【乃木坂・欅坂・日向坂】坂道3大アイドルグループから学ぶ、チームマネジメント

【乃木坂・欅坂・日向坂】坂道アイドルグループから学ぶ、チームマネジメント

皆さんは、「女性アイドルグループ」と聞いてどのようなイメージが浮かびますか? もしかすると、メンバー1人ひとりがライバル関係にあり、センターを巡って火花を散らしている…というような印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、『乃木坂46』などの坂道シリーズのアイドルグループ(以下、坂道グループ)においては、メンバー間での競争が存在しているものの、グループとしての連帯感や平和的な雰囲気と両立・共存しているように思われます。1人1人の「目立ちたい」という向上意欲と、「グループに貢献したい」という思い――このアンビバレントなチーム志向が、坂道グループのチームワークを支える1つの要因だと思います。

本記事では、TH編集部イチの坂道ファンである私が、坂道グループの「チーム志向」を支えている要因は何か、そしてチームマネジメント一般論として強いチームワークを生み出す秘訣を考察していきます。

「チーム志向」型アイドル

坂道シリーズとは、『乃木坂46』『欅坂46』『吉本坂46』『日向坂46』といった、秋元康氏がプロデューサーを務めるアイドルグループの総称です。

坂道シリーズのアイドルグループ(以下、坂道グループ)の特徴の1つが、メンバー内の競争が存在していながらも、平和的な雰囲気やメンバーの連帯感が存在していることです。

よく体育会系の部活などで、『部員同士が互いに切磋琢磨し、意識を高めあうことで結果的にチームが強くなる』といった話を聞くことがあります。しかし坂道グループにおいては、意識の高め合いが、「センター争い」というよりもメンバー間の「支え合い」につながっていると言えます。

センターに選ばれなかったメンバーも「自分なりにグループやセンターを支えよう」という意識を持って活動に臨むメンバーが多いのです。

個人間の競争が本来激しいはずのアイドルグループにおいて、彼女たちの団結力やチーム志向を生んでいるものは一体何なのでしょうか?様々な理由があると思いますが、本記事では3つの要因を考察していきます。

1. グループ理念の影響力

1つ目の要因は、「グループ理念」の存在です。

坂道シリーズには、グループごとの「色」や「理念」があります。例えば乃木坂46と欅坂46ではグループの雰囲気や楽曲の系統は大きく異なり、前者は美しさや清楚さ、後者はクールさ・かっこよさのイメージを強く押し出しています。また衣装一つを取ってみても、乃木坂はロングスカートやサテン生地のもの、欅坂は軍服モチーフやレザー素材を使ったものが多くなっています。

こういったグループカラーや理念の存在が、メンバーの考え方に影響を与え、グループとしての団結力を生む要因の1つになっていると考えられます。

事例①楽曲のメッセージ性(欅坂46)

欅坂46の団結力を生んでいるのは、メッセージ性の強い楽曲の存在です。彼女たちの楽曲には、勇気を与えるような歌詞や傷ついた人に寄り添うような歌詞が多く見られます。例えば『不協和音』という楽曲は、周囲の同調圧力に簡単に流されず、自分の正義を貫くことをテーマとした歌詞になっています。

不協和音で既成概念を壊せ

みんな揃って同じ意見だけではおかしいだろう

意志を貫け!ここで主張を曲げたら生きてる価値ない

欺きたいなら僕を倒してから行け

https://www.youtube.com/watch?v=gfzuzDrVRVM

このように若者の心の叫びを描き、強いメッセージをもつ曲が多い欅坂46。メンバー自身も、楽曲のメッセージを伝えることを意識してパフォーマンスをしているとよく語っています。実際に『不協和音』のパフォーマンスでは、アイドルでありながら1人1人が存在感を殺し、グループとしての一体感を大切にしているように感じます。欅坂46の団結力を生んでいるのは、「楽曲」を多くの人に聞いてもらうためにパフォーマンスを頑張りたいという、1人1人の意識なのです。

また、最新曲『黒い羊』のMVでは、メンバー1人1人が孤独や葛藤を抱えた役を演じています。アイドルの楽曲であるにも関わらず、全体として暗く重い雰囲気で、顔に黑い煤を塗っているメンバーもいます。また6分弱のワンカット撮影であるため、あまり映像に映らないメンバーもいます。さらにしかしそれでも、メンバー達は口をそろえて「とても良いMVだから多くの人に見てほしい」「今回は〇〇(メンバー名)が特に頑張っていて、尊敬しました」のように語るのです。

