これから先、長い目で見たキャリアの見通しはクリアに立っていますか。今の仕事をずっと続けるイメージは湧かないけど、じゃあ何をしたいかと言われれば、具体的に答えることもできない。そんな宙ぶらりんな状態になっていませんか。
先が見えない状況でずっと働き続けることに不安を覚えているなら、20代・30代のうちに専門的な資格を取っておくこともおすすめです。資格があれば、自分の能力の証明にもなりますし、専門性の高いものであれば転職の際にも大きな強みになります。
特に、これから取得するならぜひ注目してほしいのが、医療系の資格です。
医療・介護分野は最も大きな成長分野のひとつ
これからの時代、医療や介護が必要な人口割合は増大していくと考えられます。また、医療の高度化や個人のニーズに合わせた介護の提供に伴い、必要となる医療分野や介護の内容も多様になります。それに伴い、医療・介護分野の人材ニーズもさらに多様化していくと考えられます。
現代の日本は、世界有数の速度で高齢化が進んでいます。長寿社会が実現すれば、それだけ医療や介護が必要な人口も増えます。当然、医療・介護を提供する側の人手も必要となります。
また、糖尿病や腎臓病による人工透析など、生活習慣病をベースに、長期的な治療を必要とする疾患の患者数も急速に増加しています。生活習慣病は発症すると完治は難しく、内服や定期通院など、決められた医療をずっと受け続けることになりますし、このような患者が増えると、通院患者数は大幅に増加します。その結果、それらの患者に対応する医療スタッフのニーズも増加するのです。
これからの日本社会を健全に保ち続けるため、医療者は今より更に質・量共に求められる人材となっていくことは間違いありません。
医療分野を目指すメリット
このように成長分野のひとつである医療・介護分野ですが、これらの分野を担う人材として、資格を持って働くことにはいくつかメリットがあります。
ここでは、特に大きなメリットを3点紹介します。
安定した人材需要、雇用が見込める
前述したとおり、日本社会における長寿化の影響で、医療ニーズは大きく増加しています。医療現場は人手を求めている団体も多く、安定して求人が出されている分野です。しかも、この傾向は今後も続いていくと考えられます。
また、病院や診療所といった医療機関は社会的インフラの一部ともいえる存在であり、必要なケアを常に提供し続けるため、経営は安定していることが多いです。そのため、倒産などのリスクは低めで、安定した雇用を期待できます。
ライフスタイルに合わせて多様な働き方ができる
医療職の多くは専門職であり、資格を必要とすることも多いです。就職後も専門知識を深めながらスキルを身につけることができますし、これらの知識やスキル、そして資格自体は、自分自身の武器になります。
もし結婚や出産など、家庭や個人の事情で退職せざるを得ないような場面があったとしても、これらの武器があれば、復職や転職は比較的容易です。
また、病院や診療所といった医療機関は、人が生活している限りどこでも求められる施設です。なんらかの事情でこれまでと全く異なる場所に引っ越しする場合でも、国内どこでもそれまでの経験を生かして働くことができるというメリットもあります。
比較的目指しやすい資格も多い
医療職の資格というと、医師や薬剤師のように、長期間大学に通い、難関の国家試験に合格しなければいけない、大変な資格、というイメージがあるかもしれません。確かにそういった一面もありますが、それが全てでもありません。
実は、医療系の資格の中には通信講座で目指すことができたり、講習を受けるだけで取得できるものがあったりします。
また、通学が必要な資格の場合にも、専門学校や定時制で目指せる資格も多く、学校によっては学費も大変安価に設定されていることもあります。医療資格の種類は多岐に渡りますから、自分に合った資格や学び方を選ぶことで、大きな負担なく取得することも可能かもしれません。
これから資格を取るなら、おすすめの職種
とはいえ、一言に医療系の資格といっても、その内容は多岐に渡りますし、業務内容によって働き方や求められる資質も異なります。取得が比較的容易なものもあれば、目指す道は困難でも、取得後大変役に立つようなものもありますから、ここでは、これからゼロベースで目指す場合におすすめの職種を3つ取り上げます。
