マンダラチャートとは? 目標達成するための作り方や大谷翔平選手の作成例も紹介

マンダラチャートは、メジャーリーガーの大谷翔平選手が目標を達成するために作成したことで有名なフレームワークです。

目標達成に向けた道筋を明確にするために有効な手段と言われていますが、マンダラチャートとは、一体どんな手法なのでしょうか。大谷選手の事例や作り方、作成時の注意点を解説します。

マンダラチャートとは

マンダラチャートとは、81マスで構成される表を用いた目標達成ツールです。9×9からなる81マスの中心には、達成したい目標を記入し、周囲の8マスには、その目標を達成するために必要なアイデアや要素を記入します。

マンダラチャートの「曼荼羅」とは、仏教(密教)の世界観を視覚的に表した絵図を指します。ほとんどの曼荼羅の中心には、主尊である大日如来が配置され、その周囲を諸仏諸尊が取り囲んでいます。

マンダラチャートも曼荼羅同様に、目標を取り巻く複数の要素をマンダラのように配置します。すると思考が整理されて、目標達成までの道筋が明確になったり、新しいアイデアが閃いたりし、効率的に目標が達成できると考えられているのです。

大谷翔平選手のマンダラチャート

マンダラチャートがビジネスシーンで注目されるようになったのは、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手がきっかけだと言われています。

大谷選手がマンダラチャートを作成したのは高校時代。自身の出身校、花巻東高校の佐々木監督が取り入れていたため、上記のようなマンダラチャートを作ったそうです。

大谷選手の最大の目標は「ドラ1 8球団」つまり、8の球団からドラフト1位指名を受けることでした。

その目標を達成するために必要なこととして、大谷選手は、キレ・スピード・変化球などの技術的な要素はもちろん、運や人間性といった、自分ではコントロールしがたい要素までしっかりと書き出しています。

さらに言及すべきは、大谷選手のマンダラチャートの具体性です。

・あいさつ
・ゴミ拾い
・部屋そうじ
・審判さんへの態度

など、行動レベルまで落とし込まれているのも、大谷選手のマンダラチャートの質の高さと言えるでしょう。

マンダラチャートとマトリックス法の違い

マンダラチャートに似た手法に「マトリックス法」があります。マスを埋めて思考を整理するという点では両者は共通していますが、それらには大きな違いがあります。詳しく解説しましょう。

マトリックス法とは

マトリックス法は縦軸と横軸においた条件の掛け合わせで思考を展開します。TeamHackersでもおなじみの「緊急度と重要度のマトリクス」もこの手法です。

マンダラチャートとマトリックス法の大きな違いは、縦軸と横軸の関係性が固定されていることや、マス目の数が要素によって変動することです。

マトリックス法の具体的な事例を次章で紹介しましょう。

スティーブ・ジョブズの2×2マトリックス

アップルの創設者、スティーブ・ジョブズが、マトリックス法を用いて思考を整理していたのは有名な話です。今や私たちの生活になくてはならないアップル製品は、マトリックス法によって生まれたと言われています。

スティーブ・ジョブズが縦軸においたのは「デスクトップ」と「ポータブル」という製品の性質。対する横軸には「一般消費者」と「プロ」といったユーザーの属性をおいて、アップル社の革新的な製品を開発しました。

このマトリックスによって誕生したのが、今や誰もが知っているiMacや、かつて販売されていたiBook・Power Mac・Power Bookです。それらはどれも大ヒットし、アップル社の業績はV字回復をとげたのです。

マンダラチャートを作成するメリット

マンダラチャートにはさまざまなメリットがあります。マンダラチャートを作成する目的を知るためにも、メリットを正しく理解しておきましょう。

目標達成までの要素を洗い出せる

マンダラチャートを作成すると、目標やそのために必要な要素を洗い出すことができます。また、要素が見える化されるので、やるべきことがひと目でわかり、業務に対する意欲がわくでしょう。

