インプット過多のアウトプット貧乏にならないために

情報が氾濫する今の時代において、わたしたちはその膨大な情報の中から良質なものだけを選び抜くのがとても困難になってきています。

また、ググれば誰でも簡単に知りたい情報にアクセスできる環境が当たり前になってきており、見聞きした情報を自分のなかで咀嚼してアウトプットする能力が低下しやすくなってきています。

では、インプットした情報を価値あるアウトプットに変えていくにはどうすれば良いのでしょうか。

情報インプットは、量的向上より質的向上を目指す

何かを調べるためにネットサーチするとたくさん情報は出てくるにも関わらず、どれもこれもどこかのサイトのコピー&ペースト(以下、コピペ)で一体どれが価値ある情報なのかわからない…。

そういった経験をされた方も多いと思います。もはや、得られる情報の「量」に価値はなく、「質」が大切な世の中になってきているのです。

では、その質の高い情報とは具体的にどういったものを指すのでしょうか。

一次情報と二次情報

情報には「一次情報」と「二次情報」の2つがあります。

一次情報とは、自分の経験的現実から自身の目と手で得た情報のことを指します。それは観察、経験、コミュニケーション、対話、インタビュー、アンケート調査、統計などから得ることができるのです。

二次情報とは、他人の手を通って加工された情報のことです。ネットニュース、テレビ、新聞、書籍などの情報はすべて二次情報です。

これら二次情報を頭の中に蓄積するだけではインプット止まりです。いくらたくさんの情報を詰め込んだところで、それは「量的向上」にしかならず、その知識をそのまま発信しても、それは二次情報の拡散(=情報のコピペ)にしかなりません。つまり、価値あるアウトプットとはいえないのです。

そこで、量的向上より質的向上を目指すために重要となってくるのは、「一次情報」にどのような付加価値をつけられるかということ、です。

価値あるオリジナルのアウトプットとは?

では、先に触れた二次情報をコピペや要約するに留まらず、一次情報にとしてアウトプットするためにはどうしたら良いのでしょうか。

それは、インプットした情報に対し、自らの目線で「新たな問い」を立てることです。

研究者の山口周氏は著書『ニュータイプの時代』の中で今の時代のことを「問題は少なく解決能力が過剰な時代」と呼び、以下のように述べています。

原始時代以来、私たちの社会は常に多くの「不満」「不安」「不便」という「問題」に苛まれており、これを解決することが大きな富の創出につながったからです。20世紀後半の数十年間という長いあいだ「問題を解ける人」「正解を出せる人」は労働市場で高く評価され、高水準の報酬を得ることが可能でした。
しかし今日では「問題が希少」で「解決能力が過剰」になっているということです。「問題を見出し、他者に提起する人」こそがこれからの時代のニュータイプとして高く評価されることになるでしょう 。

山口周(2019)『ニュータイプの時代』

つまり、今の時代におけるアウトプット能力の高い人とは、正解を解くよりも問題を探せる人であると言えます。

映画『万引き家族』で考察する価値あるアウトプットの構造

ここで一つ例を挙げたいと思います。カンヌ国際映画祭において最高賞のパルム・ドールを獲得し、国内でも日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ数々の賞を総なめにした是枝裕和監督の『万引き家族』という映画があります。

この映画は年金不正受給、幼児虐待、育児放棄、非正規雇用、格差社会など現代社会が抱える闇や問題をテーマにおいて疑似家族の暮らしを描いた作品なのですが、映画という情報媒体を通してまさに「問題を見出し、観客に問いを投げかけた」作品でもあるといえます

映画の内容は、善悪について白黒はっきり決着をつけたり、解決に導いて観客に答えを提示するようなストーリー仕立てにはなっていません。

是枝監督が、ニュースという二次情報で得た社会問題を自身の視点を通して『万引き家族』という極めて価値の高い一次情報に変換し、世の中に「新たな問い」を提示したのです。

この映画の公開直後には、物語の内容を巡って賛否両論が沸き起こりました。それは、是枝監督が提示した、「この家族をあなたは断罪できますか?」といった新たな問いに対し、受け取った側(インプットした側)が自分の視点で考察し発言する(アウトプットする)というプロセスが生まれたからにほかなりません。

議論が生まれるということは、質の高い情報=新たな問いに対し、オリジナルなアウトプットが生まれやすくもなるのです。また、映画という情報媒体は言語と非言語の両方を併せ持っているという特徴もあります。俳優や話す台詞といった言語情報だけではなく、映像や音楽といった非言語的な情報からも観客は感じ考え、自分なりの「新たな問い」を立てることができます。

日本だけではなく海外からも評価された『万引き家族』は単なる映画作品としてではなく、「新たな問い」が生まれやすい良質な情報であったとも考えることができます。

まとめ

スマホでネットニュースを見ながら、なんとなく暇つぶしをしているうちにあっという間に時間が経ってしまった…。世の中の情報をまんべんなく知ってはいるが自分の役には立っていない…。

思い当たる方はインプット太りに要注意です。

先に述べたように、これから活躍する人物像は、知識を蓄積するよりもその知識を元にオリジナルな視点で新たな問いを生産できる人です。

読者のみなさんも興味を持った情報に対し、「それって本当に正しいの?」と批判的に考えてみたり、「それを絵で表すとどんな絵になるだろう?」と図でイメージしてみたり、自分の視点を交えながら「新たな問い」を立てることを意識してみてください。 

<参考文献>

  • 『情報生産者になる』上野千鶴子
  • 『ニュータイプの時代』山口周
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