ビジネスチャットのマナーとは?効果的なコミュニケーションの方法

ビジネスチャットのマナー

そもそもマナーとは誰かが制定するものではなく、人々が使っていく中で自然と構築されるものであると考えると、ビジネスチャットのマナーという話はナンセンスなのかもしれません。ですが、仕事上のツールとしてチャットツールを使用するには、マナーが欠かせませんし、ビジネス講座でチャットツールのマナーというカリキュラムがあるのも事実です。ビジネスチャットを的確に使うにあたり、改めてマナーについて見直してみましょう。

ありがちな挨拶は必要か

チャットツールのマナーを語る上で欠かせないのが挨拶です。「お世話になっております」は必要か、発言者の名前を見れば一目瞭然なのに、「○○株式会社の○○です」と名乗る必要はあるのか、「先日はありがとうございました」と御礼の言い合いをチャットルームでもすべきなのか、そして、お決まりの「何卒よろしくお願い致します」で締める必要はあるのでしょうか。

それにはチャットツール導入の目的を考えてみます。チャットツールの導入に効率化などは一切求めず、メールの代わりとして使用している場合、それらの挨拶は変わらず必要となるでしょう。やりとりをシンプルにしたい、という考えよりもやりとりの場をメールからチャットに移した、ただそれだけなので、第三者と文章でやりとりをするという概念への変化がありません。人と人とのやりとりにおいて、挨拶は礼儀であり必要だという考えはそのままなのです。

でも、情報共有のしやすさや、やり取りの簡略化を目的とし、チャットツールを導入したのであれば、このような挨拶を省略することはマナー違反ではないと言えるでしょう。

ついつい癖で入力してしまう挨拶文は、チャットグループの誰か一人が使い始めることで、不思議と挨拶文ありきのやりとりが連鎖するもの。チャットでのやりとりを始める際に、堅苦しい挨拶は不要で、必要なことだけをやりとりしましょう! とルール付けしてから使用するとスムーズです。ありがちな挨拶のやりとりは、もしかしたらやめ時を探している人が多いかもしれません。

チャットを送るタイミングに決まりはあるか

電話をかける場合、就業時間外にかけることはありませんが、チャットツールの場合はいかがでしょうか。メール同様、相手が何をしていても、チャットを送ることができるため、そのマナーにも賛否両論あります。

この場合は、メール同様に「相手によって使い分ける」と良いでしょう。目上の人がどのようなスタンスで使っているか、送信したい情報の緊急度などを踏まえ、状況に応じた対応をするように心がけてみてください。大切なのは、チャットを受け取る側の立場で考えることです。

リモートワークが進む近年、メールやチャットにおける時間帯のマナーが緩和されつつあります。日本時間以外の時間帯で仕事をする人も多くいる中で、チャットツール使用不可・マナー違反となる時間があってはスムーズに仕事をすることができません。チャットツールを使う人は、通知の設定をするなど、自分の時間を奪われないように備え、全体としては、チャットを送る「タイミング」に関するマナーはより一層緩めていく必要があるのではないでしょうか。

スタンプの使用

チャットツールのビジネスマナーにおいて、意見が別れるのが「スタンプの使用」です。ボタンひとつでのリアクションができ、気持ちを伝えやすいスタンプは、簡単に反応ができる気軽さがあります。一方、ビジネス上のやりとりでスタンプを使うのは失礼だ、スタンプはプライベートのやりとりで使うものという意見があることも事実です。マナーとして確立していないスタンプは、自分からは安易に使用しないほうが無難です。

また、簡単に投稿できる反面、スタンプが頻発してしまうとチャットの履歴を遡るのに時間を要してしまいます。そのため、効率が良いように見えて「実は非効率」という側面を持つため、スタンプがビジネス利用において市民権を得ることは難しいと考えられます。

リアクションの方法

簡単な絵文字を使った「リアクションボタン」もチャットツールの代表的な機能です。絵文字であることは変わりないのですが、スタンプとは異なり、チャット画面には大きく表示されません。投稿したメッセージごとに簡単なマークで意思を表示できるため、そのメッセージに対し、既読であることや了承したことを簡単に意思表示ができます。その使用可否をマナーとして問われることも少ないでしょう。「リアクションボタン」はチャットツールの標準装備であり、当たり前に使うものと考えられています。