やるべきタスクに迷ったり、不要な動きをしたりすることも少なくなるため、効率的に目標が達成できるのもメリットと言えます。

質の高い行動計画を作成できる

質の高い行動計画の作成にもマンダラチャートは役に立ちます。目標達成のためにやるべきことを頭の中だけで考えたり、箇条書きで書き出したりするだけでは、どうしても必要な項目が抜けてしまったり具体性にかけてしまったりするでしょう。

マンダラチャートを使うと必要な要素を十分に考えるため、抜け漏れなくバランスの良い行動計画が作成できます

新しいアイデアの発見につながる

マンダラチャートには思考の整理はもちろん、思考を深める効果も期待できます。1つの目標を、8つのテーマ・64個の要素と分岐させることで、思考が細かく整頓され、これまで思ってもみなかったアイデアが発見されることもあるでしょう。

思考を整理できる

マンダラチャートのマスに向き合っていると、これまで漠然としていた思考が整理できます。頭の中で漠然と思っているだけでは、あらゆる要素が絡み合い、行動できる粒度にまで落とし込むことが難しいと言えます。

マンダラチャートを作り込むと、頭の中にあったアレコレが整理され、行動に移しやすくなると考えられています。

費用をかけずに計画が立てられる

マンダラチャートは紙とペン・エクセルやスプレッドシートがあれば作成できるので、費用がほとんどかかりません。

また、作成時の注意事項はいくつかあるものの、複雑な工程がないため、マンダラチャートを作成するための学習コストはほぼかからないと言えるでしょう。

マンダラチャートの作り方

ここからは、実際にマンダラチャートを作成してみましょう。紙を使用して書く場合、A4サイズ程度の用紙を用意するのがおすすめです。それよりも小さい用紙を使用すると、マスが入りきらなかったり小さすぎて見にくくなってしまったりします。

ネット上にはマンダラチャートのテンプレートが無料でダウンロードできるサイトもあるので、それを使用してデジタルデバイス上で作成するのもいいでしょう。

目標を設定し中央のマスに記入

まず、目標を決めて中心のマスに記入します。マンダラチャートの核となるのがこの「目標」なので、なるべく具体性を持たせるようにしましょう。

定量的・定性的は問いませんが、漠然とした目標にしてしまうと、この後の工程で書き出すテーマや要素も曖昧になり、行動に結びつきにくくなります。

達成するために必要なテーマ(基礎志向)を8マスに記入

次に、中心のマスを囲む8つのマスに、目標達成に必要なテーマを記入します。この8マスが目標達成に向けた行動の指針となります。

マンダラチャートでは、左上のマスを起点とした時計回りに重要なテーマを記入することが基本とされています。もし8個以上のテーマがあがった場合は、優先順位をつけて取捨選択を行いましょう。

取り組みテーマごとに具体的な行動目標(実践思考)を記入

8つのテーマを、周囲の9マスの中心に記入します。その上で、今度は各テーマとなる事柄を達成するために必要な要素を、テーマを囲む8マスに記入します。

8つのテーマごとに要素を書き出すと、81マスすべてが埋まります。

客観的に見て漏れや偏りがないか、もっと適した要素があるのではないかを見直し、必要に応じて要素の差し替えを行うことで、マンダラチャートの精度をあげていきます。

マンダラチャートの注意点

難しい手順などはなく、気軽に作成できるマンダラチャートですが、書き出す要素に抜けが生じたり粒度がマチマチだったりすると、質の低いマンダラチャートになってしまうことがあります。

