社会人の学習・自己啓発は1週間にたった13分しかない!? そんなデータが平成 28 年社会生活基本調査からでています。
参照:http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/gaiyou2.pdf
ということは毎日30分でもスキルアップのために勉強したら、他の人に勝てると思っている方も多いのではないでしょうか? それはまさしく正解です。業務で得た知識の復習や他の知識との掛け合わせで新しいアウトプットを出すなどすれば、どんどんキャリアアップするでしょう。
しかしキャリアアップする上で注意しなければいけないことは、業務に関連のないスキルアップはしないということです。これを意識しないと自分のリソースを奪われるだけで、何も成果を得ることができなくなります。
今回の記事ではスキルアップに必要な考え方について解説していきます。
業務に関連のないスキルアップは無意味な理由
業務に関連性のないスキルアップに関しては、特別な理由がない限りは後回しにしましょう。その理由は2つです。
- 昇給・昇格に直結しない
- 実務ができない知識ベースの内容は役に立たない
ポイントとしては、近い未来に関しては全くプラスにならないということです。詳しく解説していきます。
昇給・昇格に直結しない
現在の業務に全く関係ないスキルを取得しても、昇給・昇格に繋がりません。昇給・昇格とは自分の業務のレベルを上げるか業務範囲を広げることで実現します。それは、自分の仕事の成果や取り組みが、会社の成長や売上の伸びに直結するからです。
しかし「キャリアアップ 資格」「会社員 スキルアップ」と検索し、調べて出てくる資格やスキルが、どれほど自分の業務に関連しているでしょうか?
よくあげられる例としては
- 簿記やFPといったお金関係
- MBAなどの経営関係
- プログラミングやITパスポートなどのIT関係
確かに、取得して損はないような資格ばかりですが、果たして得があるかどうかはその人次第になるでしょう。営業一線でやってきた人にとってはプログラミングは不要ですし、逆の場合もそうです。
現在の会社や業務内でスキルアップをしていきたいという人にとって、関係のないスキルはむしろリソース(お金・時間)を無駄に使うに過ぎません。
実務ができない知識ベースの内容は役に立たない
仮に、今後何か役に立つかもしれないと思い、あらかじめ勉強してスキルアップや資格を取ったとしましょう。基礎が固まるわけですから、それ自体は何も悪いことではありません。
しかし、座学で学んだ知識というのは使わなければすぐに忘れてしまいます。知識というのは、実務でアウトプットすることで初めて使えるものとなります。
参考書やセミナーでインプットしたものを、業務で活用したとしてもそのまま使えることはほとんどなく、今までの経験やその他の知識と組み合わせて初めて仕事に活かせるという経験をしたことがある方はいるのではないでしょうか。
簿記を勉強しても、参考書通りの内容の経理処理や財務分析ができるわけでもないですし、プログラミングで全く同じコードで構成されているということもないはずです。
勉強すること自体はとても素晴らしいのですが、それを発揮する場面がなければ意味がありません。「業務に関連のないスキルアップは無意味な理由」の意味はこれです。
もし今の仕事と関連性のない職種に転職を考えている場合は、まずキャリア面談で自分の要望を伝えましょう。経理でキャリアを積みたい、マーケターにジョブチェンジをしたい、などです。
そうすることで、人事は自分の配属やキャリアについて考えてくれるようになります。もし何も言わずに他の職種の勉強をして「これだけスキルを上げました! だからポジションを用意してください!」と急に言われても、他の人との兼ね合いや部署ごとの予算があり、すぐには実現できないでしょう。またスキルを持っていても、未経験からの転職は難しいものがあります。
なので、まずは事前に相談し、その要望に見合う存在になるよう勉強をするという順序を経た上で、新しい職種のスキルや知識を得るようにしていきましょう。
スキルアップのポイントは縦と横
ではスキルアップはどういう視点からしていけばいいのでしょうか? ポイントは2つです。それは業務の深さと工程です。詳しく解説していきます。
自分の仕事に深さを出す
1つ目は自分の仕事に深さを出すことです。要は今の仕事を徹底して深堀りしてくことです。これは職人気質的な性格や仕事に最適です。