場合によっては、「承知しました」の一言をその都度文章で入力すると、スタンプ同様にチャット画面を埋めてしまうことになります。そのため了承や完了の意思表示にはリアクションボタンを使うことが、むしろマナーであると認識されることもあります。

返事が遅くなる時の対応

チャットのやりとりはスピーディーで、時に自分の返信待ちとなってしまうこともあるでしょう。ですが、他の仕事に集中していて、すぐに返信ができない時や休暇をとっている場合、チャットツールだからこそ、できることがあります。

ステイタスを設定できる機能があれば、休日や会議中のような返信できないタイミングであることを表示しておくことが可能です。それにより、相手を無駄に待たせてしまうことがなくなります。

また、自分の返答が求められている局面を確認していながらも、すぐには対応できないケースもあるでしょう。オンラインかオフラインかが一目でわかるチャットツールを使っていると、「既読スルー」の状態になってしまうこともしばしば。オンラインであっても対応できない場合、時間が許すのであれば、現在対応ができないこと、いつ返信ができる見込みかを伝えておくと誠実です。それも簡潔な連絡をよしとするチャットツールのやりとりなら、返信がしやすいと言えます。

便利で効率的なはずのチャットツールに振り回されては意味がありませんので、返信ができない時間、チャットが見られない時間を明確に提示することも必要です。

勢いにまかせずクールダウンも必要

議論に熱が入るとついつい熱くなってしまうこともあるでしょう。文字だけのやり取りには誤解も生まれやすく、全員が同じタイミングで議論に参加ができないため、全体を把握できないまま、不毛な議論に発展してしまうこともあります。

チャットツールでのやり取りでは「タイムラグはあって当然。」ということを認識し、自分のペースを押し付けないことが大切です。すぐに返答したい気持ちを抑え、他者の意見を待つことや、勢いに任せて送信せず、数分数時間後に見直しをしてから発言するなど、状況に応じた使い分けと相手への配慮が必要です。

伝えられる情報量が少ないからこそ、面と向かって話している時よりも、一言に重みがあることはお忘れなく。

ビジネスチャットを効果的に活用するためには?

ビジネスチャットを効果的に活用するための方法についてみていきましょう。

1.スレッドやチャンネル名、アイコンは分かりやすさ重視

これからの時代、複数のチャットツールの使い分けをする人が増えることは容易に想像できます。ミスをなくし、スムーズな運用をしていくためにも、スレッドやチャンネルの名前はわかりやすく設定する必要があるでしょう。ひとつのプロジェクトチームでも、複数のスレッドやチャンネルを持つケースがあるので、一目で見てわかるような名前をつけるようにします。

ポイントは、パソコンだけでなくスマホでみた時に表示される文字数の中で、各スレッドやチャンネルの違いが判別できるかです。判別するための番号などは、ついつい文末につけてしまいがちですが、表示される範囲の中に「判別材料」を含めておきます。

「20年3月ABCプロジェクト 広報」と「20年3月ABCプロジェクト 現場管理」があった場合、「ト」までで表示が切れてしまっては、どちらのグループかを一目で判断することができません。そのため、「広報」や「現場管理」は、グループ名の頭につけておくなどの工夫をして、コミュニケーションの効率をあげましょう。

また、チャットツール上の「自分の情報」もしっかり入力します。社外の人とのやりとりをする場合や大人数で共有するツールの場合、必要に応じて社名や役職を入れるとコミュニケーションはスムーズになるでしょう。

アイコンもチャットツール登録時のデフォルトのままではわかりにくいので、写真やイラストなどに変えておきます。顔写真にしておくと実際に顔を合わせた時にチャット上でのやりとりとリンクがしやすくなり、親近感が湧きます。アイコンは思った以上に印象に残るので、頻繁に変更するのは避けましょう。

2.必要な雑談ができる「余白」

チャットの中で大きく話が逸れないように心がけることは言うまでもありません。ですが適度な雑談は全く不要かと言えばそうではありません。メンバー間のコミュニケーションとして必要であれば、雑談のできる「余白」を用意します。

