チーミングとは?成功のポイント・学習する組織についても解説

チーミングとは、「常にチームワークの最適化を模索し、実践し続けること」を指す言葉です。

チーミングは、チーム運営の新しい考え方として注目を集めていますが、「チーミングとは何だろう」と疑問に思われている方も少なくないでしょう。

この記事では、チーミングとは何かについて解説します。チーミングの具体的な成功ポイントや学習する組織についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

チーミングとは

チーミングとは、英語の動詞「team」と進行形「〜ing」を組み合わせた言葉です。この概念は、ハーバード大学の教授であるエイミー・C・エドモンドソン氏によって提唱されました。

メンバーや役割が固定化された従来のチーム運営とは異なり、チーミングは絶えずアップデートし続ける流動的なチーム運営です。環境や状況の変化に応じて、常にベストなチームワークを構築し、高いパフォーマンスを発揮できると考えられています。

チーミングが注目されている理由・背景

チーミングが注目されている理由として、現代社会が予測不能なVUCA時代であることが挙げられます。

新型コロナウイルス感染症拡大は、予測できなかった事象のひとつです。人々は外出自粛を余儀なくされ、多くの企業でテレワークが導入されました。

働き方はオフラインからオンラインへと移行し、部署やチームのメンバーと顔を合わせる機会は減少しています。時間と空間の共有ができなくなり、以前よりもチーム意識が低下しているのが現状です。

そこで、従来の固定化されたチーム運営ではなく、変化する環境に対応しながら、常にチームのあり方を模索し続けるチーミングが注目されているのです。

良いチームの条件

チーミングとは、常により良いチームを模索し続けることです。

では、良いチームとはどのようなチームなのでしょうか。
「メンバー同士の仲が良い」だけでは、良いチームとはいえません。

良いチームを構築するためには、さまざまな条件があります。具体的な条件として以下が挙げられます。

・共通の目的・ビジョンがある
・円滑なコミュニケーションがとれている
・適切な人的配置がされている
・信頼関係がある
・情報が共有されている
・多様性を受け入れる

これらの条件を満たしているチームは、良いチームといえるでしょう。良いチーム作りの成功は、チーミングの成功につながります。

チームの成長ステージ(タックマンモデル)

良いチームを作るためには、アメリカの心理学者であるブルース・ウェイ・タックマンが提唱した、チームビルディングのモデル「タックマンモデル」が有効です。

タックマンモデルによると、チームの形成には5つの成長ステージがあります。各ステージの特徴をみていきましょう。

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フォーミング(形成期)

形成期とは、チームが立ち上がったばかりの段階です。メンバー同士の関係性が構築されていないため、互いに遠慮や緊張感があります。

まずは、リーダーがチーム全体の目標や計画、役割などを早期に決定し、メンバーで共有します。コミュニケーションの機会を増やし、メンバーの相互理解を深めることが必要です。

ストーミング(混乱期)

混乱期とは、徐々に相互理解が深まってきたメンバー間で、仕事の進め方や考え方の違いが表面化し、対立や衝突が発生しやすい段階です。

対立を避けるのではなく、その都度解決することが大切です。お互いを理解し合うことが重要となるため、コミュニケーションは量よりも質を重視します。

ノーミング(統一期)

統一期では、メンバー間の相互理解や尊重が生まれ、チーム共通の目標や役割を持ちはじめる段階です。

自分の能力を最大限に発揮しつつも、他メンバーの考え方を受け入れられるようになり、チームとしての生産性が向上します。

各々のタスクや進捗状況を可視化すると、より相互にサポートし合える関係性を構築でき、深いコミュニケーションを促せます。

パフォーミング(機能期)

機能期とは、チームに結束力が生まれ、互いにサポートし合って成果を出せる、チームとして最も力を発揮できる段階です。

これまでリーダーが行っていたアドバイスや軌道修正は、メンバー各自で行えるようになります。

継続して成果を発揮できる良いチームになるためには、この機能期を可能な限り継続させる必要があります。

アジャーミング(散会期)

散会期とは、プロジェクトや目標の達成、期日の到達などにより、チームが解散する段階です。

形成期〜機能期で身に付けたスキルや経験を、新たなチームで活かすために準備をはじめます。

チームの最終段階である散会期には、メンバー全員が満足感を味わっている状態が理想です。

チーミングの具体的な方法・ポイント

チーミングを取り入れる際の、具体的な方法やポイントについて解説します。

組織の目的・ビジョン・方針を共有する

チーミングとは、メンバー全員が一丸となって取り組んでこそ成功するものです。そのためには、組織の目的・ビジョン・方針を共有することが重要です。

目的を共有していたとしても、個人によってイメージするゴールが違っていては意味がありません。共有する目的やビジョンは、誰もがはっきりとイメージでき、なおかつ共感できる内容にしましょう。

心理的安全性を高める

チームのあり方を絶えず模索するチーミングには、年齢や役職にかかわらず、メンバー全員が率直な意見を交わせる心理的安全性の高い環境が不可欠です。

心理的安全性とは、組織内でメンバーが臆することなく、安心して発言できたり行動できたりする状態です。こまめなコミュニケーションや発言の機会を均等にするなどを心がけ、個性を発揮できる環境作りを目指しましょう。

共通言語を持つ

共通言語とは、メンバー同士が相互理解するために活用する言葉です。

共通言語を持つと、説明や確認に費やす時間が削減し、認識の相違も起きづらくなります。共通言語は共通認識に結びつきます。チームの一体感が増し、チーミングをさらに加速できるでしょう。

