システムやソフトウェアの開発手法は様々あります。
その中でも、短期間で実装とテストを繰り返していく「アジャイル開発」は、2001年に発表され、それまでの開発手法に比べて、開発期間を短縮することができるようになりました。
このアジャイル開発を行っているプロジェクトにおすすめな管理ツールが、Agilefant(アジャイルファント)です。
それでは、Agilefant(アジャイルファント)の特徴について説明していきましょう。
Agilefant(アジャイルファント)とは?
Agilefant(アジャイルファント)は、フィンランドのアルート大学が、大手ソフトウェアと共同で開発した、アジャイル開発向けのプロジェクト管理ツールです。
2008年10月からオープンソースを公開しているので、自身のプロジェクトに合わせて自由にカスタマイズすることができます。
インターフェイスは日本語に対応しておらず、公式のHPやサポートも全て英語のため、英語に抵抗がない方にはおすすめです。
Agilefant(アジャイルファント)の意味
「Agile」はそのまま「アジャイル」を指し、「fant」は「象」を意味しています。
象は英語で「elephant」と書きますが、Agilefant(アジャイルファント)は、「h」ではなく「f」を使っています。
これは、「象」がフィンランド語で 「elefantti」と書くことに由来しています。
対応しているデバイス
Firefox、Chrome、Opera、Safariのブラウザは、正式にサポートされています。
IE はサポート対象外ですが、10以降のバージョンでは適切に機能します。
Agilefant(アジャイルファント)の料金
チーム | グループ | ビジネス | 企業 | |
料金 (1ユーザーにつき) | 5ドル | 10ドル | 29ドル | 49ドル |
ユーザー | 最大5ユーザー | 制限なし | 制限なし | 最小20ユーザー |
チーム | 1チーム | 5チーム | 無制限 | 無制限 |
ボード | ワンボード | ワンボード | 無制限 | 無制限 |
その他 | ・統合 | ・統合 ・AWSに専用インス タンスを用意するた めのオプション | ・統合 ・毎月1時間のオンライン トレーニング/コンサルテ ィング ・自身のサーバーにホス トするためのオプション (セットアップとメンテ ナンス付き) |
Agilefant(アジャイルファント)は、オープンソースなので、オンプレミスで使用するかクラウドを利用するか選ぶ事ができます。
オンプレミスで使用するのであれば、料金は無料です。
クラウドで使用する場合は、
1ユーザーのみの使用なら、無料
1チーム・5ユーザーまでなら、1人あたり1か月5ドルのチームプラン
5チーム・ユーザー制限なしなら、1人あたり1か月10ドルのグループプラン
チームとユーザーの制限なしなら、1人あたり1か月29ドルのビジネスプラン
ビジネスプランからサポートを手厚くした企業プランがあります。
無料で使える範囲
クラウド版は、1人で使用する場合は、無料で使えます。
フリーランスの方や、自身のプロジェクトにのみ使う場合は、登録するだけで、すべての機能を使うことができます。
※2019年8月現在は、新製品Nektionに注力を注いでいるため、アカウント登録ができないようになっています。
オープンソース版は、最新の機能をすべて備えているわけではありません。
一部機能に制限があります。
・リアルタイムアップデート
・Rest API
・SPA(Single Page Application)
・あるバックログから別のバックログへドラッグアンドドロップ
・ストーリーコメント
・添付ファイル
など。
制限される機能は数多くあるので、詳しくはHPをご確認ください。
Agilefant(アジャイルファント)の使い方
Agilefant(アジャイルファント)でできることは、以下の通りとなっています。
・イテレーション管理
・プロジェクト管理
・プロダクト管理
・ポートフォリオ管理
アジャイル開発に必要とされるさまざまな機能を持つ、Agilefant(アジャイルファント)のおすすめの使い方を紹介します。
- アジャイル開発に必要なイテレーションを管理する
- プロジェクトの進捗をフォローする
- ポートフォリオで各プロジェクトの状況を把握する
- 作業項目の階層が無制限なので、タスクを細かく分割できる
- 機能間やチーム間の依存関係を管理する
Agilefant(アジャイルファント)の使い方1:アジャイル開発に必要なイテレーションを管理する
アジャイル開発では、「イテレーション」と呼ばれる、「計画・設計・実装・テスト」の小さな開発単位を繰り返して、開発を進めます。
Agilefant(アジャイルファント)では、そのイテレーションをしっかりと管理する機能が備わっています。