楽曲やパフォーマンスを通して多くの人に勇気を与えることに自負を感じているからこそ、メンバーもグループの活動に対するモチベーションが生まれているのだと思います。

事例②グループ理念『ハッピーオーラ』(日向坂46)

日向坂46は、爽やかな楽曲や可愛らしい衣装、見ているだけで癒されるような笑顔が特徴的なグループです。 理念として『ハッピーオーラ』を掲げており 、ファンや視聴者を幸せにしたい!という思いで活動しています。

日向坂46は、今年の3月にシングルデビューを果たすまでは「けやき坂46(通称:ひらがなけやき)」というグループ名で活動していました。3年間地道に活動していたものの、名前から欅坂46のアンダーグループであるかのような扱いを受け、なかなか認知度を高めることができずにいました。

このように長年運営体制が理由でデビューが叶わず、逆境に立たされてきた日向坂46。それでも、彼女たちは笑顔のパフォーマンスで『ハッピーオーラ』を体現することによって、ファンに対してだけではなく、グループ内にもポジティブな雰囲気を作り出していきました。番組や音楽番組での彼女たちを見ていると、「先輩・後輩の壁なく、全員で頑張っていこう!」という気概を感じます。

そのグループとしての一体感が表れているのが、7月発売の新曲「ドレミソラシド」。この楽曲では、ダンスフォーメーションがくるくると変わり、21人全員が必ず1回は1列目でパフォーマンスをする構成になっています。PVや音楽番組でも1人1人が個別に映るシーンが多く、まさに「全員が主役」であるような印象を受けます。

この日向坂46の事例は、グループとしての理念がメンバーにも上手く作用し、活動へのモチベーションを引き出している好例だと言えるのではないでしょうか。

チームマネジメントにおける教訓

これらの2つのグループに共通しているのは、グループそのものの「理念」、ひいては「存在意義」にメンバーが共感していたことです。2グループの雰囲気や理念は大きく異なりますが、どちらも「誰かの心を動かす」という点で共通しています。

こういったグループ理念は、ビジネスでいうと「企業理念」や「行動指針」に近いものだと言得るでしょう。しかしチームでプロジェクトを進める際、「目標」は設定しても「理念」までは決めないという場合も多いと思います。

しかし、「理念」はメンバーの協調性とモチベーションを高めるうえで、目標と同様に大きな役割を果たします。「理念」によって作られたチームの文化は、簡単には真似することのできない財産になるからです。チームの結束力が危ぶまれた時こそ、チームの行動指針やプロジェクトのゴールを全員で振り返る機会を設けることをお勧めします。

また、相手企業との打ち合わせに部下を連れて行ったり、街頭調査を行ったりなど、実際にクライアントやユーザーに接することで「自分の日々の仕事が誰かのためになっている」と感じられることもあります。プロジェクトを進める時には、そのチームの「存在意義」・「理念」がメンバーの役割や貢献意識につながることを思い出してください。

2. 1人ひとりの個性に対する理解

2つ目の理由は、メンバー自身が個性や1人ひとりの良さを理解し、大切にしているということです。

グループの中には、楽曲のセンターとして輝く人もいれば、ダンスの上手さや歌唱力が飛び抜けている人、女優やモデルとして活躍する人、ブログなどのファンサービスが多い人、MCやトークの上手な人など、さまざまな場所で活躍するメンバーがいます。「適材適所」という言葉があるように、各メンバーにはそれぞれの輝き方があります。そして、どの場所で活躍していても、すべてのメンバーがファンに希望を与える「アイドル」であることに変わりはないのです。

自分だけが持っている「良さ」がある(乃木坂46)

素晴らしいのは、メンバー自身もその考えを持っていることです。ここでは、元乃木坂46・伊藤万理華さんがグループを卒業時に発表した個人PVをご紹介します。

この楽曲『はじまりか、』では、伊藤さんがグループ加入後に抱いていた葛藤、そこから自分の良さを知って自信をもつまでの心情を、歌詞に起こしています。

誰かが付けた順番に 泣いて眠れない夜もあった

周りを見ればみんなキラキラ 羨ましいな いいないいな

でも違うんだ それはあの子だから出来ること

私にはできない ひとりひとりの眩しい輝き ようやく認めた時に 何かが開けた!

https://youtu.be/3HV5I2OCbj

伊藤さんは加入当初、表題曲でパフォーマンスをするメンバーに選抜されず、他メンバーと自分を比べて悩むことが多かったといいます。しかし、他メンバーの良さは自分に真似できるものではない、だからこそ自分には自分だけの良さがあるはずだと分かったときに、自分の輝く場所に気づけたといいます。


自信なんて無い 不安定な歌声

何でアイドルに?アイドルになったのか?

