1on1とは? 必要とされている理由・実施の流れやコツを紹介

近年企業の成長に欠かすことのできないマネジメントが、1on1ミーティングです。コミュニケーションの手法や重要性が見直される昨今、上司と部下とのコミュニケーションの手段として、1on1ミーティングが必要とされています。

その理由や1on1ミーティングの流れ、コツや注意点について考えてみましょう。

1on1とは

昨今のビジネスシーンで「1on1」と呼ばれているのは「1on1ミーティング」の略で、社員の成長を促すことを目的とし、上司と部下がマンツーマンのミーティングを定期的に行うマネジメント手法です。

1on1ミーティングといってもフェーズによってさまざまで、

・個々に適した目標を設定し共有する「目標設定面談
・目標に対する進捗状況を振り返り、目標や課題を見直す「中間面談
・評価結果やフィードバックを伝え、その先の目標や課題を明確にする「評価面談」 

など、目的に合わせた面談が行われています。

近年多くの企業で導入されている1on1ミーティングは、社員の定着率UPや成長促進などの意義を持ちますが、それらを理解しないままでは、社員にとって形骸化した取り組みになってしまい、行う意味がなくなってしまいます。

そうならないためにも、1on1ミーティングを導入する目的はもちろん、流れや注意点、効果的に行うコツを、1on1ミーティングを行う側(上司)・受ける側(部下)双方に、浸透させる必要があります。

1on1ミーティングが必要とされている理由

以前にも増して1on1ミーティングが必要とされ、企業で導入されている背景には、従来のマネジメント方法が現代のビジネスシーンにマッチしなくなったことや、働き方の多様化によってコミュニケーションの機会が減っていることが挙げられます。

労働人口の減少と共に働き手不足が叫ばれる昨今では、人材育成はもちろんのこと、生産性向上が求められています。

社員がやりがいや成長実感を持って働くため、そして個々の能力を最大限発揮するための施策として、1on1ミーティングが必要なのです。

1on1ミーティングでは社員に気づき・学びを与えるためのフィードバックやコーチングを行います。また、部下の意志や考えの整理をサポートすることで、課題解決には何が必要かを提示し、主体的にチャレンジできる環境を整えます。その結果、社員の定着率向上や人材育成の良いサイクルが出来上がり、組織力強化が期待できます。

また、テレワークをはじめとした働き方の多様化によって、従来の社員間のコミュニケーションが減少傾向にあることも、これからのビジネスシーンでは解決すべき課題です。

社員間のコミュニケーションが不足していると人間関係の構築ができず、チームとしての協調性が生まれない恐れがあります。信頼や相互の理解が不足していると、困ったことがあっても頼れずに抱え込んでしまったりトラブルになったりします。

これらの変化に順応するために有効なのが、1on1ミーティングです。

1on1ミーティングの実施の流れ

1on1ミーティングでは、対話を通してコミュニケーションを取ります。ダラダラと時間をかけることはせず、15分〜60分程度に時間を区切り、週1回や月1回のように定期的な頻度で繰り返し行うことが必要です。1on1ミーティングを実施する際は、以下の流れで行いましょう。

1on1実施の目的を定める

1on1ミーティングを実施する目的を明確に定めます。この時、1on1の実施目的をしっかり部下に説明することが重要です。

目的をあらかじめ理解しておけば、部下が何を話せば良いかわからなくなったり評価への影響を気にしたりせず、1on1ミーティングに臨むことができます。

また、忙しい中時間を割くことや苦手な上司と話すことに気乗りしない人もいるでしょう。しかし、1on1ミーティングの中長期的にみた意義や成長可能性を伝えることで、1on1ミーティングに前向きに取り組むことができます。

目的に合わせたアジェンダの作成

目的に沿って話ができるようにアジェンダを作成しておきます。部下が主体的に話せるようなアジェンダであることがポイントです。

目的同様、アジェンダも1on1ミーティングの前に部下に伝えておきましょう。アジェンダを把握しておくことで、1on1ミーティングがスムーズに進むでしょう。

アジェンダの事例は後ほど詳しく解説します。

1on1ミーティング内容の記録を取る

1on1ミーティングは継続的な実施を前提としています。毎回同じ内容を話すのは効率が悪いので、話した内容を記録しておきましょう。

記録することで適宜振り返れたり、認識の齟齬を防いだりできます。

記録した文書や動画などは上司・部下共に見られるように、クラウドツールや共有フォルダに保管しましょう。特にクラウドツールは管理や検索がしやすく、上司が変わっても情報の引き継ぎが容易にできます。

継続的な実施(次回ミーティング日時の設定)

冒頭で述べた通り1on1ミーティングは継続することが大切です。1on1ミーティングの時には、次回のミーティング日や時間を設定しましょう。次の1on1ミーティング日を決めることで、目標の期限やそこまでのプロセスを設計できます

