プロジェクト管理やタスク管理をしていると、目の前にたくさんのタスクが並び、どれから手を付けていいか判断に迷う場面に出会います。優先度や優先順位は、プロジェクトの進行や品質を大きく左右する重要なポイントです。プロジェクトの作業効率をあげたい人やマルチタスクを必要とする人は、仕事における優先度や優先順位の付け方を見直してみてはいかがでしょうか。
本稿では優先度と優先順位の違いを明確にし、それらの決め方について解説します。
「優先度」とは
優先度とは優先する度合いのことを指し、タスク管理において優先順位を付ける際に重要な判断材料になります。
優先度は「高・中・低」「レベル1・2・3・4・5」のように指標化し表します。プロジェクトチームのメンバー及び、関係者間で優先度を共有することで、共通した認識を持ってタスクに取り組むことができます。
では優先度と優先順位、それぞれどのような使い方をするのでしょう。プロジェクト管理を行うにあたり、これらは明確に区別をする必要があります。優先順位の決め方を解説する前に、優先度と優先順位の違いについて考えてみましょう。
優先度と優先順位の違い
まず優先度と優先順位、それぞれの使い方の違いを比べてみましょう。
優先度の使い方
優先度は「優先すべき度合い」であることは、冒頭でお伝えした通りです。ステータスや置かれている状況をクリアにし指標化することで、優先されるべきタスクが明確になります。
優先度を指標化するには、タスクを相対的にみてカテゴリーごとに振り分けをします。10個のタスクを優先度高・中・低の3つに分ける場合、「高が4つ、中が3つ、低が3つ」と分布することもあれば「高が8つ、低が2つ」と偏りがでることもあります。一般的に、優先順位を付ける前に優先度を使ってタスクを分類します。
しかし、複数のメンバーで優先度を決めて共有することは簡単ではありません。利益率でみると「優先度低」と感じるタスクも、クライアントとの関係性を構築するためには「優先度高」であることもあるでしょう。
また、優先度の境界線を明確に引くことができないため、カテゴリーの間にあるタスクの優先度を決めかねてしまうこともあります。チームの共有認識となる優先度を使うためには、同じ視点に立ってタスクを比較する必要があります。優先度をカテゴライズするための判断軸も、チームで共有しておきましょう。
優先順位の使い方
単なるカテゴリー分布である優先度に対し、優先順位はタスクに着手すべき順番を明確に示します。視点によって優先順位が異なることはありません。一般的に優先度ごとにカテゴライズしたタスクの順番を並べ替えて優先順位を付けます。
例えば、10個のタスクに優先順位を付けるのであれば、相対的にみて優先度の高いものから「1、2、3、4、5、6・・・」と並べることで、優先される順番を表すことができます。優先順位に沿ってタスクを並べ可視化することで、プロジェクトメンバーの誰もが取り組むべきタスクの順番に迷うことがなくなります。
ただし優先順位の場合、着手する順番は明確に表すことができるものの、その根拠まで示すことはできません。
優先度と優先順位の関係
優先度と優先順位はタスク管理において異なる使い方であり、互いに補い合う関係性を持っています。優先度は指標としては明確ですが、着手する順番まで判断することは難しく、順番が明確である優先順位は、なぜそのタスクを優先するのかまでを示すことはできません。
両者を使い分けることがタスク管理における優先順位付けのカギとなります。次章から優先順位を決めるポイントについて詳しく解説します。
優先順位を決めるためのコツ
適切な順番でタスクに着手できる人は、優先順位を決めるコツを知っています。日々の業務に追われ作業効率が悪い、突然急ぎのタスクが飛び込んでくると混乱する、チーム内の連携が取れていないなど、プロジェクト管理に課題を抱える人は、優先順位の決め方を見直すことをおすすめします。
ここでは、優先順位を決める時に役立つ8つのコツを簡単にまとめてみましょう。
不必要なタスクがないかを洗い出す
優先順位を決める時にはタスクの洗い出しを行いますが、その時に重要なのが不必要なタスクを省くことです。
タスクを洗い出す際には、思いつく限りのタスクは全て書き出しますが、それらのタスクを全て行う必要があるかを判断しましょう。
