企業の営業力向上のためには、案件管理を適切に行うことが重要です。
チームの営業力を高めるためにも、案件管理は欠かせません。
本稿では案件管理の概要と、案件管理を行うメリットや必要性について、さらには案件管理を効率的に行うための、おすすめのタスク管理ツールも紹介します。案件管理システムの導入により、営業力強化や業務効率化を目指す企業も増えています。本稿を参考に検討してみてはいかがでしょうか。
案件管理とは
案件管理とは、クライアントや顧客の情報、営業の進捗状況などを可視化できるように記録して管理することです。
案件管理を行うと情報の一元管理ができるので、複数の案件が同時進行し担当者が異なる場合でも、チーム内で状況を把握することができます。また、情報の蓄積によりデータ分析が可能になり、業務効率化にも役立ちます。
案件管理の必須項目
案件管理で管理する必須項目として以下の6項目などが挙げられます。ただし、事業内容やビジネスモデルにより項目は異なるので、チームに必要な項目や入れたい情報などを検討し、管理項目を決定するとよいでしょう。
・顧客名
・営業担当者名
・受注日
・納品日
・進捗状況
・売上金額
これらの項目を案件ごとに記載し、管理をしていきます。
案件管理の必要性
案件管理を行う必要性はどこにあるのでしょうか。ここでは4つの観点から必要性を解説します。
受注確度を高める
営業の案件では、いかに受注につなげるかが大きなポイントです。
案件管理で、顧客の状況や要望、現状で抱えている問題点などの情報を整理すると、どのようにアプローチをすべきか検討することができ、受注確度を高めることにつながるでしょう。
属人化を防ぐ
営業の案件で多くありがちなのが、担当者しか状況を把握できていない属人化です。
案件管理を行うことで、チーム内で情報を共有・可視化できるようになり、属人化を防ぎます。ノウハウやナレッジも蓄積できるので、チームの営業力の向上にもつながるでしょう。
案件分析による業務改善
案件管理により情報が蓄積されることで、営業プロセスについて分析を行うことが可能になります。分析結果をもとに問題点や改善策について検討を重ねると、業務改善が期待できるでしょう。
経営層のアクションの手助けになる
案件管理を行い、情報を蓄積していくことは、経営面においても好影響を及ぼします。
分析結果に基づき売上見込みを予測したり、次にどのような施策を行うか検討したりなど、経営層のアクションの手助けになります。
案件管理システムの種類
日々の案件管理を効率的に、かつスムーズに行うには、システムの導入がおすすめです。
ここでは案件管理に用いられることの多いシステムを3つ紹介します。
Excel(エクセル)
Excelは普段業務でも使われる表計算ソフトのため、使い慣れているビジネスパーソンも多いでしょう。PCに初期搭載されている場合が多く、案件管理のために新たに費用が発生しないこともあり、手軽に導入できるツールです。
条件付き書式や入力規則、関数などを用いて、案件管理に必要な項目が入力できるようにフォーマットを作成して運用します。自由にフォーマットを作成でき、チームメンバーが抵抗なく操作できるのがメリットですが、反面、一からフォーマットを作成しなければならない煩わしさや、情報分析の難しさもあります。
また、クラウド上での管理ではないため、複数人で同時に編集ができなかったり、それぞれが編集をすることでファイルのバージョンが異なってしまったりなど、共有の難しさがあります。適切に運用するためには、運用ルールを策定するなどの工夫が必要でしょう。
Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートも、近年ビジネスで使われることの多いツールです。Excelと同じく導入コストがかからないため、導入がしやすいでしょう。
Excelとは違い、クラウド上での管理のため、複数人での同時編集も可能です。編集状況や更新内容がリアルタイムに反映されるので、データを常に最新の状態を保つことができます。いつ誰が編集したのか編集履歴もわかるため、更新内容に誤りがあった場合などに追跡して戻すことも可能です。
チームメンバーが、それぞれ別の場所からでも情報を共有できるのがメリットといえるでしょう。ただし、Excel同様、フォーマットの作成は必要です。
タスク管理ツール
タスク管理ツールは、やるべき業務を可視化して進行を管理するツールです。個人のタスクでもチームのタスクでも管理ができます。特にチームの場合は、業務の全体像や進捗状況などの情報を共有しやすいのが特徴として挙げられます。
ツールにもよりますが、案件の状況をガントチャートで管理したり、カンバン方式で全体像を可視化したりなど、チームの状況にあわせた運用が可能です。
営業状況だけでなく、それに付随する業務もまとめて管理することもできるので、活用範囲は広いでしょう。
