アサーションとは? 各タイプをドラえもんのキャラで解説

上司やクライアントに言いたいことが言えず、自分の意見を呑み込んだ経験がある人は少なくないはずです。近年ではチャットツールやオンライン会議ツールの導入が進み、感情が読みにくく、ことさら自分の意見が伝えにくいと感じる人が多いのではないでしょうか。

そこで必要とされるのが、アサーションです。

アサーションとは何か、身に付けるメリットやアサーションの3つのタイプ、トレーニング方法について紹介します。

アサーションとは

アサーションとは、他者と対等な立場でコミュニケーションを行う方法です。英語の「assertion」を直訳すると、主張や断言といった強めなニュアンスになりますが、コミュニケーションにおけるアサーションは、円満さを大切にするという概念と捉えると良いでしょう。

『コミュニケーションが得意です』という人の中には、自分の気持ちや意見を伝えることだけが得意なタイプの人がいますが、相手の感情を汲めていなければ、本当の意味でコミュニケーションスキルが高いとは言えません。

人と人によって成り立つコミュニケーションには、自分の感情も相手の感情も大切にすることが重要で、この相手の意見や感情に耳を傾けながら適切な自己主張ができるスキルのことを「アサーション」といいます。

アサーションが注目される背景

アサーションが必要とされる背景には、昨今の社会や企業が抱えている課題があります。その課題を解決するためにも、アサーションが注目されているのです。

アサーションが効果的と考えられる社会課題の例を3つ挙げてみましょう。

テレワークの増加

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、日本でもテレワークを取り入れる企業が増えました。従来の顔を突き合わせたオフラインのコミュニケーションから、オンラインを主体とするコミュニケーションに変わったことで、利便性が向上した反面、感情の読みとりにくさや距離感の取りづらさなど、コミュニケーションの難しさを感じる人も増えています。

オンライン会議では言いたいことが言えない、オンラインでの商談に切り替えるのが難しいなど、webツールを通じたコミュニケーションにおけるストレスはもちろんのこと、顔を合わせる機会が少なくなったことによる、孤独や疎外感もストレスの一因となっています。

アサーションによって円滑なコミュニケーションが期待できるでしょう。

ハラスメントへの関心の高まり

パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントなど、企業におけるハラスメントは、言うまでもなく従業員にストレスを与えます。訴訟を起こされると、企業のイメージダウンにつながることも考えられます。

パワハラ防止法や育児介護休業法が改正され、ハラスメントへの関心が高まる昨今、健全な経営のためにも、企業はこれまで以上に防止策を強化する必要があります。

そのためにも、アサーションによる対等なコミュニケーションが求められているのです。

職場における鬱やメンタルヘルスの問題

厚生労働省が調査し、発表した精神障がいの労災補償状況を見ると、平成29年度は1,732件だった労災補償の請求件数は、令和3年度には2,346件にまで膨れ上がっています。

精神障がいを引き起こした出来事を見てみると、上司とのトラブルや退職の強要、上司などからの身体的・精神的攻撃等のパワーハラスメントが増加傾向にありました。

従業員のメンタルヘルスの状態は、業務におけるパフォーマンスに比例します。アサーションを用いたコミュニケーションでストレスを軽減し、メンタルヘルスの改善が必要です。

参考:精神障害の労災補償状況|厚生労働省

アサーションを身に付けるメリット

アサーションを身に付けると、以下のようなメリットがあります。

対等な意見交換ができる

ビジネスシーンでは、上司や部下、クライアントや外注先など、さまざまな立場の人と意見交換をする機会があります。時には、無理難題を持ちかけられることや難しい提案をしなければならないこともあるでしょう。

そんな時は、対等な立場に立って自身の意見を伝える必要があります。アサーションを身に付けると、相手を尊重しつつも対等な議論ができるようになります。

意見を適切に伝えられる

特に言いにくいことを伝える時には、言葉が強くなったり下手にですぎてしまったりし、適切に伝わらないこともあります。

仕事を辞めてほしくない、評価を下げられるかもしれない、自分についてこなくなってしまうかもしれないなど、意見を伝える際にはさまざまな不安が伴うと思いますが、適切に伝えられないと、企業や個人の成長はありません。

アサーションが身に付くと、相手に不快感を与えることなく、自分の意見をしっかり伝えられるようになります。

相手に不快を感じさせずに断る

断ることができず言われるがままに引き受けてしまうと、ストレスを感じるようになります。しかし、断り方を誤ると相手を不快な気持ちにさせ、関係が悪化するでしょう。

アサーションによって、自分も相手との関係性も守りながら申し出を断ることができれば、自分を守りながらも相手との良好な関係性を維持できます。

アサーションにおける3つの自己主張

アサーションには3つのコミュニケーションタイプがあると言われています。この3タイプを分かりやすいように『ドラえもん』のキャラクターに置き換えてみましょう。

アグレッシブ(攻撃タイプ/ジャイアン)

言わずとも知れたジャイアンのようなタイプを、「アグレッシブ」と呼びます。

自分の感情には正直で、思ったことは率直に伝えたり大声を張り上げたり、時には不適切な自己表現もします。

自己肯定感が強く、他者を力強く牽引するリーダーシップが強みと言えますが、時に押し付けがましく、抑圧的な態度をとる傾向を持つため、配慮が足りず敬遠されることもあるでしょう。

