【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例
リフレーミングはものごとを前向きに捉えるための心理学の技術ですが、汎用性が高く、ビジネスの世界にも応用可能です。リフレーミングという言葉を聞いたことがなかった人でも、本記事を読めば一通りの知識を得ることができるはずです。
リフレーミングって、そもそも何?
リフレーミングとは、神経言語学的プログラミング(NLP)の方法に基づく心理臨床の方法論の一種です。と言われても、何のことだかサッパリかもしれません。ざっくり言ってしまえば、リフレーミングとは「物事を新しい見方でポジティブに解釈する」こと。著名な例に「水が半分入ったコップをどのようにみるか?」というものがあります。つまり、「半分しかない」と考えるのではなく、「半分もある」と考えることがリフレーミングのモノの見方です。見方や解釈が違えば、同じ出来事に対しても違った対応ができるという点が面白いのではないでしょうか。
リフレーミングを利用すれば、自分の感情を正しい方向へコントロールすることができます。
例えば、「自分は一人前の仕事もできないとネガティブに考えていたけど、そのことで思い悩むということは、仕事に対してそれだけ真摯に向き合っているともいえるのだよな……」という風にネガティブな感情をポジティブな感情に変えることができます。人はポジティブになるとドーパミンという神経伝達物質が分泌され、やる気が出てくると言われています。感情を的確にコントロールすることが求められるビジネスの世界においても、リフレーミングはとても効果的であるはずです。
リフレーミングの3つの種類
リフレーミングは変化という視点から、3つの種類に分けることができます。1つずつ順番に説明していきましょう。
1.「角度」を変えるリフレーミング
物事には、コインの表裏のように、ポジティブな面とネガティブな面が共存しています。リフレーミングによって、「角度」を変えるとは、ネガティブな面に着目する視点をポジティブな面に向けてあげようとするものです。この考え方は、リフレーミングの中でもっとも一般的なものです。
例えば、あなたが一生懸命取り組んだプロジェクトが失敗に終わってしまったとします。通常であれば、その結果に落胆して、すべてがネガティブに思えてしまうことでしょう。しかし、リフレーミングによって見る角度を変えれば、「自分の実力が足りていないことが認識できた。目標のレベルに達するまで頑張ろう」と前向きに捉えることができます。
2.「文脈」を変えるリフレーミング
次に思考や行動が起こっている文脈に着目するリフレーミングを紹介します。すべての考えや行動は、それが起こる文脈(コンテクスト)の中で意味を持ちます。要するに、ある特定の環境下ではまったく役に立たなかったものが、違う環境に置かれると有益になる場合があります。
例えば、労働環境に対して自分の権利を主張して会社の規則にまったく従わない社員がいたとします。その社員は、会社という文脈では煙たがられてしまうでしょう。ただ、その権利を主張する姿勢は人権運動という文脈に置かれれば、弱くて虐げられている人たちのために、勇敢に戦う指導者になりうるかもしれません。これは大げさな例ですが、あなたの性格も文脈を変えることによって長所となる点が必ずあるはずです。
3.「価値や意味」を変えるリフレーミング
最後は、価値がないと考えられていたものに、価値を与えるリフレーミングの種類を紹介します。あなたの周りでもそのような例は考えられませんか? 例えば、「ビンテージ」という言葉はどうでしょう? 「中古」というとちょっと野暮ったいイメージがありますが、「ビンテージ」と言葉を変えるだけで、その意味がガラっと変わることがわかると思います。
あるいは、「ミニマリスト」という言葉はどうでしょう? そのように自分たちを呼ぶことで、ライフスタイルに対して、自信を持つことができますよね。このように、呼び方や意味を変えることで、ポジティブなイメージが生まれることがあります。
リフレーミングの3つの種類を説明しました。
一口にリフレーミングといっても、さまざまな切り口があるということがわかっていただけたかと思います。
リフレーミングをチームで実践するためには
これまでの内容で、リフレーミングの持つ効果を実感できたと思います。ただ、「早速、明日から自分のチームでも導入してみよう!」と思ったマネージャーの皆さんはもう少し待ってください。リフレーミングをチームに導入するためには、リフレーミングの考え方だけを一方的に説明してもあまり効果がありません。
リフレーミングをチームに導入するためのコツが必要になります。ここでは、そのコツを9つ紹介します。
チームメンバーの問題を自分の問題と混同しない