実はやらなくても成り立つタスクがあれば、そのタスクは書き出したリストから削除します。また、自分でやらずにチームのメンバーに任せたり、業務委託として切り離したりする方が効率が良いものがあれば、自分のタスクからは外し別の担当者に振り分けます。
それぞれのタスクにかかる所要時間を設定する
タスクを処理するのにかかる時間を設定すると工数が見積もりやすくなるので、優先順位を決める時のひとつの指標になります。
所要時間の見立てがつかないタスクの場合、「5分やってみる」という方法が有効です。5分間タスクに取り組むことで、大体の難易度や課題がわかります。
所要時間が長すぎるタスクは、さらに細分化した方が優先順位が決めやすい場合があるので、タスクの見直しを行いましょう。
ここでポイントになるのは、所要時間を少し多めに見積もっておくことです。そうすることで、想定外のトラブルに備えやすくなります。
売り上げへのインパクトを考慮する
営利企業である以上、考慮しなければならないのが売り上げです。タスクの要不要や所要時間を設定する際にも、売り上げへのインパクトを判断軸に持つといいでしょう。
もしわかるのであれば想定売り上げ額、もしくは売り上げへのインパクトを「大・中・小」などの規模で表して洗い出したタスクに加えておくと、タスクの優先度を決める時に便利です。
各タスクに明確な締め切りを設け、期限も考慮する
具体的な締め切りや期限は、優先順位を決める時重要なポイントになります。提出期限が決まっていないタスクであっても、締め切りを設けて完了期限を明確にしましょう。
時間の制限がないと、いつまでも後回しにしてしまうことがありますが、締め切りが具体的に設定されることで、高いパフォーマンスでタスクを処理することができます。
ただし、タスクにかかる所要時間を設定する時同様に、締め切りをギリギリにしてしまうと想定外のトラブルに対処できず、遅延や品質の低下を引き起こす可能性があります。期限には余裕を持つようにしましょう。
重要度と緊急度で判断
優先順位を決めるには、タスクの重要度と緊急度を判別し、序列化する必要があります。
重要度は、プロジェクトに対していかに必要なタスクであるかを示します。重要度の高いタスクを欠いてしまうと、プロジェクトは先に進むことができません。
対して緊急度は、いかにタスクの締め切りが迫っているかで判断します。早急に対応すべきタスクほど緊急性が高いタスクです。この2つを組み合わせ、以下の4つにタスクを分類してみましょう。
1.重要かつ緊急度の高いタスク
クリティカルパス上にあるタスクやクライアントからのクレームが「重要かつ緊急度の高いタスク」に該当します。遅れが生じると利益の損失や品質低下の恐れがあるため、最優先で取り組みます。
2.重要度は低いが緊急度が高いタスク
メールや電話の対応、議事録の作成のような業務は、「重要ではないものの緊急性が高いタスク」にあたります。基本的に短期間で終わるタスクが多いので、優先順位に振り分けたりスケジュールに落とし込んだりする以前に、発生したものから着手し対応することがほとんどです。
3.緊急度は低いが重要度が高いタスク
人材育成や研修、計画の見直し、品質や業務フローの改善など、実は重要な役割を持っているのが「緊急ではないものの重要度が高いタスク」に分類されます。先送りにされがちなタスクですが、いつまでも着手しないままでいると時間の経過とともに緊急度が高くなるタスクもあります。緊急度の低いものがいつまでも低いままではないということは覚えておきましょう。
4.重要度も緊急度も低いタスク
日報業務や社内用の資料作成のような、プロジェクトチーム内だけで完結できるタスクや付き合いで行う情報交換などがここに該当します。「重要度も緊急度も低いタスク」に分類されるタスクは、本当に必要かを再考し「やらない」という選択をすることもあります。
1に当てはまるタスクはもっとも優先されるべきタスクです。短期的にみると1→2→3→4の順に着手しますが、長期的にみると緊急度と重要度のどちらを重視するかで2と3の優先順位が逆転するケースもあります。4に関してはタスクを手放す、もしくは他の誰かに託してもいいでしょう。
