みなさん「ガントチャート」という言葉は聞いたことがあるでしょうか? おそらくプロジェクトを運営している方やチームで作業をした経験がある人なら聞いたことがある、もしくは使ったことがあるのではないでしょうか。いまやプロジェクト管理ツールには「ガントチャート」はなくてはならない機能になっています。ただプロジェクト管理ツールごとに微妙にガントチャートが違うので、中には使いづらいと感じている人もいるのではないかと思います。
そこで今回は自身のプロジェクトに合うようなガントチャートを見つけるヒントとして、ガントチャートの種類について解説をしていこうと思います。
ガントチャートの目的とは?
まずガントチャートという言葉について簡単に確認していこうと思います。
ガントチャートとは、主にプロジェクトやチームなどを管理する際に使うツールの一つで、全体の計画を棒(チャート)で表すことによって、見るだけで簡単に全体の進捗を確認できるようにすることのできるツールです。よく工事や建築などで使われることが多いのではないでしょうか。誰がどれくらい進んでいて、遅れているかなどの進捗を簡単に確認することが出来るので、プロジェクト破綻にならないように方針変更もすることができたりなどプロジェクトやチームを管理するマネージャー層にとっては欠かせない機能の1つといえるでしょう。また人によっては「複数のプロジェクトを効率的に管理する方法と、マルチタスクへの向き合い方」という記事のテーマにもなっていますが、複数のプロジェクトやマルチタスクを処理しなくてはならないという人もいます。そのような追い込まれている状況の際は全体を瞬時に確認することのできるガントチャートが必要不可欠でしょう。
ガントチャートを作る前にWBSが必要
ガントチャートを作る際には手順を踏む必要があります。まず必要になってくるのは「WBS」です。すでに「プロジェクト管理に役立つ! WBSの使い方とツール」という記事でも紹介していますが、WBSとは、Work(作業を)、Breakdown(分解した)、Structure(構成図)という意味で、プロジェクトを進めるにあたってどのような作業が具体的にあるのか、その作業にはどのくらいの時間を有するのか、誰がその作業を担当するかなどを事細かにリストアップするものです。簡単にWBSの作り方について説明をすると、まずはプロジェクトを事細かに分解して作業の洗い出しをします。次に先にやっている作業が終わらないと次に進めないというタスクが存在しているため、作業の前後関係について考えます。最後に作り出したタスクを構造化していきます。同じレベルにあるタスクを構造化してあげることでプロジェクト全体の作業の把握につながるので、作業の漏れの防止につなげることができます。
もちろんこの作業を完成させるまでに膨大な時間が必要になってくるため、開発者(エンジニア)側からすると「WBSをする時間があったら作業を先に進めたいよ」と思う方もいると思います。ただ結局WBSなしで進めていくと、途中で「次は何をすればいいのか分からない」という状況に陥り、そこで時間を浪費してしまいます。その繰り返しでプロジェクトが破綻になるということにもつながりかねません。各々何をすればいいのかを具体化することはプロジェクト成功の近道になるので、まず初めにWBSの時間をしっかりとるようにしましょう。
ガントチャート種類の紹介
さて簡単にガントチャートのワードについて確認ができたところで、ガントチャートの種類について見ていこうと思います。
ガントチャートの種類の紹介と書きましたが、実際にはガントチャートの種類と言っても、どのプロジェクト管理ツールも大幅に違うということはなく、若干の機能的な違いしかありません。例えばマイルストーンがあったりなかったり、タスクの順序をわかりやすくするために矢印が付いているいないなどの細かいものしかありませんでした。ただガントチャートと似たような使い方・機能を持っている「バーンダウンチャート」があるので、互いの詳細とメリット・デメリットについて紹介をしていきたいと思います。またその機能を備えているツールの紹介もしていきたいと思います。
ガントチャート
先ほども説明したように全体の計画を棒(チャート)で表すことによって、見るだけで簡単に全体の進捗を確認できるようにすることのできるツールです。期日までにどれくらいタスクを進んでいればいいのか、タスクに有する時間なども同時に確認することができます。
メリット
1:計画の妥当性がチェックできる