リフレーミングは、問題を認識することから始まります。
しかし、メンバーと自分が抱える問題が似ていることは少なくありません。問題自体は似ていても、認識は個々人によるものです。ここで自分の問題とメンバーの問題を混同してしまうと、認識の押し付けやズレによる批判につながってしまいます。そこでマネージャーがまずやるべきことは、自分自身を知ることに時間をかけ、自分の問題を解決することです。自分が問題を抱えていたらメンバーを啓蒙することは難しいということを理解してください。
チームメンバーに共感する
リフレーミングにおいて、共感するということは非常に重要です。
自分とメンバーの関係が安全であるという信頼関係を築き、メンバーがホッとする環境を作り上げることが、リフレーミングの大前提です。そのために必要なことは、「リフレクティブ・リスニング」と「アクティブ・リスニング」のスキルを磨くことです。
リフレクティブ・リスニングとは、メンバーの言葉を反復するスキルであり、アクティブ・リスニングとは、メンバーの言葉を進んで傾聴する技術です。このスキルは、コミュニケーションにおいてとても大切な考え方であるため、身につけておいて損はないでしょう。
批判をせずチームメンバーを受け入れ、自分の真摯な気持ちを伝える
メンバーがネガティブになり自分自身を受け入れない時、あなたがメンバーの分までメンバーを信じ、受け入れましょう。
決して、批判、説教、ジャッジメント(善悪の判断)をせずに、メンバーの成長だけを願い、真摯にメンバーと接することが大切です。
焦らないで、タイミングを待つ
メンバーの話を聞きながら、コアとなる問題は何かを探ることはとても大事です。
リフレクティブ・リスニングやアクティブ・リスニングでメンバーに共感することはできても、リフレーミングするタイミングは、メンバーがネガティブなことを言い始めたり、ネガティブなテーマが浮かび上がってくる時まで待ちましょう。そうすることで、リフレーミングの効果を最大限発揮できるようになります。
ネガティブなことの中に、ポジティブな力を見つける
これがリフレーミングの肝となる要素です。
メンバーの話を、
- 強みは何か?
- リソース(資源)は何か?
- かつての成功体験とは?
- 大切で意義のあることは何か?
- キラキラしたりワクワクすることは何か?
- 何がモチベーションの源泉になっているか?
などを常に考えながら、聞くことが大切です。
リフレーミングの種類を選び、言葉を的確に選ぶ
これによって、リフレーミングの効果が変わります。
違った角度からアプローチして、これまで気づかなかった面に気づかせるのか、文脈を変えて、以前、他の文脈で役立ったことやリソースを思い出させてエンパワーするのか、価値や意味を変えてメンバーの見方や解釈を変えるのかなど、最適なリフレーミングの種類を選びましょう。そして、どんな言葉がもっともメンバーに響くのかを考えます。
はっきりした口調で、チームメンバーの目をしっかり見て、リフレーミングをゆっくり伝える
どんなに素晴らしいリフレーミングでも、適切な伝え方をしなければ、十分に効果を発揮することができません。
どのような口調や態度がメンバーに受け入れてもらいやすいかを常に考えながら、最適な伝え方をしましょう。例えば、声のトーンを工夫するだけでも、結果に大きな違いが出るものです。
リフレーミングがチームメンバーに届いたか確かめる
リフレーミングをメンバーに伝えることができたら、それがメンバーの心にきちんと届いたかどうかを確認しましょう。
メンバーの顔や、声、姿勢などに変化があれば、それを見落とさないようにします。言葉ではない、仕草などに注目することがポイントです。
チームメンバーの変化を見届け、継続的にフォローする
もちろん、会社の外までメンバーの変化を見届けることはできませんが、感情や思考の変化、モチベーションの向上などは気をつけていれば把握できるはず。
これらの進歩を継続的にフォローしながら、適切なリフレーミングを重ねていくようにしましょう。
マネージャーがチームにリフレーミングを導入する9つのコツについて、説明しました。これを踏まえた上で、リフレーミングを行なえば、高い効果を発揮することができるのではないでしょうか。
Next…「チームメンバーの力を最大化するための「心理学」〜『リフレーミング』という技術を知ろう」
「あなたの仕事を変えるリフレーミング術」についてのまとめ
本稿では、リフレーミングの基礎からそれをマネージャーがチームに実践するコツまで、幅広いトピックを網羅しました。
リフレーミングの考え方は一朝一夕で身につくものではありませんが、会得する価値のあるものです。そのきっかけとして、本記事を参考にしていただければ幸いです。