getting things done という言葉を知っていますか?

本メディアでは、タスク管理の手法についてあるいはユーザーケースについていくつか紹介してきました。元祖とも言える、「GTD(getting things done)」について説明不足でしたので、今回はたっぷりGTDについて説明をしていきたいと思います。
実は、編集部内でもこの言葉を知らない若者がいました。若い世代にはもはやなじみのない言葉になっているのだと実感した瞬間でもあります。タスク管理を語るなら、知っていなくてはならないGTDとは、いかなるものでしょうか?
GTD(Getting Things Done)とは、デビッド・アレン(David Allen)が同名の書籍『仕事を成し遂げる技術 ―ストレスなく生産性を発揮する方法』(原題: Getting Things Done、2002年)の中で提唱した個人で使うタスク管理術です。2000年代前半には、LifeHack(ライフハック)という言葉とともに広く使われました。
1. アタマの中身を分野(プロジェクト)ごとに全部リストに出しきります(全脳思考という言葉に通じます。これも後半で説明します)
2. やる順番にリストをつくる
3. リストは定期的にレビューして常に信頼できる状態にしておく
4. 常に信頼できるリストがあるので、実際に作業する時はリストに書いてある事を信じて集中して仕事が出来るので効率が良くなる、という考え方がその中心。

GTDをまず実践してみる

とにかく、まずどうやるか! を振り返ってみましょう。

GTDの具体的手順を、言葉を言い換えながらもう一度整理しましょう。

      把握する(すべてをリスト化する)
      見極める(行動が必要かどうか、誰かに依頼するのかどうか)
      整理する(仕分けたものを適切な場所に保管)
      更新する(定期的に見直す)
      選択する(状況・優先順位に合わせて実行)

上記では、「4つ」の項目だったのに、言い換えを含んだので「5つ」になりました。このあたりは、実際にやりきれるように個人が判断をすればよい、というのが筆者の見解でもあります。GTDにせよ「タスク管理」手法の選択のもっとも大事なポイントは続けられるかどうかです。

では、順番に説明していきます。

1.把握する(すべてをリスト化する)

まずはアタマの中にあるものすべてを出し切るところまで精一杯リスト化を実行します。GTDの方法のキモの一つが「出し切る!」ということです。これを、「まぁこんなものかな」で一覧化=タスク化していると、GTDはうまく行きません。
なぜなら、次の行動が意味を成さないからです。

2.見極める(行動が必要かどうか、誰かに依頼するのかどうか)

書き出してみたものをそれぞれについて実際に行動に移すべきものなのか、必要ないものなのか、誰かに依賴すべきなのかを見極めて処理をします。

GTDの手法では、この見極めは「整理」ではない、という点は注目です。
2分以内にできるかどうか、が判断基準です。
「すぐにできる」というものは、この時に次から次へと処理をしていきます。
これも、「次から次へと」がキモです。スッキリ!「片付いたなぁ」と実感できることができたなら、このGTDはうまくいきます。

3.整理する(仕分けたものを適切な場所に保管)

スッキリ!ができたあと、いよいよ整理をします。

この「整理する」には、2つの目的があります。
タスク管理としての整理と、それぞれのタスクに資料などが伴っていれば実際の資料としての整理も忘れてはいけない重要項目になります。

ところで、GTD手法としては以下の項目が推奨されています。

インボックス
次にとるべき行動(おそらく複数のリスト。これについては後で説明します)
連絡待ち
プロジェクト
いつかやる/多分やる

冒頭にお話した通り、このような手法は「続けられるかどうか」です。この項目も人それぞれで、自分自身が分類=整理しやすいように考えていけば良いと思っています。
それが仮に、GTD風となっても続けられることのほうが重要です。

それが自分で判断できるようになるには、まずはやってみるが先決なのだとも自らの経験を通しても思います。

4.更新する(定期的に見直す)

整理したタスクを定期的に更新しなくてはいけません。
これも、人それぞれで、1週間で見直すか毎日見直すか。
GTDではありませんが、「アイビー・リー メソッド」をご存知ですか? 

– 前日の夜かその日の朝にTodoリストを作る
– 優先順位をつける
– 優先順位の高い順に6つだけ書き出す
やるべき作業はこれだけ。
これは、1918年にアイビー・リーがチャールズ・シュワッブに伝えたということで有名な方法です。大事な点が、いま行なってるものが終わるまでは絶対に他のことには手を付けないことと、優先度の高い順から始めるということ。
この方法を実践して、チャールズ・シュワッブは経営していた事業を持ち直し、アイビー・リーは25000ドルを得たという逸話としても非常に有名です。

少し脱線しました。

5.選択する(状況・優先順位に合わせて実行)

分類したタスクを処理していきます。あとは、やっていくだけ!