介護職員
介護分野の資格は、医療系資格の中では比較的取得しやすい資格ということができます。例えば、介護職員初任者や介護職員実務者は、所定の研修を修了することで取得可能です。(以前はホームヘルパー1級・2級と呼ばれていた資格です。)
この資格は、生活の上で介護が必要な人に対し、必要なサポートを提供する能力があることを証明してくれます。
また、介護職員実務者として一定期間以上実務経験を積めば、介護福祉士の国家試験受験資格を得ることができます。つまり、自分が望めば更にステップアップも可能なのです。
介護職員主任者や介護職員実務者の場合、アルバイトやパートでの募集も多く、正社員の場合でも、業務量や体力的な負担に対し報酬が低い施設も少なくないようです。その点、介護福祉士になれば、現場をまとめる責任者として、よりレベルアップして働くことができます。報酬面で有利になるほか、資格を武器により良い施設に転職することも可能です。そういった理由から、介護職員として経験を積んで、スキルアップを目指すこともおすすめです。
介護職員を必要としている施設はたくさんあります。老人ホームのように、そこに住む人のサポートもあれば、通所施設で日中のみの仕事もありますし、訪問介護という場もあります。自分の希望や適正に合わせ、幅広い選択肢から働き方を選択できるというメリットも大きい職種です。
看護師
医療者というと、最初に思い浮かぶのが医師と看護師、ということも多いでしょう。看護師は、医療職の中でも専門性が高く、取得はやや大変な職種でもあります。
ですが、医師や薬剤師が6年制のカリキュラムが必須であることに対し、看護師は3年制の専門学校でも取得可能です。あるいは、2年制の学校で准看護師資格を取得し、その後定時制を利用して働きながら正看護師の資格を目指す、という方法もあります。
看護師の仕事は直接診療の補助を行うこともあり、専門的で命に関わるものです。そのため、専門職の中でも比較的高報酬の職種の一つでもあります。
病院や診療所の他、福祉施設や保育所など、様々な施設での多様な働き方を選択できるという特徴も魅力的です。
医療事務・医療秘書
病院の円滑な運営のためには、医療事務や医療秘書の働きは欠かせません。
医療事務は主に診療に関わる事務手続きや患者との折衝、保険診療の診療報酬請求の業務などを担い、病院の収入部分を担当します。対して医療秘書は医師の秘書として、カルテの管理やスケジュール管理、他職種との調整など、医師のサポート業務を行う職種です。
いずれの職種も資格がありますが、民間資格であり、受験資格に学歴は問われません。そのため、独学で目指すことも可能です。
ただし、、電子カルテの導入や自動化システムの構築により、これらの職種の就職は今後やや厳しくなっていくと言われています。医療に関わる事務業務はなくなりませんので求人がなくなることはありませんが、実績と経験が重視され、未経験では就職が難しい状況になっていく可能性は高いです。未経験の場合、大手派遣会社経由での募集がボリュームも大きいため、業界に影響力のある通信教育や専門学校を利用することをおすすめします。
また、中には、医療事務や医療秘書の仕事をしながら、現場での経験を生かして看護師や理学療法士など、医療職を目指す人もいます。
まとめ
現在でも医療・介護分野は安定した大きな業界ですが、2025年、国民の5人に1人は75歳以上になることから「2025年問題」として国家レベルで人材不足も含めて協議されています。有効な資格と知識さえあれば誰でも専門職として活躍することができますから、就職や、ゼロからの転職にもおすすめです。
今回紹介した職種以外にも、医療・介護に関わる仕事は様々な種類があります。例えばリハビリと担当する理学療法士や作業療法士など、検査を行う臨床検査技師、義手や義足を扱う義肢装具士という仕事もあります。
それぞれの専門職が、それぞれの分野でその専門性を生かして自分らしく働いています。働き方や仕事内容、働く場所などから、自分に合った働き方・資格を選択することができる点も、医療職の魅力といって良いでしょう。