パーキンソンの法則から考える、リスク回避術

余裕を持って起きたのになぜかギリギリに。安い家賃の家に引っ越したのに貯金に回せない。これらはパーキンソンの法則によって説明できます。

今回は、仕事をする中で誰もが経験したことのあるパーキンソンの法則を紐解きながら、うっかり時間やお金を消耗してしまうといったリスクを回避する術について考えてみました。

パーキンソンの法則ってなに?

パーキンソンの法則とは、物事を行うために与えられた時間の分、やるべきことはふくらみ、お金はあればあるだけ使ってしまうという、なんともがっかりする法則。イギリスの政治・経済学者であるパーキンソンが、自らの著書の中で提唱した心理効果の法則です。

パーキンソンの法則は2つに分かれており、

  • 第1法則「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
  • 第2法則「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

という、時間とお金の法則なのです。

あぁ確かに! と大きくうなずく人も多いはず。私たちはパーキンソンの法則から逃れられない運命なのでしょうか。

参考:https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87-169226

パーキンソンの法則を実体験した話

なんだか物事が思うように進んでいない時、それはパーキンソンの法則の罠にハマっているかもしれません。日々の業務の中でこんな経験はありませんか?

  1. 「手空きでこれやっておいて! 週末までに」と任された月曜日。簡単な仕事で、急ぎではないと思い、のんびり作業を進めていたら、いつの間にか金曜日。結局ギリギリになって着手し、提出できたのも金曜日の退社前でした。
  2. 仕事で昇格したので給料もアップしたことをきっかけに、貯蓄額を増やそうと決めました。給料が増えた分、口座にお金が貯まっていくはずと目論んでいましたが、給料日前の残高はいつもと同じ。大きな無駄遣いはしていないはずなのに。
  3. チームに助っ人がジョイン! これで少し負担が減ると喜んでいたのですが、それでもタスクは減らず。頭数は増えているのになぜ!?

これらは、どれもパーキンソンの法則が関係しています。このままではダメ人間になってしまう! と危機感を感じたら、回避術の出番です。時間の法則とお金の法則に分けて、パーキンソンの法則を回避する方法をお伝えします。

パーキンソンの法則に打ち勝つ「時間がない!」の回避術

ここからは、パーキンソンの法則を回避する方法をいくつか紹介します。初めに、時間の法則から見ていきましょう。

気づけば時間がなくなっている時のパーキンソンの法則

仕事の量が多い女性。

実体験の1の例を第1法則である「時間のパーキンソンの法則」にあてはめてみます。本来の仕事スピードであれば、月曜日にでもこなせたはずの業務でしたが、締め切りまでまだ余裕だという考えが頭をよぎり、ついつい他の業務に取り組んでしまいます。結局、手を付けないままいつもギリギリになってしまうのは、パーキンソンの法則でいう「仕事の量の膨張」が起こるからです。

このパーキンソンの法則は個人のみならず、チームや課、部署、大きくは会社単位で起こっている現象です。特に大きなトラブルが起きたわけではないのに、いつもギリギリまで仕事をしている。何人助っ人を送り込んでもいつも人手不足。これらはパーキンソンの法則が働き、時間や人員の分だけ仕事が膨張したといえます。そんな時は、パーキンソンの法則を意識した回避策を立ててみましょう。

時間を細かなセグメントに分けてみよう

パーキンソンの第1法則における大きなリスクは、スケジュール通りにタスクが完了しないこと、約束を守れないことです。この時間におけるパーキンソンの法則を回避するためには、時間を細かく分けることが重要です。

月曜日にできたはずの仕事でも、金曜日まで延びてしまった先ほどの事例では、請け負った仕事をあらかじめスケジュールに組み込まなかったことが原因のひとつです。

まずは請け負った時点で、仕事を完了させたい期限と、いつまでに何をやっておく必要があるのか、進行スケジュールを立てておくことが有効でしょう。パーキンソンの法則にのっとると、完了させたい期限を設けるだけでは、月曜日から木曜日までの毎日の業務がパンパンにふくらみ、タスクを入れ込むことができない可能性があります。そのため、日々の業務も細かく時間ごとに分けておきます。その中で1日の何時から何時に取り組むのかをタイムスケジュールに入れておくことで、ギリギリにならずに業務を完了させることができるのです。

そうはいっても、あまりスケジュールを細かくしすぎたりつめこみすぎたりすると、現実的なスケジュールとはいえません。細かなセグメントに分けたとしても、その時間で終わるには無理のある設定にしてしまうと計画がなし崩しとなり、また以前のざっくりスケジュールに逆戻りしてしまうかもしれません。どの仕事も自分が思っている以上に時間がかかるものとみなし、余裕を持ったスケジュールを組むことがポイントなのです。

細かなセグメントに分けることでパーキンソンの法則が働いて、仕事がふくらんでしまってもすぐに巻き返すことができます。また、リミットを意識して取り組むことができるため、仕事の膨張を防ぐことができるでしょう。慣れるまではセグメントのタスクごとにアラームをセットすると時間を意識しやすくなります。