「余白」を持つためには、少しの雑談は必要だと考え、興味のないことでも見守ることのできる気持ちの余裕が必要です。適度なタイミングで本題に戻せばいいのです。

また、業務上のやり取りと雑談が頻繁に混在してしまうようなら、雑談用のスレッドやチャンネルを立てておくと雑談との住み分けができるようになります。それも仕事の「余白」です。

3.ルールは明確にする

ビジネスの場に限らず、例えば、大人数でのLINEグループでは、全員がスタンプで「読みました」の意思表示をしてしまうとキリがないので、全員の既読を持って「読んだ」と認識するとルール付けすることがあります。明確なマナーがない以上、予め明確にしておくことで防ぐことのできるトラブルもあります。

チャットツールに投稿可能な時間のこと、リアクションのこと、冒頭と締めの挨拶が不要であることなど、利用する際のルールを明確にしておくと無駄がありません。

また、チャットルームの開設権限や招待できる権限の範囲を決めておくことで、チャットルームの管理がしやすくなるでしょう。

4.重要な連絡や決定事項はしっかり保存

やりとりがスピーディーだからこそ、重要な情報や決定事項を見逃しやすいというデメリットがあります。重要事項や決定事項を共有する際は、全員がそれを確認したかを把握する必要があります。また、共有された情報が自分にとって重要な場合は、内容の保存をしておかねばなりません。手帳にメモをする、パソコンに保存用のフォルダを作るなど、管理を徹底し、過去の情報を掘り返すような質問はしないようにしましょう。

5.必要な時は電話やオンライン会議ツールに切り替える

どんなにチャットツールが優秀でも、文字のやり取りには限界があります。一定数の会議を設けることは必要ですし、トラブルに発展しそうな時はチャットルームでのやりとりは止め、電話や面談でのコミュニケーションに切り替えることが大切です。

チャットツールは便利ではありますが、万能ではないため、使い分けが重要となるのです。

注意したいこと、間違った使い方

ビジネスチャットを使う際に注意したいことや間違ったツールの使い方をご紹介します。

1.時間を気にせずのめり込む

スマホにチャットツールの通知が入るように設定していると、どんな時もチャットの連絡が目につくようになります。それを気にしすぎてしまうと、気が休まりません。設定方法や付き合い方には注意し、オンオフの境をつくりましょう。既読に支配されてはなりません。

2.気付けば時間が過ぎている

チャットツールに飛び交うメッセージをリアルタイムで追い続けていると、その対応に追われ、実際に仕事が進んでいないということがしばしばあります。そのくせ、仕事をした気分だけはしっかりあるのです。時間はあっという間に過ぎていきます。対応可能な時間を決めるなどし、時間の配分に気をつけましょう。

3.気軽ゆえの甘え

チャットルーツのスピードや気軽さに慣れてしまうと、ちょっとさかのぼればわかること、ちょっと調べればわかることであっても、軽い気持ちでぽんと質問をしてしまいます。それに答えてくれる誰かがいることで成り立ちはするのですが、それにより誰かの時間をうばっているという自覚をもたねばなりません。

4.頼りすぎてはいけない

万が一チャットツールにエラーが出てしまった場合に、コミュニケーション手段をチャットツール1本に絞っていると、仕事ができなくなることがあります。複数のチャットと使い分けられるようにし、万が一の時は移行できるようにしておきましょう。また、ツールが使えなくなったとたん、連絡をとることができなくなると大きな損害となり得ます。チャットルームにいるメンバーの、チャット以外の連絡手段を知っていますか?どんなにコミュニケーションのメインをチャットツールにしたとしても、電話番号やメールアドレスを知っておくことでリスクを回避できるようにしておきましょう。

まとめ

チャットツールの普及は大きな革命です。時間の短縮や業務の見える化が一気に進み、チャットツールのおかげでコミュニティが作りやすくなったとも言えるでしょう。でも、どんなに気軽なツールであっても、マナーなしに効果的なコミュニケーションは成り立たないのではないでしょうか。

マナーが確立していない今、自分のやり方を押しつけず、また他人のやり方を否定せず、お互いが使いやすいよう思いやり、歩み寄ることです。ビジネスチャットのチャットルームのメンバーは、ひとつのプロジェクトを達成するための「ONE TEAM」であることをお忘れなく。

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