中華圏の貿易会社でマネージャーとして働くryoです。
突然ですが、大きな会社であればあるほど、目標は大きくなり、目標を達成するために様々な業務、業務を遂行させるための従業員が必要になりますよね。
チームのリーダーは、会社から与えられた目標を達成するために、計画を立て、業務を役割分担し、チームに任せなくてはなりません。
自分ではきちんと伝えたつもりなのに、
- 自分とチームの熱量が全く異なり拍子抜けしてしまった
- 業務を分担化したがために、柔軟性がなく、リーダーの自分自身が負担する業務が出てきてしまった
などの経験はないでしょうか?
「分担された作業から、時間や成果を計算し、チームの仕事内容を逐一管理し、目標に反映していく」という仕事は、言葉にすると簡単なようで実際にはとても難しいですよね。
今日は、中華圏の貿易会社で働く私が、「“分担された作業”をまとめて一つの結果に結び付ける難しさ」について書いてみたいと思います。
そもそも仕事の「役割分担」って?
役割分担とは、「作業を複数の要素に分け、それぞれの作業を各人に割り当て、手分けして作業に取り組むこと。役割を分担すること。」を言います。
目標や業務に対して、重複した作業を減らしたり、個人の得意なことを生かして効率よく業務を遂行させるために、リーダーがする大切な仕事です。
https://www.weblio.jp/content/%E5%BD%B9%E5%89%B2%E5%88%86%E6%8B%85
「役割分担」にデメリットはあるのか?「目標を達成する」ための「役割分担」は、リーダーがする大切な仕事のひとつです。
では、作業を分担しチーム内に振っても尚、「分業が難しい」と感じる理由は何なのでしょうか?一見、仕事を効率化させるのに最適な「役割分担」ですが、実はデメリットも多く存在しています。
【役割分担のデメリット】①個人の利益だけを考えるようになる
自身の役割に集中するばかり、個人の利益だけを考えるようになります。自分の仕事を早く終わらせるために、自分の仕事を正確にするために、他の人の仕事や時間をないがしろにしてしまう可能性があります。
私は仕事上、用意された様々な書類にサインをすることが多いのですが、「作業を簡易的に終わらせるため」に、デタラメの理由が書かれている書類をよく見つけます。
他にもクレーム処理では、「○○工場の失敗による損失」などと根拠もなく書類が作成されていることもありました。
解決法
従業員による「個人の目標達成や利益の追求」を防ぐために、「KPI」を細かく設定することにしました。
KPIとは(key performance indicator の略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標のことですが、簡単に言うと、「評価チェック表」です。)
私が設定した生産管理のKPIはこちらです。
『クレーム発生額は、受注額の5%以内に収めること』
注:
人的原因でない場合は、5%に含まない。その場合は、事実関係をプリントアウトし、規定のクレーム書類と共にまとめること
【役割分担のデメリット】②スキルが限定する
チームの長所を生かして、「役割分担」すると作業は効率化しますが、同じ人が同じ業務を長く担当することになります。
仕事の質やスピードは上がりますが、新しいことに挑戦できない分、個人の能力が限定されてしまうという短所もあります。
「絶えずに新しいことを勉強したい」という向上心がある人は、自ら進んで「別の仕事を担当してみたい」と申し出ることもありますが、ほとんどの人は、自分が得意とする、慣れている仕事を手放したくないため、新しい能力が身につきにくいという欠点があります。
私が体験した実例)
入社して10年目になるスタッフは、これまでずっと営業アシスタントとして貿易の船積み業務や、書類の作成を担当してきました。
仕事ぶりは問題なく、彼女のステップアップを目指して「営業アシスタント」から「営業」へ昇進させたいと考えていたのですが
これまで「物流」を主に担当していたので、商品に対する知識が全くなく、物を売れそうにありません。
解決法)
解決策といえるのかはわかりませんが、彼女は「新しいことに挑戦したい」という気持ちはなく、「現在の仕事を安定的に続けること」だけを求めていました。
そのため、結果的に彼女を昇進させることはしませんでしたが、今後、向上心のある新しいスタッフを採用した場合には、数年と待たず様々な業務を任せてみよう!とこの経験から学ぶことができました。
