どこでもやっていけるプロジェクトマネージャーになりたい! 私のたった3つのマインド

はじめまして。私は、下請けから大手開発ベンダー、事業会社、ベンチャー、コンサルティングファームとさまざまな会社でプロジェクトマネージャーをしてきました。副業でスポットコンサルを請け負うこともあります。

プロジェクトマネージャーはとても便利な言葉です。システム開発の現場には必ずと言っていいほど登場しますが、実のところその役割は一様ではありません。

多くのプロジェクトの実体験を通して気づいたのは、プロジェクトマネージャーとしてパフォーマンスを出すには定石がありそうだということです。

  1. 周囲からの期待をウォッチすることにした
  2. 「徳を積む」
  3. 私の武器は成功体験ではなく失敗体験だった

今回はこの3つに沿って、どこでもやっていけるプロジェクトマネージャーになるためのマインドをご紹介したいと思います。

1.周囲からの期待をウォッチすることにした

私は昔、“プロジェクトマネージャーはシステム開発のプロジェクト管理をすることが仕事なのだから、会社や開発現場によらず求められる役割は同じだろう”と考えていました。

当時の私は、PMI (プロジェクトマネジメント協会)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格であるPMPを取得して、プロジェクト管理に関する体系だった知識を使った円滑なプロジェクト推進を目指すことにしました。

資格も取得しましたし、いくつかのプロジェクトも無事にリリースまで漕ぎつけることができました。けれど振り返ってみると、複数のプロジェクトで実践したことはバラバラでしたし、教科書通りのテクニックよりも泥臭い仕事の方が圧倒的に多かったです。

いまでは、プロジェクトマネージャーに求められる役割は会社や開発現場によって違って当然だと思うようになりました。

あるプロジェクトでは、事業会社(A社)のシステム子会社(B社)から発注を受けた大手開発ベンダー(C社)と実装を担当する下請け開発ベンダー(D社)で体制が組まれていて、A~D社の各リーダーはいずれもプロジェクトマネージャーと呼ばれていました。この4名のプロジェクトマネージャーの仕事はまったく別物でしたから、各会社から期待されていた役割も異なっていたでしょう。

周囲からの期待を理解して、プロジェクトを前進させるために自身ができることをこつこつ探すことが一番の近道です。もし思い描いているキャリアプランと周囲からの期待がズレているときは、ステークホルダーとコミュニケーションすることを大切にしています。場合によっては、やりたくないことを「それはできない」とはっきり言っておくことも必要だと思います。

2.「徳を積む」


プロジェクトマネージャーにとってチームビルディングやビジネスコミュニケーションは、プロジェクト管理の重要な要素の一つです。ですが、理想通りのチームビルディングやビジネスコミュニケーションができたと自信を持って言えるチームはそう多くはないのではないでしょうか。

「信頼関係」という言葉を耳にしたことはありますか?「信頼関係」という言葉は、プロジェクトマネージャーが本来目指すべき組織・体制の在り方にあたって誤解を生む用語だと私は考えています。「信頼関係」には「楽しい」や「摩擦が起きない」といったイメージがあり、大学の仲良しサークルのような共通認識が出来上がることが多々あります。

社内コミュニケーションに限定されているのであればまだしも、社外を含めたステークホルダーを巻き込んだビジネスコミュニケーションでは、楽しくお酒が飲んでいるだけで済むことは少ないでしょう。例えば、営業部隊がお客様と楽しい日々を過ごしている裏でエンジニアたちはデスマーチに苦しんでいる、といった事例を何度か聞いたことがあります。

誤解を生みやすい用語を避けて、「徳を積む」と表現することにしました。
一般的に「徳を積む」とは、善行を行なうことであり、見返りを求めない善行も天から報いを与えてもらえるといった考え方のことです。私は、プロジェクトチームにとって善行になる行動を整理することにしました。

例えば、証券会社でITコンサルタントをしたとき、徳を積むために次のようなことを実践しました。

  • 旗振りを率先して行なう
  • 期日を優先して守る
  • 証券会社の担当者がスタンプラリーをするときに利用できる説明ドキュメントを積極的に作成する

徳を積むことで良いことがありました。承認フローに関わるステークホルダーが減り、証券会社側の意思決定が速くなりました。機能仕様がいつまでもFIXしないといった開発チームの悩みの種がなくなり、スケジュール管理に良い影響がありました。

プロジェクト管理における基本となる善行は、合意した期日までに合意した成果物を確実に出すことです。“誰かのせいで開発チームの作業が止まり合意した期日までに間に合わなかった”、“一生懸命頑張ったけれど合意した成果物を出すには至らなかった”などは不徳であり、知らないうちに積み重ねてきた徳が減ってしまったといったことにならないよう、常日頃から意識することが大切です。

3.私の武器は成功体験ではなく失敗体験だった

私は、数々のプロジェクトでプロジェクトマネージャーとして無事リリースしてきたことを誇りに思っています。プロジェクトを振り返り、成功に導いた手法やドキュメントをいくつも挙げることができます。

しかしプロジェクトの達成を、それらの手法やドキュメントを再利用したことで成しえたかと自問自答すると、答えはNOでした。

プロジェクト管理において正解はありません。プロジェクトマネージャーができることは、プロジェクトごとに最善を手繰り寄せるために考え抜いて、プロジェクトのゴールと現状とのギャップ(課題)を一つずつ解決することです。そうしたなかでは、過去のプロジェクトの成功体験を再現すること自体が困難です。

私がプロジェクトマネージャーとして武器にしていたのは、積み重ねてきた失敗体験でした。
失敗体験は条件が2、3個揃うだけで再現します。プロジェクトの体制やビジネスゴールが異なっていたとしても、失敗を再現することは本当に簡単です。ですから、プロジェクトマネージャーをするときはぜひ失敗体験を教訓として残してください。未来の自分が失敗することを防ぎ、失敗を回避することはプロジェクトの成功につながります。

失敗体験をナレッジとして蓄えるためには準備が必要です。準備とは、発生条件を見える化することです。そのためには、プロジェクト管理において計画や合意内容、体制を明らかにし、現時点ではどういった条件でプロジェクトを進めているかということを常日頃から説明できる状態にします。“こういった計画で、このような合意をもって今このように進めている”と説明できることは、振り返りを行ったときのみならず、現況を説明できることがステークホルダーの巻き込みにつながり、私が進めていた数々のプロジェクトに大きな推進力を与えてくれました。

4.まとめ

近年はユニコーン企業をはじめとするスタートアップの企業が注目されています。Fintechなどにおいて斬新なアイデアをもったWebサービスが数多く登場しています。スタートアップでは、プロダクトの機能仕様やビジネススキームをボトムアップで組み上げるため、プロジェクトマネージャーがいないチームもあります。

今後、プロジェクトマネージャーを必要としないシステム開発の手法が確立されていくのでしょうか?私は、むしろこれまで以上にプロジェクトマネージャーの必要性が強調されるのではないかと考えています。

かつて事業規模が大きくなければシステムを開発することができなかった時代には初めからプロジェクトマネージャーが用意されていました。Webサービスを誰もが気軽にスタートできる時代になった今は、スタートアップが提供しているサービスのいくつかが成功して事業規模が大きくなってからプロジェクトマネージャーが求められるでしょう。

そのときにプロジェクトマネージャーは過去の成功体験にとらわれることなく、周囲からの期待に合わせてパフォーマンスを発揮できるような人材になりましょう。

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