自分のタスクがいっこうに消化されないと、ストレスを感じてしまう人がほとんどだと思います。なぜタスクが終わらないのか、その原因を突き止めて対処しなければ、タスクから開放されることはないでしょう。今回はタスクが終わらない原因とその解決策について考えていきます。
1.時間の使い方が悪いから
まず考えられるのは、与えられている時間を有効活用できていないということです。しかし、与えられた時間に対してやるべきタスクが多すぎるということも大いに考えられます。
ここでは、タスクに対する時間管理の方法を4つのステップに分けて説明します。その中で自分にとって課題だと思えることがあれば、それを意識的に改善していきましょう。
STEP1:やるべきタスクを洗い出す
第一に、多くの人は自分がやるべきタスクを理解できていません。そのような人たちは、仕事を単純に行き当たりばったりでこなしていくだけで、「今週は何個のタスクがあるのか?」といった全体像を知りません。
この方法の場合、そもそもタスクを失念してしまう、大事な仕事が後回しになってしまう可能性があります。まず、今日のやるべきタスクを紙やテキストファイルに書き出して、全体像を把握することから始めてみましょう。
STEP2:タスクの優先順位を決める
タスクの洗い出しが終わったら、タスクの優先順位を決めましょう。その際に、以下のマトリックスを参考にすると良いでしょう。
第一領域は「緊急かつ重要」なタスクなので、最初に対応しなければなりません。そして、第二領域も「緊急ではないが重要」なタスクですから、しっかりと計画を立てて取り組む必要があります。理想的には、第二領域に時間を割くと良いでしょう。品質の向上や人間関係の構築など、将来的にみてプラスになることが、第二領域のタスクには多いからです。
第三領域に関しては、コストパフォーマンスが低いタスクが、中心になりますので、できることなら、断ってしまうことが肝心です。第四領域は、ほとんど無視してしまって構わないでしょう。ただ、油断していると、これらに時間を奪われることが多いため、注意が必要です。
STEP3:タスクの期限を決める
タスクの優先順位が決まったら、期限を決めましょう。期限を決めないとダラダラと仕事を先延ばしにしてしまいがちです。期限は実際の期限よりも短めに設定することがポイントです。
なぜなら、「パーキンソンの法則」によれば、人は期限を設定すると、ギリギリまで時間を費やしてしまう傾向があるからです。また、中長期のタスクであれば、それらを分解して細かいタスクに落とし込みましょう。小さな複数の期限を作ることは、タスク管理にとって重要です。こちらも余裕を持った短めの期限を設定しましょう。
STEP4:実際のスケジュールに落とし込む
最後に、タスクをスケジュールに落とし込みましょう。
優先順位と期限が明らかになったので、それらを考慮してスケジュールを組むようにしてください。終わったタスクには印をつけ、予定より遅れているタスクがあれば再度期限を設定しましょう。そして、およそ1週間ごとにスケジュールを確認していきます。新しいタスクを加えつつ、既存のタスクとうまく調整をする必要があります。
>>「エクセルでタスク管理をスマートに~作業効率がアップする工程表テンプレ7選」を読む
以上、タスクを時間管理する4つのステップを紹介しました。
「この考え方が自分には欠けていた」と思うようなことがあれば、ぜひ積極的に日々のタスク管理に取り入れていきましょう。
2.スキルが足りないから
単純にあなた自身のスキルや能力が足りないからということも考えられます。
例えば、「会計システム導入のための資料を作る」というタスクがあったとして、もしあなたが、業務知識やシステムに対する理解は持っていたとしても、スライド作成のスキル・能力がなかったとしたら、タスクを時間内に完了させることは難しいですよね。このような問題を解決するために必要なことこそがスキルアップなのです。
スキルアップするために
スキルアップには、いくつかの段階があります。まずは、求められているスキルに関する「知識を得ること」が肝心です。知識には、明文化された「形式知」と明文化されていない「暗黙知」があります。形式知は、資料やドキュメント、関連書籍を読むことで身につきます。暗黙知は、チーム内の先輩に聞くなどして、得ることができます。
