KPIツリーとは?作り方や業種別の事例を紹介

効率的に目標達成を目指すには、ゴールまでのプロセスを明確にすることが重要です。

実行すべきプロセスを明確にするためには、行動指標のKPIが役立ちますが、KPIをツリー形式でまとめた「KPIツリー」を作成することで、さらに目標までの道筋が明確になります。

この記事では、KPIツリーの基本から作成方法、業種別の具体例について紹介します。

KPIツリーとは?

KPIツリーとは、組織の最終目的であるKGIを頂点とし、目標を実現するために必要な要素であるKPIをツリー形状に可視化したものです。KPIを細分化し、枝分かれさせていくことで、具体的なプロセスや行動量を把握できるようになります。

問題を達成できない場合の要因は何か、どこを改善すべきかなど、客観的な視点で分析できる点もKPIツリーの特徴です。

最終的な目的を達成するため、必要な行動をどんどん掘り下げていく流れをイメージするとわかりやすいでしょう。

そもそもKPIとは?

KPIとは、「Key Performance Indicator」の頭文字をとった言葉です。日本語に訳すと、「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」を意味します。目標の達成度合いを定点観測し、目標達成に向けたパフォーマンスの動向を把握するために用いる指標です。

KPIは、「前月よりも受注件数50件増やす」「後期の顧客満足度90%以上を目指す」のように、具体的な数値を用いて設定します。KPIを設定することで、実行すべき行動や取り組むべき課題が明確になります。

KPIとKGIとの違いとは?

KPIと混同されやすい言葉に「KGI」があります。KGIとは、「Key Goal Indicator」の頭文字をとった言葉で、「重要目標達成指数」を意味します。

KPIとKGIとの大きな違いは、KPIが中間指標であるのに対し、KGIは最終指標であるという点です。KGIには、組織全体の大きな目標を設定します。「今年度の売上高を20%UP」「今期中に営業部の人員を5名採用する」のように、具体的な期限や数値を用いてKGIを設定することで、適切な評価が可能となります。

中間指標のKPIが達成できなければ、最終指標のKGIの実現は不可能です。このようなことから、KPIとKGIの2つには相関関係があるといえるでしょう。

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KPIツリーを作るメリット

組織が掲げる最終目標を達成するために役立つKPIツリーですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、KPIツリーを作ることで得られる、さまざまなメリットについて紹介します。

目標や指標を明確化できる

KPIツリーを作成することで、目標や指標が明確となります。チームで分担していたり、一人で複数の業務をこなしていたりする場合は、そもそもの目的を見失ってしまうこともあるでしょう。

KPIツリーを作成し、目標や指標が明確化することで、目指す方向性を見失うことなく業務を進められます。

ボトルネックを把握しやすくなる

目標が未達成となった場合、達成の妨げとなっているボトルネックを特定しなければなりません。

KPIツリーは目標や指標を可視化できるので、ボトルネックの把握がしやすくなります。問題を素早く発見できるため、よりスピーディーに解決策を考えられるでしょう

施策の効果検証が可能になる

KPIツリーは、明確な数値を用いて作成し、実行するため、効果や結果を検証する項目が明確です。

それぞれの段階の数値を検証することで、その施策は本当に効果が出ているのかを判断でき、結果が芳しくない場合の軌道修正も容易となるでしょう。

KPIツリーの作成方法

KPIツリーを作成する際には、最終目標となるKGIと、KGIを達成するためのKPIを正しく設定しなくてはなりません。ここでは、KPIツリーの基本的な作成方法を紹介します。

エクセルのテンプレートやKPI管理に特化したツールを活用すると、スムーズにKPIツリーを作成できます。

KGIを設定する

KPIツリーを作成する際に、まず設定すべきなのが最終目的となるKGIです。

営業部の場合は「売上高」や「利益」、経理部の場合は「採用人数」など、部門やチーム内で目指したい共通の最終目標を1つ設定しましょう。「受注数」や「アポイント件数」のような、プロセス過程での目標はKGIとして不適切です。

KPIツリーの作成時には、KGIが最終目標であることを念頭においておきましょう。

KPIをロジックツリーで分解する

次に、KGIで設定した目標に対し、構成する要素をロジックツリーを用いて分解していきましょう。ロジックツリーとは、樹木の幹から枝分かれしていくように、ある事柄を構成している要素をツリー状に書き出すフレームワークです。

KGIを構成する要素を分解し、その要素一つひとつをKPIとして設定します。KGIに「売上高」を設定した場合、売上高を構成する「受注数」や「平均顧客単価」がKPIとなります。これ以上の分解ができないところまで細分化を行えれば、KPIツリーの完成です。

KPIツリーの具体例

KPIツリーは、業種や部門によって内容が異なります。

KPIツリーの具体的な事例を、3つの業種別に作成しました。いずれも「売上増加」を、KGIに設定しています。業種によって、KPIがどのように異なるかを確認していきましょう。

営業の場合

営業部で、売上増加を目指すKPIツリーを作成する場合、まずは「今月の売上目標100万円」のように、具体的な数値を用いたKGIを設定します。

次に、「売上目標100万円」を達成するために必要な要素を分析します。営業の売上を構成する要素とは、顧客単価や受注数などです。これらの要素を、さらに細かく分解します。顧客単価なら、商品単価と購入点数に分けられるでしょう。