パラダイムと相乗効果を理解する

チーミングの成功には、メンバーの協働による相乗効果が必要です。この相乗効果を促進する一因となるのがパラダイムです。

パラダイムとは、支配的規範となる「価値観や物の見方」を指す言葉です。近年は、個人の「物事の捉え方」や「想像の仕方」などを表す言葉として使用されています。

互いに異なるパラダイムを掛け合わせると、相乗効果は発揮されます。パラダイムと相乗効果の関係性を理解し、相互補完することで、大きな成果を生み出せるでしょう。

傾聴力を高める

チーミングには、お互いの違いを受け入れ、尊重しあえる、質の高いコミュニケーションが欠かせません。

ただ相手の話を聞くのではなく、「なぜそう思ったのか」「なぜそのような行動をとったのか」など、相手の話を丁寧に「聴く」姿勢を持つと、コミュニケーションの質が向上します。

フィードバックで現状を共有する

人それぞれ価値観や物の見方が異なることを前提とし、互いに見えている相手の現状を、フィードバックで共有することもチーミングには有効です。

ここでのフィードバックは、あくまでも客観的な事実を相手に伝えることが目的です。伝える側の主観的な意見や感情が入らないように注意しましょう。

フィードバックを繰り返し行うと、コミュニケーションの質の向上も期待できます。

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肯定型で要望を伝える

意見を交換し、自身の要望を伝えられる関係性は、チーミングの取り組みには欠かせません。しかし、言葉選びや伝え方には注意が必要です。

たとえば、「明日までに仕上げてもらわないと困ります」と「明日までに仕上げてもらえると助かります」、2つの文章の意味は同じですが、伝わり方は大きく異なります。

否定的な表現は相手を嫌な気持ちにさせる可能性があるため、チーミングでは肯定型を意識しましょう。

チーミングで学習する組織を目指す

チーミングとは、時代の変化に柔軟に対応しながら、絶えず最適なチームワークを模索することです。そのためには、「学習する組織」が不可欠とされています。

ここでは、チーミングと学習する組織について詳しく解説します。

学習する組織とは?

学習する組織とは、目的達成に向けて効果的な行動がとれるよう、変化する意識と能力を高め続けられる組織です。

ここでの「学習」とは、単に知識を学ぶだけでなく、新しい価値観や思考、さまざまな問題への対応力を獲得することです。

メンバー全員に自律性と協調性があり、環境の変化に適応できる柔軟性を理解することによって、学習する能力が得られます。学習の成果を個人レベルにとどめるのではなく、組織全体に反映することで、学習する組織となっていけるのです。

学習する組織とチーミング

学習する組織の基本単位は、個人ではなくチームです。そのチームをアップデートし続けるチーミングは、「学習する組織作り」を促進するために欠かせないプロセスであるといえます。

チーミングをより効果的に進めるためには、成功の先に「学習する組織」の実現があることを意識すると良いでしょう。

学習する組織の土台となるリフレクションとは

学習する組織では、このリフレクションが土台となります。

リフレクション(reflection)とは、「反射」や「反映」を意味する言葉です。ビジネスでは、客観的かつ主体的に、自分の考えや言動などを深く省みる「内省」という意味で使用されています。

失敗した経験について、「なぜ失敗したのか」「どこを改善すれば良い結果が出せるのか」などとリフレクションを行うと、再現性は低くなり、同じ失敗を繰り返さずに済みます。

成功した経験についても「プロセスによるものなのか」または「たまたま成功しただけなのか」を把握すると、成功の再現性を高められます。

リフレクションは、経験を成長に変え、学びの質を高めることができるのです。

組織が学習するべき領域

組織が学習するべき領域は5つに分類され、これを「ディシプリン」と呼びます。

5つの学習領域とは以下です。

1.システム思考
2.自己実現
3.メンタルモデル
4.ビジョン
5.チーム学習

一つずつ解説します。

システム思考

システム思考とは、解決すべき課題や出来事など、あらゆる事象をシステムと捉える概念です。目の前にある物事だけを見るのではなく、全体を俯瞰し、さまざまな視点からアプローチして解決を目指します。

単なる原因と結果だけでなく、根本にも着目すると、複雑な課題にも対応できるようになります。

自己実現

自己実現とは、自分の強みを見つけ、一人ひとりが自分の業務や役割を望ましい方向へと広げていくことです。

個人の成長は、結果的にチーム全体の成長につながり、高いパフォーマンスが発揮できます。

メンタルモデル

メンタルモデルとは、誰もが自覚なしに持っている思い込みや価値観です。人は、自分の中にあるメンタルモデルを前提として、意思決定や状況判断を行います。

メンタルモデルは思考を形成する土台であり、いわば固定観念です。メンタルモデルを簡単に変えることは難しいため、意識的に見直し、修正することが必要です。

ビジョン

チームの成長なくして、組織の成長はありません。明確なビジョンを共有し、そのビジョンにチームメンバーが賛同しているかが、チームの成長の鍵を握ります。

ただビジョンの実現に参加するのではなく、実現させるための責任と行動が重要なのです。

チーム学習

チーム学習とは、メンバーと一緒に探求や考察、内省を行い、自分たちの意識と能力を共同で高めることです。

チームで対話し、意見を交わし合うことによって、より強いチームへと成長できます。その結果、個人での学習では到底達成できないような、レベルの高い学習も可能となるでしょう。

まとめ

チーミングとは、絶え間なくチームワークの最適化を図り、実践することです。変化が激しい現代社会に対応するための、新しいチームのあり方といえるでしょう。

チーミングを実践する際は、組織の目標共有や心理的安全性の確保などに加え、学習する組織を目指すことも欠かせません。

チーミングを取り入れ、変化に強いチームを目指しましょう。

チーミングとは?成功のポイント・学習する組織についても解説
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