どの会社にも、優れたプレイヤーはいます。
私が社会人になりたてのころ、会社の先輩の仕事の速さに愕然としました。エンジニアという業種の特性もあるのですが、仕事ができる先輩と私とでは、何十倍もパフォーマンスに違いがあったからです。
それ以外にも、多くの優れたプレイヤーと一緒に仕事をする機会を通して、たくさんのことを教えられました。
次第に私は「どんな職業にも通じる、汎用的なスキルはあるのでは?」と考えるようになり、自分なりに追究・実践しながらパフォーマンス向上に努めてきました。
そうした経験から見えてきた、汎用的なスキルを高めるコツを紹介します。
1.学び続ける習慣を身につける
社会人になりたてのころに、「会社が用意した」研修を受けた人は多いのではないでしょうか。しかしながら、それだけで自己成長できる人は少ないように感じます。自発的に学ぶ姿勢が重要なのです。
学び続けている人と学ぼうとしない人とでは、時間の経過とともにスキルに差が生じることはいうまでもありません。
ITエンジニアであれば、業務時間外に、書籍から新しい技術を研究したり、エンジニアの勉強会に参加して他社のIT動向を学んだりするなど、自分で学びの機会をつくることが大切です。
私が尊敬している実業家の出口治明氏は、『人・本・旅』が重要だと感じ、若いころからそれらへの出費は惜しまず、自己投資をしていたそうです。
継続的に学ぶ習慣を身につけて上質なインプットを増やせば増やすほど、アウトプットの質が高まります。
私の場合でいうと、出口氏の考えを知ったことにより、継続的な学びの習慣として今まで続けていた読書習慣をより大切にするようになったほか、時間が合えばビジネス関連のセミナーへ積極的に参加するようになりました。
2.仕事量☓スピードでパフォーマンスを上げる
どんな業種であれ、まわりに大きなインパクトを与えている人はパフォーマンスが圧倒的です。パフォーマンスは仕事量とスピードで決まります。
パフォーマンスを高めるためには、人よりも何倍もの仕事量と、それをこなすためのスピードを向上させることが重要です。例えば、まわりの人が10日かかる作業を2日で完成させるために、作業工程を工夫する能力が求められます。
早く終われば、次の仕事に取りかかることができます。この繰り返しが、会社の成長にもつながります。
「いま与えられている仕事を、少しでも早く終わらせるにはどうすればいいか?」と、常に考えて工夫することが、パフォーマンスを向上させるのです。
3.レポートや資料を作成する能力を高める
- 上司からあるタスクについて進捗報告を求められた場合
- ある問題に対して、何が課題かを可視化・整理して上長に共有する場合
- まわりにオプションを提案する場合
こういった上下関係がある、または複数の人に簡潔に伝えることができる能力は、どの業態でも必要なスキルだと思います。
そのためには、文章で伝えることができるように訓練することが必要です。文章力がある人とない人とでは、レポート内容に大きな差があります。ビジュアルを使ってわかりやすく見せる技術よりも、まずは文章で簡潔に伝える能力を磨いてください。
本の内容を要約する習慣を身につけると、レポート作成能力が向上します。
4.コミュニケーション能力を高める
コミュニケーション能力がとても重要なスキルであることは、すでに多くの人が実感していることでしょう。
私が考えるコミュニケーション能力の定義は、
- 自分から相手に的確に伝えることができること
- 相手が話す内容を的確に受け取ることができること
です。
自分から相手に何かを伝えるときには、相手の理解レベルに応じて適切な言葉を選択するように心がける必要があります。
ありがちな失敗は、例えばエンジニアが、その分野に詳しくない人たちに進捗や課題を伝える場合、専門的な言葉を多用してしまうことです。対象とする人たちが理解できる言葉に翻訳して話さないと、伝わらないのです。
そのための訓練として、人前で短い時間で説明する機会を増やすことが有効です。限られた時間内で簡潔に話す訓練をすると、伝える内容をシンプルにすることができるようになります。この繰り返しが、コミュニケーション能力を向上させます。
相手が話す内容をきちんと理解することも、重要なスキルです。
例えば、仕事の依頼を受けた際に「何が完了したらゴールなのか?」「いつまでに完了させるのか?」を確認することはもちろん、懸命に内容を理解する姿勢が重要です。
よく、私は相手が説明してくれたことに対して「つまり、これはXXという理解で合っていますか?」と、内容を確認をする質問をしています。この質問は、相手の伝えていることを確認すると同時に、相手に「自分が伝えたいことが伝わっている」という、安心感を与える作用もあります。
5.ロジカルに考える
論理的であることはとても重要です。なぜなら、論理的な説明ができれば、まわりの人に納得・共感してもらえるからです。
辞書には「きちんと筋道を立てて考えるさま」などと書かれていますが、論理的とはどういうことかを、簡単に説明することは難しいことです。
私は、論理的とは「縦と横の論理」で説明できると考えています。
例えば、壁に穴を開けるにはドリルが必要だという命題に対して、縦の論理とは、目的に対して「なぜ」を問い続けて深掘りしていくこと。この例でいえば「なぜ壁に穴を開ける必要があるのか?」と考えます。答えは、時計を掛けたいからかもしれないし、絵を掛けたいからかもしれません。
一方、横の論理とは、手段に対して「なぜ?」と問い続けて、広く展開して考えること。この例でいえば「ドリルが最適なのか?」「ノコギリやナイフでも穴を開けられるでのはないか?」と考えます。
縦の論理で深く考えて、なぜそれをするのかという目的を相手に納得してもらえること。そして、横の論理で広く考えて、なぜこれが最適な手段か相手に納得してもらえること。
前述した例は目的と手段がある命題に対する考察でしたが、1つの物事に対して深く・広く考えることができる習慣をもつことは、とても大切です。
6.感情をコントロールする
ポジティブなメンタルで仕事に望むことは重要です。それが、自分のパフォーマンスに強く影響します。
仕事のパフォーマンスが高い人は、メンタルが重要なことを理解しています。そのため、パフォーマンスを発揮できるポジティブな感情でいることを心得ています。
感情をコントロールできる人は、ちょっとしたトラブルが発生しても感情的な対応をせず、論理的・合理的な解決を図ることに集中します。
一方で、感情をコントロールできない人は、ちょっとしたトラブルにも狼狽してしまうことが多いように思います。
また、感情がまわりのメンバーに与える影響は大きいです。職場にポジティブな人が多いと、明るい職場風土になります。そうした雰囲気からは、アイデアが生まれやすいのではないでしょうか。つまり、感情は周囲の人たちのパフォーマンスに大きな影響を与えるのです。
汎用的なスキルを高める方法のまとめ
以上、あらゆる職業や職場で役立つ、汎用的なスキルをのばすためのコツを紹介しました。
汎用的なスキルを身につけて、それらをベースに専門的なスキルを習得すると、知識や経験に深みと広がりが増します。
その結果、独自の視点からアイデアや課題解決策を生み出す力が高まるのではないでしょうか。