1on1ミーティングの場で成長と課題の発見を繰り返すことで、信頼関係の構築や働くモチベーションUP、働きやすい環境作りができるでしょう。

また、上司と部下が交わす日常のコミュニケーションの量や質にも変化が生まれ、相談や報告、アドバイスなどが気軽に行える関係性を築くことができます。

1on1ミーティングの注意点

意義のある1on1ミーティングを実施するためには、上司・部下共に以下のような注意点があります。

1on1の目的が周知されていない

1on1ミーティングの目的が周知されていないと、形骸化したミーティングの繰り返しになってしまいがちです。

1on1ミーティングを導入する前には必ず、導入する目的を会社や組織全体に理解させる必要があります。

例えば、「部下の話を聞く」という目的を理解せずに進める1on1ミーティングは、上司が一方的に考え方や目的を押し付ける場になりかねません。

話す内容が決まっていない

話す内容が決まっていない1on1ミーティングを実施してしまうと、その効果は発揮されません。部下はあらかじめ提示されたアジェンダに対し、話す内容を決めておく必要があります。

自分自身の置かれている状況を整理し、分かりやすく話せるように準備をしておきましょう。

1on1ミーティング前に、自己分析を行うヒアリングシートなどを記入するのもおすすめです。相談したいこと・意見を聞きたいこと・質問したいことなどの項目を立てて書き出すことで、頭の中は整理されるはずです。

上司が一方的に話すだけの内容になっている

1on1ミーティングはあくまで部下が主体となって話をする場です。上司が一方的に話すのではなく、しっかりと本音を聞き出すコミュニケーションを心がけましょう。

そのためにも、コーチングや傾聴などのスキルが必要になります。TeamHackersの以下の記事で解説しています。

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1on1ミーティングを効果的に進めるコツ

1on1ミーティングの実施は的確に進めれば効果を実感できるマネジメントですが、進め方によっては形骸化し、無意味なものになってしまいます。1on1ミーティングを効果的に進めるコツをおさえておくと、部下の本音や潜在的な意志を聞き出すことができるでしょう。

傾聴の意識を持つ

傾聴とは相手の話を否定せず共感し、信頼を示しながら聴く会話のテクニックです。

傾聴にはたくさんのポイントがありますが、技術を学んでいない人でもすぐにできるのが、頷くなどのポジティブランゲージです。目を合わせ、適切な表情や手振りを交えながら話を聞きましょう。

また、話している最中に口を挟まないことも大切です。まずは相手の言葉に耳を傾けましょう。考えていることを最後まで話すことで思考の整理ができるのはもちろん、上司に話をしっかり聞いてもらえたことで、信頼や安心感を抱くでしょう。

上司から自己開示を行う

部下の本音を引き出すには、まず自分が心を開いて接する必要があります。アイスブレイクを挟み、自分のプライベートな話や今興味を持っていることを話せば、部下も自分の話をしやすい雰囲気が作れます。

しかし、話しすぎには注意しましょう。適度なタイミングで部下の話を聞くスタンスにスイッチしましょう。

話し合った内容の振り返りを行う

1on1ミーティングで話した目標や課題は必ず記録しておき、次回のミーティングの際に振り返りを行います。

話した通りに実施できたか、できなかった場合は目標の見直しが必要かを話し合いましょう。目標や課題がクリアできてもできなくても、その要因まで深掘りすることで、今後に活かすことができます。

目標や課題を決めて振り返る、そして新たな目標や課題を決めるというサイクルが、1on1ミーティングには重要なのです。振り返りを行うことによって、ミーティング後の成長や変化を意識させましょう。

1on1ミーティングのアジェンダの参考例

部下の話したいことやパーソナリティによって臨機応変にアジェンダを調整することが1on1ミーティングの基本ですが、主な流れは以下です。

本題となるアジェンダは事前に共有しておくことで、限られたミーティングの時間を有効に使えるでしょう。

導入

まずはアイスブレイクを行います。部下が心を開けるように、いきなり本題に入るよりも上司から話題を持ちかけて、場を和ませるように心がけましょう。

・プライベートに関する話(最近ハマっているもの、週末何をしたかなど)
・自身の仕事の話(最近取り組んでいること、今後やりたいことなど)

本題

本音や潜在的な思いを汲み上げるために、以下のような質問からアジェンダを組み立てましょう。特に、期限が決まっていないことは後回しにされがちです。「緊急度は低いが重要なこと」にフォーカスを当てられるような質問を用意しましょう。

・仕事でうまくいったこと
・仕事で困っていること
・サポートしてほしいと思っていること
・現在の業務への関心度合い
・今後のキャリアのために挑戦したいこと
・直近でやりがいを感じた業務や力を入れた業務
・自身の強みや弱み

1on1ミーティングの振り返り

最後の5分程度を使って1on1ミーティングで話した内容のまとめを行います。

・1on1ミーティングから得た学び
・次回の1on1ミーティングまでの課題
・次回の1on1ミーティングの日時

次回に繋げるようにその場を締めることは、1on1ミーティングを継続的に実施するためのポイントになります。

まとめ

すぐに結果は出ないかもしれませんが、中長期的な目で見ると、1on1ミーティングは部下の能力を引き上げるために効果的だといえるでしょう。

1on1ミーティングを継続することで、上司は部下の現状や心身の健康状態を把握できます。また、お互いの信頼関係が作られるため、日頃の報告・連絡・相談の質も上がり、ミスやトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

人材育成や採用戦略、ビジネスのスタンスなどが大きく変化するビジネスシーンにおいて、1on1ミーティングは企業の組織力を上げるために有効な手段なのです。

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