コミュニティ・クラッシャーという言葉をご存知ですか?
定義としてはその名の通り、所属しているコミュニティを壊してしまう人のことを言います。
例えば、
・あるプロジェクトチームメンバー同士の信頼関係が破壊されてチームとして機能しなくってしまう
・サークルメンバー同士の仲が悪くなり、サークル活動が停止してしまう
このようなことがコミュニティ・クラッシャーがトリガーとなり発生してしまうことがあります。
今回は私がたくさんのプロジェクトを経験してきたなかで、コミュニティ・クラッシャーの見分け方と付き合い方のコツを紹介したいと思います。
コミュニティ・クラッシャーの見分け方
プロジェクトマネジメントの立場上、多くのメンバーと仕事をしてきました。
優秀なメンバーに助けられることもたくさんありましたが、一方で問題のあるメンバーもいました。
特に、コミュニティ・クラッシャーの対処は大変でしたが、多数の本を読んで勉強した結果、私はどこの組織にも一定数のコミュニティ・クラッシャーが存在するものだと考えています。
そのため、コミュニティ・クラッシャーの見分け方と付き合い方を知っておくことは、組織運営していく上では大切だと考えています。
いままで出会ったコミュニティクラッシャーを分類すると、傾向として、
- 「強すぎる自我」
- 「他人に対して攻撃的」
- 「他人に対して批判的」
- 「自分の正しさのために戦う」
4つの傾向があると考えています。
もちろん、あくまで傾向であって、どれかに該当する人が必ずコミュニティ・クラッシャーだという意味ではありません。
ただし、そういった傾向にある人は何らかのトラブルが発生したときにコミュニティ・クラッシャーに変貌してしまう可能性があります。
次の3つの傾向を、具体例とともに紹介したいと思います。
自己承認欲求が人一番強い人
自己承認欲求が人一番強いため、常に自分が話題の中心にいないと気が済みません。
例えば、自己承認欲求が人一番強い人をAさんとしましょう。
私がプロジェクトマネージャーとしてプロジェクト進捗確認のミーティングをセッティングしましたが、Aさんを参加予定メンバーに入れていませんでした。
理由は、その進捗確認にはAさんに参加してもらわなくても影響がないものだったためです。
また、Aさんには他にも優先すべきタスクがあったから、という理由もあります。
私はAさんに上記理由を説明したものの、あろうことか進捗確認に無断で参加してきました。
周りのメンバーも驚き、「なぜAさんは参加しているのか?」と直接Aさんに質問したところ
「重要だと思う打ち合わせだったので参加しました。」
と回答。
しかしながら、Aさん以外のメンバー全員、この打ち合わせがAさんにとって重要でないことは明らかでした。
また、遅れているAさんのタスクはまだ完了していませんでした。
なぜ、こういったことが起きてしまうのでしょうか?
おそらく、Aさんは合理的に考えることよりも自分(Aさん)がいないところで話が進むのが感情的に許せなかったのではないでしょうか。
このことから私は、Aさんは自分が話の中心にいないと気が済まない人であると考えました。
こういった人は自分を中心とした言動を繰り返すため、周りと調和することが苦手であり、トラブルを抱えることが多いです。
見分け方のコツとしては仕事、プライベートにて自分の凄いところを頻繁にアピールしてくる人は、自己承認欲求が高いと思っています。
自己の振り返りよりも他人に対して攻撃的・批判的、他責である
「自己の振り返りよりも他人に対して攻撃的・批判的、他責である人」もコミュニティ・クラッシャーになる可能性があります。
仮に、Bさんという人が自己の振り返りよりも他人に対して攻撃的・批判的、他責であるとしましょう。
例えば、あるタスクが思うように進まない場合、Bさんのような人はよく、
- 「他で忙しすぎて、それをする時間がない」
- 「YさんのXXな理由のせいで、できない」
- 「それができない理由は経営層に問題がある」
と他責にする傾向があります。
事象を客観的に分析することなく、ひたすら自分は何も悪くないという捉え方をする傾向があります。
特に他人への批判が強烈な場合、批判された方との関係性も悪化してしまいます。
この傾向はコミュニティ・クラッシャーになる可能性が一番高いとも言えます。
見分け方のコツは会話の中で、他人を褒めるよりもけなす頻度が高いかどうかで該当するかどうかわかります。
以前、上司より「批判ばかりする人が批判される人より仕事ができた例は少ない」と聞いたことがありますが、その通りだと思います。
つまり、Bさんでいえば仕事が進むよりも周りとの関係を悪化させることに自らのリソース(時間)使っていることになります。
プロジェクト全体利益よりも自分の正しさために戦う
自分の正しさや正当性のために戦う人は、問題が起こらない限りそうではない人と見分けることが難しいですがコミュニティ・クラッシャーの可能性が高いです。
具体的にはどういう人を言うのでしょうか?
