生産性を加速させる「従業員エンゲージメント」とはいったい何なのか?

近年、グローバル市場で競争力を高めていくために、世界中の企業が生産性を高めることに必死になっています。そこで重要な概念として登場したのが「従業員エンゲージメント」です。従業員エンゲージメントを高めることで生産性を向上させることができると言われているため、多くの企業がそのための施策を実行しています。ところが、実際のところ従業員エンゲージメントとは何を意味するのでしょうか?

従業員エンゲージメントがもたらすメリット

The Henry Miller Groupによるレポートによると、Employee Engagement(従業員エンゲージメント)を高めることには、以下のようなメリットがあるようです。

  • 一株あたりの利益率の向上
  • 最大2.5倍までの収益の増大
  • 高いパフォーマンス
  • 高い生産性
  • 離職率の低下
  • 優秀な人材の獲得

このように多くのメリットをもたらす従業員エンゲージメントですが、それはいったい何なのでしょうか?

従業員エンゲージメントは新しく、難しい概念

従業員エンゲージメントは英語圏で作られた概念であるため、日本語を母語とする我々としては少し理解が難しい面があります。特に、engagementという概念はなかなか捉えにくいのではないでしょうか。

Engagementとはengageしている状態を表しています。Engageを日本語に直訳すると「(活動などに)従事させる」という意味になります。つまり「engagedな従業員を育成したい」といった場合、直訳では「従事させられた従業員を育成したい」というようになります。これでは意味が分かりづらいですよね。

実は、これを分かりづらいと感じているのは日本人だけではないのです。従業員エンゲージメントは比較的新しく出来た概念であり、英語圏の人々にとってもしっかりと理解することは難しいようです(英語で書かれた解説記事が存在することもその証拠の一つです)。

従業員エンゲージメントとは何か

フォーブス誌の記事では、従業員エンゲージメントの定義として以下のものが挙げられています。

Employee engagement is the emotional commitment the employee has to the organization and its goal.(従業員エンゲージメントとは、従業員が組織とそのゴール(目的)に対して抱いている感情的なコミットメントのことである)

やっぱりわかりにくいですよね……。

そこで、同記事では従業員エンゲージメントと同一視されることが多いのですが、実際はそれとは異なっている2つの概念を引き合いに出して説明がなされています。その2つの概念とは、「従業員幸福度」「従業員満足度」です。

従業員幸福度は従業員エンゲージメントではない

企業が職場での従業員の幸福度を高めることは重要で、そのための施策(無料のマッサージなどの福利厚生を与えるなど)をしている企業も多いかと思います。それ自体は望ましいことであり、奨励していくべきなのですが、従業員の幸福度が高まったからといって必ずしも熱心に働くようにはなりません。

従業員満足度は従業員エンゲージメントではない

幸福度と重複する部分もありますが、従業員満足度という指標を作成し、自社の従業員に対して調査を行っている企業も多いです。給与や休暇制度などで従業員の仕事に対する満足感を高めることは、生産性を高めるにあたって重要な施策になります。

ところが、上と同じような理由で、やはり満足しているだけでは十分だとは言えません。それはいったいどうしてなのでしょうか?

従業員エンゲージメントに欠かせない要素

従業員幸福度と従業員満足度という概念は両方とも従業員エンゲージメントとは異なっています。それは、エンゲージした従業員は、幸福な従業員と満足している従業員が持っていない要素を持っているからです。

それは、「自由裁量的努力(discretionary effort)」です。

自由裁量的努力

自由裁量的努力とは、ただ給料を稼ぐために必要だったり、クビにならないために必要な努力を超えて自発的に行われる努力のことを言います。エンゲージした従業員は、この自由裁量的努力を行うことが何よりの特徴になります。

例えば、エンゲージしたコンビニ店員は手の空いた時に自発的に掃除を行い、エンゲージしたプログラマーは必要なときには自発的に残業をして必要な仕事を終わらせます。

このように自分の頭で考えて自発的に必要な努力をするというのが、従業員エンゲージメントという概念に欠かせない要素であり、また、企業が生産性を高めて競争力を維持していくために欠かすことのできない要素でもあるのです。