「知識」を得ることができても、それに基づいて実践を繰り返すことが大切です。始めは時間がかってしまうことを考慮にいれてタスクを組みましょう。次第にスキルが身につくにつれて、かかる時間が少なくなり、最終的には十分満足できるようなスピードでタスクを完了させられることを目指しましょう。
3.相談ができないから
タスクが終わらないのは、相談できる人がいないからというケースもあります。
相談ができないというのは、相談相手の人の問題ですか? あなた自身の問題ですか? 確かに、相談しにくい相手というのは存在します。単純に、あなたとの相性が良くないから……という場合もありますが、例えば、態度が威圧的である、些細なことで叱責するなど、一般的に言って、コミュニケーションがとりづらい人たちがいます。
しかし、社会人として働いている以上、相手がどのような人物であるかに関わらず、一定のコミュニケーションを取っていかなければなりません。つまり、「相談ができない」ことは、最終的にはあなた自身の問題なのです。それではもし、苦手な相手に相談するために関係改善を考えていくとしたらどうしますか? ここでは、二つの方法を紹介します。
自分からアクションを起こそう
苦手な相手と距離を置くほど、疎遠になり、より相談することが難しくなってしまいます。ここでは、自分からアクションを起こして、相手へ歩み寄る方法を推奨します。具体的には、挨拶の一言をかける、短くてもいいから会話をする、などです。相手の反応が芳しくなくても、自分から声をかけたということは自信につながります。
相手に対する「見方」を変えよう
この方法は、自分から相手への視点を変えることで、思い込みをなくすというものです。「私を育てるために、キツい言い方をしたのかな?」「先輩も疲れていたのかな?」など、一方的に「冷たい態度をとられた!」と悲観するのではなく、違った見方で、相手のことをもう一度、ゼロベースで見つめ直してみることが非常に重要です。
これによって、心がラクになり、相談できるようになることも十分に考えられます。
4.チームに問題がある
最後に、あなた自身の個人的な問題ではなく「チーム」に問題が存在する場合です。もし「チーム」に課題を抱えていると思っているなら、これを機にチーム内で問題の共有をして解決を図りましょう。
さて、チームに問題があってタスクが終わらないという状況とはどんな場合でしょうか。それを3つに分類して考えてみます。
「タスクが終わること」の定義がチーム内ではっきりしていない場合
この場合、仮に自分がタスクを終わらせたと思い、リーダーに報告してみても、タスク完了と認めてもらえないことがあります。これはタスク完了に関する認識がチーム内でバラバラであることを示しています。
この問題は誰かが指摘しない限り解決しません。そのため、チームリーダーに対して、タスク完了の定義を明確化してもらえるように要求していく必要があります。
「タスク時間の見積もり」が現実的でない
これは時間内に終わるはずのないタスクの振られ方をされる場合です。このような時、自分がいくら努力してタスクを終わらせようとしても、時間内にタスクを完了させることは難しいです。
本来、タスク時間を正確に見積もるためには、タスクの粒度をさらに細かくして、必要なステップを分類した後、作業時間を割り振っていき、最後にそれを合計するというプロセスが不可欠です。要するに、やるべきことを明確に見定める必要があるのですが、そのプロセスがないがしろにされていると、現実的ではないタスク時間の見積もりが行なわれてしまいます。このような状況に陥った時は、チーム内でタスク時間の見積もりに対する意識改善を推進していかなくてはならないでしょう。
チーム内における「残業体質」
チームメンバーが遅くまで残業している中、自分のタスクが終わったからといって、早く帰ることはなかなか難しいでしょう。そのため、必ずしもいまやる必要がないタスクに着手することやチームメンバーのタスクを引き受けるといったことになってしまいがちです。これでは、いつまでもタスクが終わりません。このような文化を改善するために、思い切って「ノー残業デイ」を提案するなどしても良いかもしれません。
>>「最高のチームの共通点とは何か? 最先端の企業で実践されている5つのポイント」を読む
まとめ
「タスクが終わらない理由」について、いろいろな角度から考察した後で、考えられる理由ごとに解決策を提案している記事になっています。
「タスクが終わらない……」と嘆いている方は、本稿で提起した問題のいずれかがボトルネックになっている可能性が高いので、ぜひとも参考にしてみてくださいね。