“怪しい議論”を一発で見抜く!クリティカルシンキングを身に着ける7つ道具!

  • 自信満々に喋ってるけど、なんか違和感あるな
  • この人のつぶやき、それっぽいけどなんか怪しい……
  • 怪しい主張に見えるけど、どこがおかしいのかわからない!

こう思ったことはありませんか?

いまの世の中、本当かどうかわからないけどなんとなくそれっぽい、怪しい議論がはびこっています。普段の会話やSNS、はたまたマスメディアの報道ですら目にすることがあります。そうした議論を批判的に考察する思考方法が、クリティカルシンキングです。

批判的というと悪いイメージがあるかもしれませんが、議論をよく吟味して物事を正しく見ようとする健全な態度です。情報が錯綜する現代では、意図的に詭弁を用いて欺こうとする人も存在します。そうした中で、クリティカルシンキングは自らを守る武器となります。この高度情報化社会で騙されず生き抜くための必須スキルと言ってもよいでしょう。

この記事では、クリティカルシンキングを身に着けるための七つ道具について解説しています。批判的に考える観点の中でも、特に重要で使用頻度の高いものを厳選しています。今日から使えるテクニックが満載なため、読んだあとには怪しい議論を見抜くエキスパートになっていることでしょう!

①誤った知識:「それ、本当に事実ですか?」

相手の知識が間違っているか調べることは、最もシンプルかつ重要なチェックポイントです。一般によく言われていることであっても、本当は事実でないということはよくあります。

例えば、「暗いところで本を読んでいたせいで、目が悪くなった。だから、今では必ず電気スタンドの傍で本を読むようにしている」という人がいるといます。一見正しそうに見えますが、実は「暗いところで本を読むと目が悪くなる」というのは迷信だというのが科学的に明らかになっています。

当たり前のように語られていることでも、事実は異なっているということはよくあります。まずは、そもそもの事実関係が正しいかチェックしましょう!

②論理の飛躍:「話、飛んでませんか?」

「うんうん。……あれ?どうしてそうなったの?」となったことはありませんか?説明が省略されて、結論まで飛躍してしまっている意見をよく目にします。
 
例えば、「これからは個人でも情報発信が大切だから、YouTubeに力を入れるべし!」という意見があったとします。なんだか正しそうな意見ですが、説明が不足していて論理が飛躍しています。

まず、「個人にとって情報発信が大切」という根拠と、どんな人にとって情報発信が大切になるのかが説明されていません。次に、情報発信に何故YouTubeが向いているのかも示されていません。

あるべき論理の飛躍した主張は、スローガンでしかありえません。そして、論理の飛躍は結論ありきの主張、ポジショントークをしているときに生じやすいです。理屈に筋が通っているか、結論まで飛躍している部分がないか精査しましょう!

③軽率な一般化:「サンプル数、少なすぎませんか?」

「最近よく友人と飲むけど、今の20代の男性はこんな傾向がある」

といった投稿をよくSNSで見かけますが、身近な事例から軽率な一般化を行っているきらいがあります。このタイプの意見には、二つの問題があります。
 
一つ目は、サンプル数が少なすぎるという問題です。これは分かりやすいですね。周りに2~3人いるというくらいでは、なんの根拠にもなりません。
 
二つ目は、そもそも自分の周囲の人というのが一定の傾向を持っているということです。IT業界の人はMacを使っている人が多いですが、日本全体だとWindowsのシェアが90%近くを占めます。(参考:https://news.mynavi.jp/article/20180802-672661/)

また、フリーランスの人の周りには、リスク志向の高い人が集まるでしょう。自分の周囲でサンプリングしている時点で、一定の偏りが存在しているのです。
 
「日本人は~」「男性/女性は~」といった主語の大きな主張を見たときは、過度に一般化されていないかよく注意してください。

④偏ったサンプル:「上手くいった事例を集めただけでは?」

「B型はユニークな人という傾向がある。実際に、明石家さんまや松本人志、出川哲郎はみんなB型!」

へー、そうなんだ!たしかに言われてみればそうかも!……と、思ってはいけません。これは偏ったサンプルという誤謬です。

たしかに何人もの事例が並べられていると、「偶然じゃないのかも?」と思えてきます。けれど、これは「B型の人はユニーク」という結論ありきでサンプルを集めたものであるため、そもそもバイアス(偏り)が生じているのです。このバイアスは、”選択バイアス”と呼ばれます。

選択バイアスの他にも、”生存者バイアス”というものも存在します。こちらは、「生き残っている人や成功している人が目立ってしまうことによって生じるバイアス」のことです。

例えば、世の中の経営者には「起業すればお金持ちになれて、自分の好きなように生きられる。だからサラリーマンなんかやめてみんな起業すべし!」といったことを言う人がたくさんいます。けれど、これも典型的な生存バイアスです。そもそも起業に失敗した人の話は目にする機会が少ないため、成功している例ばかりが取り上げられてしまうのです。
 
複数の事例から結論を出しているときには、「サンプルにバイアスがかかっていないか?」と注意して見てみましょう!