駆け足で整理しましたが、これがGTDの方法です。

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GTDが続けられない原因を整理する

こうしたタスク管理術を既に試してきた方は、疑問に思うかもしれません。また、若い世代に浸透していないことを考えてもGTDでは何かが足りないのではないか? その通りです。

GTDの方法論は基本的に個人に特化しています。チームを組んでものごとを進めるためのメソッドではありません。また、誰かのGTDの方法を別の誰かに移植できるというものでもありません。
過去にそういう間違いを犯した企業やチームはきっとたくさんあったかもしれません。

もうひとつ、GTDには「プロジェクト」というリスト項目が推奨されてて、このプロジェクトの定義を確認すると
「GTDにおけるプロジェクトの定義はとても広く、ひとつ以上の行動を伴う目標はプロジェクトと定義されます。」
とあります。

が、個人にこれをうまく使っていたという事例を探すのには一苦労しますし、プランニングをするにはGTDは不向きな方法でもありました。また、GTD一式をあるプロジェクト管理で活用するとなると、目の前のタスクは処理されていくことが確認できても、ある期限に間に合うかどうかが判断できません。

というのも、GTDは「時間管理」をパージしている方法論でもあります。

「従来のタイムマネジメント(時間管理手法)では、優先順位や仕事の計画を立てることが強調されてきたが、実際の仕事の場は年々複雑化し、せっかく立てた計画や優先順位は次々に割り込んでくる仕事のために破綻しがちである。計画の破綻や、計画を立てることすらできない多忙な状態の中、頭の中にすべき仕事を山ほど抱え込んでストレスは増大し、仕事はますます苦痛になり進まなくなる。

アレンは他のタイムマネジメントのプロたちと違い、仕事の優先順位をつけることを強調しない。そのかわり、状況に応じたタスクリストを作るよう勧めている(例としてかけるべき電話のリスト、市内へ出て回る先のリスト)。また新しい仕事が飛び込んできた場合、2分以内でできるようなものならばすぐ済ませるべきだとも説いている。仕事すべてがリストに書き出され把握できているのでない状態で考えた優先順位はむしろ不正確であまり役に立たない。

GTDは、やらなければならない仕事に関する情報を蓄え、追跡し、思い出すことを、簡単にするにはどうすればよいかという心理学的基礎に基づいている。」wikiより引用

ん? こういう考え方、プロジェクト管理でもありましたね。スクラム開発におけるストーリーポイントとは、まさに同様の考え方です。
はっきりわかるのは、我々はもう100年くらい、自分たちのすべきことにどう向き合うかを考え続けてきているということ。生産性(向上)というものは、数年前に始まった議論でもなんでもなくて、これまでずっと働いてきた人たちが常に向き合ってきた問題だということなのです。

GTDのベストプラクティスとGTDの成功事例


では、GTDの成功事例というものも振り返ってみましょう。

http://gtd-japan.jp/activity_example

https://blogs.technet.microsoft.com/mpn_japan/2018/02/07/work-smarter-not-harder-getting-things-done/
などが、公開されていますが、調べてみるとつくづく最近はGTDが使われなくなってきたのだな、と実感します。

10年ほど遡らないと、個人での活発な取り組みが見つかりません。

このGTDの国内の紹介者でもある田口さん(現在は、ドットインストールの代表と紹介したほうがよいですね)のIT Media の記事一連のものは、GTDが元気だった様子を忍ばせます。

GTDとマインドマップ

最新の成功事例を簡単に確認したあとで、冒頭の
「まずはアタマの中にあるものすべてを出し切るところまで精一杯リスト化を実行します。」
をもう一度振り返ってみましょう。

この言い方もどこかで聞いていますね、全脳思考やマインドマップなどは同じ概念で語られます。マインドマップは、イギリスの著述家トニー・ブザン(Tony Buzan)が提唱した、自らの思考や発想を視覚的に捉えて脳内の情報を整理・解放し、新たな発想を得るための手法のことです。時に、教育術(教育手法)とも紹介され、実際にこれを採用している日本の学校も複数あります。

マインドマップそのものは、かなり厳格なルールが存在しているのですが、「放射思考」法としては、すでに多くの企業でプランニングや会議に使われたりしているのではないでしょうか。
マインドマップは、明らかに「放射思考」と呼ばれる脳の仕組みをアウトプットするための方法から生まれています。放射思考とは、ひとつの情報が別の情報と関連付けられ、またその情報が別の情報へと展開していくという流れを指し、中心の情報から放射状に思考が広がるというもの。
さて、ここではGTDを、マインドマップを活用して進める方法を紹介します。
その目的は、GTDそのものの手法ではなく、「共有」です。GTDはチームで活用する方法ではなかったと先に述べていますが、それを補いうるのではないかと注目できます。

また繰り返しますが、このような方法は自ら取り組んでみてはじめて結果が語れるものです。興味が生まれたなら、ぜひ実践してみてください。そこからカスタマイズをして、自分の方法が生まれるものだと思います。

今回紹介する方法では、ものごと=タスクを完了するための5つの基本項目があります。

1.現在のプロジェクト

いわゆるGTD手法で語られている「プロジェクト」に当たります。
完了するまでに多くのアクションを必要とするものは、「現在のプロジェクト」に入れます。この「プロジェクト」については、自分たちの目指すより大きなゴールに合わせることで実際に働く目標を立てることができます。

