プロジェクト管理の目的とは? プロジェクトマネージャーが意識すべき10の要素を明確にして成功に導く方法

プロジェクト管理とは、目標達成のためにプロジェクト全体を管理することをいいます。プロジェクト管理を行うにあたり、目的を理解していれば、プロジェクトの成功はさらに近づくといっても過言ではありません。そこで、プロジェクト管理をPMBOKの10の要素に分けて紐解き、プロジェクト管理を行う目的を改めて確認してみましょう。

プロジェクト管理の目的

プロジェクト管理の目的は、プロジェクトを成功させるためにプロジェクトに関わる時間や人材、予算を的確に管理することです。

定められた期日内に、定められた予算内で、定められたクオリティ以上のものを成し遂げてこそ、プロジェクトが成功したといえます。そのために、QCDと呼ばれる、品質・仕様(Quality)、コスト・予算(Cost)、納期(Delivery)の3つの視点から、目標値を下回ることがないように管理を行います。

プロジェクト全体を見通した管理をすることで、無駄な作業の削減が見込めることはもちろん、進捗状況に応じた計画の見直しを行うことができます。

次章から、プロジェクト管理を行うにあたり意識すべき要素について、考えてみましょう。

プロジェクト管理の要素

プロジェクト管理を「なんとなく」で行っている場合、視野に入るのはタスクとスケジュール、コスト、品質のみで、プロジェクト管理の要素としては不十分であることがよくあります。だからといって、プロジェクトの頓挫や失敗はないかもしれませんが、完璧な成果を出し続けるのは難しいかもしれません。

そこで、プロジェクト管理をより詳しく理解するために、知識やノウハウをまとめた参考書ともいわれるPMBOKの定義をもとに、管理すべき要素とその目的をまとめてみました。PMBOKはたくさんのデータや経験により構築されたフレームワークであり、QCDを効率的に管理できるというメリットがあります。

PMBOKではプロジェクト管理を10のマネジメント要素と5つのプロセスで分類しています。以下で解説する要素ごとに目的を理解し、「立ち上げ・計画・実行・管理・終結」の5つのプロセスをもとにした管理を行います。「なんとなく」を紐解くきっかけになるのではないでしょうか。

スケジュール管理

タスクに時間軸をつけ、その日やるべきことや業務の前後の流れを把握するのがスケジュール管理です。進捗状況の把握や遅延へのスピーディーな対応を行いながら、生産性のアップと納期の遵守を目的とします。

プロジェクト管理においては、ガントチャートなどを導入して計画と実績を的確に管理します。プロジェクトマネージャーは業務の工程や工数を見積もり、具体的なスケジュールへの落とし込みや必要に応じた調整を行います。

コミュニケーション管理

メンバー間で交わされるコミュニケーションを管理し、「報告・連絡・相談」をしやすい関係性を作ることを目的とします。プロジェクトに関連する情報の共有、各種調整、進捗や実績の報告などが挙げられます。

コスト管理

原価や予算、経費、利益など、プロジェクトにかかる費用全体を管理するのがコスト管理です。徹底したコスト管理によってプロジェクトにかかる費用を抑え、利益率を上げることを目的とします

調達管理

プロジェクトの達成に向けてヒトやモノを外部から調達することがあり、それらを管理することを調達管理と呼びます。外部要素との調整を行い、内部の業務に支障をきたさないことを目的とします。外部要素の選定や契約の管理も調達管理の一環です。

リスク管理

リスク管理は、発生しうるトラブルを予測し、それに備えた対策を施したり原因を追求したりします。プロジェクトには多かれ少なかれトラブルはつきもの。影響を最小限に抑え、プロジェクトをスムーズに進めることを目的とします

スコープ管理

プロジェクトの作業範囲や最終目標を明確に定義します。PMBOKで定義されるスコープは、プロジェクトスコープ(何をやるか)、成果物スコープ(何を作るか)の2つ。それぞれの視点を持ち、プロジェクトの指針を明確にすることを目的とします

関係各所の要求をヒアリングしたりWBSの作成をしたり、マイルストーンごとに成果の検証などを行います。

要員管理

要員管理では、プロジェクトに関わるメンバーの抱えるタスクのボリュームやスケジュールの状況などを、さまざまな面から把握します。負荷が多いメンバーや手の空いているメンバーのタスクを振り分け直したり、人材を追加したりし、ヒトを最大限に生かすことを目的としています

品質管理

成果物の品質を落とさないために、工程管理、品質検査、必要に応じた品質改善を行うのが品質管理です。品質の基準をメンバーに訴求し、品質を保つための計画を立て、作業途中のクオリティチェックや成果物が目標と一致しているかのテストも行います。

ステークホルダー管理

ステークホルダーとは、プロジェクトメンバーはもちろん、クライアントや意思決定者、外部委託先、仕入れ先など、プロジェクトの意思決定や成果に大きな影響を受ける利害関係者を指します。プロジェクトの円滑な進行を目的とし、ステークホルダーの調整や交渉などの管理を行います。

