定期的に話題になる「ありえない新人行動」エピソード。社会人として、さらには人としてどうなのか? という言動はさておき、どんな企業でも、新人と先輩・上司との間で多少の温度差はあるものです。
一方で、入社後数ヶ月もすれば同僚より頭ひとつ飛びぬけて可愛がられるエースが登場するのも世の常。同じスタートで、スキルとしてはそこまで大きな違いはないはずなのに、なぜあの人は「できる新人認定」をしてもらっているのだろう? そんなモヤモヤを抱えている人へ、すぐに真似できるいくつかの方法をご紹介します。
秘訣は「職場の先輩を巻き込む力」にあり?!
職業柄、社内報や採用サイト取材などで「入社半年で新人営業MVPに!」「新事業部のアイデアは新人のひと言から」等、会社から“できる新人認定”をしてもらっている方たちを取材する機会も多いのですが、共通して感じるのは「職場全体を味方につけている」ということ。イケイケバリバリ系の人物像をイメージするかもしれませんが、どちらかと言えば総じて腰が低く、人懐っこい笑顔で、とにかく素直そう、という印象を持つ方が多いです。いったい突き抜けられた理由はいったいどこにあるのでしょうか?
「上司」「先輩」という垣根を越え、個人として興味をもってもらえるようなアプローチがうまい
新人にとって、職場の目上の人はただでさえ緊張もしますし、話をする距離感も迷いがあるもの。なかなか気軽に話しかけることも難しいものです。でも、「たくさんの新人の中の1人」としてではなく、明確に名前を覚えてもらうことはもちろん、「●●な新人だよね?」の●●に当てはまる個性や特徴を知ってもらえると、関係値が少しだけ前進します。そこからどんな風に「会社の一員」として存在をアピールできるのか? 順を追って解説していきます。
さりげない世間話が突破口に?!
ここでは、上司や先輩との接点の作り方をご紹介します。
「世間話」の重要性を知ろう
まずコミュニケーションをとる、といっても、「職場コミュニケーション=お友だち感覚で接すること」ではないことは明言しておきます。そこはやはり仕事場である以上線引きすべきで、勤務時間中は仕事に集中するのがルール。だからこそ、少し早めに出社して始業前の数分の間、お昼に向かう道すがら、退社後のすれ違いざまにひと言交わすところから始めましょう。
- あいさつやお天気
- 住んでいる場所
- 興味がありそう? と思うニュース(スポーツや芸能系何でも)
- 休日のこと
- 少し顔見知りになったら部署のことなど
最初は差し障りのない質問で十分!
「いわゆる世間話ができる」のは簡単そうに見えて、実はとても難しいこと。相手の雰囲気や場を読まずに話しかけても迷惑になりますし、「今はそれどころじゃない!」という人にわざわざ話しかけに行くのはタブーです。雰囲気がつかみきれなくても、まずは今までの人間関係から何となく推察できる範囲からで構いません。仕事時間外だからこそ、相手の時間を邪魔せずに話をしたいところです。また、どんな仕事でも初対面の方とお会いする機会は多いですから、この心がけはいつか確実に生きてきます。さりげない自分アピールにもなりますので、ぜひ心がけてみてください。
世間話から引き出したい情報とは?
少し会話を交わせるようになってくると、それぞれの人となりや個性が段々とわかってきますよね。直属の上司や部署に限らず、できるだけ多くの部署の方と世間話を重ねながら知りたいことは、自分が話しやすい相手、何となくでも部署内でのそれぞれの立ち位置や役割、手がけている仕事・・・これらの社内事情。組織図からは見えない人間的な部分や関係性を把握することは実はとても重要なことなのです。
というのも、新人時代は、研修を受けても、マニュアルがあっても、分からないことが出てくるのは当然のこと。部署内で何でも聞ける先輩を作ることはもちろん、「技術系ならこの人」「経理関係ならこの人」等、部署をまたいで聞きやすい人を事前に探しておくといいでしょう。結果的に業務の効率化・理解度にも影響してくるはずです。
上司が教えたくなる「質問力」、信頼される「思考力」を身につける
次のステップは、自分が分からない部分について聞くテクニックです。
<質問上手になるために必要な心構え>
「自分がわからない部分をきちんと理解できるように話してもらう」「的確に指導してもらう」には、いくつかポイントがあります。
「わかりません」「教えてください」のみの質問はNG!