ある意思決定の打ち合わせにて、Cさん提案の改善策とDさん提案の改善策が競合してしまう場面がありました。
参加メンバーが両者の案の検討した結果、合理的な観点からDさんの案を採択することになりました。
なお、Cさんの案は却下されましたが、参加メンバーは誰もCさんを誹謗・中傷したり、批判したりはしていません。
しかしながら、Cさんは自分の提案に自信を持っていたため、自分の提案を推し続けました。
結果、何度も打ち合わせすることになりました。
周囲は、Dさん案に決めたにもかかわらず、Cさんが繰り返す主張とその根拠は最初の頃と変わらないままで、周りは決定を場の雰囲気が悪くなっていきました。
そして、最終的には誰もCさんの意見に耳を傾けなくなってしまいました。
なぜ、こういったことが起きてしまうのか?
私なりの仮説ですが、Cさんにとって、自分が考えた案が採択されないことはCさんの自尊心が傷つけられたと思い込んでしまっているからだと思いました。
実際は誰もCさんを傷つけようとはしていませんし、そのような言動もしていません。
単純にプロジェクトが上手く方法をを合理的に判断したにすぎません。
しかしながら、Cさんは自尊心を傷つけれらたと思い、それを回復するために戦ってしまった。
つまり、自分の正しさのために戦ってしまったのです。
こういった方を見分けるコツは難しいですが、ひとつは自分の意見に誤りがあると認めざる負えない状況のとこに、本人が自身の考えを改め他人の考えを柔軟に受け入れることができているかどうかを日々の言動の中から観察してください。
コミュニティ・クラッシャーとの付き合い方
以上がコミュニティ・クラッシャーの見分け方でした。ここからはコミュニティ・クラッシャーとの付き合い方を紹介したと思います。
「争論定まりて僻事なるべし」
という言葉をご存知ですか?
これは激論は勇ましいが、なにも生みやしない。癒やし難い傷を残すのがオチであるという意味です。
1.でも紹介しましたがコミュニティ・クラッシャーの喧騒に巻き込まれると、もの凄い時間と労力を消費してしまいます。
賢い人はコミュニティ・クラッシャーとは喧嘩はしません。
なぜなら時間と労力をかけたくはないと思うからです。
したがって、付き合い方はシンプルですが、なるべく接しないがベストだと思います。
仮に接する機会があった場合には自尊心を傷つけないよう、優しく接するのが一番だと私は考えます。
コミュニティ・クラッシャーの見つけ方と付き合い方のまとめ
いかがでしたか?
コミュニティクラッシャーの人は以外と多く存在すると考えています。
では、なぜ多いのでしょうか?
原因は様々なことが考えられますが、岡田 尊司(著) の「愛着障害」という本には、幼少期に親から愛情をきちんと与えられていないと次のような行動をしがちになるそうです。
・傷つきやすさとネガティブな反応
・極端な反応を取りやすい
・過度に意地を張りやすい
など。
つまり、コミュニティ・クラッシャーになりやすいのではないかと考えています。
チームをまとめるマネジメントの立場の方は、コミュニティ・クラッシャーと真摯に向き合う場面もあるとは思いますので、ぜひ一読をおすすめします。