統合管理

統合管理はプロジェクト全体の推進を目的とし、プロジェクトの開始から終了まで、これら9つの要素を指揮し管理します。プロジェクトの立ち上げにはじまり、計画書の作成、プロジェクトの指揮や見直し、まとめや評価などがこれにあたります。それぞれの要素を横断的に把握し、包括的な管理や調整を行います。

成功するプロジェクト管理とは

管理すべき要素とその目的は理解できましたか? では、具体的に成功するプロジェクトではどのような管理が行われているのでしょう。成功するポイントと失敗につながるポイントについて考えてみました。

成功するプロジェクト管理

情報が見える化されている

プロジェクトに関する情報がメンバーに伝わっていることは非常に重要です。トラブルが発生しても、迅速に発見し対応ができます。

プロジェクトに関わる人が多く、内部外部が混ざり合うプロジェクトの場合、プロジェクト管理ツールを活用し情報共有範囲まで管理を行うと、機密情報の保護や情報のパンクをおこさずにすみます。

コミュニケーションが取れている

報告・連絡・相談の連携が取れていることはもちろん、質問がスルーされていないことやメンバーの小さな呟きを拾えていることなどの小さなコミュニケーションも大切です。「話す・聴く・理解する・力をあわせる」、成功するプロジェクトのコミュニケーションはこのバランスが取れています。

履歴が残せたり、必要な時に気軽に投げかけられたりする仕組みが作られていると、コミュニケーションは活性化します。

プロジェクトに合った手法やツールを使用

プロジェクトによって規模や組織が異なりますが、プロジェクトに適した手段でプロジェクト管理を行うと、更なる効果が期待できます。メンバーの働く環境やデジタルへの順応性を考慮して、プロジェクト管理の手法を選びましょう。

プロジェクトマネージャーの的確なリード

成功するプロジェクトを率いるプロジェクトマネージャーは、何を管理するのかを理解した上で、達成を見届けるまでチームの構築と先導を続けます。定例会の開催や進捗管理、見直しなど、プロジェクト管理の基本を丁寧に繰り返します。

失敗するプロジェクト管理

曖昧な計画と管理要素の不足

計画はプロジェクトを進めるための設計図やマニュアルのようなもの。計画を立てるには時間を要しますが、必ず作成しましょう。

目的、目標値、コスト計画、スコープ、スケジュール、リスクと対策など、プロジェクト管理の要素を欠くことなく計画します。

リソース配分が甘い

不十分なタスクの洗い出しや不適切なリソース配分では、プロジェクトの途中でトラブルが発生しがちです。プロジェクトをスタートさせる前に、作成した計画書をメンバーに共有し実現可能であるかを確認せねばなりません。

プロジェクトメンバーの能力を配慮しないリソース配分は、プロジェクトにおける見直しやトラブルが頻繁に発生し、プロジェクトの進行に支障をきたすばかりか失敗につながる恐れがあります。

進捗管理と見直しが不十分

綿密な計画を立てるだけがプロジェクト管理ではありません。定期的な見直しやリカバリーを行わないと、計画時には見えていなかったトラブルの種がいつの間にか大きくなり、最悪の場合プロジェクトの頓挫に直結することもあるでしょう。

進捗管理や見直しは、プロジェクトマネージャーだけでなくメンバーも意識し取り組む必要があります。プロジェクト全体はプロジェクトマネージャーが管理し、個々やチームの進捗は各自で管理できるようにせねばなりません。

コミュニケーション不足

プロジェクト管理におけるコミュニケーションというと、メンバー間のコミュニケーションに焦点が当たりますが、クライアントや外部メンバーとの連携まで視野に入れる必要があります。コミュニケーションが取れていないと、情報の共有や意思の疎通を図ることができません。

また、コミュニケーションによって互いの関係性が築けていないと、さまざまなシーンで調整が必要になった際の交渉やサポートの依頼がしにくく、プロジェクトの進行を妨げる要因になります。

管理を効率化する「プロジェクト管理ツール」とは

プロジェクト管理を10の要素に紐解いていくと、非常に複雑で、繊細な管理が必要となることがわかりました。そこでおすすめしたいのが「プロジェクト管理ツール」です。プロジェクト管理を成功に導き、さらに効率も上げることができます。

プロジェクト管理ツールを選ぶ時のポイントやプロジェクト管理ツールの比較は、TeamHackersの記事で詳しく紹介しています。

プロジェクト管理ツールおすすめ比較14選まとめ【2021年版】

それぞれの特徴や適したプロジェクトの規模、無料トライアルの有無とその期間や導入する際の費用をまとめています。プロジェクト管理ツールを検討する際の参考にご覧ください。

まとめ

プロジェクト管理を構成する要素を分解することで、プロジェクト管理の目的がより明確になったのではないでしょうか。目的を明確にした上でプロジェクト管理の成功ポイントをおさえておくと、プロジェクト管理の精度は上がります。

とはいえ、管理すべき範囲が広すぎてプロジェクトマネージャーの負担が多いことは否めません。便利なプロジェクト管理ツールを利用して、無理のないプロジェクト管理を行いましょう。

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