隙間時間の活用はコストパフォーマンスを上げる

パーキンソンの法則を逆手に取ると、隙間時間の利用が有効な手段だとわかります。例えば、電車に乗っている時間15分でメールの返信をする。オーダーしたランチが出てくるまでの間はスケジュールのチェックをしておく。待ち合わせまでの空き時間はスマホで書類の見直しをするなど、あらかじめ時間が決まっている隙間にタスクをはめ込むことで、仕事のコストパフォーマンスがアップします。

隙間時間に入れるタスクは、いつかやればいいやと後回しにしがちな内容がおすすめです。それらはだらだらと取り組めば必要以上に時間がかかってしまうけれど、タイムリミットさえ決まっていればテキパキと最短で完了させることができるからです。

「お金がない!」を回避するパーキンソンの法則

次に、お金の法則に対する回避術を見ていきましょう。

あればあるだけ使ってしまう、お金のパーキンソンの法則

実体験の2の例が第2法則である、与えられたお金は全て使い果たしてしまうというお金のパーキンソンの法則にあたります。お給料がアップしても蓄えが増えない、家賃が安い家に引っ越しをしたのに余裕が生まれないといった個人の事例から、予算として確保した分全て使ってしまうプロジェクト組織規模まで様々ですが、どの事例もお金がある分だけ支出の膨張が起こっているのです。

お金は使い道を決め、あらかじめ仕分けをしておこう

パーキンソンの法則がお金の面で発揮するリスクは、破産や赤字です。そうならないためにも、「あればあるだけ」という状態を作らないようにします。例えば、給料を天引きして別の口座に入るように設定したり、用途に合わせて財布を変えたりすれば、手元にあるお金を調整することが可能です。よく雑誌などで見かける主婦の節約術は、パーキンソンの法則を上手く回避する術が盛り込まれているといえます。

最近ではキャッシュレス決済が盛んとなり、使えるお金のボリュームが把握しづらいため、パーキンソンの法則に泣かされる人も増えるのではないかと危惧しています。その場合は明細などをしっかりチェックし、収支を意識することが大切です。

予算の場合も同様で、作成した収支予算書を最初と最後だけ意識してもあまり意味がありません。必要なタイミングで振り返り中間報告をすることや、ふくらみがちな項目には予算を割かないこともパーキンソンの法則を回避する対策といえます。

あるだけ使ってしまうということは、ある分でもやりくりができるということ。使ったあとの残金を期待するのではなく、残って欲しい金額から試算して使っていい金額を捻出するよう、お金の使い方を変えてみましょう。予算さえ的確であれば、不用意に膨張はしないのです。

パーキンソンの法則を逆手に取ろう

ここまで、パーキンソンの法則の回避術を紹介しましたが、実は、パーキンソンの法則を活かすこともできるのです!

やること・やらないこと、買うもの・買わないもののリスト化

チェックリスト。

細かくリスト化するとむやみな膨張を防ぐことができます。さらに、細かなリストは軌道修正を容易にします。思いたったものから取り組むのではなく、今日やること、今日はやらないことに振り分け、優先の度合いを明確にしておきましょう。

買うもの・買わないものも同様で、支出の膨張を防ぐために、支出を項目ごとに分け、予算を決めておくことです。その上で買うものをリストアップし、優先順位を付けておきます。あとはそれを毎月の予算から購入するのですが、他に買いたいものができた時はリストに加え優先順位を再考し、買わないと決めたものはリストから外します。

どちらも優先順位を明確にすることで、パーキンソンの法則による膨張を防ぐことができるのです。

スケジュールや予算は細かく区切る

1日のタスクに追われていると時間はあっという間に過ぎ去ります。振り返った時に、今日何したっけな? と思わないように、スケジュールは可能な限り細かく区切ります。

全体の締め切りに対し、今日の目標値、午前午後の目標値、10時までの目標値、出社して最初の10分の目標値と、膨張する余地を与えないようなスケジュールを組んでみましょう。時間とタスクが明確であれば、パーキンソンの法則にまどわされずに淡々と仕事をこなすことができるはずです。

予算の場合、どんぶり勘定をしていると知らず知らずのうちに予算をオーバーしてしまいます。予算内に収めるためにも予算を細かな項目に分けて管理します。また、最後にまとめて振り返るのではなく、要所要所で精算をし予算のふくらみを見直してみましょう。

まとめ

最後に、いつも時間に追われていても、毎回お金がギリギリでもそれはパーキンソンの法則の影響を受けているからなのです。原因と対策を知れば、気持ちや行動を切り替えることができ、リスクの回避に繋がります。

パーキンソンの法則は手強い法則で、無意識のうちに誰もがハマっているもの。そんな時は、「脱・パーキンソンの法則」と気持ちを切り替えて、舵をとり直してみましょう。

ちゃんと理解し意識さえしていれば、パーキンソンの法則はそんなに嫌な法則ではありません。知っているからこそできる回避術を身につけておきましょう。

時間もお金もいつもギリギリがなくなる対処術。
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