2019年4月の働き方改革関連法の施行まで、いよいよあと少しになりました。正社員など通勤型の働き方をしている人にとっては、残業時間や有給休暇などを中心に働き方に大きく関係する内容も含まれていて、注目を浴びています。一方で、通勤をしない働き方、いわゆるリモートワーク(テレワーク)などの多様な働き方も増加傾向にあり、国土交通省の「テレワーク人口実態調査」2018 年版によると、現在は働く人の15%(10人に1人以上)がテレワークを実践しているという結果が出ていました。
オフィスではない場所で働くというリモートワーク(テレワーク)はもはや一般的になりつつありますが、今回ご紹介したいのはフルリモートという働き方です。正社員として働いているが週1回だけ在宅をしている、または営業職なので移動中もメールチェックができるようにしているという、部分的なリモートワークとは違い、フルリモートは会社へ行くこと自体がまったくない、文字通り完全なるリモートワーカー(テレワーカー)です。週1などの部分的なリモートワーカーとフルリモートはどう違うのでしょうか?
フルリモートと部分的リモートの違い
テクノロジーの進化とともにリモートワーク(テレワーク)の推進も後押しされ、正社員として働いている人にとっても身近になってきている働き方。職種によるとは思いますが、スマホでメールチェックをする程度であれば、かなり多くの企業で導入しているのではないでしょうか。
一方で、フルリモートといった働き方はまだまだ多くはありません。フルリモートと部分的リモート。そこまで大きな違いがないように思われるかもしれませんが、主として働く場所が会社なのか、それともまったく会社へ行かないかという違いはかなりのもの。実際に、フルリモートを許可している会社はほんの一部に限られているように思います。つまり、正社員や契約社員など組織に属しながら、フルリモート(完全テレワーク)で働くスタイルはまだほとんどないと言えます。一部外資系IT企業などは、ホームオフィス制度といって、完全な在宅ワークを許可しているケースもあるそうですが、日系の企業ではほぼ認められていません。これは、日本での正社員や契約社員などが時間管理型という人事制度を基本としているため「勤務時間○〜○時(または○時間など)」と定められている間は会社にいるべしという約束になっているから。部分的なリモートワークは許可していても、始業時や就業時に必ず上長に連絡しなければならなかったり、営業職で通勤時間にスマホでメール対応をしても勤務時間扱いにはならなかったりと、確かに管理がまだ整備されていないのが現状です。
つまり、フルリモート(完全テレワーク)という働い方は、正社員では難しいということを念頭においておいたほうが良いでしょう。在宅型派遣なども出てきていますので、派遣(契約)社員のフルリモートは少しずつ始まってきているようですが、ほとんどの場合はフリーランス。いわゆる業務委託として業務を請け負っているというのが一般的です。それでも、月に1度は顔を合わせて打ち合わせしたいといったクラアントも少なくないので、フリーランスでも完全にフルリモートで完結する仕事(求人)はまだまだ少ないと感じています。
増え続ける個人からのフルリモート需要
フリーランスの世界でもそこまで多くないフルリモートの仕事。クラウドソーシングのサイトで簡単な入力作業を隙間時間にするというだけではなく、それなりにまとまった収入を得ようと思うとフルリモートの壁は高くなります。
企業側からすればお金を出して仕事をお願いするからには一度くらいは面と向かって挨拶したいという思いが根強いのでしょう。一方で、働く側はどうかというと、フルリモートの仕事は年々需要が高まっています。働き方改革の促進とともに、個人の働く感はどんどん多様化し、実践し始めているからです。ひと昔前ですと、柔軟な働き方を望んでいるのはワーキングマザーくらいでしたが、地方移住を考えたりする人も増え、年齢や性別に関わらず、自分らしい働き方を見つけようと考える人が増えてきました。
そのような個人のニーズを満たすには、どうしてもフルリモートという働き方に注目が集まります。なぜなら、地方移住(または海外移住)をする人にとって部分的なリモートではまったく意味がないからです。例えば、東京から地元の沖縄に帰りたいという人にとって、週1回だけの在宅勤務などはナンセンス。移住だけでなく、介護や闘病など、週何回かの在宅勤務では続けられないという人は多くいるでしょう。そういう人にとって望まれている働き方こそフルリモート。自身の生活を保ちながらも収入を得ることができる働き方なのです。
フルリモートの仕事はどう探す?
フルリモートの仕事はフリーランスにとってもそこまで一般的ではないものの、少しずつ増えてきている傾向はあります。では、どのように見つければ良いのでしょうか?3つのタイプ別にご紹介します。
在宅型派遣
在宅で主に事務仕事を行う働き方で、何時から何時までといった通勤型の勤務スタイルと同様の時間あたりで報酬を得るタイプです。在宅型派遣サービスを提供している派遣会社に登録することで仕事が紹介されます。ただ、職場見学(面接のようなもの)の際だけは訪問しなければならないなどはあるかもしれませんので、各派遣会社の規定を確認した方が良いでしょう。
在宅秘書(オンラインアシスタント)
キャスタービズ(https://cast-er.com/)などが有名ですが、オンラインで事務作業を請け負うサービスです。こちらも、在宅派遣同様に、何時から何時までなどの受け付け時間として定められているもので、時間管理型に近い働き方です。上記のキャスタービズなど、オンラインアシスタントサービスを提供している会社に応募して採用してもらうフローになります。
自営型フリーランス
デザインや執筆、エンジニア、コンサルなど、ある専門的なスキルをリモートで行い、成果に応じて報酬を受け取るタイプ。完全にオンラインで済ませるには、仕事の開拓が大きな課題になります。ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトに登録して受注するのが第一歩ですが、一件あたりの仕事の単価がどうしても安いものが多いので、フルリモートのフリーランスになるまでに人脈を広げ、案件を開拓しておくのがポイントになります。
仕事を探す際に注意したいポイント
フルリモートの仕事を探す際に、一番注意したいのが料金です。通勤型の仕事をしていると、一件あたりの仕事の報酬は、いわゆる月収というイメージで最低でも20万円前後を期待してしまいます。しかし、フルリモートの場合は、何時から何時といった時間拘束型の働き方であっても、成果報酬型であっても、通勤型の働き方をしていた時と比較すると安いのが一般的です。つまり1社だけで安定的な収入を得ようと思ってもなかなかそうはいきません。ポイントは複数の会社の仕事をうまい具合に組み合わせて行なうこと。
それは前段で伝えた、「在宅派遣+自営型フリーランス」など、形態の違うフルリモートワークを組み合わせて行うのでも良いと思います。自分が稼働できる時間と収入を考えて、ライフスタイルに無理のない仕事の設計をするように心がけてみてください。
まとめ
フルリモートといっても、ZoomやAppear.inといったオンライン会議サービスを使用して定期的に打ち合わせをする仕事がほとんどです。オンライン会議をすることで、チャットなどの文字ベースのやりとりだけでは伝わらない、人となりが分かるので、リアルに顔を合わせるのとそれほど変わらない(心の)距離感で仕事ができるようになります。まだ少ないフルリモートの仕事ではありますが、今後、増えることはあっても絶対に減ることはないだろうと思います。未来型働き方の先駆者として挑戦してみても良いかもしれません。