業務を効率的に進めるためには、プロジェクトの進捗管理がとても重要です。そこで導入したいのが「プロジェクト管理アプリ」です。
しかし、プロジェクト管理が簡単に行えるアプリを探そうと思っても、多様なアプリがあって、どれを選べばいいのかわからない…。どれが使いやすいのだろう? と悩んでしまい、結局導入せずに終わるというパターンに陥りがちです。
そこで今回は、代表的なプロジェクト管理アプリの紹介や選ぶ時のポイントをまとめました。
- 1 プロジェクト管理アプリとは
- 2 プロジェクト管理アプリ導入のメリット
- 3 プロジェクト管理アプリを選ぶ際の6つのポイント
- 4 プロジェクト管理に便利なツール
- 4.1 コミュニケーション促進と進捗度の見える化なら TeamHack(チームハック)
- 4.2 多機能で誰にでも使いやすいのは Wrike(ライク)
- 4.3 プロジェクトを即座に把握するなら JIRA(ジラ)
- 4.4 かんばんとカレンダーを入れ替えながら使いたいなら Asana(アサナ)
- 4.5 ガントチャートに特化したいなら Teamgantt(チームガント)
- 4.6 タスク管理・プロジェクト管理機能に特化 Jooto(ジョート)
- 4.7 オールインワンのプロジェクト管理アプリ backlog(バックログ)
- 4.8 基本無料で使える Trello(トレロ)
- 4.9 オープンソースが特徴のプロジェクト管理ツール Redmine(レッドマイン)
- 4.10 タスクの迅速な書き込みや納期の設定が可能 Todoist(トゥドゥイスト)
- 5 これからのアプリに期待すること
- 6 まとめ
プロジェクト管理アプリとは
プロジェクト管理アプリとは、プロジェクトやタスクの要件、進行状況を管理するアプリケーションです。タスク管理にとどまらず、スケジュール管理やチャット、情報の保存など、複数の機能を備えているアプリが多くあります。
PCやスマホ、タブレットなど、複数のデバイスに対応しているので、気軽にアクセスして進捗状況の確認や情報の更新ができます。
プロジェクト管理アプリ導入のメリット
プロジェクト管理アプリを導入すると、さまざまなメリットがあります。
進捗状況を把握できる
タスクの進行をアプリに入力することで、現在置かれている状況や計画との乖離を正しく把握できます。アプリをメンバー間で共有すれば、対応漏れや納期オーバー、負担の偏りを防ぐことにもつながるでしょう。
プロジェクト管理アプリは、入力した情報がリアルタイムに反映されるので、常に最新の進捗状況を確認できるのもメリットです。
データ入力が簡潔化する
集計機能や分析機能のあるプロジェクト管理アプリなら、データ入力の簡潔化につながります。日常的にデータを蓄積し、保存できるのはもちろん、必要なデータを引き出してグラフや分析データを作ることもできます。
データ入力の自動化は業務効率アップも期待できます。プロジェクト管理アプリの導入により、データ入力や管理にかけていた時間やコストの削減にもつながります。
チーム内での意思疎通がスムーズになる
チーム内でプロジェクト管理アプリを共有していると、常に最新の情報が確認できるので、メンバー間の齟齬を減らすことができます。
データの共有機能があれば、ファイル等の受け渡しは不要です。どこにいてもアプリにアクセスすることで、必要な情報を得られます。
また、チャット機能によってメンバー間のコミュニケーションが活発になり、報告・連絡・相談がしやすい、連携の取れたチームを作ることができるでしょう。
プロジェクト管理アプリを選ぶ際の6つのポイント
本稿ではおすすめのプロジェクト管理アプリを紹介していますが、その中でどのアプリを選ぶかが悩みどころ…。複数のプロジェクト管理アプリから、自社やプロジェクトに適したものを選ぶにあたって、比較すべきポイントをお伝えします。
金額・フリープランの有無
プロジェクト管理アプリの導入に必要なコストやフリープランの有無を確認します。プロジェクト管理ツールの利用料金は、使用する規模や機能によって異なります。会社やプロジェクトがどの程度のボリュームになるかをあらかじめ想定して、料金を見積もりましょう。
また、フリープランがあれば、導入前にテスト運用が可能です。テスト運用は正式運用の可否を判断する重要な期間なので、機能性や操作のしやすさ、自社にあっているかなどを確認しましょう。
無料で試せる期間が長ければ、納得がいくまで試すことができます。また、フリープランで試せる機能や規模が実際に導入を予定している規模に近いほど、信頼できるテスト結果を得られるでしょう。
使える機能