どうやってエンゲージした従業員を育成していけばよいのか


それでは職場で従業員エンゲージメントを高めていくにはどのような施策を行えばよいのでしょうか? 前述のThe Henry Miller Groupのレポートでは、従業員エンゲージメントを高めるための戦略として10のポイントが挙げられています。

1. 経営的な課題にする

何よりもまず、従業員エンゲージメントの向上を、単なる人事的な課題としてではなく、経営的な課題として捉え、全社的に取り組んでいくことが必要になります。

2. 組織のビジョン、バリュー、ゴールをはっきりとさせる

組織のビジョンや価値観、最終的な目的をはっきりさせ、それを従業員に伝えましょう。組織の目的のために共通の価値観をもって働くことで、従業員が一丸となって業務に取り組むことができるようになります。

3. リーダーが率先してモデルになる

従業員のエンゲージメントを高めるには、経営者やマネージャーなどのリーダーが率先してモデルとなることが大切です。自らもその価値観に従って熱心に働く姿を見せるだけでなく、先に述べた組織のゴールや価値観をしっかりとメンバーに伝えたり、過去の成功事例などを伝えたりすることで、組織全体のエンゲージメントを高めることができます。

4. 従業員の声を聞く

どのような戦略を用いればエンゲージメントを高めることができるのかを、従業員自身に聞いてみましょう。自らの意見が組織全体に取り入れられることはエンゲージメントを高めるうえで重要です。そのため、そこで得た知見は組織全体で共有できるようにしましょう。

5. 表彰する

素晴らしい成績を残して組織に貢献した従業員を形式的に表彰する場を設けましょう。これには、表彰される従業員のモチベーションを高めるだけでなく、新人の従業員に対して、彼らにはどのようなキャリアパスが存在するのかということを「見える化」させる効果もあります。

6. マネージャーに責任を持たせる

自分のチームのエンゲージメントを高めることに対して、マネージャーが責任を負うようにしましょう。

7. 従業員に力と責任を与える

一人ひとりの従業員に対して、具体的な目標を与え、その目標を実現するために必要な力を持たせましょう。より具体的には、目標を実現するために必要なスキルを鍛えたり、知識を得たりするための機会を与えましょう。また、自律性や意思決定の場を与えることで、従業員に責任感を感じさせ、エンゲージメントを高めましょう。

8. 従業員のウェルビーイングを気遣おう

従業員の物理的(あるいは金銭的)、感情的なウェルビーイング(主観的な健康具合)を高めるための制度を作り、常に従業員のことを気遣っていきましょう。職場でのウェルビーイングが高まると従業員エンゲージメントが高まり、それによってさらに職場でのウェルビーイングが高まっていくという好循環が生まれるようにしましょう。

9. 意味を感じさせる

従業員に自分の仕事が単に給料を稼ぐ以上の意味があるのだということを感じさせるようにしましょう。自分が重要な意味や目的の一部であるということを意識することで、嚥下地面とは高まります。

10. 直属のマネージャーに注意を払う

従業員の直属のマネージャーがどのような人物で、どのように働くのかということは、彼らのエンゲージメントを大きく左右します。そのため、直属のマネージャーを選んだり、トレーニングすることに多くの時間を割くようにしましょう。

以上の10のポイントを意識して、従業員エンゲージメントの高い職場を目指していきましょう。

「生産性を加速させる「従業員エンゲージメント」とはいったい何なのか?」についてのまとめ

「従業員幸福度」と「従業員満足度」という2つの似た概念と比較して「従業員エンゲージメント」の定義を行い、従業員エンゲージメントには「自由裁量的努力」が欠かせないということを確認しました。そのうえで、授業インエンゲージメントを高めていくために必要な10のポイントについて紹介しました。
参考文献:
https://www.accelawork.com/infographic-10-best-practices-for-enhanced-employee-engagement/
https://www.forbes.com/sites/kevinkruse/2012/06/22/employee-engagement-what-and-why/

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