質の低いマンダラチャートに基づいて行動してもあまり意味がありません。意義のあるマンダラチャートを作成するためには、以下の2つに注意しましょう。

取り組むテーマに抜け漏れがあると質が下がる

目標達成のために取り組むテーマに抜け漏れや精査不足があると、目標達成の要素不足となり、マンダラチャートの質が下がります。

しかし掲げた目標に取り組むのが初めての場合、必要なテーマを網羅するのは簡単ではありません。そこで必要とされるのが、経験値のある上司や同僚のアドバイスです。

過去に同様の目標を達成したメンバーの経験をもとにテーマを書き出し、精査することで、質の高いマンダラチャートになるでしょう。

取り組み分野の知識・ノウハウが浅いと完成できない場合がある

マンダラチャートを作成する時には、81マス分の要素が必要になりますが、目標として掲げた分野の知識やノウハウがないと、マンダラチャートを埋められなかったり、テーマの精査が甘かったりし、マンダラチャートの質が下がります。

特にビジネスにおいては、マンダラチャートを作成するための知識やノウハウが必要不可欠。本を読んだり講習会に参加したり、経験者に尋ねたりして、知識やノウハウを得ることで、マンダラチャートの質を高められるでしょう。

マンダラチャートをより効果的に作成するためのポイント

目標達成において、マンダラチャートをより効果的なものにするためには、下記の3つのポイントを押さえておく必要があります。どれも基本的なことですが、大切なことなので意識しておきましょう。

作成方法をしっかりと学ぶ

マンダラチャートを効果的に作成するには、作成方法や目的をきちんと学ぶことが重要です。特に初めて作成する人は、テーマが網羅できていなかったり精査不足だったりすることがあるので、経験者に意見を求めるといいでしょう。

また、知見のあるファシリテーターなどを呼んで社員研修に導入するのもおすすめです。

マスをすべて埋める

マンダラチャートの81個のマスは、必ずすべて埋めるようにします。

ある程度テーマと行動目標が埋まっていれば、マスに多少の空きがあっても活用することはできます。しかし、すべて埋めようと考えることも、目標達成へのプロセスと考えられています。

逆を言うと、マスのすべてを埋められるほど考え抜かなければ、思考が中途半端なままになって目標を達成するため必要なアクションを見落としてしまう恐れがあるのです。

経験者の力を借りる、本やネットで調べるなどし、すべてのマスを埋めるよう心がけましょう。

マスを埋めきれない場合の対処を行う

マンダラチャートのマスはすべて埋める必要がありますが、考えても埋めきれない場合もあるでしょう。そんな時の対処法を覚えておきましょう。

周囲の力を借りる

マンダラチャートは個人の目標管理のために作成されることが多い手法ですが、マスが埋めきれない場合は、同じチームや部署の人に共有してアドバイスをもらうといいでしょう。

そうすることで、経験が少ないメンバーでも意義のあるマンダラチャートが作れるようになります。

真ん中を変更

81個のマスのすべてを埋められない時は、目標が曖昧なせいでマスが埋められないことも考えられます。その場合は、中央のマスに挙げた目標の文言を変更します。

マスが埋めきれない時には。具体的な数値目標にするなど、目標の見直しを行ってみましょう。

別のマンダラチャートを作成してみる

この2つを試しても、マンダラチャートのマスが埋まらない時は、固定観念にとらわれすぎて自由な発想ができず、思考が停止している恐れがあります。それでは良いアイディアが浮かばず、仮にマスを埋められたとしても、よいテーマや要素ではない可能性が否めません。

そんな時は、考えるのをやめて、別のマンダラチャートを作成してみましょう。客観的にみられるようになったり、思考がリセットされたりし、自然とアイデアが浮かんでくることがあります。

まとめ

TeamHackersではこれまでもさまざまなフレームワークを紹介してきましたが、その中でも手軽に導入できるのがマンダラチャートです。

頭の中で考えるには限界がありますが、書き出すことで、さまざまな気づきが得られます。ただ書き出すよりも、マンダラチャートを利用することで、より効果的に目標達成計画が立てられるでしょう。

千里の道も一歩から。大きな目標は小さなタスクから。目標の達成に向けた意欲を高めるためにも、ぜひ実践してみてください。

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