
例えば僕のメイン業務であるコンテンツマーケティングのディレクションは
- 企画決め/キーワード決め(調査)
- 内容/構成作り
- 執筆
- 編集
- SEO内部施策
- 公開
- 分析
という流れになります。執筆に関してはライターとの分業になりますが、それ以外はディレクター業として1人で回しています。もしディレクター業を分担すると、意図したものと違うものができたり、分析が正しくできなかったりなど問題が発生して、最高のパフォーマンスが発揮できません。
職種として明確に分かれるものであれば良いですが、被るような採用は避けるようにしましょう。
常に代替の必要性を考慮しておく
フリーランスが仕事を選んだり、受けたりする際の動機は多種多様です。働き方や担当する業務、サービスや報酬など様々な動機があります。そして、雇用契約の緩さは「フリーランスにとってはすぐに辞められる」というメリットがあります。
そのため、より面白くて報酬の良い仕事があれば、すぐに辞めてほかに移るというフットワークの軽さを持っています。もし、最高のチームが作れたと思っても維持できるとは考えないようにしましょう。
上記のような理由で、欠員が出たときの対処法をいくつか用意するようにしておきましょう。
フリーランスチームを運用する際の注意点
フリーランスのチームを編成したら、それを維持し運用していくことが重要です。どんどん人材の交換が行なわれたら、効率的かつ効果的に業務は進みません。
フリーランスチームを運用する際の2つの注意点を解説していきます。
最初の1ヶ月はコミット量を高める
フリーランスの働き方の原則は、管理・監督下に置かないリモートワークが基本になります。これは労働基準法で決められた内容であり、フリーランスの特権でもあります。
しかし、最初からリモートで仕事をすると業務の擦り合わせや認識がズレて、上手く仕事を進めることができなかったり、パフォーマンスを発揮できなかったりすることがあります。
そのため、最初の1ヶ月くらいは業務へのコミットを高くしてもらい、円滑に進められるように擦り合わせやコミュニケーションをしっかり取るようにしましょう。
1ヶ月以降先は自主裁量制を強める
1ヶ月間しっかりコミットしてもらったら、その先はフリーランスの自主裁量を高めて、業務を進めてもらうようにしましょう。フリーランスの多くは、フリーになった動機に「柔軟性のある働き方」や「色々な仕事の経験」を挙げています。
そして、ほとんどのフリーランスが複数社と仕事をしているので、裁量性の低い会社があると自分の仕事の拡大(引いては報酬のアッパー)に制限が掛かります。
前章で話したように、最初はそこで仕事をしていても、他に良い条件の案件が出たらそちらに移り、裁量性の高い案件で固めていきます。そうなると会社員に近い働き方を求める仕事は選ばれなくなります。
最初は拘束性があっても良いですが、もし人材を留めておきたいなら、自主裁量性を上げていくようにしましょう。
インセンティブは3つ用意する
フリーランスが仕事を選ぶ基準は、大きく3つです。
- 働き方の柔軟性
- 報酬
- 自分に合った仕事内容(+関連業務)
手放したくない人材に出会ったなら、成果や継続期間に合わせて徐々にインセンティブを付与しましょう。フリーランスは動物に例えるとネコです。使える主人は自分の都合のいい人物(会社)です。恩義や忠義といったものを簡単に捨て、次に移る人が多いです。
フリーランスを雇用するのであれば、この3つのインセンティブを意識して交渉していきましょう。
まとめ
働き方改革や収入の得方の多様化を受けて、今後フリーランスはどんどん増えていくでしょう。つまりは他社で活躍していたプロ人材を自分達も雇用できるということです。
彼らのような人材をチーム化すると、簡単に1つの部署(例えばWEBマーケティング部など)を作ることができる上に、状況に合わせて拡大や縮小も容易にできます。
これからは未経験の社員を1から育てるのではなく、必要に応じて「即戦力」を上手く活用する体制を作っていくのが重要になります。
ぜひいち早くフリーランスチームが活躍できる体制や制度を整えてみてください。