2.タスク

「タスク」には、1で導かれた「現在のプロジェクト」に対して、これをを完了するために必要なすべてのタスクが置かれます。
プロジェクトごとにマインドマップがあれば、プロジェクト下のタスクを簡単に一覧表示できます。

3.次のアクション

「次のアクション」というのは、プロジェクトを完了するために必要なタスクか否かに関わらず、次に行なう必要があるタスクを置きます。
急に発生した「やらなければならないこと」は誰もに思い当たることがあるのではありませんか?
したがって、いま集中しなければならないのは、「次のアクション」だけということになります。それが完了したら、リストから削除して次のマークを追加するか、マインドマップのTo Doリストのように色分けシステムを使用します。
また、★や特定のシンボルを使用して、次に実行するタスクを強調表示することで、タスクが処理されることを牽引します。

4.コンテキスト

「コンテキスト」というのは、仕分けのために加えられます。
自分たちの仕事をある文脈(コンテクスト)に分けておくことで、適切な時に適切な仕事に集中することが可能になります。たとえば、ビジネスタスクを自宅のタスクから分離することができます。これにより、適切なタイミングで適切なタスクに常に集中できるようになります。

5.カレンダー

「カレンダー」というものは、もともとのGTD手法にはありませんでしたね。
ここでは、スケジュールを把握するために、全体的な概要、日次の進捗、あるいは期限を確認できるように工夫が必要です。
締め切りを重視する特定の日付までに完了しなければならないタスクはなにか、簡単に把握できなければなりません。

6.ソフトウェア

「ソフトウェア」は、
どのようなソフトウェアを使って自分の仕事の何を管理し、ここにあるものごとを終わらせるか、を確認します。

詳しくは、以下に示すページなどで確認してください。
(この項は、http://www.usingmindmaps.com/getting-things-done-mind-map.html を参考し紹介しています)

GTDはこれからどうなるか

最後に、少し筆者の「タスク管理」術遍歴を語ってこの記事を終わりたいと思います。そういう考え方や取り組みに初めて触れたのは、30代のWebディレクターをしていた頃です。いまでもお世話になっている野口悠紀雄氏の『超整理術』という爆発的ベストセラーがきっかけです。
朝7時に出勤して終電まで働くという生活がちょうど始まった頃で、自分の抱える仕事をどううまく処理していくか考えるにちょうどよいタイミングでもありました。この著書で紹介されているファイリング方法をまさに自分のタスク管理として実践しました。ちなみに筆者はそもそも整理上手というか、基本的にビジネスマン人生で「机が汚い」と言われたことは一度もありません。

そのファイリング術をアップデートしたのは、まさに本稿で取り上げたGTDが登場した頃です。すぐにWebサービスも誕生し、これはちょうどWeb2.0という言葉が頻繁に語られ始めた時期です。いまでも使われているチェックパッド(http://www.checkpad.jp/)とかRemember The Milk: Online to-do list and task management(https://www.rememberthemilk.com/)がその代表選手です。チェックパッドは、確か田口さんが開発・運営されていたはずです。
どちらも試しましたし、GTDが語られるたびに紹介される『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(この本の監修者は田口さん)も早々に購入して大勢に紹介をしました。自慢をするわけではないのですが、上記で紹介したようなタスク処理方法は一緒に働くメンバーなどにも紹介して、まさにチームで実践をする体制を作っていました。「仕事が早い」という評価も受けていましたので、そういう背景があったわけです。

ただし、実際に筆者が使っていたツールは、Wikiです。
GTD Tiddlywikiというもので、現在は、既にありません。
こちらに集約されてしまっています。https://tiddlywiki.com/
これを、個人サーバにあげて、「スマートフォン」(という言葉)が登場以前のめちゃ愛用していたNokiaのスマホで見られる(かつ更新できる)ようにしていました。ついでに語ると、そのNokiaを使う(4台くらい使ったかな、うちE61は個人輸入したもの)前はPDAのPalmやSony のCLIEの愛用者でした。特に、CLIEはクライアント様にも大絶賛をして3名が実際にCLIEユーザーになりました。
このあたりは語ると長いので割愛しましょう。
GTD Tiddlywikiは、GTDに特化したWikiです。ローカルマシンでも動くのがこれを選択した決め手です。実際にかなり長い間、この方法を使っていました。

が、これが他のツールに移行する時点で、GTD時代は終焉を迎えました。

では、いま何使ってるのか? と当然お考えになるでしょうが、答えは複数併用しています。
– マルチタスク
– ノマド的(個人的にはノマドという言葉は嫌いです)
– フリーランス
その3つがうまくコントロールできる方法を考え続けています。これだ、と言うものに落ち着いていません。アナログ的でもあり最新だ、というものが常に正解になっている気がします。

上記の各項目でも語りましたが、そもそもこういう手法や考え方は100年前からずっとただひとつの答えを見つけ出せずに続いているものです。その答えは、まずは一人ひとりの中にある、が真実なのだと思っています。その答えは風の中さ♪〜 the answer my friend is blowin’ in the wind 、じゃないですけどね(by Bob Dylan)。

チームハッカーズで一番長い原稿になったかもしれません。最後まで読んでいただいてありがとうございました。これからも、引き続きよろしくお願いいたします。

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