ドラック&ドロップで、プロジェクトのストーリー(開発に対する要求)をイテレーションに紐づけたり、優先順位をつけることができます。また、ストーリー間の依存関係も設定が可能です。
イテレーションには、アクセスコントロール付与も可能なため、例えば、外部の関係者には読み取り専用の権限を与えることもできます。
Agilefant(アジャイルファント)の使い方2:プロジェクトの進捗をフォローする
Agilefant(アジャイルファント)は、ストーリーポイント(ストーリーにかかる工数)に基づいたバーンアップチャートを見ることができます。
このチャートにより、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握することができます。
また、プロジェクトの完了予定日と過去の実績を元に作成された予測チャートに対して、どれだけ差が生じているかが一目でわかるので、修正措置を早めに打つことができます。
Agilefant(アジャイルファント)の使い方3:ポートフォリオで各プロジェクトの状況を把握する
ポートフォリオビューを設定すれば、計画がどのように進行しているか確認することができます。
信号機と同じ「赤・黄色・青」の色を使って、視覚的にプロジェクトの進捗状況が分かるようになっています。
赤色で表示されるプロジェクトは予定通りに完了する可能性が低く、何らかの措置を取る必要があることが、一目で分かります。
Agilefant(アジャイルファント)の使い方4:作業項目の階層が無制限なので、タスクを細かく分割できる
アジャイル開発では、要件やタスクを細かく分割する必要がありますが、ほとんどのツールでは、その分割数に制限があります。
Agilefant(アジャイルファント)は、作業項目を分割できる「レベル」の制限はありません。
それは、「ツールがあなたの思考を制限するべきではない」という、開発チームの考え方から来ています。
Agilefant(アジャイルファント)の使い方5:機能間やチーム間の依存関係を管理する
Agilefant(アジャイルファント)を使用すると、ストーリー間の依存関係を設定できるため、作業に対する他への影響を追跡することができます。
例えば、1つの作業に対して、ソフトウェアチームとハードウェアチーム、またはUXの設計と開発チームによる作業が必要になることもあるでしょう。
作業による他への影響を把握できるので、作業の優先順位付けやリソース割り当ての変更がしやすくなります。
Agilefant(アジャイルファント)の始め方
ダウンロード
クラウド版ではダウンロードは必要ありません。
オープンソース版は、GitHubから入手可能です。
ログイン方法
Agilefant(アジャイルファント)の公式HPに行きます。
まずはアカウント登録をします。
登録が完了したら、「ログイン」ボタンからログインをするだけです。
※2019年8月現在は、新製品Nektionに注力を注いでいるため、アカウント登録ができないようになっています。
Agilefant(アジャイルファント)の評判・口コミ
Agilefant(アジャイルファント)の公式HPに掲載されている、よい評判をまとめました。
ビジネスコントローラ兼プロダクトオーナー
アジャイル開発を管理するために、いくつかのツールを検討しました。しかし、プロジェクトのすべてのニーズに答えてくれるのはAgilefant(アジャイルファント)だけでした。その上、使いやすさは優れていました。
Agilefant(アジャイルファント)の機能の多さは、あらゆるユーザーのニーズを満たしてくれます。
技術管理者
Agilefant(アジャイルファント)は、私たちの仕事のやり方を改善しました。残された仕事量は、誰が見てもはっきり分かるようになりました。また、チームの作業が、ソフトウェア研究開発組織以外の作業に、どのように影響しているかを確認することもできます。これにより、作業の優先順位付けがしやすくなり、その結果、生産性が大幅に向上しました。
ストーリーの依存関係を管理できることが、評価されています。
地域技術開発マネージャー
従来のウォーターフォール方式からアジャイル方式に移行するにあたり、Agilefant(アジャイルファント)を導入しました。結果、私のチームは、以前の約2倍の生産性があります。
導入してから、チームの生産性がアップした、という声が多いようです。
Agilefant(アジャイルファント)のまとめ
Agilefant(アジャイルファント)は、クラウド版とオープンソース版が選べる、アジャイル開発に適したプロジェクト管理ツールです。
オープンソース版を入手して、自社で導入・運用する場合は、無料で使うことができ、自分たちのプロジェクトに合わせてカスタマイズできるのが魅力です。
クラウド版なら、最新の機能を全て使うことができます。
アジャイル開発をしていて、英語に抵抗がない場合は、使用を検討してみてはいかがでしょうか。