どんな機能が使えるかは、プロジェクト管理アプリを比較する時に重要なポイントです。プロジェクト管理アプリの機能はそれぞれ異なり、機能の有無はもちろん、どの機能に特化しているかに差があります。
会社やプロジェクトに必要な機能は何か、どんな機能があるとプロジェクト管理がスムーズになるかを明確にし、そのジャンルに長けたアプリを選ぶといいでしょう。
例えば、商品開発やプロモーション関連のプロジェクト管理を行う場合、ディスカッションが頻繁に交わされることが想定されます。そのため、チャット機能やノート機能が充実しているアプリを選ぶといいでしょう。
一方、システム開発を行うプロジェクトの場合、全体や個々の進捗状況を細かく管理ができるよう、ガントチャートやスケジュール管理機能が必要になります。
また、大人数で共有して管理をするプロジェクトの場合、共有機能の充実やコンタクトの取りやすさも気にかけるといいでしょう。
クラウド型かインストール型か
プロジェクト管理アプリの導入方法には、web上にデータを保管するクラウド型と、自社のサーバーやPCなどにデータを保管するインストール型があります。
クラウド型はインターネット回線がある場所ならどこからでもアクセスができるので、社内外問わず情報の共有がしやすいというメリットがあります。また、インターネットを通じて、アプリは常に最新バージョンを利用できます。
インストール型の場合、インストールしたPCでしか使えませんが、インターネット回線のない場所でも作業ができます。インターネット回線を介さずに情報を管理できるので、扱う情報によっては、セキュリティの観点でインストール型が推奨されるケースもあります。
他ツールとの連携
近年は便利なツールがたくさんあり、プロジェクト管理以外の作業で他のツールを導入しているケースは少なくありません。そのため、他のツールやアプリとの連携機能も求められています。
既に使用しているツールと連携できるアプリを選べば、それぞれのツールを起動させる必要はなく、一元管理ができるので手間が省けます。連携できないツールの場合も、データのCSV出力ができれば、データの連携がスムーズです。
個人利用・チーム利用が可能かどうか
プロジェクト管理アプリは、チームで使うケースと個人で使うケースが想定されます。個人、チーム、それぞれの使用環境を確認しておきましょう。
少ないユーザー数であれば、無料で導入できるアプリが複数あります。個人利用なら、長期的にも無料で使えるアプリを選ぶと、コストが負担になることがありません。
また、チャット機能やコミュニケーション機能は、チームでの利用を円滑にします。しかし、個人で使用する場合は、そこまで重視すべき機能ではありません。
プロジェクト管理のシーンで頻繁に使用されるガントチャートやスケジュール管理機能は、複数名の情報を記載できるか、また、複数名で使用した時に見づらくないかをチェックしておきましょう。
対応言語
海外製のプロジェクト管理アプリを検討する場合、日本語での表示ができるか、日本語のサポートがあるかを確認します。もし日本語でのサポートがあれば、海外のプロジェクト管理アプリでも安心して導入ができるでしょう。
日本語に対応していないアプリや、機械翻訳のようなチグハグな日本語を使用しているアプリは、ストレスになったり作業効率を低下させたりします。トラブルが起こった時にも、外国語で書かれたヘルプページや日本語非対応のサポートデスクでは、心配が残ります。
プロジェクト管理に便利なツール
ここからは、実際に多くの企業で使われ、高評価を得ているツールと、その特徴を紹介します
コミュニケーション促進と進捗度の見える化なら TeamHack(チームハック)
TeamHackには、タスクやドキュメントごとにチャット機能がついており、メンバー一人ひとりやチームでの進捗度をグラフで簡単に見ることができます。プロジェクトを管理しながら、コミュニケーションの活性化を図ることができるので、プロジェクトがどこで詰まっているのか、遅れているかなどを即座に把握するのにとても便利なツールです。
また、プロジェクト管理だけではなく、タスク管理・時間管理などすべての機能がひとつにまとまっています。
≪特徴≫
タスク・ドキュメントごとにチャット機能を搭載
タイムトラッキング機能で実際にかかった時間を計測
メンバー全員の納期・スピードも計測可能
無料でのお試しが可能
≪注目ポイント≫
コミュニケーションの活性化も図れる上、どれくらいタスクやプロジェクトが進んでるのかも全員で把握できるので、各々のモチベーションupにもつながります。メンバーの仕事の実績を詳細に分析できる機能もついているので、チームでプロジェクトを進めたいと考えている人におすすめです。
多機能で誰にでも使いやすいのは Wrike(ライク)