自分の仕事が深さを出せるかどうかの判断ポイントは、業務内容は一緒だが、やり方や思考の切り口がいくつもあるかどうかです。1つの仕事に対してのアプローチ方法のバリュエーションが多い仕事に関しては深さを出すことをオススメします。
そうすることで、新たな方法を見つけた結果、今までにない成果を得られるかもしれません。それが昇給・昇格につながる可能性があります。
自分の仕事の前後工程まで担当する
2つ目は自分の仕事の前後工程を受けることです。自分のところに仕事がくるときに、まったく手付かずの状態ということはほぼないはずです。前の工程の担当者が下処理をしているでしょうし、自分の仕事を次の担当者に渡すときには、後処理や完結までしてくれるでしょう。
その工程を自分で請け負うというキャリアはオススメです。理由は2つで
- 全体最適化ができ効率や効果が上がる
- 全体を見るのでマネジメント職にも上がりやすい
工程をすべて見ることで、業務工程の改善やマネジメントができるようになります。また担当者が減ることでコミュニケーションコストも下がるので、よりスピーディーに仕事が回せるようになります。さらには人件費も下がるので、この方法でのキャリアップはオススメです。
筆者の事例
筆者の仕事の主軸は、中心にあるSEO対策です。それを仕事の深さ・業務の工程で広げるとこうなります。ここまでできるようになると、かなりできることが増えるので、キャリアの選択肢も増えて収入も上がります。
どちらに広げていくかはまだまだ検討中ですが、
- 自分のコアスキルはズラさない
- まずはどちらか1つの広げ方に専念する
という点には注意しています。
今の仕事に関係ないスキルを習得する必要性
前章で「業務に関連性のないスキルアップに関しては、特別な理由がない限りは後回しにしましょう。」と書きました。では、この「特別な理由」とはなんでしょう。それは2つです。
- 働き方をガラッと変えたい
- 生涯年収を大きく伸ばしたい
もしこれらを目指している場合は、全く新しいスキルを習得してもOKです。詳しく解説していきます。
働き方をガラッと変えたい
今後の働き方に関しては、どの職種を選択するのかがとても重要になってきます。筆者は現在フリーランスのWebマーケターをしています。この仕事はPC1台あればどこでも仕事ができる環境なので、仕事は日本の企業から受けながら台湾で仕事をするフルリモートな生活しています。
筆者の周りにいるエンジニアやデザイナー、ライター、イラストレーターもWeb系フリーランスであり、筆者とほぼ同じような働き方をしています。しかしこのような働き方を、同じ職種のサラリーマンとして会社員勤務をしている人が実践している例も出てきています。
要は会社に行かなくてもできる仕事は、自分のもっともパフォーマンスが上がるところですれば十分、という認識が起きています。
一方、筆者が以前勤めていた財閥系金融機関はそうはなりません。ここでは企業情報や個人情報の塊を扱っているようなものなので、セキュリティの弱い社外で仕事をされて情報が漏れた場合、とんでもない問題へと発展してしまいます。なので絶対にフルリモートや在宅勤務という働き方は実現しません。それがPC1台で仕事が完結するエンジニアやデザイナーであってもです。
このように今後の働き方は職種や扱う商材、そして雇用形態によって変わります。もし今の働き方をがらりと変えたい場合は、今の仕事に関係ないスキルアップをしても問題ありません。
生涯年収を大きく伸ばしたい
2つ目は生涯年収を大きく伸ばしたい方です。生涯年収は2つの要因で決まります。それは、所属している企業と職種です。
今話題のエンジニアという職種の平均年収は上がっていますが、それは所属している企業によります。GAFAのような外資系の企業と日系の3次請けの受託開発会社では、同じ職種・スキルでも貰える年収は違います。
高年収の代表である、医者であっても勤務医なのか開業医なのかで全く違います。そしてそんな話ができるのは、そもそもその職種であるということが前提です。今の仕事の年収が低いというのであれば転職をする。その職種の年収自体が低いのであれば、ジョブチェンジをして転職を繰り返し、這い上がるしかありません。
もし生涯年収を大きく伸ばしたいは、ジョブチェンジをするためのスキルアップをしていきましょう。
まとめ
社会人になったらスキルアップは必要不可欠です。特に今後は雇用の不安定性が増していきます。自分を守れるのは実力だけです。
その中で身につけるべきスキルをしっかりと吟味しましょう。ネットで話題の情報に踊らされてはいけません。自分の年齢や置かれた環境や適性を見極め、最適だと思う選択をしてキャリアップを図っていきましょう。