いいことばかりじゃない?リゾート地でのリモートワーク(テレワーク)の落とし穴

リモートワーク(テレワーク)、ノマド、ワーケーションなど、さまざまな働き方が選択できるようになりました。カフェでコーヒーを飲みながら仕事したり、おしゃれなコワーキングスペースでバランスボールに座りながら作業したり。時にはエメラルドグリーンの海を目の前に、時にはキャンピングカーの中で。オフィスや家から遠く離れたリゾート地でリモートの仕事をすること、憧れる人もいるのではないでしょうか。なんかかっこいい、先進的…、そんな良いイメージが浮かんできます。ところが、現実はなんだか違うようです。

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住む場所を離れる理由は?

働き方が多様化した今、リモートワーク(テレワーク)という働き方についてもだいぶ理解が進んできましたね。営業職が移動中に作業をしたり、ワーキングマザーが在宅ワークをしたり、またはフリーランスがカフェで仕事をしたり。もはや珍しい働き方ではなくなってきています。

一方で、コーヒー飲料のCMで、森林を背景に家族と過ごしながら働く部下と上司がオンラインで話すシーンが話題になったことも記憶に新しいです。現代の働き方の多様性に触れていることはもちろん、「何で会社に来ないんだ?」「何で行かなきゃいけないんですか?もちろんやることはやりますよ」というやりとりが、ワークライフバランスを重視する若い世代との意識格差を良く物語っていました。

実際、パソコンとネット環境さえあれば仕事ができる職種も多いこの時代、遠く離れたリゾート地でリモートワークをするスタイルも「まったく想像できない!」という人は少ないですよね。でも、自分ごととしてその働き方を選択するか、というとまだそこまでのイメージは沸かないという人もいると思います。

そこで、基本的なこととして、住んでいる場所またはオフィスから遠く離れた場所でリモートワークをするのはなぜかということをまず考えてみましょう。大学生が夏休み中に海の家などでバイトをするリゾートバイトといった類ではなく、リゾートまで行って「リモートワーク(テレワーク)」をする理由です。私は大きく、以下3つが考えられると思っています。

① 家族やパートナーの転勤

まず、私が海外でリモートワークを続けている理由がこちらになります。もともと勤めていた会社を退職して、フリーランスとして日本の仕事を海外で続けています。海外または国内であっても地方に配偶者などが転勤を命ぜられた場合、そのエリアに引っ越ししてまで現職が続けられるということはなかなかありません(中には、家族の転勤エリアの近くで勤務できるポジションを作って、同じ会社に勤め続けられるようにしてくれる会社もあるそうですが)。

② 地方移住

最近、「地方創生」などで注目を浴びている地方移住です。代表的なところでは、法人向けクラウド名刺管理サービスを提供する株式会社Sansanが2010年に古民家を再利用したサテライトオフィスを開設したことも大きな話題を呼びました。約10年を経た今現在、徳島県にサテライスオフィスを展開する企業は60社以上。(※2019年10月1日現在 https://tokushima-workingstyles.com/home.html

Facebookで日々更新される情報の中には「ワーケーション・リモートワーク・コワーキング・シェアリングエコノミー・・・」など、多様なワークスタイルを実現するためのキーワードが溢れています。日本全国を見ても、総務省が「おためしサテライトオフィス」の支援に着手したこともあり、サテライトオフィスを構える企業は各地に広がっており、環境も整い始めた日本の地方都市で地方を活性化したい、ワークライフバランスを実現したいなどの理由から移住する人も増えています。中には、ご実家の都合などで地元に帰らなくてはいけないUターンの場合もありますし、子どもは都会より自然豊かな田舎で育てたいといった理由で移住する人もいると聞きます。もちろん、自分自身が都会の生活が疲れたなどもあるのでしょう。

③ 海外移住

ある程度社会人経験を積み、自分のできること、生活力もある程度明確になり、独立を決断する人や、子育てを海外でやりたい(インターナショナルスクールに通わせたい)、もしくはキャリアもある程度確立した年代になり、日本を少し離れてのんびりと過ごしたいと、海外での道を選択する人も。

日本国内という選択ではなく、パートナーの都合でもなく、自ら海外を選択する人は、自分のスキルにも自信があり、ある程度金銭面でも余裕がある上での決断で、リモートワークでこなせる仕事量も見据えつつ、「ライフスタイルはこうありたい」「これを学びたい」という強い意思、目的を持って移住する場合が多いようです。

なぜリモートワークを選ぶのか

住んでいた場所を離れて働くきっかけ・理由はお分かりいただけたと思いますが、次に考えたいのがなぜリモートワークにするか、です。移住したら移住場所で仕事を探せば良いと思いませんか?実はリモートワークをあえて選ぶ理由もあるのです。

海外の就労事情

私自身海外に引っ越して、こちらで勤務できる職場を最初は探しました。実際に、内定も出て就労ビザを取るところまで進んだのですが、取り下げた経験があります。特に、私のように海外だとこのビザがネックになります。私の場合は夫の会社に帯同ビザを手配してもらって海外に住んでいるわけですが、私が働き始めるとなると、その夫の会社のビザをキャンセルし、私は私で勤務先にビジネスビザを取ってもらう必要があります。いずれかがないと私は海外で生活ができないのです。海外だとこのように、仕事、生活、ビザが複雑に絡み合っていることもあり、現地で働くことを断念する人は多いようです。私のように、急な転勤の場合は、こういった事情も事前に調べようがありませんが、あらかじめ海外移住を検討している方は、ここまでの情報は理解した上で、リモートワークができるスキルや環境を日本で手に入れることを念頭に動いている方も多いです。

日本国内ではどうか?