「Wrike」は、機能がとても豊富で使いやすいツールです。指標の管理にはボード・タイムライン・リストなどのさまざまな形式で表示が可能です。
加えて、Excelやiosなどとの連結も可能で、外部のツールと連携をとることができます。
≪特徴≫
機能がとにかく豊富
タスクの操作が簡単
チャットでは絵文字も使用可
無料のプランがある
≪注目ポイント≫
多機能にもかかわらず、デザインもきれいで操作が簡単なので、ITに明るくない人でも簡単に使いこなせます。特に不足している点はありませんが、ほかのツールと比べると値段が少し高い印象を受けました。
プロジェクトを即座に把握するなら JIRA(ジラ)
アジャイルチームに選ばれたナンバー1のソフトウェア開発ツールと謳っているように、「JIRA」はチーム内で情報共有を図り、円滑に進めたいという人に向いています。
またプラグインでアプリと連携をさせることで、よりJIRAを使いやすいようにカスタムできる点も、おすすめできるポイントです。
≪特徴≫
タスクを分散できる
リアルタイムでの管理ができる
プロジェクトの全体像の把握可能
≪注目ポイント≫
プロジェクトの全体像を即座に判断でき、少人数での管理にはコストもかからないため、小さいチームに適しています。大人数のチームで管理しようと考えている人は、コストがかかってしまうので、費用対効果の検討が必要かもしれません。
かんばんとカレンダーを入れ替えながら使いたいなら Asana(アサナ)
「Asana」は、かんばんとカレンダーを入れ替えながら使用します。シンプルで見やすいデザインなので、多様な人に好まれて使われています。
ドラッグ&ドロップで操作がしやすく、使っていて楽しいツールです。
チームで利用すると割引が適用されるので、複数名での利用がおすすめです。
≪特徴≫
かんばんとカレンダーをスイッチできる
デザインがシンプルで使いやすい
無料プランでは15人まで共有可能
スマホからの操作も可能
≪注目ポイント≫
デザインもシンプルで、簡単にタスクの追加が可能です。バランスが良く使い勝手の良いツールです。
ガントチャートに特化したいなら Teamgantt(チームガント)
ガントチャート機能に特化し、進捗度が一目瞭然な「Teamgantt」。小さいタスクではなく、全体を一気に把握したいプロジェクトリーダーにおすすめのツールです。
スマホからでも管理できるようになったので、これまでよりも迅速な対応が可能になりました。
≪特徴≫
簡単にガントチャートを作れる
ドラッグ&ドロップで管理できる
30日間の無料トライアル
≪注目ポイント≫
ドラッグ&ドロップでガントチャートを作成したり、直したりできるのはとても画期的で使いやすい機能です。AmazonやNikeといった大手の企業も利用しているので、実績は充分だといえます。
タスク管理・プロジェクト管理機能に特化 Jooto(ジョート)
プロジェクト全体はガントチャートで、タスクはカンバン方式で、それぞれ管理できるプロジェクト管理アプリです。
タスクごとに概要や責任者、納期を入力できるのはもちろん、細かなToDoリストの紐付けや、コメントを通したコミュニケーションもできます。各タスクの詳細は、ガントチャートで確認でき、並び替えや納期の修正がある場合はドラッグ&ドロップで操作します。
必要な機能だけを着実に搭載しているため、操作は至ってシンプル、わかりやすい管理画面が特徴です。
≪特徴≫
操作しやすい管理画面
無料版でも基本的な機能のほとんどを使用可能
一覧性が高く、わかりやすいタスク管理機能
≪注目ポイント≫
シンプルな操作性と管理画面を持つプロジェクト管理アプリです。基本的な操作はドラッグ&ドロップなので、直感的な操作が可能です。無料版で基本的な機能を試すことができますが、人数制限があります。4人以上で使用する場合、有料プランへの切り替えが必要です。
オールインワンのプロジェクト管理アプリ backlog(バックログ)
ガントチャートやマイルストーンを用いてプロジェクト管理を行うBacklogは、エンジニアによく使われるアプリです。ガントチャートやマイルストーンが簡単に作れることが特徴で、進捗状況はガントチャートで、課題はカンバン機能で把握します。
ソースコード管理が可能で、backlogをSubversionとGitリポジトリとして使用できます。これはエンジニアにとっては利便性の高いツールといえますが、エンジニア以外にとっては多機能ゆえ直感的な操作ができず、慣れるまで操作に戸惑うかもしれません。
30日間は無料で試すことができます。その後は、プロジェクトやユーザーの数、ストレージの大きさに合わせて有料プランを導入する必要があります。
≪特徴≫
シンプルなプロジェクト管理アプリ