アグレッシブの特徴を持つ人は、他者を傷付けてしまったり組織の人間関係を悪化させたりすることもあるので、注意が必要です。

ノンアサーティブ(非主張タイプ/のび太)

アグレッシブとは対極とも言える、主張しないのび太君のようなタイプが「ノンアサーティブ」です。

自分の主張を非優先とし、他者の意見を先立たせることで物事を円満に進めようとします。一見、「思いやりのある人」「控えめないい人」と思われることもありますが、相手に任せすぎてしまうとも言えるでしょう。それゆえ、意志のない人・やる気のない人と思われたり、不信感を抱かれたりすることもあるでしょう。

自分の感情を押し殺しがちで、不安を抱きやすくストレスを感じやすい傾向にあります。

アサーティブ(相手と自分の主張のバランスがとれているタイプ/しずかちゃん)

ドラえもんの登場人物の中で、最もアサーションに長けているしずかちゃんは「アサーティブ」なタイプです。

アグレッシブとノン・アサーティブの“いいとこ取り”で、主張すべき時に主張し、引くべき時には自分を抑え他者を優先できます。アサーションを扱いこなす理想的なタイプと言えるでしょう。

相手にとってネガティブなことを伝える時には、他者を尊重した表現をチョイスできるため、「自分の気持ちを汲んでくれた」「大切にされた」という感覚を持たれ、信頼関係を築けるでしょう。自身の感情に正直でいるため、ストレスを感じにくいことも特徴です。

自分のコミュニケーションタイプをまずはチェック

ここで気になるのが、自分のコミュニケーションタイプです。コミュニケーションタイプは、特定非営利活動法人(NPO法人)アサーティブジャパンの公式サイトで診断できます。

診断は5分程度、9つの質問に回答することで、自分が「アグレッシブ」「ノンアサーティブ」「アサーティブ」のうち、どのタイプに属するかを診断することが可能です。

アサーティブジャパンの公式サイトでは、アサーティブなコミュニケーションスキルを得るためのヒントも紹介されています。

アサーショントレーニングの方法

アサーティブはコミュニケーションの理想の形であることをお伝えしてきました。ここからは、肝心なアサーションを取得するための方法「アサーショントレーニング」について解説します。アサーションの理解を深め、繰り返し実践することで、コミュニケーションスキルがアップするでしょう。

DESC法

DESC法は、アサーションスキルを体系的にまとめた手法です。

以下の4つの段階に分けて伝えることで、相手を納得させつつ自分の意見を主張します。

D:Describe(描写する) 状況や事実を客観的に描写して伝える
E:Express(表現する) 自身の意見や感情を表現する
S:Specify(提案する)相手に求める行動を伝え、具体的な解決案を提案する
C:Consequences(結果を伝える)提案を実行する・実行しないことによる結果を伝える

ABCDE理論

ABCDE理論とは、ものごとの受け止め方や感じ方の仕組みを表しています。出来事があって結果があるのではなく、受け取り方や感じ方による解釈の上に結果があるという考え方です。

A:Activating event(物事を引き起こす出来事)
B:Belief(信念・思い込み・受け取り方や感じ方)
C:Consequence(結果としての感情や行動)
D:Dispute(正しい論理を導くこと・論破)
E:Effect(Dによる効果)

ABCDE理論によって、怒り・悲しみなどの感情や悩みが起こるプロセスは、A→Cではなく、A→B→Cであることが分かります。出来事を誤った解釈をすることで、ネガティブな結果が導かれるというわけです。

アサーションを身に付けるには、物事を合理的に捉える力が必要です。ABCDE理論を用いることで、不適切な受け取り方を正し、合理的な受け取り方に置き換えることができます。

(アイ)メッセージ

自分の意見や気持ちを伝える時、「私」を主語にするテクニックが「(アイ)メッセージ」です。

主語を「私」にすることで、相手を傷付けずに自分の主張を伝えられます。また、「私はこう感じる」「私はこう考えている」というように自分の感情も言葉にできるでしょう。

ただし、自分の感情も相手の感情も大切にするコミュニケーションがアサーションです。伝えるばかりでなく、相手も満足できるようなコミュニケーションを心がけることを忘れてはなりません。

基本的アサーション権

「自他の権利を侵さない範囲で自己表現をしても良い権利」のことを、基本的アサーション権といいます。

「頼まれたことを断るのは不親切」「他者の希望を尊重すべき」「ネガティブな感情は表現しない方が良い」など、社会の常識に囚われて言動を制約することが多々あるでしょう。

しかし、誰でも基本的アサーション権を持っていて、話を聴いてもらう権利や非論理的である権利があるということを覚えておきましょう。

非言語的アサーション

非言語的なアプローチも重要なアサーションです。非言語的なアプローチとは、表情や態度や動作、声のトーンなど、言語を超えた表現のことを指します。

コミュニケーションをとる際、相手は話している内容だけでなく、非言語的な面からも気持ちや感情を汲み取っています。例えば、不機嫌そうな表情やまくし立てるような話し方をしていると、相手はネガティブな感情を抱くでしょう。

大げさにリアクションを取る、和やかなトーンで話すなど、非言語コミュニケーションを意識することで、場が和んだり伝えたい意図を補足できたりします

まとめ

アサーションを身に付けると、相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見を発言できるようになります。コミュニケーションの活性化やトラブルの回避につながるアサーションは、組織の力を高めるといってもいいでしょう。

アサーションの概念を取り入れ、思いやりのある円滑なコミュニケーションを目指しましょう。

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