ガントチャートを作ってみることで、担当者の工数が現実的か、作業の工程の順序が最適かどうかなどをプロジェクトを進める前に確認することができるので、プロジェクト破綻防止にもつながります。
2:作業工程やスケジュール感を共有できる
ガントチャートを作ることで全体の作業工程やスケジュール感を簡単にプロジェクトメンバーに共有することができます。またプロジェクトメンバーもお互いにどのような作業をしているかなども把握することができるので、タスクが遅れている場合手を貸して助けることも可能です。
デメリット
1:作業が遅れた際に直すのが面倒
ガントチャートを作って管理している場合、もちろんある程度のバッファをもってタスクを作っているとは思いますが、それでも遅れてしまう場合は存在します。その際にタスクの遅れを取り戻そうと様々なところの作業工程を直す必要になるので遅れてしまうと大変面倒になります。
2:タスクの相互関係が見えなくなる
とりあえずメンバーにタスクを振って処理していくようなガントチャートにしてしまうと、実はAさんの作業が終わらないとBさんの作業が進まないといったようなこともあります。そうなるとますますプロジェクトに遅れが生じてしまいます。
バーンダウンチャート
バーンダウンチャートは、期限までにすべての作業を終わらすことができるのかどうかということを一目で確認することができるツールです。グラフの横軸は時間、日にちを表し、縦軸は残りの作業量を割り当てることによってグラフを表します。バーンダウンチャートでは基本的に3本の線を使って管理することが多く、1番まっすぐな線は理想線を示していて、すべての作業量を期間で平均してできた線で、計画が妥当かどうかを確かめる線です。基本的にはその線に沿って作業をすることで計画が順調に進むことになりますが、計画にはズレがつきものなので必ず理想線通りに進むことはありません。理想線とは別にどのように進めていくのかという計画線を引きます。あとは実際の作業量を表す実績線を引きます。あとは計画線通りに実績線が重なればプロジェクトの成功になります。
メリット
1:プロジェクトの進捗がすぐにわかる
ガントチャートと違って作業量と時間だけのシンプルなグラフになっているので、プロジェクトがどの段階まで進んでいるのかなどの進捗が一瞬で把握できます。計画よりも遅れていればどのタスクに重点をおいて処理していくのかなどもすぐに決めることができます。
2:モチベーションがあがる
バーンダウンチャートでは作業がどのあたりまで進んでいるのかを判断することができるので、着実にゴールに向けて進んでいるということが目視化されるためモチベーション向上につながります。ただタスクをこなしていくよりも、自分のタスクがプロジェクトの一部だということを認識できることはだれでもうれしいはずです。
デメリット
1:WBSを丁寧にやらなくてはならない
どのタスクがどれくらいの期間かかるのかなどを丁寧にリストアップしないと、途中でゴールまでの工数が変わってしまい、ゴールがずれてしまうことがあります。ゴールが確実にきまっている場合にはとても有効的な手段です。
2:線を引いて管理するのが面倒
プロジェクト管理ツールを使って管理する場合はあらかじめ登録されているタスク量に対して計算して線を自動的に引いてくれますが、印刷をして手書きで管理したいという人は、いちいちタスクの大きさなどを調べて計算してから線を引かなくてはならないので大変面倒でおススメしません。
結局どちらを使ってプロジェクト管理をしていけばいいのか
結局どちらを使ってプロジェクト管理をしていけばいいのかと言うと、どちらも試してみてプロジェクトマネージャーやプロジェクトメンバーが使いやすいと思ったものを採用した方が良いと言えます。というのもタスク管理やプロジェクト管理などの仕方や方法は人によって様々で数えられないほどの種類があります。なのでどれが正解でどれが間違いということはありません。もちろんツールの数も山ほどあります。毎プロジェクトごとに別のツールを試してみて自身や自身のチームに合いそうなものを選んでいきましょう。またガントチャート以外にもさまざまなプロジェクト管理ツールがあるので、「プロジェクト管理ツールやアプリの比較・再評価をする【2019年度新版】」を参考にしてみてください。
まとめ
今回はガントチャートには似ているようなツールとしてバーンダウンチャートがあるということを理解していただけたかと思います。まとめの前にも前述した通り、プロジェクト管理もツールも多種多様です。ぜひ自身のプロジェクトに合ったガントチャートツールを探してみてください。