要素の細分化を進めることで、「売上顧客数を10%伸ばす」「単価を1000円高くする」など、要素ごとの具体的な目標設定が行えるようになります。目標や手段、注力するポイントをKPIツリーで可視化することで、最終目標である「売上目標100万円」も現実的なものとなるでしょう。

ECサイトの場合

ECサイトの場合、サイトに訪れた人数やどのくらい購入してくれたかが、売上増加につながります。売上増加を目指すKPIツリーを作成する場合は、顧客がどのように流入してくるかに着目して、KPIを設定しましょう。

ECサイトのKPIツリーで「今月の売上目標100万円」をKGIに設定した場合は、次に設定するKPIは、平均顧客単価と購入数です。購入数をさらに細かく分解すると、サイトへの訪問数と購入率に分かれます。

このようにECサイトのKPIツリーでは、集客率や回遊率のような客数を分解したKPIを設定しましょう。

設定した指標の数値は、それぞれ推移を検証します。それぞれの要素を可視化できるので、停滞している指標を素早く発見でき、改善へとスピーディーな対応も可能です。

飲食店の場合

飲食店において売上増加を目指すKPIツリーを作成する場合は、客数と客単価をKPIに設定し、分析を進めます。

客数は、新規客とリピーター客に分けていきましょう。さらに、新規客は広告媒体からの予約なのか、あるいは予約なしでのウォークイン客かを分析します。広告媒体を利用している場合は、サイトごとに分析し、どのサイトからの予約なのか、ページ閲覧数や予約率など、さらなる細分化を進めます。

売上目標が未達成の場合は、それぞれの要素を検証し、問題点を見つけます。リピーター客の数値が停滞しているのであれば、再訪したいと思ってもらえるメニューやサービスの向上などの改善策を考えると良いでしょう。

KPIツリー作成時の注意点

誤った指標を設定してしまった場合、KPIツリーの成果が出ないだけでなく、生産性が低下する恐れもあります。KPIツリーを正しく作成するためにも、KPIツリー作成時の注意点について確認しておきましょう。

すべての構造が四則演算できるようにする

KPIツリーは、KPI同士を四則演算(足し算・引き算・割り算・掛け算)し、KGIが導き出せる関係性である必要があります。

KPI同士の四則演算が正しく成立していない場合、KPIツリーの構造そのものに矛盾が発生している可能性があります。四則演算が成立していないKPIツリーでは、KGIにどのような影響を与えているかの判断もできません。

完成したKPIツリーを実行する前に、四則演算できる要素で構成されているかを確認すると良いでしょう。

測定可能なKPIを設定する

具体的な数値目標であるKGIを目指すためには、KPIも測定可能であることが重要です。KPIツリーを作成したとしても、測定不可能なKPIでは成功に必要なプロセスが正しく読み解けません。

数値化できないものや測定結果が曖昧となるものは、KPIツリーの要素として相応しくありません。KPIは「リピートを増やす」や「マニュアルを改善する」といった、抽象的な言葉のみで設定することは避け、できるだけ具体的な数値で設定しましょう。

分解する要素を遅行指標から先行指標に

一般的に、遅行指標と先行指標は、景気動向を示す際に用いられます。景気に先立って変動するものが先行指標、数ヶ月後や半年後のように景気に遅れて変動するのが遅行指標です。

KPIツリーでは、頂点となるKGIに近い上流のKPIが遅行指標、枝分かれした下流にあるKPIが先行指標です。

KGIに近いKPIほど結果が出るのが遅く、KGIから遠いKPIはすぐに結果が出る性質があります。この遅行指標と先行指標の整合性がなければ、KPIツリーは成立しません。

KPIツリーが遅行指標から先行指標へと分解できているかも、必ず確認しましょう。

単位に注意する

KPIツリーを作成する際には、単位にも注意が必要です。最終目的であるKGIは、具体的な数値で設定しています。KPIツリーで分解したKPIは、KGIと同じ単位で設定しましょう。

売上高をKGIに設定したのであれば、KPIツリーの単位は「円」で統一します。KGIを分解したKPIの計算結果も「円」となるようにしなければ、正しいKPIツリーとはいえないでしょう。

KPI同士の計算結果が、KGIに見合った適正な単位となっているかも確認しましょう。

同じ要素が重複しないようにする

KPIツリーを作成する際には、原則として重複する要素は含まないようにします。KPIツリー内に類似した要素が含まれていると、無駄な業務の発生により、生産性の低下を招きかねません。

複雑なKPIツリーを作成する場合は、類似している要素が含まれることもありますが、効率的にKGIを実現するためには、要素が重複しないよう意識しましょう。

まとめ

目標と指標を図式化できるKPIツリーは、問題の発見や効果の検証もスムーズとなります。また、チーム内で向かうべき方向の共通認識をとるためにも、有効な手段といえるでしょう。

製造業や小売業、サービス業など、業種ごとにKPIツリーの内容は異なります。業種ごとに見合った適切なKPIツリーを作成し、目標達成の実現を目指しましょう。

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