緊急度と重要度は可視化することで優先順位が整頓されます。そこで、縦軸に緊急度、横軸に重要度を置いたマトリクスを作成しましょう。
この「緊急度と重要度のマトリクス」は、世界的なベストセラーである『7つの習慣』という有名な本の中で提唱されたタスク管理の方法です。プロジェクト全体の状況や優先順位が直感的に理解できるのでおすすめです。
「緊急度と重要度のマトリクス」についてもっと詳しく知りたい人は、「重要度と緊急度のマトリクスとは? タスクの優先順位の付け方や進め方のコツを解説」も合わせてご覧ください。
単独性も加味する
緊急度と重要度に単独性を加えることで、より優先順位を決めやすくなります。自分ひとりだけで完結できるタスクか、チームメンバーなどの第三者が関係するタスクかで単独性を判断をします。
単独性のあるタスクであれば、時間に融通を利かせることができますが、他の誰かに迷惑をかける可能性のあるタスクであれば絶対に納期を守らねばなりません。
同等の重要度や緊急度であるタスクの優先順位付けに迷ったら、単独性のあるものは優先順位を下げ、プロジェクト全体のスケジュールに遅延を発生させないようにしましょう。
優先度は代表者一人が決める
優先度は人によって異なるケースも少なくありません。複数名で話し合って決めると時間を要してしまうことがあるので、優先度は代表者が一人で決めるといいでしょう。
ただし、代表者は俯瞰的に見る業務全体の流れや会社への貢献度など、総合的な視点を持つ必要があります。
第三者の意見を聞く
しかしながら、クライアントやプロジェクトチームのメンバーなど、第三者の意見を聞くことも、優先順位を決めるひとつの手段です。ステークホルダーにとっての優先順位も考慮できると、優先順位の精度が上がります。
優先順位の付け方に迷ったらやみくもに判断する前に、多角的な視点から判断することで優先度が見えてくるはずです。
仕事の優先順位を管理するにはタスク管理ツールがおすすめ
優先順位を決めたら、優先順位に沿ってタスクを処理します。優先順位や優先度の管理や進行状況の把握におすすめなのが、タスク管理ツールです。
タスク管理ツールで優先順位を管理する方法を、タスク管理ツール「TeamHack」を例に挙げて見てみましょう。
洗い出したタスクをタスク管理ツールに登録する
タスクを洗い出し、不要なタスクを除いたら、タスク管理ツールに入力します。【タスクの詳細設定】という機能を使えば、タスクの概要や担当者、レビュー依頼、作業期限、タグ、目標作業時間と実際の作業時間を設定できます。
TeamHackの機能を使って優先度を管理する
TeamHackで優先度を管理する場合、【タグによるラベリング機能】がおすすめです。「優先度高・優先度中・優先度低」や「超優先・優先・非優先」など、チームのメンバーがわかりやすいようなタグを設定し、タスクに割り振りましょう。タグでラベリングすることで、優先度の高いものだけをタスク管理ツールに表示することも可能です。
ステータス管理機能や期限切れタスクの通知機能を使うと、遅延のない進捗管理ができ、優先すべきタスクを必要な期日までに完了させることができます。
優先順位の管理や振り返りには、タスク管理ツールの導入がおすすめです。優先順位はチームに共有してこそ生かされるもの。優先順位の付け方を理解し共有できる環境を整えれば、プロジェクトの効率は飛躍的に向上するでしょう。
タスク管理ツールについては「【2021年版】タスク管理ツールおすすめ・Todo管理ツール34選を徹底比較(無料プラン有り)」でも詳しく解説しています。多種多様なタスク管理ツールの詳細や比較が知りたい人は合わせてご覧ください。
まとめ
優先順位を決めることは簡単ではありません。しかし、タスク管理をするにあたり優先順位を決めるスキルは常に高いレベルで求められます。優先順位付けの精度を高めるためには、振り返りが重要なポイントとなります。優先順位は正しかったか? もし異なる順番で着手していたらどうなったか? など、定期的に振り返りを行いましょう。
TeamHackはタスクに優先度を付けて管理ができるタスク管理ツールです。プロジェクトチームのタスク管理や情報共有を活性化し、プロジェクトの作業効率アップを目指しましょう。