ずっとずっと コンプレックスだった

でも「味、味」って あなたが言ってくれたから

あなたがあの日 言ってくれたから!


ファッションも趣味も全然 アイドルぽくなくて

こんな変な私だけど 見つけてくれてありがとう


https://youtu.be/3HV5I2OCbj

コンプレックスだった歌声や個性的なファッション・趣味も、「自分らしさ」だと捉えなおすことで自信に変えることができました。伊藤さんは、グラフィックデザイン誌「MdN」で連載をしたり『伊藤万理華の脳内博覧会』という個展を開くなど、クリエイティブな分野でも活躍されていました。

チームマネジメントにおける教訓

「選挙」「握手会」など、数値で比較されることの多いシビアなアイドル社会。選抜やセンターなど、パフォーマンスの際のポジションが重視されてしまうのも無理はありません。しかし大事なのは、自分と他人の比較に囚われすぎても何も生まれないということです。他人と自分で表現できるものは違いますし、人生をかけて積み上げてきたその人の「良さ」は簡単に真似できるものではないからです。

皆さんも、自分がチーム内でどのような役割を果たせるのかに悩んだり、他の人の能力やスキルをうらやましく思ってしまうことも多いと思います。もちろん、周りと自分を比較することは、スキルアップを図る上で重要ですし、気持ちも引き締まると思います。

しかし、人によって得意・不得意の差はありますし、「ないものねだり」ばかりしていては前に進むことはできません。

自分の貢献度に悩んだ時こそ「良い営業マンとは…」のような既存の価値観に縛られすぎず、自分を見つめなおすことで新しい道を開くことができるといった教訓が得られると思います。

3. 制度面での工夫

3つ目の理由は、グループ内競争の過激化を、制度面から排除している点です。坂道グループでは、センターやフロント(1列目)といったフォーメーション争いは存在しているものの、所属メンバーの人数を制限することにより、一定限度の平等性を保てるようにしているのです。

例えば、全てのグループにおいて、毎シングル1人1人にスポットライトが当たる場が用意されています。

欅坂46と日向坂46は、全てのメンバーが表題曲に参加できる「全員選抜」のシステムを取っています(2019年7月現在)。人数の多い乃木坂46でも、21枚目シングルまでメンバー全員の「個人PV」を制作しており、前項で紹介した『はじまりか、』のような個性あふれる作品が多く生み出されてきました。

もう1つ制度面の工夫として、フォーメーションを通じた人材育成も挙げられます。

坂道グループには選挙制度が存在せず、運営側がセンターやフロント・選抜メンバーを決めています。しかし、人気メンバーだけがセンターやフロントに選ばれるという訳ではありません。例えば乃木坂46の楽曲『バレッタ』『逃げ水』では、当時グループに入ったばかりの新人であった2期生・3期生がセンターに選ばれています。また欅坂46では、5枚目シングルまでに1期生全員がフロントに選ばれています。このような施策の裏には、多くのメンバーに重要なポジションを割り振ることで、個々人の経験値・人気を高め、グループを大きくしたいという運営側の意図が読み取れます。

これはビジネスにおいては、企業内で社員の職場を計画的に変更し、さまざまな職務を経験させる「ジョブローテーション」にも似ているといえます。坂道グループでは、メンバー側もその意図を理解しているからこそ「センター・フロントメンバーを支えたい」「グループの成長のためにできることをしたい」という意識につながっているのだと思います。

まとめ

これらの要因から、坂道グループでのチームワークを強める秘訣は、

 事務所やキャプテンが「上からまとめた」だけでなく、
 メンバー個人個人が「下からまとまった」ことだった

ということです。

スター級社員を集めたアベンジャーズ型チームでは、衝突が起きやすいと言われていますが、それは「自分の手柄を立てたい」社員や「個人の成功体験に固執する」社員がいるからではないでしょうか。

坂道グループでは、メンバーが提示されたグループ理念に「共感」することで、チームとしての目指す方向を揃えることに成功しています。またメンバー1人ひとりが自分の個性を理解していることにより、グループとしての一体感、そしてグループの強さにつながっています。自分のスキルと他人のスキルを安易に比べさせず、1人ひとりが自分の役割を見出せるようなチームビルディングを実践することで、自発的に協力しあう関係性が生まれるのではないでしょうか。

《坂道グループから学べるチームマネジメント・まとめ》

  • チームの理念や存在意義を提示し、部下が共感できるよう説明する
  • 1人1人の個性を理解し、安易に比較しない
  • 全てのメンバーに、一定の平等性を担保する
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