せっかく「質問できる」ネタがあるのであれば、その接触をひたすら受身にするのはもったいない!「すいません、これどういうことですか?」とだけ聞くよりも「ここまではやってみたのですが、こうすればいいでしょうか?」と、一度自分でもしっかり考えたことを確認してもらったうえで、必要なら修正してもらう、という方が、相手も答えやすいですし、間違いなく身につきます。全くのゼロベースから教えるのか、何がどうわからないのかを理解した上で教えるのかでは教えやすさも違うもの。聞きたい、伝えたい内容のベクトルが同じであることは、お互いにとってベストとなるのです。
答え方も重要! 印象が180度変わる「言い替えマジック」
「否定から入るな!」はよく聞く言葉かもしれません。新人時代は否定も何も、まずわからないところからのスタートなので、否定しようもないかとは思うのですが、「できません」と即言うのも避けた方が無難。誤解のないように補足すると、「できる」と言いなさいということではなく、「できないな」と思っても、言い方を工夫するだけで相手に与える印象が大きく変わる、ということです。
例えば、最初は、スキル的に難しいものも実際多くあると思います。エクセル、パワーポイントなど、慣れていない作業で教えてもらったことがどうしてもわからない、もしくは時間がかかりすぎてしまうと予想される場合もあるでしょう。心の中では、「でも…今までやったこともないし、急に言われても終わらないよ!」という声が響くかもしれません。その気持ちをこのように変換してみるのです。
「エクセルの数式やグラフがまだあまり使いこなせないので、時間がかかるかもしれません。分析の経験もないので、過去のもので参考になるものがあれば見せていただけますか?」
「パワーポイントの導入の部分まではイメージがわきました。一度絵にしてみるので、その先、もう一度聞きにきてもいいでしょうか?」
どうでしょう?「できません」→「できること」をプラスして変換すると全く受ける印象が変わる気がしませんか?「受身」でなく「自分から」考えていく癖がついていくのもメリットのひとつです。
考えを言ってみる! 行動に移してみる! ことも重要
このように、職場内で人間関係を作りつつ、「質問し」「できるように考える」姿勢が明確に先輩たちに認識されるようになってくると、意見を言わせてもらえる場、もしくは一緒に連れて行ってもらえる機会に恵まれてくることが多くなってくるでしょう。そうなったら、一歩踏み出して、憶さず「やってみます!」と言える、行動できる姿勢を見せることも大事なコミュニケーションであり、チャンスです。こういった機会をもらえるということは、少なからず、「任せてみようかな」と上司に思わせる何かがあったということで、考えてもらっている証拠。ここまでの積み重ねで信頼関係も期待も生まれているはずです。同僚に遠慮はいりません!せっかくのチャンスは、素直に受け取り、めいいっぱい頑張ってみましょう!今までの「質問力」「思考力」を応用すれば、プロジェクトを進める上で何かつまずきがあっても、もう自分なりに解決できる社内ネットワークもできあがっているはずですから。この行動力がどう発揮され、形になっていくかにもよりますが、ここまでくれば、「できる新人認定」は間違いなくもらえていると思います。
まとめ
できる新人認定取材中、お話する中で感じた皆さんの「腰が低い、人懐っこい、素直そう」という印象は、雰囲気を読み取ろうとする力、自分を知ってもらいたいという気持ちを押し付けすぎない=発言を受け止めようとしている姿勢、先輩の胸を借りてやってみよう! という意欲、そこに裏づけられているのかもしれません。
どんな仕事でも、どんな立場でも、会社内でのコミュニケーションがしっかりとれていない状況では、いい仕事はできません。「上司がわかってくれない」「過少評価されている」という愚痴を目にすることもありますが、伝えないと伝わらないことも多々あるもの。もし、モヤモヤしているなら、まずは「上司にわかってもらうようなコミュニケーションがとれているか?」という点から、自分の行動を一度見直してみてもいいかもしれません。人間関係は、一朝一夕でできあがるようなものではないので、少しじれったくなるかもしれませんが、意識するだけでトライできることなので、思い当たる節がある方は、ぜひ今日から実践してみてください。仕事運を引き寄せるのも自分次第です!