ガントチャートやマイルストーンが簡単に作れる
エンジニアに適した機能を備えている
≪注目ポイント≫
ガントチャートとカンバンでプロジェクトを管理します。バグやバージョンアップなどの管理面でも優れたアプリです。開発プロジェクトを手がけるエンジニアなどに嬉しい機能が多く、使いこなすための難易度はやや高めかもしれません。
基本無料で使える Trello(トレロ)
無料プランは、ストレージ容量に制限があるものの人数制限はありません。ほとんどの機能が無料プランに含まれています。
タスクを書き込んだカードをドラッグ&ドロップで動かして、優先順位やステータスを管理します。直感的に操作できる点や、進捗状況を視覚的に把握できる点で、導入しやすいアプリといってもいいでしょう。
タイムラインビューやテーブルビュー、カレンダーと、さまざまな視点から時間管理ができることも特徴です。
≪特徴≫
ドラッグ&ドロップで管理できる
人数制限のない無料プランで試せる
視覚的に進捗状況を把握できる
≪注目ポイント≫
直感的な操作ができるのはもちろん、パッとみて進捗状況が理解できる点で、PCの操作に明るくない人でも使いやすいアプリといえるでしょう。無料プランが充実しているので、無料のまま使い続けることや、納得いくまで試用も可能です。
オープンソースが特徴のプロジェクト管理ツール Redmine(レッドマイン)
Redmineは、ソースコードが無料で提供される、オープンソースが特徴のプロジェクト管理ツールです。コストをかけずにプロジェクト管理をしたい人におすすめです。
コードを書き換えれば会社やプロジェクトに合ったカスタマイズができますが、有料のプロジェクト管理アプリと異なりサポートはありません。そのため、ITの知識がない人には活用が難しいかもしれません。
Redmineでは、タスクを「チケット」と呼びます。タスクはチケットで管理を行い、ガントチャートや情報の管理・共有などのプロジェクト管理に必要な機能を幅広く搭載しています。入力したチケットは、ガントチャートやロードマップなどに出力も可能です。
≪特徴≫
チケット単位でのタスク管理
web上から無料でインストールできるオープンソース
豊富なプラグインでカスタマイズが可能
≪注目ポイント≫
無料で導入できるにもかかわらず、プロジェクト管理に必要な機能は揃っています。機能の拡張もできますが、ITの知見は必須です。チケットでタスクを管理する点は特徴的ですが、親子チケットや関連チケットのリンク、責任者やステータス、進捗状況、納期を設定できます。
タスクの迅速な書き込みや納期の設定が可能 Todoist(トゥドゥイスト)
TodoistはToDoの管理に特化したプロジェクト管理アプリです。今回紹介したプロジェクト管理アプリの中で、最もシンプルなタスク管理をします。
ただしToDoを書き出すだけでなく、優先順位や納期、カテゴリー、サブタスクなど、付随する情報を設定できます。さらに、ルーティーン化したToDoはテンプレートとして登録ができます。
登録したToDoはApple Watchなどのウェアラブル端末からも確認できる、非常に便利なアプリです。
シンプルながらも多機能なアプリですが、あくまでToDoの管理を主としているため、大規模なプロジェクト管理には適さない場合もあるでしょう。
5人までは無料で使えますが、使える機能は最低限なので、有料版の導入は必須といえるでしょう。
≪特徴≫
ボードやリストでタスクを管理
シンプルながらも多機能
目的ごとに使用できるテンプレート多数
≪注目ポイント≫
ToDoの管理を最大限効率化するプロジェクト管理アプリです。タスクを見える化し対応漏れを防ぎます。スマホの操作ができる程度のリテラシーがあれば充分な操作ができますが、複雑なプロジェクト管理になると機能が不足するケースもあります。
これからのアプリに期待すること
TeamHackersでは、さまざまなシステム開発企業やWeb制作会社を訪ね、主にアジャイルやスクラム開発など、チーム体制の開発スタイルについてのインタビューを行っています。
どの会社も、複数のツールを組み合わせて自分たちにとっての最適化を図っていることがわかりました。
このことから、タスク管理やプロジェクト管理の理想形は、1つのアプリにすべての機能が集約していることではないかと考えました。万人が使いやすいようなシンプルさが求められます。
まとめ
プロジェクトには遅れはつきものです。個人や全体の進捗度を管理することで、管理者は遅延のフォローが可能です。プロジェクトの遅れをひとりになすりつけるのではなく、みんなでカバーすることが本当のチームの形ではないでしょうか。
ツールを使いこなして、人間関係も仕事も時間も上手に管理してみませんか?