【役割分担のメリット】①仕事の効率がよくなる
「あのデータ処理が終わってなかったからまとめておこう」と時間をかけてやったところ、実は他の人が既にやっていた、となれば数時間に及ぶ作業が全て無駄になります。
役割分担をすると、個々で担当すべき業務が決まっているので「作業の重複」を確実に避けることが可能です。
実例)
その日は休み明けで、数社から発注の依頼が入っており数量や単価などの確認をし、メーカーに引き渡す作業が必要でした。
まずはリーダーである自分が、優先度の高いものからまとめ、どの顧客から誰に渡すかを決め、チームに役割分担したことでこの仕事自体は1時間程度で終えることが出来ました。
【役割分担のメリット】②個々の長所が活かせる
人には誰にでも、「向き不向き」があるかと思います。
人前で話をするのは得意でも、細かい作業が苦手な人もいるでしょうし、逆に話下手でも、1人で黙々と作業をするのが得意な人もいるでしょう。
1つの仕事に対して、全員が同じことをしようとすると、不得意とする作業でのミスが必ず出てしまい、結果として効率が悪くなります。
また、「向いていないこと」「本人がやりたくないこと」を無理やりやらせても、双方にとって良いことはありません。
実例)
前年度の営業実績が良かったので、新しく営業アシスタントを雇うことに決めました。
「営業」という仕事は、「人に自社の商品を売る仕事」会社の売り上げを担う上でとても大切なポジションであり、また一般的には「人受けのいい」話好きな人が就くことが多い業種に思います。
しかし、面接に来たのはどこか自信のなさそうな静かな女の子。見た目や話し方からは「営業に向いている」とは思えませんでしたが、私は面接の15分も前から会議室で自分を待ち、用意された書類をきちんと整頓するその子をとても気に入りました。
その子には結果的に入社してもらい、大らかな性格で友人は多いが細かいこと苦手な男性営業の下についてもらうことにしました。
すると、半年程でこれまで頭を抱えていた資金回収や在庫処理が綺麗さっぱりなくなったことに気がつきました。
「適材適所と役割分担」、本当に大切なことだと実感しています。
仕事を分担する必要性
仕事を分担するにはメリットとデメリット両面がありますが、それでもやはり、「仕事は分担すべき」だと感じています。
「個人の利益だけを考えるようになる」、「スキルが限定する」はデメリットになり得ますが、上に記したように解決することが十分に可能であり
メリットとデメリットを比べた際、メリットのほうが圧倒的に優位に働くからです。
分担した仕事をうまくまとめるために大切なポイント
1.適材適所を見極めて仕事を振る
仕事の分担をする前に、リーダーとして業務の内容を理解し、その仕事が誰に向いているのかを正確に判断する必要があります。
とはいえ、人は「失敗をして学ぶ」のが当たり前ですしあまり身構えすぎることなく、過去の経験なども生かして仕事を振るように心がければ良いかと思います。
2.干渉しすぎず、任せっぱなしにしない
加減が難しいところですが、「干渉しすぎ」だとチームが成長せず、自分も疲れてしまうのでNG。
「任せっぱなし」では、裸の王様状態で見放されてしまったり、大きな問題を防ぐことが出来ない可能性もありますので、適度に進捗情報を確認し、コミュニケーションをとる必要がありますね。
3.着地点(目標)を必ず共有する
業務を分担すると、目の前のことだけに集中してしまい、着地点が見えなくなりがち。チームが当初の目標を見失わないように、定期的に着地点の確認をしてあげましょう。
まとめ
「役割分担」を管理するのはリーダーの仕事。このように、メリットだけでなく様々な「デメリット」も存在する「仕事の役割分担」ですが、「分担した作業を任せて、チェックするのが難しい」と思っている人のほとんどが、実は「本来任せるべき業務も自身でやってしまう」パターンが多いのではないでしょうか?
そのため、自分と比べてしまったり、作業に追われて「マネジメント」の時間が取れなくなっているのです。
チームのリーダーになったら、目的を明確にし、その目標にたどり着くまでの道を作り途中で転んでしまったり、動けなくなってしまった人はいないか?を優しく、時に厳しく見守らなければいけません。
まずは失敗を恐れず、目の前にある業務や作業を全てチームに引き渡しましょう。そして、彼らの進む道を作り、手助けをすることに集中してみてはいかがでしょうか?