案件管理システム導入のメリット
案件管理システムを導入することにより、さまざまなメリットが得られます。具体的に3つのメリットを紹介します。
営業プロセスにおける状況の可視化
案件管理システムを活用すると、進捗状況を可視化することができます。担当者ごとの業務量も把握できるため、偏りがないように調整することができるでしょう。
営業プロセスにおいて予定通りに進行していなかったり、営業状況にトラブルがあったりする場合には、担当者のフォローや方針の転換を検討するなど、状況に応じた対応を早期に行うことが可能です。
受注見込みと案件売上集計の把握
案件管理の項目にしたがって適切に管理を行うと、受注見込みや案件売上集計の精度が高まり、把握がしやすくなります。
受注が叶った営業データだけでなく、失注した営業データも原因を分析して積み上げることで、次の営業案件に活かすことができるでしょう。
顧客体験の向上
チーム内で営業案件に関する情報が共有できていると、担当者の不在時でも、別のスタッフが対応できます。顧客の問い合わせに対して、担当者不在を理由に回答が遅れたり、複数の担当者が重複して顧客に同じアプローチを行ってしまったりすることも回避できるでしょう。
顧客に対しての適切な対応により、顧客の満足度は向上し、営業力のアップが図れるでしょう。
案件管理システム選定のポイント
案件管理システムの導入の際には、どのシステムを選択すべきか検討をする必要があります。価格や導入のしやすさだけでなく、多角的な視点で選定することをおすすめします。
ここでは具体的な選定のポイントを解説します。
モバイルやタブレットに対応しているか
営業は顧客先に出向くことも多いため、外出先でも案件情報の入力や確認ができると、商談後、リアルタイムに情報を更新することができます。スマートフォンなどのモバイルやタブレットに対応している案件管理システムを導入すると、これらのことが可能になります。
予定時刻までの隙間時間も無駄なく活用できるため、効率的に管理が行えます。
導入までのハードル
案件管理システムの導入には、営業担当者がそれぞれの取引情報を最初に入力しなければなりません。入力に手間がかかる仕様では、導入までのハードルは高くなり、案件管理システムに対する期待感も、減少してしまうでしょう。
テンプレートの有無
テンプレートの有無も確認しましょう。テンプレートが豊富に用意されていると、チームに適したものが選択でき、導入までのスピードもアップします。チームの現状に合わせた仕様にカスタマイズしやすく、管理もスムーズに行えるでしょう。
案件ごとに情報をまとめられるか
案件ごとに情報をまとめて管理ができるかどうかも、重要なポイントです。複数の案件が同時に進行している時などに、案件ごとに情報がまとまっていると整理がしやすく、また確認したい時にすぐに該当の情報をみつけることができます。
ツール連携ができるか
案件管理システム導入後、営業担当者の負担軽減のためには、現在使用している各種ツールとの連携が可能かも確認しておきましょう。
営業担当者がそれぞれ管理をしている顧客情報がある場合、ツール連携ができると案件情報の入力の手間を軽減することができ、管理が一層しやすくなります。
使いやすい画面設計であるか
案件管理を長く継続させるためには、使いやすい画面設計であるかどうかにも注目しましょう。日々情報の更新や蓄積を行うツールですから、使いやすさはとても重要です。
情報の入力のしやすさや画面の操作性、使いやすいUIなど、営業担当者の負荷が少ないものを選択しましょう。無料期間や無料プランを活用して、使用感を試してみるのもおすすめです。
案件管理におすすめのタスク管理ツール
案件管理を効率的に行うには、タスク管理ツールの利用もおすすめです。
タスク管理ツールは業務の全体像の把握や情報の可視化ができ、進行状況を管理することができます。
営業案件の情報をチーム内で共有しながら、受注までの進行をリアルタイムで管理します。トラブルの発生や顧客からの急な依頼にも即時に対応する体制が整うため、受注の機会を逃さずに確度が高められるでしょう。
タスク管理ツールはさまざま提供されているため、導入にあたっては選定の難しさが生じます。【【2023年版】タスク管理・To Do管理ツールのおすすめ15選!導入のポイントも紹介】では、タスク管理ツールを選ぶ際のポイントや、おすすめのツールの機能の比較を紹介しています。適切なツール選びの参考にしてください。
まとめ
営業結果は企業の業績に直結する重要な内容です。
案件管理によって得られたデータの蓄積や分析結果は、企業の資産であるともいえるでしょう。
案件管理システムを導入し適切に管理することで、営業成績の向上が見込めます。
企業の発展のためにも、案件管理システムの導入を検討するなど、適切な案件管理を目指してみてはいかがでしょうか。