実は海外でも共通しているのですが、リモートワークをするのは収入が大きく関係しています。日本でも地方で働いた場合、それまで都心で働いていた人は大きく収入が下がります。海外でも同じです。フルタイムで就職したとしても、日本の都心部で正社員として働いていた時ほどには、ほぼ稼げません。というか、かなりダウンします。私の住むエリアだと、日本の給与のだいたい半分程度になることも珍しくありません。それであれば、リモートワークなら働きたい時間に働けるなど自由度も高く、オンラインで都心部(特に東京)の仕事をすれば少なくとも東京の水準から大きくずれることはありません。もちろん、リモートで働けるスキルがあるかどうかが一番大きな問題ですが、そこをクリアできたら、リモートを選択するほうが賢いのです。

こんなはずじゃ…リモートワークのモヤモヤ

では最後に実際に遠く離れた土地に引っ越してまで東京の仕事をしてどうだったかについて書きたいと思います。実は、このリモートワークの生活は1ヶ月も続けるとだんだん病んできます。

想像してみてください。東京を離れ(私の場合日本を離れ)街並みも人も全然違う土地に住んでいます。それなのに、日中、ずっと家にこもってパソコンに向かう日々。これは私の仕事スタイルにもよるところですが、リモートワークであっても、完全に自分のタイミングで仕事ができるというわけではありません。通常のオフィスワーカーの人たちとの連絡は、やはり雑音がある中ではなかなか集中できませんし、会議日時や仕事の納期は日本にいる顧客の希望に合わせなければならないことがほとんどです。きっちりと「この時間はバカンス」「終わったら仕事」というようにうまく分けられれば文句なしですが、現実はそうはいかない。このスタイルで働けるのは一部の経営者や凄腕デザイナーの方のように特殊技能の持ち主くらいのようにも思います。

そして、これは海外だからというわけではなく、国内の地方でも同様だと思います。目の前には綺麗な海があるのに、山があるのに、食べ物は美味しいのに、自分は家にこもって東京の仕事相手とオンライン会議に明け暮れている。そんな生活パターンに「このままでいいの?」「こんなはずではなかった」「想像していた生活と違う」といったジレンマは少なからず襲ってくるはず。リモートワークを選択した人の中には、前述の通り「ライフワークバランス」を重視したい、この場所でしか経験できないことをもっとしたい、海外であれば語学も学びたい、この土地だからこそのエリアにも行ってみたい・・・そんな強い想いを持っている方も多いと思います。そんな理想と現実のギャップ、なんとなくご想像いただけるでしょうか。現地を満喫するか、東京のリモートワークをするか…。その狭間に立ち、どうしようもないモヤモヤが自分を襲ってきます。

このような環境、例えばワーケーションなどでも似たような感覚はあると思います。旅行先に行ってまでパソコンに向かうのかという気持ちです。しかも、仕事というのは一回始めると、なかなか際限がなくなってしまう癖の悪さがあるもので、初めは週1〜2日だけ働けばいいやなんて思っていても、気づくとどんどん、どんどん仕事量は増えていき、いつの間にかオフィスで働くよりも忙しくなることもあったりします(早朝から深夜まで働いたりってことも正直あります)。

結局、このようなモヤモヤを抱えながらも、1年以上、海外でリモートワークを続けているわけですが、もうだいぶリモートワークについては吹っ切れました。現地を満喫するのはオフタイムにすれば良いと。

というのも、仕事のご縁はいったん切ってしまうとなかなか元には戻せないもの。いつかまた東京に戻るかもしれない、他の国に行くかもしれない、日本でも地方になるかもしれない。でもリモートワークであれば、どこに引っ越しても続けられる。そんなかけがえのないないメリットがあるということに気づいたのでした。

まとめ

テクノロジーが進化し、リアルにパソコンとネットワークさえあればどこでも働ける時代になりました。というか、リモートワークを続けると、どうせ会社に行ってもパソコンに向かって働くので、逆になぜ会社まで行かないといけないのかという感覚さえ出てきました(もちろん、実際に顔を合わせて働く意義は大きいということは理解していますが)。

すごくありがたいと感じる一方で、先に述べたように、このような働き方が不可だった時は抱きようもなかったモヤモヤが出てくるものなのだなという気づきも…。どんなに進化しても、出てくる課題。もっと素敵なスタイルはないか、今後も探っていきたいと思います。

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