⑤不確かな因果関係:「本当にそれが原因ですか?」

「水死の人が増える時期と、アイスクリームが売れる時期は一致している。だから、水死の原因はアイスクリームだ!」

なんだか奇妙な理屈ですよね?これは、どちらも”夏”が原因になっているにも関わらず、見た目上の相関関係で因果関係を論じてしまっている例です。たとえグラフの傾向が一致していたとしても、それらに共通する原因となる第三因子があった場合は、それは不確かな因果関係と言えます。

因果関係を見つけるためには、以下の3点のチェックが有効です。

①時間的順序が正しいこと
②相関関係が存在すること
③第三因子が存在しないこと

①と②は気付きやすいですが、③は見落としがちなので注意が必要です。SNSだけでなくTVでも、2つのグラフを並べて見せ、第3因子の存在を無視した怪しい説明をしているシーンをよく見ます。結果に影響を与えている原因がないか、よくチェックしましょう!

⑥最後の藁(わら):「たまたま最後の一押しになっただけでは?」

「ラクダの背骨を折るのは最後の藁だ」という西洋のことわざがあります。荷物を背負ったラクダが最後に藁を一本乗せたところで背骨を折ってしまう様子を表すことわざです。この様子から、ある物事が限界を迎える原因となった最後の一押しが”最後の藁”と呼ばれます。

この最後の藁(Last Straw)は、転じて「これまでの経緯が原因だと理解せずに、最後の一押しとなった出来事を原因だと錯覚してしまう」ことを意味します。これは非常によく見かける錯覚です。

例えば、「彼女にちょっと不満を言っただけで、大喧嘩になった。こんなことを言ったんだけど、理不尽ですよね?」といった投稿をSNSで見かけることがありますが、その不満がたまたま最後の藁になっていた可能性が高いです。本当の原因はこれまでの生活態度の積み重ねにあったのにも関わらず、そのことを理解していないのです。

ある成功/失敗事例のニュースの表層だけを見て、「~ということをしたからこの結果になった」と語る人はよくいます。そうした意見を見たら、それがたまたま最後の一押しになっていないかを考えてみましょう! 

⑦反証不可能な主張:「結局何も言っていないのと同じでは?」

昔、TVで「地獄に落ちるわよ」が決め台詞の占い師がいました。相談者に対して、気を付けないと地獄に落ちるという警告を送っているものです。TVでその占い師は物凄い形相をしており、「おぉっ」と不思議な説得力を感じたものです。けれど、この「気を付けないと地獄に落ちる」という主張自体には全く意味がありません。なぜなら、この主張は反証可能性がない、反証不可能な主張だからです。

反証可能性という概念は、科学哲学者のカール・ポパーが用いたことで有名です。ポパーは、「間違っていることを示すことのできない主張は科学ではない」と論じています。この、「間違っていることを示すことができる状態」というのが反証可能性であり、それが存在しない仮説はどんな時にでも成り立ってしまうため、科学的な意味を持たないのです。

例えば、「地球上のあらゆる場所では、地面に向かって重力が働いている」というのは科学的な仮説です。石を投げたら地面に向かわず、空に飛び上がっていく場所が見つかったら反証できるからです。けれど、実際はそんなことはありません。だからこそ、「重力は存在する」という仮説が暫定的に正しいとされ、その現象が生じる理由や現象の法則性についての議論が積み重ねられてきました。これが科学です。

一方で、「気を付けないと地獄に落ちる」は反証不可能です。地獄に落ちたら「言った通りだ!」となり、落ちなかったら「警告通り気を付けたからだ!」となるからです。どんな時でも成り立つ主張というのは、何も言っていないのと同じです。

最近では、「私の言う通りにすれば絶対に稼げます!」という主張でこの論法が見られます。上手くいったら「言った通り」ですし、いかなかったら「完璧に言った通りにしていないから」とすることで、情報の受け手に責任を押し付ける論法です。この論法を利用し、巧みに責任を回避する悪質な商品販売が行われているケースもありますため、注意が必要です。

反証不可能な主張は、責任を回避しながら強い主張をしたいときによく使われます。「それは反証可能か?」という視点を持ち、クールに見極めるようにしましょう!

まとめ

この記事では、クリティカルシンキングを身に着ける7つ道具として、以下の観点を紹介しました。

①誤った知識:「それ、本当に事実ですか?」
②論理の飛躍:「話、飛んでませんか?」
③軽率な一般化:「サンプル数、少なすぎませんか?」
④偏ったサンプル:「上手くいった事例を集めただけでは?」
⑤不確かな因果関係:「本当にそれが原因ですか?」
⑥最後の藁(わら):「たまたま最後の一押しになっただけでは?」
⑦反証不可能な主張:「結局何も言っていないのと同じでは?」

これらは主張のおかしさを見抜くために必須の観点と言えるでしょう。

クリティカルシンキングを身に着けることは、自分の頭で物事の真偽を見分けられるようになるということです。そして、そのスキルは玉石混交な情報が渦巻く現代を生きるにあたりとても強力な武器となります。

この中の一つでも実際に使ってみて、クリティカルシンキングを実践してください!

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